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【第5部〜旧世界の魔神編〜】

第1章 ダンジョン③

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 扉を開けて中に進んだ。凄まじい冷気、いや魔力を感じる。ここのボスは間違いなく、途轍もなく強い。不意に気配を感じると、いつの間にかに無数の蝙蝠が飛んでいて目の前に集まると、それは人の姿となった。
「まさかヴァンパイア?」
「うらぁぁぁ!」
 巧は走って助走を付けて、全力でパンチを繰り出した。ヴァンパイアは溜息をつくと、人差し指で巧のパンチの軌道を変えて、デコピンを右肩に受けて吹き飛んだ。
「巧!」
 一瞬で私の目の前に、ヴァンパイアが立ち塞がると、怪しく目が光った。
「…?嗚呼そうか、魅了しようとしたのね?」
状態異常無効の私には、無意味な攻撃だ。
『隠しスキル』でヴァンパイアを見ると、ファイブスターランクだった。
「はぁ?嘘でしょう?人類はSSSランクが最高なのよ。2階層なんかでファイブスターなんか出たら、全滅でしょう?」
私は人間界に戻るに当たって、テンダラース(S10)ランクのアナトの力を封印していた。その為、今の私はSSSランクだ。
「美しいな。慰み者にしてやろう。俺に抱かれれば、自分から腰を振る様になる」
火炎球ファイヤーボール
余裕で躱され、背後に回られると羽交締めにされながら、胸を揉まれた。そして、首筋を噛まれて血を吸われた。
「瑞稀!」
「鬱陶しい」
ヴァンパイアは私を離して、巧の胸を手刀で貫くと、力で首を引きちぎった。
「巧ー!うわぁぁぁ」
「くふふふっ。恋人を目の前で殺され、憎い相手に犯される。何て素敵なシチュエーションなんだ?くふふふふ」
ヴァンパイアは例外なく、超怪力だ。片手で私の両腕を押さえ付け、もう片手で下着を引き裂いて挿入された。
「くふふふ。どうだ?気持ち良いだろう?」
「あっ…あぁ、はぁ、あん、あっ、あん、はぁっ、気持ち良い、気持ち良いよぉ、もっと、もっと…、いい…」
ヴァンパイアには目で魅了する以外にも、吸血時に快楽物質を注入し、血を吸われる相手はその間、性的快楽を得る為に抵抗出来なくなる。また、性行為に得られる快楽は麻薬の様なもので、一度でも抱かれると忘れられなくなり、何度でも抱かれたくなると言う。
「くふふっ。イクっ、イク、イク、イク、イク、イクぅぅぅ…っ」
「あぁっ…」
膣内なかに精を放たれると、瑞稀の快楽は頂点に達して気を失った。目が覚めると、ヴァンパイアが上に乗り腰を振っていて、再び快楽の海に沈んだ。何度イかされたか分からない。その度に身体は悦びで打ち震え、痙攣して絶頂を迎えた。
「はぁ、はぁ、はぁ、気持ち…い…気持ち良いよぉ、イっちゃう、またイっちゃうよぉ」
「はぁ、はぁ、可愛い。こんな綺麗な娘は久々で、何度でも犯れるな。飽きるまで、犯ってやろう」
どれほど長い時間、抱かれ続けたのか分からない。その間、何度も血を吸われた。
「くふふふ、食欲と性欲の両方が満たされる。最高だよ、お前は。くふふふ」
 恐らくそうやって幾日も過ぎた頃、ようやく正気に返った。巧を殺した相手に自ら騎乗位で腰を振っていた自分を思い出し、悔しさと情けなさで泣いた。ボスの間を改めて見ると、白骨化したパーティーの遺体があった。その装備を見た事がある。勇者パーティーの物だ。5人のうち、2人は女性だったはずだ。私と同じ様に、もてあそばれた事だろう。確か勇者と僧侶は恋人同士だったはずだ。男は殺され、女は犯されて下級吸血鬼レッサーヴァンパイアになり、永遠に性奴隷として生きる。アンデッドなので、生きると言う表現も微妙だが。
「おいっ!」
振り向くと、抱き寄せられて力づくで口付けをされた。
「不思議だ。何故、魅了されない?何故、眷属にならない?」
「私は状態異常無効なのよ」
「それなのに俺に大人しく抱かれるとは、そんなに良かったか?くふふふ」
抱き寄せられ、触れられた箇所の全てが気持ち良い。子宮の奥が、ぞわぞわムズムズして来る。身体が強烈に、性的快楽を求めて来る。最早これは、麻薬だ。早く挿入れて欲しいと、垂れて来るほど濡れている。
(ダメだ、ダメだ、ダメだ。自分から望んだら、それは浮気だ。巧を生き返らせた後、どんな顔をして見れば良いんだ。合わせる顔がなくなる…)
目を瞑り、歯を食いしばって、必死に欲望に抵抗する。
 首筋から胸を舐められると、血を吸われた。吸血されながら、秘部に指を入れられるとイってしまった。身体を求められると、抵抗出来ずに何度もイかされた。そうなる事を、望んでいる自分を認めたくなかった。
「巧…ごめん、ごめんなさい…。気持ちいいの…、本当にごめんなさい。うぅぅっ、あぁ、イっちゃう、イっちゃうよ。気持ちいいのダメ…なのに…イっちゃうの…巧、許して…」
泣きながら何度もイった。気が付けば、上に乗って腰を振っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「くふふふ、夢中だな?可愛い奴だ」
行為が終わって抱き合うと、頭を撫でられながら言われた。
「俺の花嫁になれ」
「それは…ごめんなさい」
「何だ?死んだ男に操を立てているのか?それなのに、自分から夢中で腰を振っていたのか?くふふふ」
「言わないで…」
「まあ良い。毎日お前を抱けば、妻も同然だ」
 それから、身の回りの世話をさせられる様になった。先の勇者パーティーの僧侶と魔法使いの女性は、何処から現れたのか、私と一緒にヴァンパイアの世話をしていた。ボスの間の奥に部屋があり、中に入ると西洋のお屋敷みたいになっていた。ヴァンパイアの名前は、ワルキュリアスと言い、かつてはドイツの貴族だったらしい。大勢の手下と共に吸血鬼を討伐して失敗し、自分1人だけ生き残ったが、自分も吸血鬼になっていたと言う。
 そのワルキュリアスは、勇者パーティーにいた魔法使いの女性とお楽しみの最中だ。このダンジョンに陽は差さないから、吸血鬼は自由に動ける。
「1つ聞きたいの」
「何だ?」
「このダンジョンって何なの?貴方はいつからここにいるの?出ようとは思わないの?」
「ダンジョンって何だ?俺は昔からここに住んでいる」
そう言って屋敷を出ると林が見え、抜けると街が見えた。
「どうだ?ドイツの街並みは。日本人のお前は見た事が無いだろう?」
「信じられない…」
 ダンジョンから普通に出られた。どうなっているのだろう?屋敷に戻ると、ワルキュリアスに身体を求められ、行為が終わると1人でドイツの街に行こうとした。しかし、ダンジョンからは出られなかった。
「どうなっているのこれ?もしかすると、ダンジョンの住人と一緒でなければ出られないとか…?」
「くふふふ。ここからは出られんよ」
「あっ、逃げようとした訳じゃないのよ」
「分かっている。俺からは離れられんよ。自分からセッ◯スを求めて来る間はな。くふふふ」
「求めてなんか…」
 口付けで言葉を遮られると、押し倒されて行為に及んだ。巧を殺した憎い相手なのに、ダンジョンのボスなのに、何度も身体の関係になるうちに情が湧き、殺せない自分がいた。アナトの力を解放すれば、簡単に倒せるはずだった。それと、1つ分かった事は、このダンジョンに住んでいる魔獣や魔物は、別の場所にいて、私達が入ったダンジョンと繋がっているらしい事。理屈は全く分からない。ボスの間に入ると、ワルキュリアスは自分のナワバリを侵犯した相手を倒す為に、姿を現したと言っていた。少しだけダンジョンの謎に迫った気がした。やはりこれは、何者かが創り、異空間で繋げているのだろう。中に入った者は、恐らくダンジョンをクリアするまでは出られないのだろう。
「巧…お願い、私に踏み出す勇気を与えて…愛してる。ワルキュリアスと何度もHしちゃったけど、浮気したつもりは無いの」
ワルキュリアスの前に立つと、呪文を唱えた。
太陽光淋浴サンライトシャワー
ワルキュリアスは、陽の光を浴びて灰となって崩れた。
「ヴァンパイアは確か、灰になっても生き返るんだっけ。でも私もHを楽しんじゃったし、トドメはさせないわ。一応ボス戦はクリアしたみたいだしOKよね?」
巧を生き返らせると、泣きながら抱き合った。罪悪感もあって、自分から何度も巧を求めた。3日経ってようやく、勇者パーティーや他の犠牲者を魔法箱マジックボックスに収納した。
「次の階に行きましょうか?」
 手を繋いで降りた。ワルキュリアスとHした事は、墓場まで持って行く。巧には絶対に言えないし、知られたくない。例え無理矢理だったとしても、何度もイかされ、気持ち良いと喘いで求めたのだ。そんな彼女を彼氏はどう思うのだろうか?裏切り?不潔?穢らわしい?それでも私は、巧を愛している。嫌われたくない。知られれば必ず喧嘩になる。最悪の場合、別れる事になるだろう。嫌だ。別れたくない。こんなに愛しているのに。本当にごめんなさい。他の人とHなんてしちゃって。私だって巧としかしたくなかったのに。
 嗚咽しながら泣き出した私を、巧は優しく撫でてくれた。何があったのか察しているのかも知れない。それでも何も聞こうとしなかった。それは優しさなのか、私から言うのを待っているのか分からない。
 私たちはゆっくりと階下に降りた。
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