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【第7部〜虞美人編〜】

第1話 運命の出会い

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 これは俺が、青山(神崎)瑞稀として生まれ変わるおよそ2700年ほど前の話だ。
 俺がその夫婦に拾われたのは、まだ物心が付く前だった。その日は近くで、秦軍と趙軍の大きな戦争があったとかで、村は焼かれ男達は殺され女達は犯された。軍が去った後も野党が現れ、遺体から衣服を剥ぎ取り、金目になりそうな物を盗っていった。そして、既に冷たくなっている女達を死姦した。
 そんな中にポツンと幼子の俺は1人、取り残されていたみたいだ。俺は偶然に通りかかった、虞家に拾われた。虞家は村1番の長者だったので、俺は養子として何不自由なく暮らし、こんな時代であるから必然的に幼い頃から剣を倣い、書を読みふけて、兵法を学んだ。
 義父は虞一公と言い、俺を虞子期と名付けた。剣の腕は日に日に上達し、近隣に於いては俺に敵う者は居なくなり、江湖では武名を知られる様になった。
 江湖とは、政府を指す言葉の官に対して、民間や一般を表す言葉だ。つまりこの場合、任官していない身としては、かなり腕が立つらしい、と噂されて知られていた。と言う感じになる。
 江湖に於いては、これが大変重要で、名前が知られていると、「あー、あなたがあの有名な?」と相手も一目置いて話を聞いてくれたり、勝手に慕われて味方になってくれたりするのだ。
 ある日、身体に違和感を感じると、全身に痛みを感じて床を転げ回った。
「うっ…うぅぅ…っ」
「阿期(親は子の名前を小や阿を付けて呼ぶ事が普通だ)、どうした…こ、これは…。お主は誰だ?」
「義父上、私です。子期です…うぅ…」
「何を言っておる?んっ?か、顔をよく見せてみよ!」
 俺は言われるがままに顔を向けた。
「おぉ…何と美しい娘じゃ…」
 そう言って口付けをすると、はだけた胸に手を滑り込ませて胸を揉んだ。
「義父上、何をなされますか?養子とは言え、息子ですぞ?」
「誰が息子だ?お主の姿を見てみよ。こんなに美しい娘を見たのは初めてじゃ」
 そのまま胸を揉まれながら、白くて形の良い乳房を吸われた。
「義父上…あぁ…うっ…、育ての恩をまだ返しておりませんでした…お望みでしたら…私を差し上げます…」
「ふふふ、良い女子おなごじゃ、良い女子おなごじゃ…ワシの妾にしてやろう…」
 義父に身体中を触られ、舌を這わされた。特に足は指一本ずつ、ゆっくりと時間をかけて舐められた。太腿を丁寧に舐めると、貝殻の様に閉じている女性器から露が漏れて来るのが見えた。その貝を両手の指で広げると、綺麗な薄桃色をしていた。
「まだ生娘じゃな?たまらんぞぃ」
 舌を這わせると、美しい娘は小刻みに震え、声を押し殺して感じているのが分かった。
「気持ち良いか?もっと良くしてやろう」
 まだ蕾に閉じていた敏感な突起を舌で転がす様に舐めた。そして溢れて来る露を、音を立てて啜った。
「うっ…ふぅ、あぁん…はぁ、はぁ…義父上…義父上…イっ…」
「イキそうか?そうか、そうか。その義父上と言うのはまた、背徳感を誘って、たまらんのぉ」
 虞一公は、足首を掴んで頬擦りをし、かかとを咥えて舌で回す様に舐めた。芳しい足の匂いを嗅いで光悦に浸ると、そそり勃ったモノを胸の膨らみに挟んで擦った。
「ふぅー、ふぅー、素晴らしい…玉のような肌とは良く言った物じゃ。これぞまさしく玉の肌よ…。美しい、美しい…」
 我慢が出来ず、そのまま胸で擦ったまま射精した。
「咥えてくれ」
 俺は義父上に言われるがままに、生まれて初めて口淫をした。射精を終えたばかりのモノは萎れていたが、舌を絡めて舐めながら吸うと、徐々に口の中で大きくなって来た。
「そうだ、もっとよく舌を使うんだ。そうそう、良い感じだ。もうって来たわぃ」
 さぁ今から挿入だ、と言う所で義母上が入って来た。
「アンタ!誰よ、その女!この、泥棒猫がぁ!手足へし折って、叩き出してやるわ!」
「待って、待って義母上!私です、子期です!」
「何言ってるの!アンタの何処が可愛い阿期なのよ?」
「だから、私がその阿期なんです…うっ…」
 再び全身に痛みを感じると、元の男の姿に戻った。
「な、なんと…阿期ではないか!?」
 義父と義母は顔を見合わせた。
「ワシは…ワシは、息子を抱こうとしておったのか…?」
 義父は俺に謝罪した。しかし、この日から女性になる回数が増え、次第にその時間も長くなっていった。

「あの子は普通じゃないわ」
「分かっとるわ。思い返すとあの子は、死体の山の中で1人生き残っておったのじゃ。それに、男の子おのこになったり女子おなごになったりするのじゃ。神仙のたぐいに違いない」
「このままここにおっても、手に負えないわ」
「良い考えがあるのじゃ。耳を貸せぃ」
 虞一公は妻にヒソヒソ話をした。

 数日後、品のある背の低い中年と、美丈夫がやって来た。
「此方の養子に、名うての豪傑が居ると聞いてな?わざわざ出向いて参ったのよ。さて、養子殿は何方どちらへ?」
「まぁ、まぁ、焦らずに。きっと良い返事をしましょう。様子見て参りますので、此方でお待ち下さい」
 虞一公は奥へと引っ込んだ。
「叔父上、本当にこんな農村に豪傑が住んでいるのか?」
「ああ、間違いない。味方となれば、きっとお主の右腕となるじゃろう」
 しかし待てども一向に来る気配がない。
「我らを馬鹿にしているのか?」
 短気な美丈夫は、勝手に奥に入って行った。
「阿籍よ!全く…、相変わらず礼儀がなっとらんわぃ」

「何て格好をしておる。今日は、子期の武勇のお披露目じゃと言うたじゃろう?」
「だって、自分の意思でなった訳ではないので、どうしようもありません」
 そこに阿籍と呼ばれた美丈夫が現れた。
「おぉ…おっ…!?」
 女性の姿となった子期を見た美丈夫は、そのまま固まった様に動かなくなった。
「あ、貴方様は?」
 突然に現れた美丈夫の身なりが余りにも良い為、何処かの将軍だと思って聞いた。
「それがしの名は、姓は項、名は籍、字は羽と申します。貴女の名前は?」
「私は虞子…」
 虞子期と言おうとして、虞一公が慌てて言葉を遮った。
「あははは!この娘はワシの娘で、虞美と申します。全く弟の子期は、何処に行ったのやら…あははは…」
 虞一公は、取り繕って笑った。
「義父上!ど、どうするんですか?」
「死にたいのか?この方々は楚の将軍じゃぞ。口裏を合わせんか!」
 ヒソヒソと小声で話す2人に、項羽は少しイラッとした。しかし美しい娘に見惚れて、目が離せないでいた。
「弟君がいない?我らは、その為に来たのだぞ?我らを愚弄しているのか!?」
「あっ…いえ…そう言う訳では…。じ、実は本日お越し頂きましたのは、この娘、虞美を将軍の妻にして頂きたく、お呼び致した次第でございます」
 助かりたい一心で、とんでもない事を口走った。おい、待てよ。この俺を、この男に嫁がせるだと?確かに婚姻は親が決めるものだ。しかし男の俺に、男に嫁げだと?正気か?
「どうした阿籍、お主の返事は?」
「あっ…あぁ…今日は、突然の出来事で支度が出来ておりません。後日必ず迎えに来るので、それまで待っていてくれ。これが誓いの品だ」
 そう言うと項羽は、家宝である宝剣を震える手で手渡した。金銀宝石が埋め込まれた、見るからに高価な短剣だ。それを仮の持参金として、置いて帰った。
「ふふふ、あの若将軍、えらく阿期を気に入っておったな?これでもう後には引けんぞ?バレたら虞家は終わりじゃ。阿期、お主も覚悟を決めぇ」
 本当にこの俺が、男なんかに嫁ぐのか?と思い、愕然とした。
「待てよ?ちょいとあの男を脅せば、諦めるんじゃないのか?俺だって江湖では、ちょっとは名の知れた好漢だ。今に見てろよ」
 子期は、女性の姿から男性に戻り、項羽の後を追った。
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