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【第8部〜龍戦争〜】
第22話 vs.アシェラ
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「良い度胸だ。もしアナトが負けたら、お前達がどうなるか?理解しているだろうな?」
母は、愛人が目の前で娘に殺されたと言うのに、至って冷静だった。睨まれているが、殺気が全く感じられず、何を考えているのか分からない。
母は昔からそうだった。私を甘やかす父とは対照的に、母は私に厳しかった。私が物心がつく4歳になった頃、当時は何をされていたのか理解出来なかったが、それから10年も経ってようやく理解した。私は父から性的虐待を受けていたのだ。
挿入こそはされなかったが、私の性器に父の性器を押し当てられたり、擦って果てたりと近い事までされた。口付けや口淫は当然の様にさせられていた。幼い私は、それが父の愛情表現だと思っていた。父と母が、それをしている映像を見せられた事があるから信じたのだ。
しかし、友人達は父と裸で寝た事さえ無く、私がしているのは変な事かも知れないと考え、人に知られる事を恐れる様になった。だがこの秘密の行為は、三哥(三男)のモトに知られてしまった。脅されて私はモトの妻にされ、まだ処女だった私を凌辱した。その後、大哥(長男)のバァルの知る所となり、3人の兄達は私を奪い合って殺し合いを始めた。モトがバァルを殺害した為に、私は密かに大哥を生き返らせた。
モトの妻でいたくなかった私は、2人で協力してモトから逃げた。まさか大哥が、三哥を殺すとは思っていなかった。私は今度は、大哥のバァルの妻にされた。
友人だったアダムが父の怒りに触れて、地上に堕とされた。私はその後に続いて地上に降りた。やがて唯一神ヤハウェの怒りを人類が買い、地上を滅ぼすと唱えた。
哥哥(義兄)と慕っていたルシフェルは、せめてアナトが天界に戻るまで待つ様に提唱したが、却下された。その為、ルシフェルに賛同し、私と仲の良かった者達を率いて叛乱を起こしたのだ。叛乱と言うよりも、抗議行動だったのだ。
ヤハウェは、ルシフェルの双子の妹であるミカエルを、ルシフェル討伐の総大将に任じた。ミカエルは他の者に討たれるくらいなら、自らの手で愛しい兄を殺すと心に誓った。ルシフェルは愛しいミカエルと本気で戦う事が出来ず、やっとの思いで敵陣を突破してヤハウェの前に現れた時は、既に満身創痍であった。ヤハウェに不意を突かれて一撃で倒され、魔界に堕とされた。
魔界に堕ちたルシフェルは、大魔王ルシファーと名乗り、天界への復讐を誓った。
その間も母アシェラは、その有り様を冷ややかに見ていただけだった。
私も大人になり、母が私に厳しい態度を取っていたのは、嫉妬からだと理解した。私には母から抱っこしてもらったり、頭を撫でてもらったり、褒めてもらった記憶が全く無い。私の母への印象は、厳しく怖い女性だった。
母の愛を知らずに育った私だ。手加減など出来るはずもない。
「貴女と本気で戦う日が来るなんてね?殺す気で来なさい」
「最初からそのつもりだ!」
練気剣を両手に持ち、構えた。母はこちらの構えを気にもせず、間合いを平然と詰めて来た。その余裕ぶりに苛立った。
「舐めるな、死ね!」
必殺の剣は軽々と躱され、懐に入られると、腕を絡めて右腕を折られた。それとほぼ同時に下顎が吹き飛び、喉を潰され、胸と腹に受けた拳によって内臓が破裂し、大量の血を吐いて絶命した。しかし、瞬時に傷が回復した。
「うげっ…ごぼっ。う、嘘でしょ…、まさか素手で武蔵よりも強いの?」
私はダメージが回復すると、距離を取った。
「あははは、まさかそれで離れているつもりなのか?」
瞬きをしたつもりは無い。だが詰め寄る速度に反応出来なかった。手刀を鎖骨に受けて、その手刀は肺から胃にまで達した。血しぶきを上げて私は地面に転がった。
「強過ぎる…」
「私の力が、超強力催眠だけだとでも思っていたの?」
武闘家で今までに出会った中では、舎脂が最強だった。だが母の強さは次元が違う。
「良く分かったわ。私では、お母さんには勝てないって事がね」
『魔法箱』
呪文を唱えたと同時に、中に入っていたモノを母に向けて投げ付けた。
「うぐっ、こ、これは…!?」
「切札は最後までとっておくものよね?古之不定型生物よ」
母は来夢の身体に取り込まれ、身動きが取れ無くなり、消化吸収されて行く。
「さようなら、お母さん」
「アナト…。ふふふ、まさか私がこんな死に方をするとはね?やられたわ」
「何でそんなに潔いのよ?」
「さあ?何でかしらね…」
目を閉じ、消化されて消えた。
「瑞稀、久しぶりね」
「来夢、ごめんね。私の隠し玉にさせてもらったよ」
来夢は核の炎から私を守って消滅した。私は神魔全員の髪の毛などのストックを、魔法箱に保管してある。万が一の時は、それを使って生き返らせる為だ。来夢も例外では無い。来夢の一部を保管しており、それから蘇生させたのだ。
私が大臣らを見回すと、平伏して万歳三唱をした。
「陛下、万歳、万歳、万、万歳!」
こうして再び政権を取り戻した。母アシェラの何と強かった事か。黄帝が一目置いて兵を退いたのも分かる。
しかしもう母はいない。だが、今度は来夢がいる。黄帝はまだ力を見せてはいないが、応龍の底は知れた。模倣・参式を得た私なら勝てる。そして黄帝も来夢には勝てないだろう。
母は、愛人が目の前で娘に殺されたと言うのに、至って冷静だった。睨まれているが、殺気が全く感じられず、何を考えているのか分からない。
母は昔からそうだった。私を甘やかす父とは対照的に、母は私に厳しかった。私が物心がつく4歳になった頃、当時は何をされていたのか理解出来なかったが、それから10年も経ってようやく理解した。私は父から性的虐待を受けていたのだ。
挿入こそはされなかったが、私の性器に父の性器を押し当てられたり、擦って果てたりと近い事までされた。口付けや口淫は当然の様にさせられていた。幼い私は、それが父の愛情表現だと思っていた。父と母が、それをしている映像を見せられた事があるから信じたのだ。
しかし、友人達は父と裸で寝た事さえ無く、私がしているのは変な事かも知れないと考え、人に知られる事を恐れる様になった。だがこの秘密の行為は、三哥(三男)のモトに知られてしまった。脅されて私はモトの妻にされ、まだ処女だった私を凌辱した。その後、大哥(長男)のバァルの知る所となり、3人の兄達は私を奪い合って殺し合いを始めた。モトがバァルを殺害した為に、私は密かに大哥を生き返らせた。
モトの妻でいたくなかった私は、2人で協力してモトから逃げた。まさか大哥が、三哥を殺すとは思っていなかった。私は今度は、大哥のバァルの妻にされた。
友人だったアダムが父の怒りに触れて、地上に堕とされた。私はその後に続いて地上に降りた。やがて唯一神ヤハウェの怒りを人類が買い、地上を滅ぼすと唱えた。
哥哥(義兄)と慕っていたルシフェルは、せめてアナトが天界に戻るまで待つ様に提唱したが、却下された。その為、ルシフェルに賛同し、私と仲の良かった者達を率いて叛乱を起こしたのだ。叛乱と言うよりも、抗議行動だったのだ。
ヤハウェは、ルシフェルの双子の妹であるミカエルを、ルシフェル討伐の総大将に任じた。ミカエルは他の者に討たれるくらいなら、自らの手で愛しい兄を殺すと心に誓った。ルシフェルは愛しいミカエルと本気で戦う事が出来ず、やっとの思いで敵陣を突破してヤハウェの前に現れた時は、既に満身創痍であった。ヤハウェに不意を突かれて一撃で倒され、魔界に堕とされた。
魔界に堕ちたルシフェルは、大魔王ルシファーと名乗り、天界への復讐を誓った。
その間も母アシェラは、その有り様を冷ややかに見ていただけだった。
私も大人になり、母が私に厳しい態度を取っていたのは、嫉妬からだと理解した。私には母から抱っこしてもらったり、頭を撫でてもらったり、褒めてもらった記憶が全く無い。私の母への印象は、厳しく怖い女性だった。
母の愛を知らずに育った私だ。手加減など出来るはずもない。
「貴女と本気で戦う日が来るなんてね?殺す気で来なさい」
「最初からそのつもりだ!」
練気剣を両手に持ち、構えた。母はこちらの構えを気にもせず、間合いを平然と詰めて来た。その余裕ぶりに苛立った。
「舐めるな、死ね!」
必殺の剣は軽々と躱され、懐に入られると、腕を絡めて右腕を折られた。それとほぼ同時に下顎が吹き飛び、喉を潰され、胸と腹に受けた拳によって内臓が破裂し、大量の血を吐いて絶命した。しかし、瞬時に傷が回復した。
「うげっ…ごぼっ。う、嘘でしょ…、まさか素手で武蔵よりも強いの?」
私はダメージが回復すると、距離を取った。
「あははは、まさかそれで離れているつもりなのか?」
瞬きをしたつもりは無い。だが詰め寄る速度に反応出来なかった。手刀を鎖骨に受けて、その手刀は肺から胃にまで達した。血しぶきを上げて私は地面に転がった。
「強過ぎる…」
「私の力が、超強力催眠だけだとでも思っていたの?」
武闘家で今までに出会った中では、舎脂が最強だった。だが母の強さは次元が違う。
「良く分かったわ。私では、お母さんには勝てないって事がね」
『魔法箱』
呪文を唱えたと同時に、中に入っていたモノを母に向けて投げ付けた。
「うぐっ、こ、これは…!?」
「切札は最後までとっておくものよね?古之不定型生物よ」
母は来夢の身体に取り込まれ、身動きが取れ無くなり、消化吸収されて行く。
「さようなら、お母さん」
「アナト…。ふふふ、まさか私がこんな死に方をするとはね?やられたわ」
「何でそんなに潔いのよ?」
「さあ?何でかしらね…」
目を閉じ、消化されて消えた。
「瑞稀、久しぶりね」
「来夢、ごめんね。私の隠し玉にさせてもらったよ」
来夢は核の炎から私を守って消滅した。私は神魔全員の髪の毛などのストックを、魔法箱に保管してある。万が一の時は、それを使って生き返らせる為だ。来夢も例外では無い。来夢の一部を保管しており、それから蘇生させたのだ。
私が大臣らを見回すと、平伏して万歳三唱をした。
「陛下、万歳、万歳、万、万歳!」
こうして再び政権を取り戻した。母アシェラの何と強かった事か。黄帝が一目置いて兵を退いたのも分かる。
しかしもう母はいない。だが、今度は来夢がいる。黄帝はまだ力を見せてはいないが、応龍の底は知れた。模倣・参式を得た私なら勝てる。そして黄帝も来夢には勝てないだろう。
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