235 / 360
【第8部〜龍戦争〜】
第10話 新たなる敵
しおりを挟む
白龍国は、黒龍国を日本と例えるなら、距離にするとタイくらい離れている。広大な森を抜けると砂漠があり、それを抜けると標高の高い山々が連なる。奥地に進むと、その1番高い山の山頂に白龍族の王国がある。
辿り着くのが陸地では困難である為、空を飛んで行くのが常だ。そもそも龍は空を飛べるのだから、地面を歩いて来たりはしない。他種族間戦争に備える為に、こんな標高に城がある。
もっとも、神魔のほとんどが空を飛べるのだから、須弥山を登った時みたいに、地に足をつけて登らなければ辿り着けないとか縛りでも無ければ、大した難易度では無い。
「はぁ。格好つけて啖呵切ってやって来たけど、どうやって説得しようかしら?」
白龍の王城に来たが門番の姿は無く、人の気配をまるで感じ無い。
「変ですね?誰も居ないみたいだ」
「何だか胸騒ぎがするよ…」
私達は全力で走って王の間に向かった。すると、前から1人の男がゆっくりと歩いて来た。その男の姿は、まるで日本の侍の様に見えた。
「うっ、あ…」
近付かれると全身に冷や汗が出た。
(な、何なのコイツ…)
配下の者達が剣に手を添えたのを見て直ぐに制止した。敵対行動を取れば命は無いだろう。不死であるはずの私が、死の恐怖を感じた。
男は平然と歩いて間合いに入って来ると、私は全身が緊張で硬直し、金縛りにあったかの様に身動きが取れなくなった。その男はそのまま素通りしたので振り返り、なけなしの勇気を振り絞って名前を尋ねた。
「あ、貴方の名前は?」
「作州浪人・宮本武蔵」
男は此方に振り向かずに、そう名乗って立ち去った。
(えっ?宮本武蔵だって?)
何でこんな所に居る?とかツッコミどころ満載だったが玉座に急ぐと、無惨にも白龍王以下白龍族は全員、斬り殺されていた。私は力無くその場に座り込んだ。
白龍族が皆殺しにされた為に、大きく戦略の路線変更が必要となった。それにしても何故、宮本武蔵が居たのか気になった。黒龍国に戻って詳細を話すと、知っている者がいた。
「かの者は、神仙となる道を選ばずに、修羅の道を選び、強者と聞けば武者修行と称して決闘を申し込むのです。かの者に討たれた者は数知れず、未だ無敗を誇っておりまする」
「修羅の道?」
「はい、阿修羅王をご存知でしょう?阿修羅族の住む世界は修羅の国。戦いが永遠に止む事の無い世界で御座います。かの者はそこで修行をしておりまする」
宮本武蔵…テンダラース(S10)ランクを超えてるんじゃないのか?とても勝てる気がしなかった。
城内が騒がしく、何事かと尋ねると何者かが攻めて来たと言うので、応戦する為に走った。
「あれは宮本武蔵…」
武蔵は真っ直ぐ玉座を目指して歩いている。立ち塞がった黒龍族を切り捨てながら進んでいた。
「くそっ、好き勝手させるか!」
魔王ロードが立ち塞がると、初めて武蔵が構えて見せた。二天一流…宮本武蔵だけの唯一無二の剣技だ。両刀にすれば相手よりも1本剣が多い為に有利だ、と言う単純明快な論理だが、それを実現するには片手で相手の両手の腕力を受け支えねばならず、握力、手首、腕力を鍛える為に百姓の真似事まで行って鍛えた。
剣帝の剣技を繰り出して武蔵と切り結んだが、刃を交える事なく一刀両断で、構えた腕ごと胴体を輪切りにされて絶命した。
「ロード!」
私は駆け寄ると、武蔵の前で両手を広げて立ち塞がった。
「そこを退け、女。邪魔をするなら斬る!」
「ここに貴方の修行相手となる者はいない。誰も貴方には勝てない。だが、貴方にも手こずるかも知れない相手がいる」
「誰だ?」
「白金龍よ」
「白金龍か…聞いた事はある。なるほどな」
そう一言呟くと、武蔵は去って行った。
『死者蘇生』
ロードや他の死者を生き返らせた。
「今やロードもオクタス(S8)ランク。そのロードを、全く寄せ付ける事なく倒した武蔵の強さは尋常じゃないわ。武蔵は強者だけを求めている。武蔵を利用して白金龍を討つ」
「しかし白金龍も打たれたなら、残る我々に目を向けるのでは?」
「いや、それは無いな。ここには彼の相手が出来る者は無いと知ったはず。興味も失せただろう」
武蔵は白金龍国に向かうはずだ。なので私達も兵を率いて、白金龍国へ向かう事にした。
辿り着くのが陸地では困難である為、空を飛んで行くのが常だ。そもそも龍は空を飛べるのだから、地面を歩いて来たりはしない。他種族間戦争に備える為に、こんな標高に城がある。
もっとも、神魔のほとんどが空を飛べるのだから、須弥山を登った時みたいに、地に足をつけて登らなければ辿り着けないとか縛りでも無ければ、大した難易度では無い。
「はぁ。格好つけて啖呵切ってやって来たけど、どうやって説得しようかしら?」
白龍の王城に来たが門番の姿は無く、人の気配をまるで感じ無い。
「変ですね?誰も居ないみたいだ」
「何だか胸騒ぎがするよ…」
私達は全力で走って王の間に向かった。すると、前から1人の男がゆっくりと歩いて来た。その男の姿は、まるで日本の侍の様に見えた。
「うっ、あ…」
近付かれると全身に冷や汗が出た。
(な、何なのコイツ…)
配下の者達が剣に手を添えたのを見て直ぐに制止した。敵対行動を取れば命は無いだろう。不死であるはずの私が、死の恐怖を感じた。
男は平然と歩いて間合いに入って来ると、私は全身が緊張で硬直し、金縛りにあったかの様に身動きが取れなくなった。その男はそのまま素通りしたので振り返り、なけなしの勇気を振り絞って名前を尋ねた。
「あ、貴方の名前は?」
「作州浪人・宮本武蔵」
男は此方に振り向かずに、そう名乗って立ち去った。
(えっ?宮本武蔵だって?)
何でこんな所に居る?とかツッコミどころ満載だったが玉座に急ぐと、無惨にも白龍王以下白龍族は全員、斬り殺されていた。私は力無くその場に座り込んだ。
白龍族が皆殺しにされた為に、大きく戦略の路線変更が必要となった。それにしても何故、宮本武蔵が居たのか気になった。黒龍国に戻って詳細を話すと、知っている者がいた。
「かの者は、神仙となる道を選ばずに、修羅の道を選び、強者と聞けば武者修行と称して決闘を申し込むのです。かの者に討たれた者は数知れず、未だ無敗を誇っておりまする」
「修羅の道?」
「はい、阿修羅王をご存知でしょう?阿修羅族の住む世界は修羅の国。戦いが永遠に止む事の無い世界で御座います。かの者はそこで修行をしておりまする」
宮本武蔵…テンダラース(S10)ランクを超えてるんじゃないのか?とても勝てる気がしなかった。
城内が騒がしく、何事かと尋ねると何者かが攻めて来たと言うので、応戦する為に走った。
「あれは宮本武蔵…」
武蔵は真っ直ぐ玉座を目指して歩いている。立ち塞がった黒龍族を切り捨てながら進んでいた。
「くそっ、好き勝手させるか!」
魔王ロードが立ち塞がると、初めて武蔵が構えて見せた。二天一流…宮本武蔵だけの唯一無二の剣技だ。両刀にすれば相手よりも1本剣が多い為に有利だ、と言う単純明快な論理だが、それを実現するには片手で相手の両手の腕力を受け支えねばならず、握力、手首、腕力を鍛える為に百姓の真似事まで行って鍛えた。
剣帝の剣技を繰り出して武蔵と切り結んだが、刃を交える事なく一刀両断で、構えた腕ごと胴体を輪切りにされて絶命した。
「ロード!」
私は駆け寄ると、武蔵の前で両手を広げて立ち塞がった。
「そこを退け、女。邪魔をするなら斬る!」
「ここに貴方の修行相手となる者はいない。誰も貴方には勝てない。だが、貴方にも手こずるかも知れない相手がいる」
「誰だ?」
「白金龍よ」
「白金龍か…聞いた事はある。なるほどな」
そう一言呟くと、武蔵は去って行った。
『死者蘇生』
ロードや他の死者を生き返らせた。
「今やロードもオクタス(S8)ランク。そのロードを、全く寄せ付ける事なく倒した武蔵の強さは尋常じゃないわ。武蔵は強者だけを求めている。武蔵を利用して白金龍を討つ」
「しかし白金龍も打たれたなら、残る我々に目を向けるのでは?」
「いや、それは無いな。ここには彼の相手が出来る者は無いと知ったはず。興味も失せただろう」
武蔵は白金龍国に向かうはずだ。なので私達も兵を率いて、白金龍国へ向かう事にした。
10
お気に入りに追加
276
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる