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【第5部〜旧世界の魔神編〜】
第1章 ダンジョン④
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階段を降りていると、子宮の奥が疼いて堪らなくなった。
「巧、もう我慢出来ない…」
我に返ると、巧の上で腰を振っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「瑞稀…激しっ…」
疲れ果てて、ようやく満足すると、巧の胸の上に頭を置いた。
『ステイタスオープン』
ステイタスを確認しても、状態異常にはなっていなかった。
「これは…まずい…、私の欲を刺激されているんだわ…」
私は状態異常無効だ。だから例えば、睡眠の呪文を受けても、効果は無くて眠ったりしない。しかし、人間は睡眠が必要だ。その為、睡眠を促す呪文を受けると、眠気に負けて眠ってしまう。つまり直接的に無効でも、促進させる呪文を受ければ、結果が同じになると言う弱点がある事に気付いていた。これは、3大欲求に限り、お腹が空いたとかも同じで、食欲、睡眠欲、性欲を促されると防ぐ事が出来ない。
そう言えば、ワルキュリアスに何故、魅了が効かない?と問われて状態異常無効だと答えた。その為に恐らく、私の性欲を刺激する何かをされたに違いない。アソコが疼いて堪らず、Hがしたくて気が狂いそうになる。我を失うほど、巧とHしてしまった所を見ると、かなりヤバい状況だ。何よりも巧だけには知られたくないのに、バレてしまう恐れがある。本当は正直に話して、許して欲しい。だって私は被害者なんだから。でも男性は、自分の意思が強ければ逃れられたはずだ、と言って責めるだろうし、何回やったんだ?と回数を気にするだろう。そんな事を聞かれても、私にはどうしようもないし、起こった出来事を変える事も出来ない。どうしようもない事だから、やり場の無い怒りを、そのまま彼女に対してぶつける事しか出来ないはずだ。そんな事をされたら、私はただただ泣く事しか出来ない。精神的に追い詰められて、死ねないのに、死を選ぼうとするかも知れないし、人間界から逃げて、もう2度と巧だけで無く、男性を避ける様になるだろう。
衣服を整えると、意を決して話した。
「巧…どうしても話さなきゃいけない事があるの…。ただ、ずるいけど、許してもらえなかったら、死ぬしかない。もう会えない。巧の事を愛しているの。それだけは信じて欲しいの…」
私は堪え切れずに、泣きながら巧が死んでいた間に、吸血鬼にされた事を話した。話し終えると号泣して、涙が止まらなかった。
「もう良い。辛い目にあったな…。俺が弱いのがいけないんだ。俺がもっと強ければ…、大切な彼女を酷い目に合わせずに済んだ。俺に嫌われるのが怖くて、言い出せなかったんだろう?そうじゃない。俺の方こそ、彼女も守れない情け無い彼氏で、嫌いにならないで欲しい…」
2人とも抱き合って泣いた。巧を好きになって良かった。そう思いながら泣いた。
「疼いて来たら遠慮なく言ってくれ。喜んで抱くから」
「じゃあ遠慮なく。忘れさせて…」
「い、今?」
「うん、早く!我慢出来ないの…」
時を忘れて愛し合った。2階層のボスはファイブスターだったから、どうせ人間では、ここまで来れない。誰にも見られる心配は無いので、解放的で大胆になった。
茂みが揺れ、不自然にガサガサと音を立てているので、何かがこちらにやって来る。
『完全物理攻撃無効障壁』
貫通スキルが無い攻撃なら、この障壁は無敵だ。何が来るか身構えた。
「はっ?」
「何だ?」
現れたそれは一つ目の巨人だった。
「サイクロプス?」
「サイクロプスでも当たってると思うけど、キュクロープスって書いてある」
キュクロープスはラテン語読みであり、サイクロプスは英語読みであるから、瑞稀がサイクロプスでも当たっていると言ったのは間違いではない。
「天空神ウラノスと大地母神ガイアの息子で、次男のステロペースだって」
ステロペースは、一つ目で睨みつけて来ると、私達を捕まえ様としたので、巧を障壁に残して、自分が囮になる為に障壁から出た。
「うわっと。ガイアの息子が何でこんな所にいるのよ?ダンジョンで繋がっちゃってるの?」
「俺の母を何故知っている?」
「だって、お母さんの友達だもの」
「嘘つけ!」
ステロペースは無気になって、私を捕まえ様と手を伸ばす。
「私、アナトよ。聞いた事無いの?」
「アナト?アナトだとぉぉぉ」
声が大きくて鼓膜が破れそうになり、両耳を手で塞いだ。
「そうだって言ってるじゃない」
「アナト、聞いた事がある。母の友人なら、客人としてもてなそう」
巧を守っていた障壁を解いて、ステロペースの左肩に乗った。高さは10mはある。私は兎も角、巧は落ちたら死ぬので、念の為に飛翔の呪文をかけた。ステロペースが歩く度に大地が響き、揺れる。私と巧は振り落とされない様に、しがみ付いていた。暫く歩くと、簡素な住居に着いた。
「おい、兄貴!何だ、そのちんまいのは?そんなのじゃ、腹の足しにもなんねぇぞ?」
「違う、食い物じゃない。母の友人のアナトだとよ」
「アナト…?何か聞いた事だけはあるな?」
「母の友人だ。食べるなよ?」
「がははは。母の友人なら食い物じゃねぇから、食べたりせんわ!」
『上菜』
唐揚げや、春巻き、餃子などを山積みになるほど出した。大皿が小皿よりも小さく見える。それを口に流し込む様にして、食べた。
「おぉっ、美味い!こいつをもっとくれ!」
「どうぞ!いくらでも出せるから、遠慮しないでね?」
ポリバケツ一杯ほど出しても、ほぼ一口だ。美味しそうに食べるので、張り切って出した。結構疲れるし、魔力も消耗して来た。
「ねぇ、ブロンテース。長男のアルゲースはどうしたの?」
「ああ?兄ちゃんか?兄ちゃんは今、三神に納品してるよ」
「まさかゼウスに雷霆、ポセイドンに三叉の銛、ハーデスに隠れ兜とか?なーんてね」
「よく知っているな?」
「はい?作ってあげたのずっと前じゃないの?」
「何言ってんだ?昨日完成したばかりだぞ?」
「嘘っ…」
「どうかしたのか?瑞稀」
「不味いわよ。もしかすると私達は、ダンジョンで過去にいるみたい。私が西洋の神々と戦った時、ポセイドンは既に三叉の銛を持っていたわ」
「だから何で不味いんだ?」
「ゼウスはね。雷霆を貰って有頂天になって調子に乗り、やたらめったらに周囲に稲妻を放って遊ぶのよ。本人は遊びのつもりでも、その稲妻に太陽神アポロンの息子アスクレピオスが打たれて死んじゃうのよ。アポロンもゼウスには逆らえない。息子を失った怒りと憎しみと悲しみの矛先は、制作した貴方達へと向けられるの。3人ともアポロンによって殺される…と、ギリシャ神話に書かれているわ」
「そんな…アポロン様に俺達が…」
青ざめて頭を抱えた。
「ねぇ?アルゲースは何処に行ったの?渡す前に奪うか、壊してしまうのよ」
「分かった。兄貴は、オリンポス山だ」
「あー、そうなるよね。やっぱり」
「ねぇ、ゼウス?聞こえる、ゼウス?」
「聞こえます、アナト様」
「雷霆をアルゲースが受け渡しに行ったりしてない?」
「いつの話ですかな?」
「今日だよ」
「わはははは。随分とまぁ昔の話をされますな。今日では無いし、もう持っておりますとも」
「もう持ってるの?」
そうだとすると、この世界のゼウス達は別人だ。と言うか、本当に過去の世界なのかも知れない。
私はキュクロープスの兄弟に結界を張り、巧と2人でオリンポス山に向かった。
「巧、もう我慢出来ない…」
我に返ると、巧の上で腰を振っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「瑞稀…激しっ…」
疲れ果てて、ようやく満足すると、巧の胸の上に頭を置いた。
『ステイタスオープン』
ステイタスを確認しても、状態異常にはなっていなかった。
「これは…まずい…、私の欲を刺激されているんだわ…」
私は状態異常無効だ。だから例えば、睡眠の呪文を受けても、効果は無くて眠ったりしない。しかし、人間は睡眠が必要だ。その為、睡眠を促す呪文を受けると、眠気に負けて眠ってしまう。つまり直接的に無効でも、促進させる呪文を受ければ、結果が同じになると言う弱点がある事に気付いていた。これは、3大欲求に限り、お腹が空いたとかも同じで、食欲、睡眠欲、性欲を促されると防ぐ事が出来ない。
そう言えば、ワルキュリアスに何故、魅了が効かない?と問われて状態異常無効だと答えた。その為に恐らく、私の性欲を刺激する何かをされたに違いない。アソコが疼いて堪らず、Hがしたくて気が狂いそうになる。我を失うほど、巧とHしてしまった所を見ると、かなりヤバい状況だ。何よりも巧だけには知られたくないのに、バレてしまう恐れがある。本当は正直に話して、許して欲しい。だって私は被害者なんだから。でも男性は、自分の意思が強ければ逃れられたはずだ、と言って責めるだろうし、何回やったんだ?と回数を気にするだろう。そんな事を聞かれても、私にはどうしようもないし、起こった出来事を変える事も出来ない。どうしようもない事だから、やり場の無い怒りを、そのまま彼女に対してぶつける事しか出来ないはずだ。そんな事をされたら、私はただただ泣く事しか出来ない。精神的に追い詰められて、死ねないのに、死を選ぼうとするかも知れないし、人間界から逃げて、もう2度と巧だけで無く、男性を避ける様になるだろう。
衣服を整えると、意を決して話した。
「巧…どうしても話さなきゃいけない事があるの…。ただ、ずるいけど、許してもらえなかったら、死ぬしかない。もう会えない。巧の事を愛しているの。それだけは信じて欲しいの…」
私は堪え切れずに、泣きながら巧が死んでいた間に、吸血鬼にされた事を話した。話し終えると号泣して、涙が止まらなかった。
「もう良い。辛い目にあったな…。俺が弱いのがいけないんだ。俺がもっと強ければ…、大切な彼女を酷い目に合わせずに済んだ。俺に嫌われるのが怖くて、言い出せなかったんだろう?そうじゃない。俺の方こそ、彼女も守れない情け無い彼氏で、嫌いにならないで欲しい…」
2人とも抱き合って泣いた。巧を好きになって良かった。そう思いながら泣いた。
「疼いて来たら遠慮なく言ってくれ。喜んで抱くから」
「じゃあ遠慮なく。忘れさせて…」
「い、今?」
「うん、早く!我慢出来ないの…」
時を忘れて愛し合った。2階層のボスはファイブスターだったから、どうせ人間では、ここまで来れない。誰にも見られる心配は無いので、解放的で大胆になった。
茂みが揺れ、不自然にガサガサと音を立てているので、何かがこちらにやって来る。
『完全物理攻撃無効障壁』
貫通スキルが無い攻撃なら、この障壁は無敵だ。何が来るか身構えた。
「はっ?」
「何だ?」
現れたそれは一つ目の巨人だった。
「サイクロプス?」
「サイクロプスでも当たってると思うけど、キュクロープスって書いてある」
キュクロープスはラテン語読みであり、サイクロプスは英語読みであるから、瑞稀がサイクロプスでも当たっていると言ったのは間違いではない。
「天空神ウラノスと大地母神ガイアの息子で、次男のステロペースだって」
ステロペースは、一つ目で睨みつけて来ると、私達を捕まえ様としたので、巧を障壁に残して、自分が囮になる為に障壁から出た。
「うわっと。ガイアの息子が何でこんな所にいるのよ?ダンジョンで繋がっちゃってるの?」
「俺の母を何故知っている?」
「だって、お母さんの友達だもの」
「嘘つけ!」
ステロペースは無気になって、私を捕まえ様と手を伸ばす。
「私、アナトよ。聞いた事無いの?」
「アナト?アナトだとぉぉぉ」
声が大きくて鼓膜が破れそうになり、両耳を手で塞いだ。
「そうだって言ってるじゃない」
「アナト、聞いた事がある。母の友人なら、客人としてもてなそう」
巧を守っていた障壁を解いて、ステロペースの左肩に乗った。高さは10mはある。私は兎も角、巧は落ちたら死ぬので、念の為に飛翔の呪文をかけた。ステロペースが歩く度に大地が響き、揺れる。私と巧は振り落とされない様に、しがみ付いていた。暫く歩くと、簡素な住居に着いた。
「おい、兄貴!何だ、そのちんまいのは?そんなのじゃ、腹の足しにもなんねぇぞ?」
「違う、食い物じゃない。母の友人のアナトだとよ」
「アナト…?何か聞いた事だけはあるな?」
「母の友人だ。食べるなよ?」
「がははは。母の友人なら食い物じゃねぇから、食べたりせんわ!」
『上菜』
唐揚げや、春巻き、餃子などを山積みになるほど出した。大皿が小皿よりも小さく見える。それを口に流し込む様にして、食べた。
「おぉっ、美味い!こいつをもっとくれ!」
「どうぞ!いくらでも出せるから、遠慮しないでね?」
ポリバケツ一杯ほど出しても、ほぼ一口だ。美味しそうに食べるので、張り切って出した。結構疲れるし、魔力も消耗して来た。
「ねぇ、ブロンテース。長男のアルゲースはどうしたの?」
「ああ?兄ちゃんか?兄ちゃんは今、三神に納品してるよ」
「まさかゼウスに雷霆、ポセイドンに三叉の銛、ハーデスに隠れ兜とか?なーんてね」
「よく知っているな?」
「はい?作ってあげたのずっと前じゃないの?」
「何言ってんだ?昨日完成したばかりだぞ?」
「嘘っ…」
「どうかしたのか?瑞稀」
「不味いわよ。もしかすると私達は、ダンジョンで過去にいるみたい。私が西洋の神々と戦った時、ポセイドンは既に三叉の銛を持っていたわ」
「だから何で不味いんだ?」
「ゼウスはね。雷霆を貰って有頂天になって調子に乗り、やたらめったらに周囲に稲妻を放って遊ぶのよ。本人は遊びのつもりでも、その稲妻に太陽神アポロンの息子アスクレピオスが打たれて死んじゃうのよ。アポロンもゼウスには逆らえない。息子を失った怒りと憎しみと悲しみの矛先は、制作した貴方達へと向けられるの。3人ともアポロンによって殺される…と、ギリシャ神話に書かれているわ」
「そんな…アポロン様に俺達が…」
青ざめて頭を抱えた。
「ねぇ?アルゲースは何処に行ったの?渡す前に奪うか、壊してしまうのよ」
「分かった。兄貴は、オリンポス山だ」
「あー、そうなるよね。やっぱり」
「ねぇ、ゼウス?聞こえる、ゼウス?」
「聞こえます、アナト様」
「雷霆をアルゲースが受け渡しに行ったりしてない?」
「いつの話ですかな?」
「今日だよ」
「わはははは。随分とまぁ昔の話をされますな。今日では無いし、もう持っておりますとも」
「もう持ってるの?」
そうだとすると、この世界のゼウス達は別人だ。と言うか、本当に過去の世界なのかも知れない。
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