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【第6部〜アイドル編〜】
第31話
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「気が付いた?瑞稀」
「来夢…痛っ!」
お腹に痛みを感じて手で押さえた。
「あなたが回復しないなんて、何があったの?」
私は来夢に一部始終を話した。
「…やっぱりアレは、あなたの娘なんかじゃないわね?別の何か…。でも中に何かが入っているとか、そう言うのではないと思うわ」
「娘じゃない?そんな訳ない。だってあの子は、流れた子の遺体から蘇生したのよ」
「死者蘇生は光魔法よね?でもあなたが、あの子を蘇生するのに使ったのは闇魔法なのよ。そう言う事よ」
「何がそう言う事なの?はっきり言って!」
「アレは、あなた自身よ。あなたの心の負を抱えて誕生した、闇の瑞稀よ」
確かに思いあたる事がある。
「あの子は空を飛んだわ。能力は遺伝なんてしない。本当に…そうなの?」
疑問は、確かな疑惑へと変わった。同じ闇魔法の黄泉還反魂でも、あの子は生き返らなかった。闇の禁呪はもしかすると、外側だけそのままで、中身は自分の悪意、闇の心を持ったもう1人の自分として、蘇生する魔法だったのかも知れない。禁呪に関する事は何も書かれておらず、「死者蘇生などで生き返らない者を生き返らせる」とだけ書かれており、それに賭けたのだ。
「まさかこんな事になるなんて…」
「マズいわね。今の仮定が本当だとすると、あなたと同じ能力が使えるの。あの子も不老不死で身体状態異常無効のパッシブを持っているなら、私でも倒せない事になる」
でも本当にそうなのかしら?信じたくない自分がいた。あの子はただ、反抗期だけなのかも知れない。そう思いたい自分がいた。
「もしも本当にあなたの闇の心が生んだ正体なら、ルシファーやサタンなど、遥かに凌駕する魔王が誕生した事になるのよ?」
しかしそれから麻里奈と綾瀬の消息は途絶え、何処で何をしているのか分からなくなった。そして5年の月日が流れた。
「あの子がもう1人のあなたなら、綾瀬に執着するのも納得ね?今頃、ずっと子作りしているのかも知れないわね?」
そんな事は考えたくない。絶対しているに決まっているが、現実的から嫌な事には目を背けたくなる。
ちょうどこの頃、かつて瑞稀を女神と崇めた信仰宗教「癒しの女神」が台頭し、世間を賑わせていた。
「宗教もいい加減なものだな?瑞稀を崇めていたかと思えば、今は違う女神を崇めているそうじゃないか?」
男性の姿となった来夢に、私は愛撫されながら聞いていた。するとテレビが電波ジャックされ、「癒しの女神」からの緊急放送が流れた。
「我々は『癒しの女神』である。我が教団に女神様が降臨された。異教徒共に女神様の神託を遣わす。全員死罪!」
次に女神と称する女性が映し出され、遥か上空に浮いていた。それは私のそっくりな女性で、違う所は肌の色が日に焼けた様に浅黒い事だ。
「あれは瑞稀では無いのか?」
皆んなは、そう思った。
「マズい!」
私がテレビに向かって叫んだのと同時に、それは呪文を唱えた。
『死誘鎮魂歌』
癒しの女神と称する女性が大地に降りた。映像から察するに日本では無い。地面に転がっている大勢の遺体。その国が何処か分からないけど、恐らく誰も生きてはいないだろうと思った。死誘鎮魂歌は、闇属性に耐性の無い者を即死させる呪文だ。人間で闇属性を持つ者は、快楽殺人鬼レベルで頭のイカレた者だけだからだ。
「麻里奈…どうしてなの…」
そのまま映像は映り続けると、麻里奈は再び上空に飛び、西に向かって飛んだ。エッフェル塔が見え、その空中で止まった。
「まさか…」
『死誘鎮魂歌』
呪文を唱えられた瞬間に、バタバタと人が倒れていく映像が映し出された。
「もう止めて!」
聴こえるはずがないテレビに向かって叫んで、涙を流した。
「これで分かったでしょう?あれは、あなたの子供なんかじゃない。あなたの心の闇が生んだもう1人のあなたよ。アイツは、あなたよりも強い。私も行くわよ」
私はこの後に及んでもまだ躊躇った。来夢が戦えば、麻里奈は間違いなく死ぬだろう。全宇宙で、来夢より強い者などいないからだ。
「お願い。あの子は…あの子を生んだのは私なの…私が責任を取って、せめて…私の手で…」
来夢は瑞稀が流す涙を見て、優し過ぎる、恐らく殺す事は出来ないだろう、と考えた。互角の強さの敵だ。全力で殺しに行けない瑞稀が、勝つ事は出来ないだろうと思った。
「万が一の時は私が麻里奈を殺すよ」
瑞稀に聞こえない様に呟いた。
「来夢…痛っ!」
お腹に痛みを感じて手で押さえた。
「あなたが回復しないなんて、何があったの?」
私は来夢に一部始終を話した。
「…やっぱりアレは、あなたの娘なんかじゃないわね?別の何か…。でも中に何かが入っているとか、そう言うのではないと思うわ」
「娘じゃない?そんな訳ない。だってあの子は、流れた子の遺体から蘇生したのよ」
「死者蘇生は光魔法よね?でもあなたが、あの子を蘇生するのに使ったのは闇魔法なのよ。そう言う事よ」
「何がそう言う事なの?はっきり言って!」
「アレは、あなた自身よ。あなたの心の負を抱えて誕生した、闇の瑞稀よ」
確かに思いあたる事がある。
「あの子は空を飛んだわ。能力は遺伝なんてしない。本当に…そうなの?」
疑問は、確かな疑惑へと変わった。同じ闇魔法の黄泉還反魂でも、あの子は生き返らなかった。闇の禁呪はもしかすると、外側だけそのままで、中身は自分の悪意、闇の心を持ったもう1人の自分として、蘇生する魔法だったのかも知れない。禁呪に関する事は何も書かれておらず、「死者蘇生などで生き返らない者を生き返らせる」とだけ書かれており、それに賭けたのだ。
「まさかこんな事になるなんて…」
「マズいわね。今の仮定が本当だとすると、あなたと同じ能力が使えるの。あの子も不老不死で身体状態異常無効のパッシブを持っているなら、私でも倒せない事になる」
でも本当にそうなのかしら?信じたくない自分がいた。あの子はただ、反抗期だけなのかも知れない。そう思いたい自分がいた。
「もしも本当にあなたの闇の心が生んだ正体なら、ルシファーやサタンなど、遥かに凌駕する魔王が誕生した事になるのよ?」
しかしそれから麻里奈と綾瀬の消息は途絶え、何処で何をしているのか分からなくなった。そして5年の月日が流れた。
「あの子がもう1人のあなたなら、綾瀬に執着するのも納得ね?今頃、ずっと子作りしているのかも知れないわね?」
そんな事は考えたくない。絶対しているに決まっているが、現実的から嫌な事には目を背けたくなる。
ちょうどこの頃、かつて瑞稀を女神と崇めた信仰宗教「癒しの女神」が台頭し、世間を賑わせていた。
「宗教もいい加減なものだな?瑞稀を崇めていたかと思えば、今は違う女神を崇めているそうじゃないか?」
男性の姿となった来夢に、私は愛撫されながら聞いていた。するとテレビが電波ジャックされ、「癒しの女神」からの緊急放送が流れた。
「我々は『癒しの女神』である。我が教団に女神様が降臨された。異教徒共に女神様の神託を遣わす。全員死罪!」
次に女神と称する女性が映し出され、遥か上空に浮いていた。それは私のそっくりな女性で、違う所は肌の色が日に焼けた様に浅黒い事だ。
「あれは瑞稀では無いのか?」
皆んなは、そう思った。
「マズい!」
私がテレビに向かって叫んだのと同時に、それは呪文を唱えた。
『死誘鎮魂歌』
癒しの女神と称する女性が大地に降りた。映像から察するに日本では無い。地面に転がっている大勢の遺体。その国が何処か分からないけど、恐らく誰も生きてはいないだろうと思った。死誘鎮魂歌は、闇属性に耐性の無い者を即死させる呪文だ。人間で闇属性を持つ者は、快楽殺人鬼レベルで頭のイカレた者だけだからだ。
「麻里奈…どうしてなの…」
そのまま映像は映り続けると、麻里奈は再び上空に飛び、西に向かって飛んだ。エッフェル塔が見え、その空中で止まった。
「まさか…」
『死誘鎮魂歌』
呪文を唱えられた瞬間に、バタバタと人が倒れていく映像が映し出された。
「もう止めて!」
聴こえるはずがないテレビに向かって叫んで、涙を流した。
「これで分かったでしょう?あれは、あなたの子供なんかじゃない。あなたの心の闇が生んだもう1人のあなたよ。アイツは、あなたよりも強い。私も行くわよ」
私はこの後に及んでもまだ躊躇った。来夢が戦えば、麻里奈は間違いなく死ぬだろう。全宇宙で、来夢より強い者などいないからだ。
「お願い。あの子は…あの子を生んだのは私なの…私が責任を取って、せめて…私の手で…」
来夢は瑞稀が流す涙を見て、優し過ぎる、恐らく殺す事は出来ないだろう、と考えた。互角の強さの敵だ。全力で殺しに行けない瑞稀が、勝つ事は出来ないだろうと思った。
「万が一の時は私が麻里奈を殺すよ」
瑞稀に聞こえない様に呟いた。
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