上 下
243 / 362
【第8部〜龍戦争〜】

第18話 アシェラの怒り

しおりを挟む
 神魔兵と龍人族は、10分の1も生き残ってはいなかった。あのまま戦い続けていれば、我々は降伏か殲滅するしか無かったに違いない。
「この数を生き返らせる魔力は無い」
 私は絶句した。魔法箱マジックボックスに大量の魔石を保管していたが、それを使い切っても尚足りないだろう。
「恐れながら娘娘ニャンニャン、龍人族はまた操られるかも知れません。神魔兵だけ生き返らせたら如何でしょう?」
 雪英シュエインが、遠慮気味に意見を述べた。
「そうだね…」
 私は黄帝軍に受けた被害に動揺していたが、雪英シュエインの言葉で目が覚めた。それにしても賢い娘だ、と感心した。
死者蘇生リアニメーション
 ロード達が生き返った。
皇上ホワンシャン(陛下)、对不起ドゥブチ(申し訳ございませんでした)」
「謝らなくて良いよ。私も応龍に、一太刀で斬られたんだから。龍人族の遺体を1箇所に集める様に指示してくれる?後で必ず生き返らせるから」
シィー(畏まりました)、皇上ホワンシャン(陛下)」
 ふと視線を遠くに向けると、ルシフェルがミカエルと寄り添っているのが見えた。激しい嫉妬を感じて心が痛い。
小虞シャオ・ユー、無事だったか?」
 私は思わず阿籍ア・ジーに抱き付いた。
謝謝你シェイシェイニー(有難う)、阿籍ア・ジー
 項羽に抱きしめられると、少しだけ心が安らんだ。その様子はルシフェルに見えたはずだが、反応が変わらない。他の男に抱きしめられても嫉妬もしないのか、と思い悲しくなった。もう私達は終わりね、そう思えた。
 私の心が弱っているのを見て、阿籍ア・ジーは優しく背中をさすってくれた。黄帝軍にやられて、私が傷付いていると思っているのだろう。誘われるままに部屋に行き、当然の様に抱き合った。阿籍ア・ジーとは何度も肌を重ねた仲だ。ルシフェルを忘れさせて欲しい。私が浮気するのも、貴方が悪いのよ?と心の中で言い訳をしながら何度も項羽に抱かれた。全て膣内なか射精されたので、妊娠したらどうしようと思い、こっそり魔法箱マジックボックスからアフターピルを取り出して飲んだ。
「久しぶりのHで気持ち良かったわ。少しだけ癒されたかな…」
「少しだけ?まだ足りなかったのか?」
「そう言う訳じゃ…」
 抱き寄せられて口を塞がれた。舌を絡め合い、愛を確かめ合った。まだ私の中には、阿籍ア・ジーが好きな心が残っている。そうでなければ抱かれたりなどしない。何せ私達は愛し合い、前世で死別した関係だ。
 部屋から出て阿籍ア・ジーに肩を抱き寄せられていると、ルシフェルに見られた。私は咄嗟に、肩を抱かれた手を離した。
 ルシフェルが私の手を引っ張り、抱き寄せて阿籍ア・ジーと睨み合った。
「あ、あの…私…」
 突然カッとなったルシフェルに、ビンタをされた。私はHしたのがバレたと思い、泣き出した。
「俺の小虞シャオ・ユーに手を挙げるな!」
 襟首を掴み合い、睨み合いながら相手の隙を窺っている。私は泣きながら2人の間に入って止めた。
「ごめんなさい。私が優柔不断なのが、いけないの。哥哥グァグァ義兄あにぃ)がミカエルと仲が良いのに嫉妬して、阿籍ア・ジーとの事を見せつけて仕返ししたの。本当にごめんなさい」
「何だと!?それなら、俺を利用しただけなのか?小虞シャオ・ユー
「ごめんなさい。でも全く心が無ければ、貴方に抱かれたりなんてしない。でも今の彼氏は哥哥グァグァ義兄あにぃ)なの、分かって」
 ルシフェルの襟首を掴んでいる手が震え、一呼吸すると手を離した。そして無言のまま去って行った。
哥哥グァグァ義兄あにぃ)、对不起ドゥブチ(ごめんなさい)」
 私がポロポロと涙を流すと、抱き寄せられた。
「すまない。俺がはっきりした態度を取らないばかりに、不安にさせた」
 ルシフェルに口付けをされ、部屋に連れ込まれると、押し倒された。
「嗚呼、愛しい妹妹メイメイ。この身体を他の男が好きにしたなんて…この身体は俺の物だ。俺の…」
 初めて哥哥グァグァ義兄あにぃ)と結ばれたが、激し過ぎるHに何度も気を失った。
「あぁん…激しっ…死んじゃう、死んじゃうよ…、あん、あん、あっ…、はぁ、はぁ…気持ちいい…うんぁ…イっ、イク、イっちゃう…、イク、イク、イク、イク…ああぁぁ…」
 最高潮に達したオルガズムを感じて意識を失った。だらしなくヨダレを垂らしていたが、気持ち良過ぎてそんな事はどうでも良かった。
「もっと…もっとして…もっと…」
 そう口走っていた事も覚えていない。朝まで抱かれ、大臣達が謁見に来たが雪英シュエインが追い返してくれていた。
 雪英シュエインは、部屋の外に立ち入らせない様にしてくれていた。当然、私の喘ぎ声は聞かれているから、部屋の中で何が行われているかは筒抜けだ。
「あ、太后タイホゥ、困ります。太后タイホゥ!」
「私の行手を遮るつもりなの?」
 アシェラに睨まれると、お付きの侍女に雪英シュエインは頬をぶたれた。お構いなくアシェラは中に入って来た。
 母が入って来た時、私達は最中だった。
「まるで盛りの付いた猿ね?」
 母に蔑まされた冷たい目で睨まれた。私はルシフェルに跨って腰を振っていたので、首を掴まれて引き離された。
「何するの、お母さん!勝手に入って来ないでよ!母娘おやこでもプライバシーがあるでしょう?お母さんが武蔵とHしてる時に邪魔するわよ!」
 カッとなった母に顔を殴打され床に倒れると、馬乗りにされて嫌と言うほど殴られた。
「娘のくせに親に何て口の利き方をするの!まだしつけが足りなかったみたいね?」
 顔の形が変わるまで殴られ続け、泣いても謝っても止めてくれず、意識が遠退きかけた。ルシフェルが止め様としているのを感じたが、怒りの収まらない母は、遂に本気の正拳突きで私の顔ごと頭を砕いて殺害した。
「どうせ生き返るわよ」
 べっとりと血の付いた手で、ルシフェルの肩を叩いて部屋を出て行った。
 私が生き返ったのは、どのくらい時間が経ったのだろう?気が付けばルシフェルに膝枕をされ、心配そうに雪英シュエインが顔を覗き込んでいた。
「お前の政権を剥奪して、アシェラが握っている」
 目が覚めると、そう言われた。そうか、もう私は自由の身だ。権力を失った事によって身軽になった、そう感じた。元々私には荷が重かったのだ。母がしたいなら、そうすれば良い。何せ母は天界最強だ。黄帝も応龍も母を恐れて兵を退いた。母が率いれば勝利が見込めるだろう。
 それでも私は少しだけ虚しさを感じて、ルシフェルに口付けを求めた。そのままルシフェルに覆い被さると、手で雪英シュエインに部屋から出る様に指示すると、再びルシフェルと交わった。
 何だかもう、どうでも良い。戦をしている事も忘れて、ルシフェルと抱き合っていたい。愛し合っていたい。
 私は、ルシフェルに抱かれて陶酔した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...