101 / 343
【第5部〜旧世界の魔神編〜】
第1章 ダンジョン②
しおりを挟む
階段を降りると、一面草原だった。空もある。ダンジョンどうなっているんだ?と思いつつ、幻影か?と思い空に向かって『光熱玉』を唱えてた。一直線に飛んで行き、消えた。
「幻じゃないのか…」
独り言の様に、ぽつりと言った。よく考えれば、私は状態異常無効だから、幻影にはかからないはずだ。ダンジョンとは、もしかすると異空間に繋がっているのかも知れない。
『自動書込地図』
状況を把握する為に地図を出すと、周囲は赤いランプに取り囲まれていた。
「巧、私に掴まって!」
巧が私の肩と腰に手を回すと、上空に浮いた。
『飛翔』
上空に浮くと同時に、数匹の狼に襲われたが私達に届かず、その鋭い鉤爪は虚しく空を切った。
「フェンリルとは違うな…」
見た事の無い、狼の魔獣だった。20頭はいる。
「危なかった。きっと、あの狼に襲われた者もいるだろうね?」
「うん、襲われた皆んなを、連れて帰ってあげたいけど、難しいかもね」
空も安全とは言えないけど、地上よりはマシだろうと考えて、そのまま飛んだ。ちなみにSランク以上の私は空を飛べるから、先程の『飛翔』は、巧の為に唱えたのは言うまでも無い。
「ねぇ、ループする前も空飛ぶ練習した事があるのよ。覚えてないだろうけど?」
「前のループが本当なら、今の俺とは違う俺だからね。覚えてる?って聞くのは違うんじゃないのか?」
「ふふふ、ごめんね。そうだね」
確かに今の私は、前ループの私とは別人だ。だってこれは、「最初から女の子だった私」の物語になっているからだ。前ループの私は、唯一神によって消滅し、もう一度人生をやり直した。女の子として生まれて来た私は、再び唯一神と戦い消滅しかけて、右目から再生させた身体だ。今の私が、男だった時は全くない。
空も安全ではなく、飛翔する魔獣が襲って来た。巨大な鷲に似ている。グリフォンだ。鋭いクチバシと鉤爪で、私達を捕食しようと襲って来た。
「巧!」
私と違って巧は、まだ飛翔が上手くない。完全に狙いを巧に絞って攻撃して来た。
「巧を傷付けたら、絶対に許さないから」
『隠しスキル』でグリフォンを見ると、SSランクだったので、巧が勝てる相手ではない。
『光之矢雨』
驚く事に、光の速さで攻撃する無数の矢を躱された。
「へぇ、あれを躱すんだ?」
逸れた矢は、軌道を修復させてグリフォンを射抜いた。銃神スキルのお陰で百発百中だ。安心して油断した所をグリフォンの意地だったのか、羽ばたきを受けた。強烈な羽ばたきが巻き起こした竜巻に吹き飛ばされたが、巧の手を何とか掴む事が出来た。こんな所で巧を1人にしてしまったら、すぐに殺されてしまうだろう。離れ離れになってしまったら、私が半狂乱となって、巧を探している姿を容易に想像出来る。
グリフォンの羽ばたきで、飛ばされた私達は、森の奥に落下した。
『回復』
木の枝で出来た、擦り傷や切り傷を治療した。
「ありがとう」
「ここも何か出て来そうな場所に落とされちゃったね」
「ダンジョンの中に草原や森、それに空とかって、どうなっているんだ?」
「さぁ?どうなっているのかしらね?」
ダンジョンをクリア出来たら、その謎も解けるのだろうか?1階層のボスは勿論、ただのスライムなどではなかった。ゴールデンバウムと名前が付いていた。しかもSランクのスライムだった。1階のボスでいきなりSランクだ。日本人のSランクは、麻生佳澄さんしかいないはずだ。そうそう、麻生さんと言えば、前ループで私が男性だった時の彼女であり、妻となった女性だ。巧が入社する1年前に入社して来て、私と並んで華友商事の「華の双璧」と影で呼ばれている。麻生さんは、今ループでは既に彼氏がいる。本当だったら、私と結婚していたはずなのに、と少し複雑な気持ちになったけど、今の私は女性だから仕方がない。
森を進んで行くと、上半身が裸の女性で、下半身が蜘蛛の魔獣が少なくとも50匹はいる所に遭遇した。
「ア、アラクネだ…」
「アルケニー?」
「うん。ごめん。私、蜘蛛が1番苦手で…。もう戦意喪失してる。一刻も早くこの場から逃げたい」
「どうしたら良い?」
私は有無を言わさずに目を瞑ると、巧の首にしがみ付いて、球体の結界を張り、そのまま回転しながら逃げた。アラクネ達が、結界を取り囲んだり、攻撃しながら追いかけて来るのが分かる。目を瞑ったまま、悲鳴を上げながら、何処とも知らず、めちゃくちゃに前に転がり進んだ。1時間以上はそのまま走り抜けた。何かの壁にぶち当たって、転がりが止まった。
「酔った…吐きそう」
巧は、気分悪そうに吐いていた。私はまだ目が開けられず、「もういない?」って聞いた。「いないよ」と言われて、ようやく目を開けた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
『気分爽快回復』
体調を回復した。
「空まで続く石垣なんて…」
「先に進めそうにないから、壁伝いに進んで見ようか?」
『自動書込地図』には、敵を示す赤い光は映っていなかった。
「飛んで行こう」
巧と手を繋いで飛翔した。やがて、入口が見えて来た。
「やっぱり思った通りだね?」
「この先にボスが居そうだな?」
警戒しながら入口に入ると、扉の間に来た。
「やっぱりかぁ」
半ば想像通りの展開となったが、中にいるボスがどんなのか分からない。ボスによっては苦戦するかも知れない。
気を引き締めて扉を開けた。
「幻じゃないのか…」
独り言の様に、ぽつりと言った。よく考えれば、私は状態異常無効だから、幻影にはかからないはずだ。ダンジョンとは、もしかすると異空間に繋がっているのかも知れない。
『自動書込地図』
状況を把握する為に地図を出すと、周囲は赤いランプに取り囲まれていた。
「巧、私に掴まって!」
巧が私の肩と腰に手を回すと、上空に浮いた。
『飛翔』
上空に浮くと同時に、数匹の狼に襲われたが私達に届かず、その鋭い鉤爪は虚しく空を切った。
「フェンリルとは違うな…」
見た事の無い、狼の魔獣だった。20頭はいる。
「危なかった。きっと、あの狼に襲われた者もいるだろうね?」
「うん、襲われた皆んなを、連れて帰ってあげたいけど、難しいかもね」
空も安全とは言えないけど、地上よりはマシだろうと考えて、そのまま飛んだ。ちなみにSランク以上の私は空を飛べるから、先程の『飛翔』は、巧の為に唱えたのは言うまでも無い。
「ねぇ、ループする前も空飛ぶ練習した事があるのよ。覚えてないだろうけど?」
「前のループが本当なら、今の俺とは違う俺だからね。覚えてる?って聞くのは違うんじゃないのか?」
「ふふふ、ごめんね。そうだね」
確かに今の私は、前ループの私とは別人だ。だってこれは、「最初から女の子だった私」の物語になっているからだ。前ループの私は、唯一神によって消滅し、もう一度人生をやり直した。女の子として生まれて来た私は、再び唯一神と戦い消滅しかけて、右目から再生させた身体だ。今の私が、男だった時は全くない。
空も安全ではなく、飛翔する魔獣が襲って来た。巨大な鷲に似ている。グリフォンだ。鋭いクチバシと鉤爪で、私達を捕食しようと襲って来た。
「巧!」
私と違って巧は、まだ飛翔が上手くない。完全に狙いを巧に絞って攻撃して来た。
「巧を傷付けたら、絶対に許さないから」
『隠しスキル』でグリフォンを見ると、SSランクだったので、巧が勝てる相手ではない。
『光之矢雨』
驚く事に、光の速さで攻撃する無数の矢を躱された。
「へぇ、あれを躱すんだ?」
逸れた矢は、軌道を修復させてグリフォンを射抜いた。銃神スキルのお陰で百発百中だ。安心して油断した所をグリフォンの意地だったのか、羽ばたきを受けた。強烈な羽ばたきが巻き起こした竜巻に吹き飛ばされたが、巧の手を何とか掴む事が出来た。こんな所で巧を1人にしてしまったら、すぐに殺されてしまうだろう。離れ離れになってしまったら、私が半狂乱となって、巧を探している姿を容易に想像出来る。
グリフォンの羽ばたきで、飛ばされた私達は、森の奥に落下した。
『回復』
木の枝で出来た、擦り傷や切り傷を治療した。
「ありがとう」
「ここも何か出て来そうな場所に落とされちゃったね」
「ダンジョンの中に草原や森、それに空とかって、どうなっているんだ?」
「さぁ?どうなっているのかしらね?」
ダンジョンをクリア出来たら、その謎も解けるのだろうか?1階層のボスは勿論、ただのスライムなどではなかった。ゴールデンバウムと名前が付いていた。しかもSランクのスライムだった。1階のボスでいきなりSランクだ。日本人のSランクは、麻生佳澄さんしかいないはずだ。そうそう、麻生さんと言えば、前ループで私が男性だった時の彼女であり、妻となった女性だ。巧が入社する1年前に入社して来て、私と並んで華友商事の「華の双璧」と影で呼ばれている。麻生さんは、今ループでは既に彼氏がいる。本当だったら、私と結婚していたはずなのに、と少し複雑な気持ちになったけど、今の私は女性だから仕方がない。
森を進んで行くと、上半身が裸の女性で、下半身が蜘蛛の魔獣が少なくとも50匹はいる所に遭遇した。
「ア、アラクネだ…」
「アルケニー?」
「うん。ごめん。私、蜘蛛が1番苦手で…。もう戦意喪失してる。一刻も早くこの場から逃げたい」
「どうしたら良い?」
私は有無を言わさずに目を瞑ると、巧の首にしがみ付いて、球体の結界を張り、そのまま回転しながら逃げた。アラクネ達が、結界を取り囲んだり、攻撃しながら追いかけて来るのが分かる。目を瞑ったまま、悲鳴を上げながら、何処とも知らず、めちゃくちゃに前に転がり進んだ。1時間以上はそのまま走り抜けた。何かの壁にぶち当たって、転がりが止まった。
「酔った…吐きそう」
巧は、気分悪そうに吐いていた。私はまだ目が開けられず、「もういない?」って聞いた。「いないよ」と言われて、ようやく目を開けた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
『気分爽快回復』
体調を回復した。
「空まで続く石垣なんて…」
「先に進めそうにないから、壁伝いに進んで見ようか?」
『自動書込地図』には、敵を示す赤い光は映っていなかった。
「飛んで行こう」
巧と手を繋いで飛翔した。やがて、入口が見えて来た。
「やっぱり思った通りだね?」
「この先にボスが居そうだな?」
警戒しながら入口に入ると、扉の間に来た。
「やっぱりかぁ」
半ば想像通りの展開となったが、中にいるボスがどんなのか分からない。ボスによっては苦戦するかも知れない。
気を引き締めて扉を開けた。
10
お気に入りに追加
274
あなたにおすすめの小説
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
連続寸止めで、イキたくて泣かされちゃう女の子のお話
まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)
「一日中、イかされちゃうのと、イケないままと、どっちが良い?」
久しぶりの恋人とのお休みに、食事中も映画を見ている時も、ずっと気持ち良くされちゃう女の子のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる