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【第4部〜西洋の神々編〜】
第9章 西洋の神々24
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「うぅあぁらあぁぁぁ!」
渾身の力を込めて『黒薔薇拘束(ダークローズバインド)』から力づくで脱出を試みると、上半身と下半身が引きちぎれた。すぐに回復して、身体は元に戻った。
「凄い事をするわね。そんな外し方したの貴女が初めてよ?」
『光之神槍(ライトニングジャベリン)』
光の速さで貫通するはずの槍も、ひらりと躱(かわ)された。
『大蛇鞭(サーペントウィップ)』
カウンター攻撃され、私は躱(かわ)しきれずに、左膝から下が吹き飛んだ。
「あうっ…」
痛がる余裕も無く、連続で鞭を打たれて右肩に当たると、腕ごと無くなった。たまらず『光速飛翔(ライトニングレイヴン)』で距離を取ろうとしたが、ピッタリとくっついて引き離す事が出来なかった。
『神聖讃美歌(ホーリー)』
光の即死呪文を唱えてみたけど、効果が無かった。
『死誘鎮魂歌(レクイエム)』
その瞬間、リリスの心臓の鼓動は止まり、瞳孔が開いた。地面にゆっくり落ちて行くリリスをスローモーションの様に感じながら、見ていた。
地面に降り立つと、リリスは飛び降り自殺者の様に、手足はあらぬ方に折れ曲がり、頭は割れて脳髄が飛び散っていた。
『黄泉還反魂(リザルト)』
リリスは蘇(よみがえ)った。基本的に私に敵対した相手を生き返らせる時は、『黄泉還反魂(リザルト)』を使う事にしている。蘇生した術者の命令を聞く様になる為、単純に蘇生した場合、再び敵になりそうな相手に使うのだ。
「はぁ、はぁ、はぁ。やった、格上相手にも勝てたよ」
私はリリスを倒した後、リリスと一緒に西洋の神々の軍勢に向かって行った。
ティサァナジュム(S9)ランク同士の死闘は苛烈を極めた。両者の武勇は完全に互角で、互いの考えが読めるのか寸分違わず同時に同じ攻撃を繰り出していた。
「2人とも動きも同じ、よく見たら顔もそっくりじゃないの?男と女の違いはあるけれど」
「知らないの?ミカエルは夫(ルシファー)の双子の妹なのよ」
「えぇ!?そうだったんだ」
「大天使長ルシフェル。それが堕天する前の夫の名前。唯一神は、かつて自らが生み出した人類を滅ぼそうとしたの。唯一神は身勝手で、神である自分を模して最初に作ったアダムに対して、土下座して敬えと強要し、それを夫は拒んだの。そして今度は都合が悪くなった為に、人類を滅ぼそうとした。夫は神の都合で滅ぼされる人類を憐れに思い、考えを改めさせようと訴えたわ。すると、夫が錯乱したので討ち滅ぼせと命じたの。進退極まった夫は、自らの眷属を率いて神と戦ったわ。戦うしか無かったのよ。戦わなければ殺されるだけ。挙兵し、謀叛する様に追い込んだのは神の方なのよ。多勢に無勢。結果は最初から見えていた。夫は敗れ、金色に輝いていた12枚の羽は引き裂かれて黒く染まり、魔界に流刑されて封印されたの。神は人類を守る為に戦った夫に対して、人類の敵であると吹聴して貶(おとし)めたのよ。夫が一体何をしたと言うのよ?神に陥(おとしい)れられた夫と我が同胞達の怒り、憎しみ、恨み、無念、悲しみは必ず晴らす!」
「そんなの悲し過ぎる。それが本当なら、絶対に許せない!」
「それに夫は、貴女の為に神と戦ったのよ」
「どう言う事なの?」
「貴女は唯一神の娘。唯一神の本当の名前は、YHWHと言うの。その妻、つまり貴女の母親の名前は、アシェラと言って、2人の間に生まれた子なの。まだ幼かった貴女は、ルシフェルやミカエルなどの神々の他に、アダムにも遊んでもらいながら育てられたわ。アダムが天界から追放された時、貴女はアダムと一緒に地上に降りたわ。人類として生きる事を選んだのよ。唯一神が人類を滅ぼすと言い出した時、夫は貴女が人間界にいるので、せめて救い出してからにしようと、提案したの。でも神に拒まれ、貴女を守る為に戦ったのよ」
「そんな…」
「幼い貴女は夫に懐いていたわ。とても愛らしい娘だった。夫は別に幼女愛好者(ロリコン)なんかじゃないわよ。自分に懐いていた可愛い貴女が、今や絶世の美女だもの。愛さずにはいられなかったのよ。これが貴女を妻にしようとした理由よ」
悲し過ぎる事実を聞いて、私は泣き出していた。堕天した理由が私を守る為だったなんて。それに卑劣過ぎる。ルシファーを討伐するのに、実の双子の妹と戦わせるなんて。悲しみと怒りに心が支配され、感情がぐちゃぐちゃになって思考が追いつかず、私はただ泣いていた。
渾身の力を込めて『黒薔薇拘束(ダークローズバインド)』から力づくで脱出を試みると、上半身と下半身が引きちぎれた。すぐに回復して、身体は元に戻った。
「凄い事をするわね。そんな外し方したの貴女が初めてよ?」
『光之神槍(ライトニングジャベリン)』
光の速さで貫通するはずの槍も、ひらりと躱(かわ)された。
『大蛇鞭(サーペントウィップ)』
カウンター攻撃され、私は躱(かわ)しきれずに、左膝から下が吹き飛んだ。
「あうっ…」
痛がる余裕も無く、連続で鞭を打たれて右肩に当たると、腕ごと無くなった。たまらず『光速飛翔(ライトニングレイヴン)』で距離を取ろうとしたが、ピッタリとくっついて引き離す事が出来なかった。
『神聖讃美歌(ホーリー)』
光の即死呪文を唱えてみたけど、効果が無かった。
『死誘鎮魂歌(レクイエム)』
その瞬間、リリスの心臓の鼓動は止まり、瞳孔が開いた。地面にゆっくり落ちて行くリリスをスローモーションの様に感じながら、見ていた。
地面に降り立つと、リリスは飛び降り自殺者の様に、手足はあらぬ方に折れ曲がり、頭は割れて脳髄が飛び散っていた。
『黄泉還反魂(リザルト)』
リリスは蘇(よみがえ)った。基本的に私に敵対した相手を生き返らせる時は、『黄泉還反魂(リザルト)』を使う事にしている。蘇生した術者の命令を聞く様になる為、単純に蘇生した場合、再び敵になりそうな相手に使うのだ。
「はぁ、はぁ、はぁ。やった、格上相手にも勝てたよ」
私はリリスを倒した後、リリスと一緒に西洋の神々の軍勢に向かって行った。
ティサァナジュム(S9)ランク同士の死闘は苛烈を極めた。両者の武勇は完全に互角で、互いの考えが読めるのか寸分違わず同時に同じ攻撃を繰り出していた。
「2人とも動きも同じ、よく見たら顔もそっくりじゃないの?男と女の違いはあるけれど」
「知らないの?ミカエルは夫(ルシファー)の双子の妹なのよ」
「えぇ!?そうだったんだ」
「大天使長ルシフェル。それが堕天する前の夫の名前。唯一神は、かつて自らが生み出した人類を滅ぼそうとしたの。唯一神は身勝手で、神である自分を模して最初に作ったアダムに対して、土下座して敬えと強要し、それを夫は拒んだの。そして今度は都合が悪くなった為に、人類を滅ぼそうとした。夫は神の都合で滅ぼされる人類を憐れに思い、考えを改めさせようと訴えたわ。すると、夫が錯乱したので討ち滅ぼせと命じたの。進退極まった夫は、自らの眷属を率いて神と戦ったわ。戦うしか無かったのよ。戦わなければ殺されるだけ。挙兵し、謀叛する様に追い込んだのは神の方なのよ。多勢に無勢。結果は最初から見えていた。夫は敗れ、金色に輝いていた12枚の羽は引き裂かれて黒く染まり、魔界に流刑されて封印されたの。神は人類を守る為に戦った夫に対して、人類の敵であると吹聴して貶(おとし)めたのよ。夫が一体何をしたと言うのよ?神に陥(おとしい)れられた夫と我が同胞達の怒り、憎しみ、恨み、無念、悲しみは必ず晴らす!」
「そんなの悲し過ぎる。それが本当なら、絶対に許せない!」
「それに夫は、貴女の為に神と戦ったのよ」
「どう言う事なの?」
「貴女は唯一神の娘。唯一神の本当の名前は、YHWHと言うの。その妻、つまり貴女の母親の名前は、アシェラと言って、2人の間に生まれた子なの。まだ幼かった貴女は、ルシフェルやミカエルなどの神々の他に、アダムにも遊んでもらいながら育てられたわ。アダムが天界から追放された時、貴女はアダムと一緒に地上に降りたわ。人類として生きる事を選んだのよ。唯一神が人類を滅ぼすと言い出した時、夫は貴女が人間界にいるので、せめて救い出してからにしようと、提案したの。でも神に拒まれ、貴女を守る為に戦ったのよ」
「そんな…」
「幼い貴女は夫に懐いていたわ。とても愛らしい娘だった。夫は別に幼女愛好者(ロリコン)なんかじゃないわよ。自分に懐いていた可愛い貴女が、今や絶世の美女だもの。愛さずにはいられなかったのよ。これが貴女を妻にしようとした理由よ」
悲し過ぎる事実を聞いて、私は泣き出していた。堕天した理由が私を守る為だったなんて。それに卑劣過ぎる。ルシファーを討伐するのに、実の双子の妹と戦わせるなんて。悲しみと怒りに心が支配され、感情がぐちゃぐちゃになって思考が追いつかず、私はただ泣いていた。
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