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【第8部〜龍戦争〜】
第6話 奪われた花嫁
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黒龍王と阿籍の一騎討ちに見惚れていると、背後から羽交締めにされた。
「えっ?嘘っ…黒龍王が2人!?」
後ろに目をやると、今戦っているはずの黒龍王がいた。
「ははは、よく似ているだろう?何せ双子だからな…ははははは。俺が本物の黒龍王よ!」
阿籍が、こちらに気を取られた一瞬の隙を突いて、胴を薙ぎ払われた。
「ぐうっ」
項羽は、斬られて地上に落下した。その衝撃で足下の床が揺れてバランスを崩した。
「目的は達した。帰るぞ!」
本物の黒龍王は、私を抱え上げると飛んで立ち去ろうとした。
阿籍を回復しようと、『上級回復』を唱えている途中で口を塞がれた。
「中々の強さで厄介だからな、回復されては困る。安心しろ、死にはしない。随分必死にお前を守ろうとしていたが、何者だ?」
「私の元夫よ…」
「何?元亭主が元妻の再婚の結婚式に参加していたのか?信じられんな」
「私を連れて逃げる為に参加していたのよ」
「ふははは、なるほど。中々根性ある奴じゃねぇか?嫌いじゃねぇぜ、そう言う奴は」
黒龍王は上空に上がると、龍の姿となった。私は手で握られて捕まっているので、逃げられそうに無い。
攫われたのが私である為、神魔達も取り戻そうと黒龍軍に立ち向かった。
「ふははは、今更もう遅いわ」
『龍穴亜空間扉』
空に現れた異空間の穴に、黒龍達は次々と吸い込まれて消えた。
「しまった。取り逃がしたか…」
「大丈夫よ。妹の位置は把握しているわ」
ベルゼブブが、ルシフェルに答えた。
ベルゼブブとバエルが1つになると、バアルと言う唯一神の長男となる。つまりアナトである瑞稀の実の兄だ。アナトには3人の兄がおり、妹が余りにも美しかった為に、兄弟で殺し合いを始めて奪い合い、最終的にバアルがアナトを妻にした。神々には近親相姦の概念が無い為に、この様な事が起こった。母子相姦、父子相姦も許され、唯一認められていないのが、同性相姦だ。同性が相手では子を成せないと言うのが理由だ。
これもあって、西洋では盛んに従兄妹同士の婚姻が行われた。家柄を重んじる為に、釣り合う家柄と婚姻していた為だ。これは東洋にも当てはまる。
ちなみに日本でも異母兄妹であれば、Hしても近親相姦とは見做されなかった。その為、織田信長は美しい妹のお市を抱いていた。
更に余談を踏み込むと、昔の日本人の性はゆるゆるで、混浴は当たり前だし、妻が寝ている隣で囲っている愛人を平然と抱いていた。勿論、妻は嫉妬で怒り狂って夜中でも外で大声で怒鳴り合い、長屋に住んでいるから、近所とは壁一枚で繋がっている。夫が出かけている間に隣の旦那と浮気Hするなんて事は日常茶飯事で、人気のある旦那だと、長屋に住んでいる子供の顔が、皆似ているなんて事もあったほどだ。
この時代、15歳で元服(成人)する世の中だ。女は12歳~14歳で結婚し、子供を産むのが普通だった。だから、5歳や7歳の娼婦も普通にいた。と言っても親の無い、乞食同然の生活をしていた為に、食べる日銭を稼いで、生きる為に仕方なく行っていたのだ。
話が脱線したが、ルシフェルは、かつては大魔王ルシファーだった。大天使ミカエルは旧約聖書に書かれている通り、ルシフェルの双子の実の妹だ。ルシフェルとミカエルもまた、深く愛し合っていた。
ルシフェルがアーシャに目配せをすると、空間魔法を唱えて神魔軍もそれに続いた。赤龍帝・劉邦を討ち取られた怒りで、赤龍軍も異空間に飛び込んだ。
実際、赤龍帝を殺したのは項羽だが、彼らは知らない。黒龍王が殺したと思っている為、その敵討ちで戦意は向上していた。
黒龍王の国は龍が住む世界にある。龍達は仲が良い訳ではなく、力こそが全ての世界である為、チャンスを虎視眈々と狙っていた。黒龍は隣国の赤龍王が、人間界に行って不在と聞いて、攻め込む千載一遇のチャンスだと思った。赤龍王は討たれ、赤龍国を併呑した。
これを脅威に思った黒龍国のライバル国である白龍国は、黒龍軍がまだ赤龍国から戻らないうちに攻め込んだのだ。
私が黒龍王に連れ去られて黒龍国に来ると、白龍国に攻められて防戦している真っ只中だった。
「クソっ、白龍の奴め!」
黒龍達は白龍目掛けて飛行し、咆哮を吐く。さながら戦闘機同士の空撃の様だ。
白龍の咆哮によって、羽を凍らされた黒龍が地上に落ちて行くのが見えた。黒龍王の帰還に気付いた白龍達が、討ち取ろうと群がって来た。
黒龍王の身体が青白く光って、雷の咆哮を吐いた。手に握られている私も巻き添えを食らったが、身体状態異常無効スキルのお陰で、感電は免れている。
「もう、髪の毛がチリチリじゃないの」
しっかりと握られていて、私は身動きが出来ないでいた。
龍達は堅い鱗に守られているが、龍の攻撃には貫通効果がある為に、その高い守備力を発揮するのは他種族に対してのみだ。
「振り落とされるなよ?」
黒龍王は錐揉み旋回しながら上空へ飛翔すると、一際大きい白龍が現れた。
「久しいな、白龍王!」
「非道なる黒龍王。貴方の横暴はこれまでです!」
言葉使いと声からして、白龍王は女性らしい。龍の姿だから、パッと見の外見では性別が分からない。
ほぼ同時に咆哮を吐くと、2匹とも吹き飛んだ。その時、白龍王の尾が私を握っている手に当たり、私は肋骨や肋骨と両腕と腰の骨が砕けて落下した。
「しまった」
意識を失って落下する私を黒龍王は掴もうとしたが、白龍王に邪魔をされ、見失った。
「えっ?嘘っ…黒龍王が2人!?」
後ろに目をやると、今戦っているはずの黒龍王がいた。
「ははは、よく似ているだろう?何せ双子だからな…ははははは。俺が本物の黒龍王よ!」
阿籍が、こちらに気を取られた一瞬の隙を突いて、胴を薙ぎ払われた。
「ぐうっ」
項羽は、斬られて地上に落下した。その衝撃で足下の床が揺れてバランスを崩した。
「目的は達した。帰るぞ!」
本物の黒龍王は、私を抱え上げると飛んで立ち去ろうとした。
阿籍を回復しようと、『上級回復』を唱えている途中で口を塞がれた。
「中々の強さで厄介だからな、回復されては困る。安心しろ、死にはしない。随分必死にお前を守ろうとしていたが、何者だ?」
「私の元夫よ…」
「何?元亭主が元妻の再婚の結婚式に参加していたのか?信じられんな」
「私を連れて逃げる為に参加していたのよ」
「ふははは、なるほど。中々根性ある奴じゃねぇか?嫌いじゃねぇぜ、そう言う奴は」
黒龍王は上空に上がると、龍の姿となった。私は手で握られて捕まっているので、逃げられそうに無い。
攫われたのが私である為、神魔達も取り戻そうと黒龍軍に立ち向かった。
「ふははは、今更もう遅いわ」
『龍穴亜空間扉』
空に現れた異空間の穴に、黒龍達は次々と吸い込まれて消えた。
「しまった。取り逃がしたか…」
「大丈夫よ。妹の位置は把握しているわ」
ベルゼブブが、ルシフェルに答えた。
ベルゼブブとバエルが1つになると、バアルと言う唯一神の長男となる。つまりアナトである瑞稀の実の兄だ。アナトには3人の兄がおり、妹が余りにも美しかった為に、兄弟で殺し合いを始めて奪い合い、最終的にバアルがアナトを妻にした。神々には近親相姦の概念が無い為に、この様な事が起こった。母子相姦、父子相姦も許され、唯一認められていないのが、同性相姦だ。同性が相手では子を成せないと言うのが理由だ。
これもあって、西洋では盛んに従兄妹同士の婚姻が行われた。家柄を重んじる為に、釣り合う家柄と婚姻していた為だ。これは東洋にも当てはまる。
ちなみに日本でも異母兄妹であれば、Hしても近親相姦とは見做されなかった。その為、織田信長は美しい妹のお市を抱いていた。
更に余談を踏み込むと、昔の日本人の性はゆるゆるで、混浴は当たり前だし、妻が寝ている隣で囲っている愛人を平然と抱いていた。勿論、妻は嫉妬で怒り狂って夜中でも外で大声で怒鳴り合い、長屋に住んでいるから、近所とは壁一枚で繋がっている。夫が出かけている間に隣の旦那と浮気Hするなんて事は日常茶飯事で、人気のある旦那だと、長屋に住んでいる子供の顔が、皆似ているなんて事もあったほどだ。
この時代、15歳で元服(成人)する世の中だ。女は12歳~14歳で結婚し、子供を産むのが普通だった。だから、5歳や7歳の娼婦も普通にいた。と言っても親の無い、乞食同然の生活をしていた為に、食べる日銭を稼いで、生きる為に仕方なく行っていたのだ。
話が脱線したが、ルシフェルは、かつては大魔王ルシファーだった。大天使ミカエルは旧約聖書に書かれている通り、ルシフェルの双子の実の妹だ。ルシフェルとミカエルもまた、深く愛し合っていた。
ルシフェルがアーシャに目配せをすると、空間魔法を唱えて神魔軍もそれに続いた。赤龍帝・劉邦を討ち取られた怒りで、赤龍軍も異空間に飛び込んだ。
実際、赤龍帝を殺したのは項羽だが、彼らは知らない。黒龍王が殺したと思っている為、その敵討ちで戦意は向上していた。
黒龍王の国は龍が住む世界にある。龍達は仲が良い訳ではなく、力こそが全ての世界である為、チャンスを虎視眈々と狙っていた。黒龍は隣国の赤龍王が、人間界に行って不在と聞いて、攻め込む千載一遇のチャンスだと思った。赤龍王は討たれ、赤龍国を併呑した。
これを脅威に思った黒龍国のライバル国である白龍国は、黒龍軍がまだ赤龍国から戻らないうちに攻め込んだのだ。
私が黒龍王に連れ去られて黒龍国に来ると、白龍国に攻められて防戦している真っ只中だった。
「クソっ、白龍の奴め!」
黒龍達は白龍目掛けて飛行し、咆哮を吐く。さながら戦闘機同士の空撃の様だ。
白龍の咆哮によって、羽を凍らされた黒龍が地上に落ちて行くのが見えた。黒龍王の帰還に気付いた白龍達が、討ち取ろうと群がって来た。
黒龍王の身体が青白く光って、雷の咆哮を吐いた。手に握られている私も巻き添えを食らったが、身体状態異常無効スキルのお陰で、感電は免れている。
「もう、髪の毛がチリチリじゃないの」
しっかりと握られていて、私は身動きが出来ないでいた。
龍達は堅い鱗に守られているが、龍の攻撃には貫通効果がある為に、その高い守備力を発揮するのは他種族に対してのみだ。
「振り落とされるなよ?」
黒龍王は錐揉み旋回しながら上空へ飛翔すると、一際大きい白龍が現れた。
「久しいな、白龍王!」
「非道なる黒龍王。貴方の横暴はこれまでです!」
言葉使いと声からして、白龍王は女性らしい。龍の姿だから、パッと見の外見では性別が分からない。
ほぼ同時に咆哮を吐くと、2匹とも吹き飛んだ。その時、白龍王の尾が私を握っている手に当たり、私は肋骨や肋骨と両腕と腰の骨が砕けて落下した。
「しまった」
意識を失って落下する私を黒龍王は掴もうとしたが、白龍王に邪魔をされ、見失った。
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