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【第5部〜旧世界の魔神編〜】
第2章 春町の異変
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ある日突然、俺は女になってしまった。
正確に言うと、ここ春町に限って、全ての住人の性別が入れ替わってしまったのだ。
原因は全くの不明で、住人達は連日の様にマスコミからインタビューを受け、全国ニュースが流れない日は無かった。
研究をさせて欲しいと、全国から医者や怪しげな研究機関が次々にやって来た。
初めこそは元に戻りたいと、研究に積極的な住人もいたが、遅々として進まぬ研究結果に、不満、怒り、呆れ、絶望を感じると、やがて誰も相手にしなくなった。
性別が入れ替わってしまうと、日頃亭主関白だった家庭は、立場が入れ替わった。
「日頃あんたは、言ってたよね?女が家事をするのは当然だと。私がパートで疲れ果てて帰って来ても、手伝ってくれる事は無く、ヘロヘロになりながら家事をしていたわ。何時間労働だと思ってるの?今は、あんたが女なんだから、当然、あんたが全てやるのよねぇ?」と言われ、不満を言うと元妻だった夫は、元夫であった妻を罵った。
また、彼氏彼女が入れ替わったのだ。
好奇心が勝り、当然の様に性別逆転の性行為を楽しんだ。
夫婦も同じく楽しんだが、先の家庭などは、ある意味復讐だった。
「疲れているから寝させて、と言っているのに、あんたは求めて来たよね?」と半ば強姦の様に、元夫である妻を犯した。
俺にも彼女がいて、同じ春町だから性別も逆転した。
彼女、もとい今は彼氏に当然、迫られて口付けを交わし、胸を触られると変な感じがした。
胸を吸われながら、秘部を指で弄られていると濡れて来た。
挿入ようとされると、怖くなって突き飛ばしてしまった。
彼女(彼氏)から、「どうして?私の時は受け入れたのに、自分の時は受け入れてくれないの?私の事、本当に好きなの?私は貴方の事が好きだったから、私の初めてを捧げたのに。それなのに、貴方は私に捧げてくれないの?」と責められた。
俺は彼女の時のこいつの事は好きだった。
でも彼氏になったこいつの事を、俺は好きなんだろうか?と考えてしまったのだ。
他のカップル達は、そんな事を考えたりもせずに、当然だと受け入れてしまっている。
いやいや待て待て、違うだろう?今の俺は、身体は女になってしまったが、心まで女にはなっていない。
それなのに、何で男に抱かれなきゃならないんだ?例えそれが、元彼女であったとしてもだ。
皆んな、性別が入れ替わったのは一時的なもので、しばらくしたら元に戻れるだろうから、束の間の変化を楽しもうと思っているだけだ。
では、もう元に戻れないとしたら?そう考えると、急に背筋が寒くなった。
そろそろ塾の時間だ。俺は来年受験生だ。
本腰を入れて受験に向けて勉強しなければ、志望校に受かりそうにない。
こんな身体になっても受験は待ってはくれないのだ。
通っている塾は隣町にある。
女になった俺を、皆んなが好奇の眼差しで見て来るが、仲の良い親友が1人いて、こいつだけは俺が女になっても態度は変わらなかった。
「瑞稀、おはよう」
「おはよう、慎二」
俺達は芸能人よろしく、朝昼晩の挨拶は「おはよう」で通している。
「塾が終わったら食事に行かないか?」
「いいよ」
珍しく慎二が、俺を食事に誘って来たのでOKした。
塾の近くのファミレスに入り、たわいの無い会話を楽しんだ。
食事が終わると、今度は「カラオケに行こうよ」と誘われた。
カラオケが終わって公園に行くと、薄暗くなっていた。
いつの間にかに手を繋がれていて、慎二が振り返って言った。
「ごめん。お前の事をずっと親友だと思っていたけど、お前が女になってから、勉強も手に付かなくなってしまったんだ。好きなんだ。俺と付き合ってくれ!」
慎二は泣きそうな顔をして、俺を見つめていた。
「あっ、えっと…、その。今日は奢ってくれてありがとう。今度は俺が奢るね」
お礼を言って立ち去ろうとした。
「待って!まだ返事を聞いてない」
「聞かなかった事にしてるんだよ。俺とお前は親友だろう?付き合ったりなんて、出来ない。それに見た目は女でも中身は元のままで、男なんだぞ?俺は」
「そんな事は分かってる。でも元に戻れなかったらどうするんだ?彼女も男になったんだろう?じゃあ、彼氏だ。俺はお前の元彼女に嫉妬しているんだ。もう抱かれたのか?」
「ま、まだだけど…」
「良かった」
そう言うと慎二は、俺を押さえ付けて無理矢理に口付けをしようとして来た。
「ちょっ、何考えて…止めろ…うぐうっ」
男の力には敵わず、キスされて舌を入れられた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
慎二をビンタしてようと振り上げた手を引っ込めると、泣きながら走り去った。
「何なんだこれは…はぁ、はぁ…。俺は…女じゃない…男、男なんだ…はぁ、はぁ…」
男だった時と違って、少し走っただけでも息が上がった。
汗だくになりながら、自分は男なんだと言い聞かせた。
家に帰ると、ニュースで春町の異変の事をやっていた。
連日報道されているから、珍しくもなかったが、性別転生は元に戻る可能性がある為、元の性別扱いとする事が閣議決定された。
例えば、他の町で女風呂に入れば、堂々と覗きが可能となる。身体が女性化しても、心が男性のままである為、邪な目で見られる事に耐えられないと、女性議員達が訴えたのだ。
それは確かにその通りだ。
俺も身体が女性になったが、心まで女性になったとは認めたくないし、認めない。
ぼーっとニュースを眺めていると、突然番組が切り替わり、報道特別番組になった。
俺はそのニュースを聞くと、青ざめて思考回路が停止した。
正確に言うと、ここ春町に限って、全ての住人の性別が入れ替わってしまったのだ。
原因は全くの不明で、住人達は連日の様にマスコミからインタビューを受け、全国ニュースが流れない日は無かった。
研究をさせて欲しいと、全国から医者や怪しげな研究機関が次々にやって来た。
初めこそは元に戻りたいと、研究に積極的な住人もいたが、遅々として進まぬ研究結果に、不満、怒り、呆れ、絶望を感じると、やがて誰も相手にしなくなった。
性別が入れ替わってしまうと、日頃亭主関白だった家庭は、立場が入れ替わった。
「日頃あんたは、言ってたよね?女が家事をするのは当然だと。私がパートで疲れ果てて帰って来ても、手伝ってくれる事は無く、ヘロヘロになりながら家事をしていたわ。何時間労働だと思ってるの?今は、あんたが女なんだから、当然、あんたが全てやるのよねぇ?」と言われ、不満を言うと元妻だった夫は、元夫であった妻を罵った。
また、彼氏彼女が入れ替わったのだ。
好奇心が勝り、当然の様に性別逆転の性行為を楽しんだ。
夫婦も同じく楽しんだが、先の家庭などは、ある意味復讐だった。
「疲れているから寝させて、と言っているのに、あんたは求めて来たよね?」と半ば強姦の様に、元夫である妻を犯した。
俺にも彼女がいて、同じ春町だから性別も逆転した。
彼女、もとい今は彼氏に当然、迫られて口付けを交わし、胸を触られると変な感じがした。
胸を吸われながら、秘部を指で弄られていると濡れて来た。
挿入ようとされると、怖くなって突き飛ばしてしまった。
彼女(彼氏)から、「どうして?私の時は受け入れたのに、自分の時は受け入れてくれないの?私の事、本当に好きなの?私は貴方の事が好きだったから、私の初めてを捧げたのに。それなのに、貴方は私に捧げてくれないの?」と責められた。
俺は彼女の時のこいつの事は好きだった。
でも彼氏になったこいつの事を、俺は好きなんだろうか?と考えてしまったのだ。
他のカップル達は、そんな事を考えたりもせずに、当然だと受け入れてしまっている。
いやいや待て待て、違うだろう?今の俺は、身体は女になってしまったが、心まで女にはなっていない。
それなのに、何で男に抱かれなきゃならないんだ?例えそれが、元彼女であったとしてもだ。
皆んな、性別が入れ替わったのは一時的なもので、しばらくしたら元に戻れるだろうから、束の間の変化を楽しもうと思っているだけだ。
では、もう元に戻れないとしたら?そう考えると、急に背筋が寒くなった。
そろそろ塾の時間だ。俺は来年受験生だ。
本腰を入れて受験に向けて勉強しなければ、志望校に受かりそうにない。
こんな身体になっても受験は待ってはくれないのだ。
通っている塾は隣町にある。
女になった俺を、皆んなが好奇の眼差しで見て来るが、仲の良い親友が1人いて、こいつだけは俺が女になっても態度は変わらなかった。
「瑞稀、おはよう」
「おはよう、慎二」
俺達は芸能人よろしく、朝昼晩の挨拶は「おはよう」で通している。
「塾が終わったら食事に行かないか?」
「いいよ」
珍しく慎二が、俺を食事に誘って来たのでOKした。
塾の近くのファミレスに入り、たわいの無い会話を楽しんだ。
食事が終わると、今度は「カラオケに行こうよ」と誘われた。
カラオケが終わって公園に行くと、薄暗くなっていた。
いつの間にかに手を繋がれていて、慎二が振り返って言った。
「ごめん。お前の事をずっと親友だと思っていたけど、お前が女になってから、勉強も手に付かなくなってしまったんだ。好きなんだ。俺と付き合ってくれ!」
慎二は泣きそうな顔をして、俺を見つめていた。
「あっ、えっと…、その。今日は奢ってくれてありがとう。今度は俺が奢るね」
お礼を言って立ち去ろうとした。
「待って!まだ返事を聞いてない」
「聞かなかった事にしてるんだよ。俺とお前は親友だろう?付き合ったりなんて、出来ない。それに見た目は女でも中身は元のままで、男なんだぞ?俺は」
「そんな事は分かってる。でも元に戻れなかったらどうするんだ?彼女も男になったんだろう?じゃあ、彼氏だ。俺はお前の元彼女に嫉妬しているんだ。もう抱かれたのか?」
「ま、まだだけど…」
「良かった」
そう言うと慎二は、俺を押さえ付けて無理矢理に口付けをしようとして来た。
「ちょっ、何考えて…止めろ…うぐうっ」
男の力には敵わず、キスされて舌を入れられた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
慎二をビンタしてようと振り上げた手を引っ込めると、泣きながら走り去った。
「何なんだこれは…はぁ、はぁ…。俺は…女じゃない…男、男なんだ…はぁ、はぁ…」
男だった時と違って、少し走っただけでも息が上がった。
汗だくになりながら、自分は男なんだと言い聞かせた。
家に帰ると、ニュースで春町の異変の事をやっていた。
連日報道されているから、珍しくもなかったが、性別転生は元に戻る可能性がある為、元の性別扱いとする事が閣議決定された。
例えば、他の町で女風呂に入れば、堂々と覗きが可能となる。身体が女性化しても、心が男性のままである為、邪な目で見られる事に耐えられないと、女性議員達が訴えたのだ。
それは確かにその通りだ。
俺も身体が女性になったが、心まで女性になったとは認めたくないし、認めない。
ぼーっとニュースを眺めていると、突然番組が切り替わり、報道特別番組になった。
俺はそのニュースを聞くと、青ざめて思考回路が停止した。
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