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【第8部〜龍戦争〜】

第9話 新たなる脅威

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「ご満足頂けましたかな?」
 黒龍族が現れた。私とルシエラがキッカケとしても、皆んながHし出すなんて異常だと思っていたが、なるほどそう言う事だった。媚薬が含まれた香が焚かれている。私は状態異常無効だから、私は自分の意思でルシエラとしちゃったのだけど…。
 衣服を整えるとバツが悪くなり、皆んな無言で黒龍国を目指した。私がいなくなった後、何があったのかルシエラが話してくれた。
 黒龍王と白龍王はほとんど互角で、お互いに傷付き痛み分けとなり、白龍族は撤退したそうだ。神魔達は、赤龍族が黒龍族に降った為に、そのまま黒龍族と同盟交渉に入っていたが、皇帝ホワンディである私が不在だったので、交渉は難航していたそうだ。
阿籍ア・ジーは、どうなったの?」
「1軍を率いて去りました。皇上ホワンシャンを探しに行ったのでしょう」
 ロードが答えてくれた。ロードもまた、「絶世の美女」の称号持ちで、いわゆる金髪美女だ。ルシエラとはまた違った美しさがある。
 ロードの父は、剣帝と謳われた神々の剣術指南役で、人望が高いカリスマだったが、天帝・帝釈天インドラに嵌められて無実の罪で処刑され、まだ赤子だったロードと母は魔界に流刑された。母はロードに剣帝の剣技を引き継がせ、復讐を誓わせて息を引き取った。
 私が魔界を統一するのに最も貢献した、まさに右腕的存在だ。彼女は男性に嫌悪感をいだき、女性しか愛せない。つまり、私が最初に女性とイチャイチャしたのはロードで、女性とも愛し合う悦びを教えてくれた相手だ。彼女の妹分的存在の魔王クラスタとロード、ルシエラの3人で4Pをした事もある。

 美女の話題になったのでついでに言うと、神々には美女が多い。戦いの女神アテナも、「絶世の美女」の称号持ちだ。しかし自分以外の者が美しい、綺麗だと言われる事に過剰に反応し、その嫉妬心は常軌を逸している。かつてゴルゴン三姉妹の末っ子のメデューサが、人々からアテナよりも美しいと言われたのに嫉妬して、醜い蛇の怪物に姿を変えてしまった。これに抗議した他の姉2人も、怪物の姿に変えられてしまった。この自分の悪業が、父ゼウスにバレそうになった為に殺して口封じを計画、タイミングよく、囚われたアンドロメダ姫を助けようとしていたゼウスと人間の娘とのハーフであるペルセウスに、メデューサを殺してその首を盾にはめ、その魔力で石に変えればアンドロメダ姫を助ける事が出来るとささやき、自らの手を汚す事なくメデューサを始末した陰湿な女だ。メデューサを殺したかった1番の理由は、自分が密かに恋心をいだいていた叔父のポセイドンをメデューサが誘惑し、よりにもよってアテナ神殿で見せ付ける様に2人がHしたからだ。メデューサをペルセウスが斬って産まれたペガサスは、ポセイドンとメデューサの子供だ。これはポセイドンが馬の神であった事にも由来する。
 更に美の女神アプロディーテは、世界に自分よりも美しい者など存在しないと本気で思っており、多くの男達をたらし込んで、11人もの夫の子を産んでいる。その多くは妻帯者だった。人の夫を掠奪するのが趣味で、帝釈天インドラは人妻を寝とるのが趣味だったが、それと同様の悪趣味女だ。他の「絶世の美女」の称号持ちに対しても、自分の方が美しいと思っていて、他の女を見下している。私も軽蔑した眼差しを送られた事がある、嫌な女だ。

阿籍ア・ジーが私を探しているのは本当だろうけど、私をさらって囲むのが目的かも知れない…」
 私が宿敵の劉邦に嫁ごうとしてみたり、黒龍に奪われそうになったり、阿籍ア・ジーには我慢の限界に違いない。
 黒龍王は、白龍王の咆哮ブレスによって半身が麻痺して動けないでいた。
「これだけいるのに、この程度も誰も治せないの?」
「……」
「治せるものならやって見ろ?って顔してるわね?ただの氷のブレスじゃなくて、呪いの類でしょう?見れば分かるわよ…」
「…」
「治すには3つ条件がある。1つ、同盟締結する事。2つ、私には黒龍王以下、婚姻を含めて手を出さない事。3つ…また考えておくわ。この条件を飲むなら直ぐに治してあげる」
「…良いだろう。だが、それだけ大口を叩いたのだ。出来なかったでは済まされない。お前を含めて神魔は全て黒龍族の奴隷となれ!」
「良いわよ」
完全回復パーフェクトヒール
 黒龍王に手をかざして呪文を唱えると、一瞬で黒龍王の身体の麻痺は治った。
「信じられん…こんなに容易たやすく治してみせるとは…」
「約束は守ってよね?さもないと、今のよりひどい呪いにかけるわよ?」
 黒龍達は、完全に私にビビった。ふふん、勝ったと思った。何故なら、人を呪う呪文など無いからだ。ハッタリが効いている。私が黒龍王の近くから離れて、ルシエラの近くに移動すると、黒龍族が道を開けた。
「あははは、そんなに緊張する必要は無いでしょう?同盟締結を認めたんだから、もう我らは兄弟でしょう?」
 黒龍族達は少し落ち着いて、「うたげだ!」と叫んだ。そのまま宴会となり、酒を酌み交わした。
「ははは、婚姻の申込は断られたが、それなら義姉弟ぎきょうだいの契りを結んでくれないか?」
「喜んで」
 お互いに注いだ酒に血を垂らし、腕をクロスし合い、盃を口に付けて酒を飲んだ。これで誓いの儀式は終わりである。
 龍の世界の勢力図が大きく変化した。黒龍の傘下に赤龍が入り、白龍と青龍が同盟を結んで対抗して来たそうだ。青龍は、緑龍と義兄弟だから、緑龍も白龍側と言う事になる。青龍が赤龍と仲が悪かったのが原因だ。
 そうなると金龍を取り入れたい所だが、白金龍、金龍、銀龍らが同盟を結んでおり、第三勢力として猛威を奮っていた。白金龍の勢力は、黒龍と白龍を上回っており、本来なら黒龍と白龍が手を携えなければならない相手だ。
「白金龍?そんなヤバい相手なの?」
「分かりやすく人間界の構図で申しますと、アメリカと中国が手を結んでいる様なものです。攻められたらひとたまりも無いでしょう?残った国々が協力して当たらなければ、各個撃破されて行くだけです。最後に残るのは白金龍国側と言う事になります」
「そうなると、白龍国と同盟を結ぶ必要があるのね?」
「はい。しかし、戦争したばかりです。どうやって、それに誰に説得させるのか悩みは尽きません」
「龍達も、神魔の力は取り込みたいはずだ。私が行こう」
「なりません陛下ビーシャア。もしもの事があれば…」
「不死の私に、もしも何てあるはずが無いじゃないの?」
 私は数人の共を連れて、白龍国へと向かった。
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