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【第6部〜アイドル編〜】

第27話

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「やぁ、よく来たね瑞稀ちゃん」
 私は例の動画の出所を確認する為に、矢沢Pの高級マンションを訪れていた。もしも出所が矢沢Pで無いとすると、流出させられている恐れがあり、不安だったからだ。それを確認する為に訪れた。
「キミがボクの所に来た理由は分かっているよ」
 促されてソファーに腰掛けた。矢沢Pはバスローブを羽織っていて、ブランデーを片手に飲んでいた。私はまだ19歳なので、お酒は飲めない。
「アールグレイで良かったかな?」
 私の好みをよく知っている。芳醇で芳しい香りを嗅いでから、カップに口を付けた。
「動画の事かい?」
「え!えぇ…そうです。その事です」
「安心して、流出なんてさせていない。小百合があまりにもしつこく言うので、目の前で事務所宛ての封筒に動画の入ったUSBを入れさせて、ボクが小百合の目の前で投函したんだ」
「どうしてそんな事を…それに消してくれる約束です」
「申し訳ない。ボクは…瑞稀の事を愛しているんだ。嘘じゃない。だから動画を消せなかった。それにボクは離婚したんだ。これを見て…」
 テーブルの上に差し出されたそれは、婚姻届だった。既に矢沢Pのサインがされていた。
「瑞稀、愛してる。ボクと結婚してくれないか?」
「えっ?無理です…私が綾瀬と婚約してるの、知ってますよね?」
「…あの時、言ったよね?処女を捧げた相手が、ボクだって忘れないでねと。ボクが思った通り、キミは大きく成長したよ。今やキミはアイドルとしても、女優としてもキミを超える存在は、日本どころか世界にもいない。そんなキミの初めてを捧げた相手が、このボクなんだ」
 私は動悸が激しくなり、手が震えていた。
「キミの初めてが愛の無い、身体を売ったなんて婚約者が知ったらどう思う?付き合っていた相手に捧げたならまだしも、嫌々身体を売ったんだ。そんな事を愛する女がやってたなんて知ったら、男としてはショックだよなぁ…」
 矢沢Pはブランデーを口に含むと、舌で転がす様に飲んだ。
「ねぇ、キミは本当に嫌々身体を売ったのかい?ボクの事、本当に嫌いかい?何度も肌を重ねた仲だよ。本当に嫌いなのかい?」
「嫌いでは…」
「そうか良かった。それなら身体を売った事にはならない。あれは好き同士がHした結果だよ?」
 初めての相手が、枕の相手だと綾瀬が知ったらどう思うのだろう?そう考えてしまった。それに確かに嫌いではなく、行為中は私から積極的に腰を動かした事もある。嫌いじゃないなら好きなんだろう?と言われると、そうかも知れない、と考えた。そうだとしたら、あれは身体を売った訳では無い、好きな気持ちが多少なりともあった為に抱かれたのだ、と都合良く捻じ曲げて記憶を改ざんした。
 矢沢Pは私の隣に座り、肩を抱いて来た。
「ボクはキミの事を愛してる。ずっと側にいて欲しい。キミを大切にするよ。ボクと結婚してくれ」
 そう言われて再度、婚姻届を目の前に出された。そうは言っても、受け入れる事は出来ない。私には綾瀬がいるから…そう思っていると、抱き寄せられて口付けをされた。
 私には綾瀬がいるからダメ、そう思い引き離そうとすると、矢沢Pから離れて耳元で「愛してる」と囁かれた。そして首筋を舐められると、左手は服の上から胸を触っていた。突き飛ばそうとすると、再び口付けをされた。
「キミを最初に抱いたのは、このボクだ。愛してる。結婚してくれ」
 何度も愛してる、結婚してくれと、口に出されると嫌な気はしなかった。矢沢Pの右手はスカートの中のパンツの上から恥部を触っていた。
「こんなに濡れて、ボクを受け入れる準備をしてくれていたのかい?」
「違っ…」
 三度みたび、唇で塞がれると舌を絡められた。パンツの中に指を入れられて、直接に恥部を触られると、もう抵抗する気持ちは失せていた。恥部に舌を這わせられると、直ぐにイった。
「ボクのも気持ち良くしてよ」
 口に含むと喜んでいた。
「あぁ、瑞稀、可愛い。気持ち良いよ」
 もう我慢出来ないと言われて挿入された。
「あー、気持ち良い。気持ち良いよ、瑞稀。1億人のフォロワーのファン達、お前達が愛する瑞稀は、今このボクとHしているぞ!あははは、最高だ。気持ち良い。愛してるよ瑞稀。もう誰にも渡さない。ボクの、ボクだけの瑞稀だ」
 激しく突かれると、手で声を抑えていたが、堪え切れずに声が漏れ出ていた。
「気持ち良いかい、瑞稀?綾瀬とボクのどっちが気持ち良いかい?」
「どっちも…どっちも気持ち良いです…」
「どっちだよ?」
「…気持ち良い、です…矢沢さんのが…気持ち良いっ…」
「あははは、可愛い。可愛い過ぎる、瑞稀。瑞稀、愛してる」
 何度も愛をささやかれ、キスをされ、激しく突かれる快感に満たされていた。何度も抱かれるうちに、私はこの人の事が好きなのかも?と錯覚した。
「今度はソファーに手をついて、お尻をこっちに向けてごらん?」
「うあっ…あん、あっ…いっ…イクっ、イク、イっちゃう…」
「奥まで届くから気持ち良いだろう?」
 私は膝がガクガクして立っていられなくなったが、両手でお尻を掴まれていて、無理矢理に立たせられて腰を突かれていた。
「はぁー、はぁ、はぁ…もう無理…」
 私は床にお尻を着くと、ベッドに連れて行かれた。今度は私が上になった。
「うあ~良い、瑞稀…激しっ。うわぁ、積極的。はぁ~気持ち良い。ダメだ、もうイっちゃう」
 膣内なかに熱いモノを吐き出されたのを感じたが、私は満足していないので、更に腰を激しく動かして果てた。矢沢Pの上に倒れて、激しく呼吸を繰り返した。
「ふふふ、瑞稀。最高だ。可愛い、愛してるよ。気持ち良かった」
 背中と頭を撫でられ続けた。
「楽しいね、瑞稀?」
「うん…」
 何度も口付けをして、抱きしめた。
「好き、大好き…」
「あははは、そうか、そうか。結婚しよう、瑞稀?」
「…うん…少しだけ…考えさせて欲しい…」
「分かった。でも、毎日キミを抱きたい。だから明日も来てくれるよね?」
 私は小さく頷いた。繰り返してキスをされると幸せを感じた。矢沢Pに、巧みに心理を誘導されていた事に気付かなかった。
 帰ろうとしたが、引き止められて結局、朝までHをしていた。
「もう仕事だから…」
「愛してる、瑞稀」
「うん、大好き」
 キスをして別れた。もう心の中では、綾瀬と別れる気だった。
 付き合う最終目的は結婚だ。女性はどんなに相手の事が好きでも、相手が自分と結婚してくれる気が無いと知ると、冷めて別れる。何故なら結婚してくれないなら、今この時、この男と付き合っている時間が無駄だと考えるのだ。それなら一刻も早く、結婚してくれる相手と出会う時間の方が大切だと考えるのが女性なのだ。
 矢沢Pは何度も愛していると口説き、更には婚姻届まで書いて見せて来た。本気度は嫌でも伝わる。「愛されてる」と言う愛に包まれると、幸福感で心が満たされる。そんなに私の事を愛してくれるなら…と心が揺れる。
 彼氏や婚約者がいる女性は、私は本当にこの人で良いのかしら?そう思っている。結婚間近の女性相手に絶対に無理だろう?だって彼女は結婚するんだし、と思って尻込みするのが普通だ。だが、マリッジブルーとも呼ばれるこの時期は、女性が最も心が大きく揺れる可能性がある時期なのだ。
 矢沢Pは、綾瀬から瑞稀を寝取る事に成功して満足していた。
「ふふふ、あの美女と毎晩ヤレるんだ。これであの世界の瑞稀がボクのセフレだ。あははは、笑いが止まらないよ。最高だ。嗚呼、可愛い瑞稀。ボクの瑞稀。愛しているよ」
 冷静になれば、なんであんな親父と?綾瀬の様なイケメンを袖にするなんて有り得ない。普通はそうだ。しかし、瑞稀は処女を捧げた相手だ。好きでは無い相手に捧げたとは、認めたく無いと言う心理が働いたのだ。矢沢Pによって巧みに誘導され、この人の事が好きなのかも知れない、いや好きなんだ。そう結論させられた。愛を囁かれながら、抱かれているのだ。好意を持っても不思議では無い。
 瑞稀は、綾瀬とどうやって別れようかと悩んでいた。結局、言えないまま翌日の晩、矢沢Pに抱かれる為にマンションを訪れた。その日も朝まで抱かれ続けた。
 
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