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【第8部〜龍戦争〜】
第1話 赤龍の復活
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その日、皆既日食が起こり、世界は暗闇に包まれた。雷雲が天を包み込むと、雨の様に雷が地表へと降り注いだ。落雷によって各地で山火事が起こった。
それとほぼ同時に大地は揺れ、各地で震度7の大地震が起こり、沿岸部は津波によって飲み込まれた。人間が作り出した科学と言う名の文明は、天に嘲笑われたかの様に、簡単に崩壊した。
天変地異によって、人間が苦労して築き上げた文明社会は滅んだのだ。
「おぉ、アレを見てみろ!」
「キャアァ、何なのアレ?」
「まさか…龍?」
「ド、ドラゴンだ!?」
それは想像上の幻獣でしか無かった龍の姿だった。それが数千、数万もの数が我が物顔で空を飛び、空の支配者は自分達であると誇示しているかの様だった。
混乱の中でも各国の軍隊は出動し、ドラゴンを撃墜しようとした。しかし、尾でミサイルを全て叩き落とされ、口から吹く炎によって逆に撃墜された。
災害の混乱の中、ドラゴン達は残った建物を徹底的に焼き払った。逃げきれなかった老人や女、子供は生きたまま焼け死んだ。これによって人類の人口は激減し、10分の1以下にまで減少した。
人類を殺し尽くすと、龍は初めて口を開いた。
「脆弱なる人間共よ、降伏か死か好きな方を選べ!」
既に世界は、軍隊どころか国家としても成り立てないほど破壊され、殺し尽くされていた。
「降伏したいのですが、国の代表なども既に居ません。どうやって降伏の意思を見せれば良いのでしょうか?」
龍は笑った。
「なるほど、それもそうだ。ではこうしよう。世界の中心は中国にある。我らは中国に龍帝国を築く。お前達人類は、奴隷として生かすつもりだ。死にたく無い者は中国を目指せ!そうすれば、降伏の意思を認めよう」
龍達は地上に降り立つと、人の姿となった。彼らは、龍人族と言うらしい。かつて中国にあった洛陽に、帝都を築き始めた。
都の名前は「雒陽」とされた。かつて「洛陽」は「雒陽」と呼ばれた前例があった。それは、漢代に火徳とする漢王朝によって「洛」字の水偏を避けて「雒陽」に改名された事があった。
龍達の親玉は、赤龍帝と呼ばれた。
「私…何処かで、あの赤龍帝の顔を見た事があるけど、思い出せない…」
いつ、何処で見たのか思い出せないが、激しい憎悪が湧いて来た所を見ると、私にとって良い相手では無かっただろう。
「瑞稀、乗り込むか?」
「ううん、もう少し様子を見ましょう、来夢」
切り立った険しい崖の上から、雒陽の都を見下ろしながら言った。
龍人族は、人の姿の状態でも人間などとは比べ物にならないほど強かった。時々、奴隷として重労働に耐えられない者が徒党を組んで反抗したか、1匹にでさえ手も足も出ずに、縊り殺された。
「ほう?美しいな、貴様の妻か?」
夫の目の前で妻を凌辱し始めると、妻の夫は助ける為に抵抗したが、手足を引きちぎられて地面に転がされた。出血によって生き絶えるまでの時間、妻が泣き叫び犯される姿を見せられた。
美しい娘は全て赤龍帝に進呈され、毎晩の様に犯された。残った女達は、他の龍達で分け合い弄んだ。
「やれやれ男って、人間も龍人もゲスねぇ?頭の中は交尾する事しか考えて無いのかしら?」
「何だ?」
「おっ!?すっげぇ美女じゃねぇか!まだ残ってたのかよ。まぁ残ってるなら、俺らの物で良いよな?」
舌舐めずりしながら、龍人の男は近寄って来た。人間より遥かに力の強い彼らは、人間を下等生物と見下して、油断たっぷりだ。
「練気剣!」
斬ったが、表皮の薄皮一枚が斬れただけだった。
「痛ってぇなぁ!」
「ふぅ、ドラゴンの鱗は硬いと聞いていたけど、これ程とはね?」
練った気が全身を包み込んだ。
「練気剣!」
龍人の左肩から右腰に掛けて、斬り下げて真っ二つにした。その様子を見て、龍人が集まって来た。
「練気剣!」
渾身の気を練って叩き斬る。
「はぁ、はぁ、はぁ…。これじゃ直ぐに力尽きるわ…はぁ、はぁ…」
龍の鱗は硬く、全力攻撃で無ければ倒す事が出来なかった。1対1になる様に周囲の敵に気を配る。複数相手では、連撃が出来ない為に勝てそうに無い。
「危ない!」
正面から2人同時に向かって来たのに対応すると、横からもう1人が襲って来た。来夢が間に入って庇ってくれなければ、やられていた。
「不定形生物ごときがぁ!」
抵抗してもがいたが、そのまま来夢に取り込まれながら消化して行く。
「ギャアァァァ、助けてくれぇ!」
「まさかコイツ、古之不定形生物か?」
ドラゴン達は間合いを取ると、呪文を唱えた。龍語である為、発音が聞き取れない。
『……』
来夢の身体が、一瞬で凍り付いて行く。私は瞬時の判断で、来夢の核を抜いて呪文を唱えた。
『影の部屋』
影の中に沈む様に入って、逃げ込んだ。影の世界で来夢は、元の姿に戻った。
「手強いな」
「そうだね、2人だけじゃ厳しいね」
「ゲートを開くか?」
瑞稀の前世は、アナトと言う唯一神の娘だ。天道神君として、天界と魔界を統べる統括者である為、神も魔族も瑞稀の命令には従う。
龍は強い。かつて悪魔王を7つ首の龍に例えられた事もある。龍の強さは神に近いとされ、神々よりも下と見做されているが、実は違う。
神、魔族、龍、巨人が世界を分けて統治している。かつて巨人族が神々に敵対した時、天界は滅亡寸前まで追い詰められた事がある。龍は巨人族に匹敵する力を持つ。
その龍が人類に牙を剥いたと言う事は、人類を管理する神々への敵対行為と言う事だ。神は人類を見殺しには出来ない。それであれば、龍との戦争は避けられないものとなる。
奇しくも瑞稀自ら龍帝国に攻め込んで、開戦してしまった。
「龍戦争」は、こうして幕開けたのである。
それとほぼ同時に大地は揺れ、各地で震度7の大地震が起こり、沿岸部は津波によって飲み込まれた。人間が作り出した科学と言う名の文明は、天に嘲笑われたかの様に、簡単に崩壊した。
天変地異によって、人間が苦労して築き上げた文明社会は滅んだのだ。
「おぉ、アレを見てみろ!」
「キャアァ、何なのアレ?」
「まさか…龍?」
「ド、ドラゴンだ!?」
それは想像上の幻獣でしか無かった龍の姿だった。それが数千、数万もの数が我が物顔で空を飛び、空の支配者は自分達であると誇示しているかの様だった。
混乱の中でも各国の軍隊は出動し、ドラゴンを撃墜しようとした。しかし、尾でミサイルを全て叩き落とされ、口から吹く炎によって逆に撃墜された。
災害の混乱の中、ドラゴン達は残った建物を徹底的に焼き払った。逃げきれなかった老人や女、子供は生きたまま焼け死んだ。これによって人類の人口は激減し、10分の1以下にまで減少した。
人類を殺し尽くすと、龍は初めて口を開いた。
「脆弱なる人間共よ、降伏か死か好きな方を選べ!」
既に世界は、軍隊どころか国家としても成り立てないほど破壊され、殺し尽くされていた。
「降伏したいのですが、国の代表なども既に居ません。どうやって降伏の意思を見せれば良いのでしょうか?」
龍は笑った。
「なるほど、それもそうだ。ではこうしよう。世界の中心は中国にある。我らは中国に龍帝国を築く。お前達人類は、奴隷として生かすつもりだ。死にたく無い者は中国を目指せ!そうすれば、降伏の意思を認めよう」
龍達は地上に降り立つと、人の姿となった。彼らは、龍人族と言うらしい。かつて中国にあった洛陽に、帝都を築き始めた。
都の名前は「雒陽」とされた。かつて「洛陽」は「雒陽」と呼ばれた前例があった。それは、漢代に火徳とする漢王朝によって「洛」字の水偏を避けて「雒陽」に改名された事があった。
龍達の親玉は、赤龍帝と呼ばれた。
「私…何処かで、あの赤龍帝の顔を見た事があるけど、思い出せない…」
いつ、何処で見たのか思い出せないが、激しい憎悪が湧いて来た所を見ると、私にとって良い相手では無かっただろう。
「瑞稀、乗り込むか?」
「ううん、もう少し様子を見ましょう、来夢」
切り立った険しい崖の上から、雒陽の都を見下ろしながら言った。
龍人族は、人の姿の状態でも人間などとは比べ物にならないほど強かった。時々、奴隷として重労働に耐えられない者が徒党を組んで反抗したか、1匹にでさえ手も足も出ずに、縊り殺された。
「ほう?美しいな、貴様の妻か?」
夫の目の前で妻を凌辱し始めると、妻の夫は助ける為に抵抗したが、手足を引きちぎられて地面に転がされた。出血によって生き絶えるまでの時間、妻が泣き叫び犯される姿を見せられた。
美しい娘は全て赤龍帝に進呈され、毎晩の様に犯された。残った女達は、他の龍達で分け合い弄んだ。
「やれやれ男って、人間も龍人もゲスねぇ?頭の中は交尾する事しか考えて無いのかしら?」
「何だ?」
「おっ!?すっげぇ美女じゃねぇか!まだ残ってたのかよ。まぁ残ってるなら、俺らの物で良いよな?」
舌舐めずりしながら、龍人の男は近寄って来た。人間より遥かに力の強い彼らは、人間を下等生物と見下して、油断たっぷりだ。
「練気剣!」
斬ったが、表皮の薄皮一枚が斬れただけだった。
「痛ってぇなぁ!」
「ふぅ、ドラゴンの鱗は硬いと聞いていたけど、これ程とはね?」
練った気が全身を包み込んだ。
「練気剣!」
龍人の左肩から右腰に掛けて、斬り下げて真っ二つにした。その様子を見て、龍人が集まって来た。
「練気剣!」
渾身の気を練って叩き斬る。
「はぁ、はぁ、はぁ…。これじゃ直ぐに力尽きるわ…はぁ、はぁ…」
龍の鱗は硬く、全力攻撃で無ければ倒す事が出来なかった。1対1になる様に周囲の敵に気を配る。複数相手では、連撃が出来ない為に勝てそうに無い。
「危ない!」
正面から2人同時に向かって来たのに対応すると、横からもう1人が襲って来た。来夢が間に入って庇ってくれなければ、やられていた。
「不定形生物ごときがぁ!」
抵抗してもがいたが、そのまま来夢に取り込まれながら消化して行く。
「ギャアァァァ、助けてくれぇ!」
「まさかコイツ、古之不定形生物か?」
ドラゴン達は間合いを取ると、呪文を唱えた。龍語である為、発音が聞き取れない。
『……』
来夢の身体が、一瞬で凍り付いて行く。私は瞬時の判断で、来夢の核を抜いて呪文を唱えた。
『影の部屋』
影の中に沈む様に入って、逃げ込んだ。影の世界で来夢は、元の姿に戻った。
「手強いな」
「そうだね、2人だけじゃ厳しいね」
「ゲートを開くか?」
瑞稀の前世は、アナトと言う唯一神の娘だ。天道神君として、天界と魔界を統べる統括者である為、神も魔族も瑞稀の命令には従う。
龍は強い。かつて悪魔王を7つ首の龍に例えられた事もある。龍の強さは神に近いとされ、神々よりも下と見做されているが、実は違う。
神、魔族、龍、巨人が世界を分けて統治している。かつて巨人族が神々に敵対した時、天界は滅亡寸前まで追い詰められた事がある。龍は巨人族に匹敵する力を持つ。
その龍が人類に牙を剥いたと言う事は、人類を管理する神々への敵対行為と言う事だ。神は人類を見殺しには出来ない。それであれば、龍との戦争は避けられないものとなる。
奇しくも瑞稀自ら龍帝国に攻め込んで、開戦してしまった。
「龍戦争」は、こうして幕開けたのである。
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