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【第5部〜旧世界の魔神編〜】
第1章 ダンジョン①
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ダンジョンを見に来ただけだったのに、吸い込まれる様にダンジョンに入ってしまった。巧が手を伸ばして私の手を掴んだけど、巧もダンジョンに入ってしまった。慌てて出ようと試みたけど、TVで見たように、透明な壁があるみたいで叩いても出られなかった。
外から見たダンジョンは、地面から土が盛り上がって出来た小高い土山に、ほら穴が空いた様な感じだった。
戻って出られないのなら、前に進むしかない。暗くてよく見えないので、光魔法を唱えた。
『光熱玉(ライト)』
この呪文は、本当は光の下級攻撃魔法だ。それを人差し指に留めて、周囲を明るく照らした。
「よく見えるね。熊とか出そうだな」
「熊ならまだ良いけどね…。入った人達が数ヶ月経っても誰も出て来ないって、異常じゃない?」
「それって…もしかすると…」
「そう、皆んな死んでる可能性があるって事だよ」
足元を照らしながら先に進んで行った。
「うっ…」
「どうした?」
そこには、ほとんど白骨化した、何かに食べられた遺体があった。「食べられた」と特定した理由は、お腹の辺りの服が明らかに食いちぎられていたからだ。その犯人に直ぐに出会う事になった。他の犠牲者の、もう殆ど肉など残っていない、骨にむしゃぶりつく何かがいた。それも複数だ。身長は120、130㎝前後くらいだろうか?二足歩行で鋭い牙を持つのが見えた。
「もしかすると、ゴブリンかな?」
魔界にもいなかったぞ?と思って身構えた。小鬼達は、棍棒の様な武器を持って振り回して来た。
『練気剣!』
気を練って剣を作り出すと、ゴブリンの群れに突っ込んだ。テンダラース(S10ランク)の自分が負けるはずなどない、と思い上がっていた。剣帝の剣技で、ゴブリン達をものともせずに斬り倒した。すると、奥にいた何かが私の隙を突いて、巨大なハンマーで殴った。10mくらい吹き飛び、背中をダンジョンの壁に打ち付け、背骨も肋骨も全て折れ、血の泡を吹いて絶命した。私は息絶える前に、巧に結界を張っていた。私を殺した主は、ゴブリンよりも更に、凶悪な顔をして筋骨隆々の化け物が現れた。
(オーガ…?)
それは、私を倒した後、巧に目掛けて攻撃をしたが、『光之堅牢』によって弾かれた。数発殴ったが、攻撃無効の堅牢によって阻まれた。オーガは巧への攻撃を諦めると、私の足首を掴んで引き摺り、肩に乗せた。私の傷はすでに治っていた。恐らく、こいつの住処で文字通り、私を料理するつもりだろう。先にダンジョンに入った者達は、もしかしたら皆んなコイツらに、食べられてしまったのかも知れない。
住処らしき場所は、竪穴式住居みたいな造りが建ち並んでいた。ダンジョンの中とは思えないほど広かった。周囲は松明が至る所に掲げられ、十分な明るさを得ていた。
こっちに向かって来たオーガが、指を差した。「私がまだ生きているぞ!」と教えたのか?と思ったけど、私を放り出して振り返った。巧だった。私を取り戻す為に追いかけて来たのだ。オーガが群れとなって巧を囲んだ。
『光之神槍』
密集してるお陰で、1発で数匹を貫通して倒した。
『暗黒薔薇鞭』
貫通効果のある鞭の為、防御は意味が無い。一振りで十数匹を倒した。鞭の当たる所、肉は裂け抉り取り、頭に当たれば弾ける様に破裂した。気が付けばオーガを皆殺しにしていて、返り血で全身が朱に染まっていた。
「瑞稀ありがとう。でもなんだか、めっちゃ怖かった」
「私が怖かったの?じゃあ、怒らせないでね?浮気しちゃダメよ。ふふふ」
『自動洗浄』『衣装替』と立て続けに呪文を唱えて、身だしなみを整えた。
オーガの村を探索すると、犠牲者の物と思われる遺留品や骨が見つかった。
『魔法箱』
それらを収納した。ダンジョンから脱出した時に報告しよう。生き返らせてあげられるけど、それは今じゃない。先程のオーガにも勝てなかった犠牲者達だ。ダンジョンは奥に進むほど、敵が強くなるのは常識だ。生き返らせた所で、足手纏いでしかない。私はテンダラース(S10)ランクだ。それなのに、オーガはそこそこ強かった。Sランク以上なのは間違いない。人類でSSSランクは私を外すと2人しかいない。つまり、このダンジョンを人類がクリアするのは至難の業だ。
その後、ゾンビ犬やオークを倒しながら進んだ。オークは多種の雌と交尾を繰り返して、種族を増やすと言う。私がオークの村に着いた時、3人の女性に群がるオークに犯されている所だった。巧に目を瞑らせて、オークを一掃すると、女性達は既に身籠っていた。「豚の子供なんて産みたくない」と叫んで、3人とも短剣で喉を突いて自害してしまった。彼女達も収納して、連れ帰る。生き返らせた後、お腹の子供はどうするか、その時にもう一度考えてもらおう。オークの成長は早いので、法的に子供を降ろして良い周期は越えしまっているだろう。彼女達もそれが分かっているから、死を選んだのだ。でもそれは人間の子供に当てはまる事だろう。
突き当たりまで来ると、大きな扉の前に来た。
「ふーん、なんだかパターンよね?ボスがいるんでしょう?」
「だろうな。引き戻せないし、入るしかないな」
巧は戦わせられない。武闘家AAAランクでは、勝てない敵がこれからゴロゴロ現れるに違いない。生き返らせられるけど、巧が傷を負うと私の心が折れる。パーティなら、私が1人で倒しても、巧にも経験値が入るはずだ。
扉に触れると静かに開いた。重そうな扉だったので、開かなかったらどうしようかと思った。中に入ると、少し薄暗くて目を凝らしても何もいなかった。すると突然、部屋が明るくなったと思ったら、天井から何かが降って来たので、咄嗟に巧を突き飛ばした。私の身体はゼリーの様な物に包まれ、呼吸が出来ずにもがいたけど、身体状態異常無効が発動して、窒息の状態異常が無効になり、この中でも呼吸が可能となった。今度は、身体こそ何ともなかったけど、衣服が溶け始めた。
(スライムか…それも超巨大な…)
某ゲームなどでは、序盤に登場し経験値稼ぎの雑魚扱いだけど、実際のスライムは、体液が強力な酸で出来ており、武器を腐敗させて、その身体の特性上において物理攻撃無効の超難敵だ。魔法でなければ倒す事は出来ない。
『火炎球』
スライムの身体の中から天井に向かって呪文を唱えると、スライムの身体を火炎球が蒸発させながら突き破ったので、私は脱出が出来た。
天井に向けて放った火炎球は、天井すれすれで浮いたまま停止していた。次に唱える呪文の布石の為だ。
『火炎矢雨』
天井から雨の様に炎が降り注いで、地表を焼いた。蒸発し、小さくなっていくスライムの身体に四角い塊りがあった。恐らく核だと思い、『光熱玉』で狙って破壊すると、スライムは完全に消滅した。
「終わった」
「瑞稀、大活躍で俺の出番は全く無かったな」
「スライムは通常攻撃が効かないから、武闘家とは相性が悪過ぎだったね」
にっこり微笑みかけると、巧は少し機嫌が良くなった。男性は女性の前では、格好付けたいよね?強い女性って、どうなの。これが原因で、別れるカップルもいるよね?
ボスを倒した部屋を隅々まで見ると、宝箱と地下への階段があった。宝箱を開けると、何だか良く分からないアイテムが入っていたので、魔法箱に入れた。
そう言えば強くなってる気がする。レベルを確認すると、12756だった。巧を見ると、レベル1037だった。人間ってレベル100がせいぜいだ。めっちゃ上がっている。私は魔界や天界で戦った上に、唯一神を倒した時に、一気にレベルが1万ほど上がっていた。
「下に降りて見ようか?」
ボス戦で入って来た扉は閉まっていて、開きそうもなかったので、降りるしかない。
「うん」
恐る恐る階段を降りた。
外から見たダンジョンは、地面から土が盛り上がって出来た小高い土山に、ほら穴が空いた様な感じだった。
戻って出られないのなら、前に進むしかない。暗くてよく見えないので、光魔法を唱えた。
『光熱玉(ライト)』
この呪文は、本当は光の下級攻撃魔法だ。それを人差し指に留めて、周囲を明るく照らした。
「よく見えるね。熊とか出そうだな」
「熊ならまだ良いけどね…。入った人達が数ヶ月経っても誰も出て来ないって、異常じゃない?」
「それって…もしかすると…」
「そう、皆んな死んでる可能性があるって事だよ」
足元を照らしながら先に進んで行った。
「うっ…」
「どうした?」
そこには、ほとんど白骨化した、何かに食べられた遺体があった。「食べられた」と特定した理由は、お腹の辺りの服が明らかに食いちぎられていたからだ。その犯人に直ぐに出会う事になった。他の犠牲者の、もう殆ど肉など残っていない、骨にむしゃぶりつく何かがいた。それも複数だ。身長は120、130㎝前後くらいだろうか?二足歩行で鋭い牙を持つのが見えた。
「もしかすると、ゴブリンかな?」
魔界にもいなかったぞ?と思って身構えた。小鬼達は、棍棒の様な武器を持って振り回して来た。
『練気剣!』
気を練って剣を作り出すと、ゴブリンの群れに突っ込んだ。テンダラース(S10ランク)の自分が負けるはずなどない、と思い上がっていた。剣帝の剣技で、ゴブリン達をものともせずに斬り倒した。すると、奥にいた何かが私の隙を突いて、巨大なハンマーで殴った。10mくらい吹き飛び、背中をダンジョンの壁に打ち付け、背骨も肋骨も全て折れ、血の泡を吹いて絶命した。私は息絶える前に、巧に結界を張っていた。私を殺した主は、ゴブリンよりも更に、凶悪な顔をして筋骨隆々の化け物が現れた。
(オーガ…?)
それは、私を倒した後、巧に目掛けて攻撃をしたが、『光之堅牢』によって弾かれた。数発殴ったが、攻撃無効の堅牢によって阻まれた。オーガは巧への攻撃を諦めると、私の足首を掴んで引き摺り、肩に乗せた。私の傷はすでに治っていた。恐らく、こいつの住処で文字通り、私を料理するつもりだろう。先にダンジョンに入った者達は、もしかしたら皆んなコイツらに、食べられてしまったのかも知れない。
住処らしき場所は、竪穴式住居みたいな造りが建ち並んでいた。ダンジョンの中とは思えないほど広かった。周囲は松明が至る所に掲げられ、十分な明るさを得ていた。
こっちに向かって来たオーガが、指を差した。「私がまだ生きているぞ!」と教えたのか?と思ったけど、私を放り出して振り返った。巧だった。私を取り戻す為に追いかけて来たのだ。オーガが群れとなって巧を囲んだ。
『光之神槍』
密集してるお陰で、1発で数匹を貫通して倒した。
『暗黒薔薇鞭』
貫通効果のある鞭の為、防御は意味が無い。一振りで十数匹を倒した。鞭の当たる所、肉は裂け抉り取り、頭に当たれば弾ける様に破裂した。気が付けばオーガを皆殺しにしていて、返り血で全身が朱に染まっていた。
「瑞稀ありがとう。でもなんだか、めっちゃ怖かった」
「私が怖かったの?じゃあ、怒らせないでね?浮気しちゃダメよ。ふふふ」
『自動洗浄』『衣装替』と立て続けに呪文を唱えて、身だしなみを整えた。
オーガの村を探索すると、犠牲者の物と思われる遺留品や骨が見つかった。
『魔法箱』
それらを収納した。ダンジョンから脱出した時に報告しよう。生き返らせてあげられるけど、それは今じゃない。先程のオーガにも勝てなかった犠牲者達だ。ダンジョンは奥に進むほど、敵が強くなるのは常識だ。生き返らせた所で、足手纏いでしかない。私はテンダラース(S10)ランクだ。それなのに、オーガはそこそこ強かった。Sランク以上なのは間違いない。人類でSSSランクは私を外すと2人しかいない。つまり、このダンジョンを人類がクリアするのは至難の業だ。
その後、ゾンビ犬やオークを倒しながら進んだ。オークは多種の雌と交尾を繰り返して、種族を増やすと言う。私がオークの村に着いた時、3人の女性に群がるオークに犯されている所だった。巧に目を瞑らせて、オークを一掃すると、女性達は既に身籠っていた。「豚の子供なんて産みたくない」と叫んで、3人とも短剣で喉を突いて自害してしまった。彼女達も収納して、連れ帰る。生き返らせた後、お腹の子供はどうするか、その時にもう一度考えてもらおう。オークの成長は早いので、法的に子供を降ろして良い周期は越えしまっているだろう。彼女達もそれが分かっているから、死を選んだのだ。でもそれは人間の子供に当てはまる事だろう。
突き当たりまで来ると、大きな扉の前に来た。
「ふーん、なんだかパターンよね?ボスがいるんでしょう?」
「だろうな。引き戻せないし、入るしかないな」
巧は戦わせられない。武闘家AAAランクでは、勝てない敵がこれからゴロゴロ現れるに違いない。生き返らせられるけど、巧が傷を負うと私の心が折れる。パーティなら、私が1人で倒しても、巧にも経験値が入るはずだ。
扉に触れると静かに開いた。重そうな扉だったので、開かなかったらどうしようかと思った。中に入ると、少し薄暗くて目を凝らしても何もいなかった。すると突然、部屋が明るくなったと思ったら、天井から何かが降って来たので、咄嗟に巧を突き飛ばした。私の身体はゼリーの様な物に包まれ、呼吸が出来ずにもがいたけど、身体状態異常無効が発動して、窒息の状態異常が無効になり、この中でも呼吸が可能となった。今度は、身体こそ何ともなかったけど、衣服が溶け始めた。
(スライムか…それも超巨大な…)
某ゲームなどでは、序盤に登場し経験値稼ぎの雑魚扱いだけど、実際のスライムは、体液が強力な酸で出来ており、武器を腐敗させて、その身体の特性上において物理攻撃無効の超難敵だ。魔法でなければ倒す事は出来ない。
『火炎球』
スライムの身体の中から天井に向かって呪文を唱えると、スライムの身体を火炎球が蒸発させながら突き破ったので、私は脱出が出来た。
天井に向けて放った火炎球は、天井すれすれで浮いたまま停止していた。次に唱える呪文の布石の為だ。
『火炎矢雨』
天井から雨の様に炎が降り注いで、地表を焼いた。蒸発し、小さくなっていくスライムの身体に四角い塊りがあった。恐らく核だと思い、『光熱玉』で狙って破壊すると、スライムは完全に消滅した。
「終わった」
「瑞稀、大活躍で俺の出番は全く無かったな」
「スライムは通常攻撃が効かないから、武闘家とは相性が悪過ぎだったね」
にっこり微笑みかけると、巧は少し機嫌が良くなった。男性は女性の前では、格好付けたいよね?強い女性って、どうなの。これが原因で、別れるカップルもいるよね?
ボスを倒した部屋を隅々まで見ると、宝箱と地下への階段があった。宝箱を開けると、何だか良く分からないアイテムが入っていたので、魔法箱に入れた。
そう言えば強くなってる気がする。レベルを確認すると、12756だった。巧を見ると、レベル1037だった。人間ってレベル100がせいぜいだ。めっちゃ上がっている。私は魔界や天界で戦った上に、唯一神を倒した時に、一気にレベルが1万ほど上がっていた。
「下に降りて見ようか?」
ボス戦で入って来た扉は閉まっていて、開きそうもなかったので、降りるしかない。
「うん」
恐る恐る階段を降りた。
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