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【第6部〜アイドル編〜】

第17話

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 撮影は順調だ。撮影が始まると緊張してガチガチだったけど、ヂャンが「リラックス、リラックス」と大声で叫んで手を振ってくれると、緊張が解けて演技が出来た。
「瑞稀、良いね。さすが日本の若手トップ女優だね」
 監督がそう言って褒めていると、通訳のシェンさんが言った。褒められると嬉しいものだ。ずっと出てみたかった憧れの華流ドラマだ。テンションは爆上がりして、ノリノリで演技をした。
 良い演技をすると、スタッフ達にも認められる。共演者にも仲間だと認められたみたいだ。他の女優さんに誘われてランチをする様になり、ヘアメイクさんや衣裳さんを貸してあげようか?と言ってくれた。
 衣裳は用意されていても、着付けがいないと着物を着るのは大変だ。マネージャー1人しか連れて来ていないから、仕方なく手伝ってもらっているが、男性なので下着姿を見られるのは、あまり気持ちの良いものではない。
 通常はメイクをされながら、ヘアメイクも同時に行う。その後、衣裳を着る。当然ながらこれは、衣裳に化粧が付かない様に配慮する為だ。しかし私は、スタッフを人から借りているので、先に衣裳の着付けをしてもらってから、自分でメイクをしながらヘアメイクをして貰っている。
 社長に連絡して、ヘアメイクさんや衣裳さんを現地に来て貰う様にお願いしたが、中国まで来てくれる人は少なく、まだ決まったとの連絡が無い。
 しかし、このお陰と言うと変だが、他の女優さん達との距離が縮まって、仲良くなった。夜は決まってヂャンが誘いに来た。「約束通り、横店を案内するよ」と。
「えぇ!観覧車があるよ?」
「ここは撮影所兼レジャーランドを兼ねているからね、一大テーマパークだよ」
「ふぇ~」
 ヂャンと2人で観覧車に乗り、ネオンの灯る景色を見ていると、感情がたかぶって来た。
「あれは秦王宮だよ」と言われて、本物と変わらない城を上から眺めて感動していた。
「瑞稀、愛してるよ」
 抱き締められて口付けをされた。ここは観覧車のテッペンだった。誰にも見られない瞬間に、カップルがキスをするのはテッパンで分かっていたが、油断した。テンションが上がっていた私は、抵抗するどころか舌を入れられると絡めた。観覧車から降りると、ヂャンから身体を求められた。
「あ、いや、そう言うつもりは…ごめんなさい」
「もう何度も抱き合った仲だろう?今更だよ」
 ほとんど強引に押し倒されて抱かれた。ヂャンにはお世話になっているし、元恋人らしいし、愛されているし、綾瀬とは連絡が未だに付かない。こうなったのも、貴方のせいよ。そう言い訳をして、ヂャンとの逢瀬を重ねた。
 釣った魚に餌をやらない男性のなんと多い事か。付き合う前は、彼女の気を引く為に喜ばせようと、あらゆる手段を使ってご機嫌を取り、付き合える様になり、身体の関係になると途端に、それが当たり前の様になり、段々となぁなぁになって来る。
 ヂャンは私の心を掴もうと、全力で落としにかかっている。彼は私が何を求め、何を好んでいるのか聞き出して観察し、喜ばす努力を怠らなかった。それに比べて、綾瀬からは全くの音沙汰無しだ。私が次第にヂャンに惹かれて行くのは自然な流れだった。
 この関係が一月ひとつき以上も続くと、私達はまるで昔からの恋人であったかの様な関係となっていた。
 綾瀬からは連絡が全く無いので、最早、自然消滅で別れたと認識した私は、ヂャンを受け入れて完全に恋人同士となった。
 私は、そうは言っても、身体が目当てなのでは?と疑っていた。しかしヂャンは本気で、「交際を受け入れてくれるのならmeiboで交際宣言をする」と言ってくれた。
 中国のファンたちは、俳優さんの幸せも願ってくれる為、温かく恋を見守ってくれるのだ。それに、中国の男性は独占欲が強く嫉妬深い。ネットで交際宣言する事によって、「この女は俺の女だから誰も手を出すな!」と公言しているのだ。
「ごめんmeiboで交際宣言したら、社長が貴方と事務所に損害賠償請求の訴訟を起こすって怒こってる」
「良いよ、臨む所だ。100億くらい払えば良いか?」
 ひょえ~軽く言ってくれるな。
「止めて、私にそんな価値無いから。それに誰とも争いたくない。穏便にして欲しい」
「分かったよ。そう瑞稀が望むなら従うよ」

 それから更に2ヶ月が経ち、撮影も順調に進んだ頃、舞台の上での大立ち回りのリハーサルをしていると、床の木が濡れている所があって滑って転んだ。そのまま木の手すりに背中を打ち付けた反動で、階段から頭を打ちながら転げ落ちて、私は意識を失った。
「キャア!」
「瑞稀!大変だ!」
「おい!急げ!救急車だ!」
 心臓マッサージや人工呼吸をされたらしいが、この時の記憶は全く無い。この事故は撮影されていた為に、一部始終が全世界に配信されて流れた。私は昏睡状態となったまま意識は回復せず、日本では連日の様に私の安否を気にかける報道が流れた。
 撮影では、私の登場話数全16話のうち、すでに10話分が撮り終わり、残りはあと6話と言う所だった。私はサブヒロインと言う事もあり、ほぼ全編に携わっている為に、私の配役を替えて撮り直すとなると、一から撮影する事になる。取り敢えず私の回復を見ると言う事で、先の話数を撮り始めていた。
 事故から3週間も経った頃、私は昏睡状態から回復した。
「あれ?ここは…?」
「嗚呼、瑞稀、良かった…もうダメかと思ったわ」
「誰ですか?」
「私よ、社長よ。分からない?頭を打ってるから、大丈夫かしら?」
 主治医の先生らしき人が、「頭を打った事による一時的な記憶障害でしょう」と診断した。
「社長…?社長!」
 そうだ思い出した。俺は性転換症と言う謎の病にかかって突然、女になったのだ。そして、カースト上位の女子に薦められるがままに事務所に入ると、枕営業をさせられたんだっけ。それから…それからどうした?何で俺はここにいるのだ?身体が思う様に動かない。
「まだ動くのは無理よ。貴女は3週間も眠っていたのよ。栄養は点滴だけだったから、体力が回復するまでは動けないし、動いてはダメよ」
 俺は取り敢えず頷いて見せた。しかし一体ここは何処だ?何故、病院のベッドで寝ている?しかも日本じゃなさそうだ。
「瑞稀!瑞稀、大丈夫か?良かった。目が覚めたんだな?」
 男が息を切らせて入って来て、俺の顔を覗き込んだ。誰だコイツ?それにしてもイケメンだな。いや、待てよ。何処かで見覚えがある…う~んと…そうだ、ドラマだ。それも華流ドラマで見た事がある顔だ。すると俳優さんか?何で新人アイドルの俺なんかを知っているんだ?
 社長は、俺の記憶喪失の話をして、今日の所は、と言って帰していた。
「帰ってもらって良かったわよね?」
「えっ?あ、はい…。彼は何で来たんですか?俺の様な新人アイドルなんかと接点は無いですよね?」
「ちょっと待って、貴女、何を言っているの?」
 社長と俺は話を擦り合わせた。すると、17歳の高校生だと思っていた俺は、もうすぐ19歳になると言う。そして、もうアイドルは卒業して、女優の道を選び、日本アカデミー賞で主演女優賞、助演女優賞、新人俳優賞を獲得して、史上初の三冠を達成してトップ女優の仲間入りを果たしたと言われた。
「あははは、この俺が主演女優賞?あははは、何の冗談ですか。では何で俺はここにいるんですか?」
「本当に覚えてないのね?貴女が望むから、憧れだって言う華流ドラマのオファーを受けたんじゃないの」
「ファ、華流ドラマ?この俺が!?うぉおぉぉ~しゃあ!くぅ~、めっちゃ嬉しい。本当に出演出来るんですか?ちょい役でも十分です」
「何言ってるのよ。アカデミー賞女優がちょい役なんて、事務所がやらせる訳ないじゃない。貴女の役はサブヒロインよ」
「嘘っ!マジですか!?やったぁ!ヒロインは誰ですか?絡めるって事ですよね?それに宮殿やお城で演じられるって事ですよね?ヤバい…はぁー、はぁー、めっちゃ緊張、興奮して来た」
「貴女ねぇ…先ずは言葉使いをどうにかなさい。記憶を失くす前は、綺麗な女性言葉だったわよ」
「はいはい。畏まりました。努力しまーす」
「キャラ変わった?まぁ良いわ。早く体力を戻して元気な姿で演技してちょうだい。私はこれから忙しくなるから、これで日本に帰るわ。頑張りなさいよ」
 社長は手を振って病室を出た。俺は1日でも早く退院して撮影所に行きたいと、リハビリに専念し、食事も流動食から固形物が食べられる様になっていた。
 退院して撮影所の横店影視城に来た。
「うわぁ、何ここ、何ここ!?めっちゃ凄い!これ本当にセットなの?撮影の為に本物そっくりなの建てたの?街並みとか、映画村じゃん。マジで凄いよ、ここ。観光でも来れるんだろ?何でもっと早く知ろうとしなかったんだろう。ハリウッドにちなんで、チャイナウッドとか言われてるんだろ?ひゃあ~、めっちゃテンション上がるわ」
「あの…瑞稀さん。男言葉は止めましょう?社長から言われてますので、女性らしい言葉使いでお願いします」
「えっ?ナニナニ?それって差別なの?」
「もう、イジメるの止めて下さいよぉ~」
「あははは、面白い」
「瑞稀さん、そんな人だったんですか?素直で純粋で良いだと思ってたのに」
「あははは、何だそれ?お前、俺に幻想いだき過ぎだろう?」
「はぁ~あの可愛い瑞稀さんに、早く戻って下さいよぉ」
「馬鹿野郎。こっちが本当の俺だっつうの」
 マネージャーは本当に残念そうな顔をして、泣きそうな表情をしていた。
 俺は撮影現場に合流した。すると、皆んなが駆け寄って来て、俺の無事を喜んだ。そして、もの凄い美女が俺に抱き付いて来た。
你没事就太好了ニーメイシージュタイハォラ(あなたが無事で良かった)」
 ヤバい、何だこれ。良い匂いがする。それに凄い美人だ。誰だろう?俺に抱き付いて来るほど仲が良かったのか?
 通訳のシェンさんが、俺が記憶喪失だと話してくれた。その女優さんは残念そうな表情をして、心配してくれた。
「今の女性は誰なの?」
「あの人はヒロイン役の趙月チャオ・ユエです。貴女にヘアメイクや衣裳さんを貸してくれていました」
「なるほど、あれがヒロインか。他の女優さんも綺麗だったけど、1人だけ次元が違うと思ったよ」
 俺の撮影は3日後からで、まだしばらく安静にしていて、もし忘れているなら、台詞を覚えて来てと言われた。
 その日の午後、ホテルの部屋をノックされて出ると、張玉ヂャン・ユーだった。ドアを開けるなり抱きしめられると、ベッドに押し倒されてキスされた。
「何しやがるコイツ!」
 いきなり口付けをされて頭に来たので、腹パン(お腹にパンチ)を喰らわせた。しかし非力な俺のパンチなんて、全くダメージを受けていなかった。
 そんな俺を、お構い無しに首筋から胸にかけて舐め、片手で性器に触れられた。
「嘘っ!何なんだお前、主人公役だからって共演者に手を出して、許されるとでも思っているのか?」
「忘れたのか?俺達の事を?」
「俺達の事?」
 見ろと言われて見たスマホの中の俺は、この男とイチャイチャして楽しそうに笑っていた。
「こ、これは?」
「俺と瑞稀は、恋人同士だ。過去も今も。例え記憶が無くなってもだ」
 俺はスマホの中の写真や動画を夢中で見ていた。しかし全く思い出せない。ヂャンは後ろから抱き締める様にして胸を触わり、耳たぶを甘噛みして来た。
「愛してる瑞稀」
「ごめんなさい。まだ体調が悪いの。Hは出来ない…」
「分かった」
 ヂャンに口付けをされ、服を脱がされて胸を揉まれながら吸われた。下腹部に舌を這わされ、ピチャピチャと音を立てて舐められると興奮して、あっという間にイカされた。男のモノを擦り付けて来て、素股で腰を振りながら、俺の足首を掴んで足の指を舐めたり、足の裏に頬擦りしたり匂いを嗅いで恍惚の表情に浸ると、お腹の上に射精した。
「はぁ、はぁ、はぁ瑞稀、愛してる」
 俺は素股の間、性器が擦れて感じ再びイっていた。何度も口付けをされ、一緒にシャワーを浴びて身体を洗い合った。ヂャンは自分の部屋に帰ろうとはせず、腕枕をされて寝た。
「彼氏だなんて言われても俺も男だし、男に身体中舐められてキモいし、とは言え俺も1度枕させられたし、役柄的に主役のコイツのアプローチを拒否るのも考えものだ。これも枕だと思って諦めるしか無いのか…」
 男にくっついて寝るのは嫌だったが、矢沢Pに抱かれて眠ったっけ。あの時は初めてだったけど、ちゃんとイカされたから、あいつ上手かったんだな?とか思うと子宮の奥が疼いてムズムズして来た。
「瑞稀…」
 口付けをされると、指を入れられて弄られた。
「濡れてるよ?瑞稀も本当はしたいんじゃ無いのか?」
「違っ…あっ…うっ…はぁ、はぁ、んっ…」
 身体をこわばらせると、全身が痙攣し、力が入る。
「うぅっ…うっ…ふっ…」
「イっただろう?気持ち良かったか?」
 舌を絡ませて来ると、パンツを下ろされて、挿入された。俺はもう諦めてヂャンの好きな様にさせているの、膣内なかに射精された。
「妊娠したらどうするつもりなの?」
「瑞稀をはらませて結婚するつもりだよ」
「最低…もうHしない」
 俺はそっぽを向いて寝た。
「瑞稀、ごめん。もうしない」
 ヂャンは謝っていたが無視して眠っていると、後ろから抱き締める様な格好をして寝た。
「俺もムズムズしてたから、仕方ない。男の時のHよりも気持ち良いから、あらがえない」
 明日も朝早くから撮影だ。瞼を閉じると直ぐに寝息を立てた。
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