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【第4部〜西洋の神々編〜】
第9章 西洋の神々20
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ルシファーがソロモンを連れ去った方向に飛んで向かおうとすると、再びベルゼブブが現れた。
「陛下が貴女の第1の封印を解くそうよ。ついて来なさい」
そう言うと、大量の蝿が集まって来た。
「ひぇぇぇっ。わ、私、その…ちょっと虫が苦手で…」
ベルゼブブにイラっとされて、無理矢理に蝿が模(かたど)った空飛ぶ絨毯の様な乗り物に乗せられた。
「待って、私も!」
そう言って手を伸ばしたミーレの手を取って、蝿の絨毯に乗せた。
ベルゼブブの超高速飛行に、蝿の絨毯はついて行く。私の『光速飛翔(ライトニングレイヴン)』よりも速い。風圧で2人とも髪がボサボサになるのを片手で押さえ、片手で何処を掴んで良いか分からないけど、その辺りを掴んでいると、蝿の羽ばたきが掌(てのひら)に伝わり、気持ち悪い。何処に行くか知らないけど、早く着いてと祈った。
1時間くらいだろうか?いや、体感的にそう感じただけで、実際は30分も経っていないかも知れない。しかし、振り落とされまいと、しがみついていた手の握力の感覚は既に無く、地上に降り立った時にはフラフラだった。
「はぁぁ、やっと着いた。死んじゃいそう」
ミーレは無言で蝿の絨毯が降りると、足もフラフラで、立ち上がる事すら出来ずに匍匐前進をしていた。そんな状態でもソロモンの事が気掛かりなのね?愛の力は偉大だわ。と思い、感動して涙が出た。
「何よ?せっかくあの子達が乗せてあげたのに、そんなに嫌だったの?」
「あ、いえ、別にそう言う訳では…」
私が泣いたのが、蝿に乗っていたからだと思ったのだろう。吹き飛ばされないか怖くて、蝿に乗ってた概念なんて頭になかったよ。私の全身が蝿にくっついてたと思ったら、今更に気持ち悪くなって来た。せっかく忘れていたのに…。
ルシファーはソロモンを鉄の柱に括り付けて、鉄の柱に炎を纏わせると、肉の焼けた匂いが辺りに充満した。
「封印を解け、ソロモン。我が同胞を返せ」
「うがあぁぁ」
「強情を張るなら構わん。お前の女も連れて来ている。目の前で弄(もてあそ)んだ後、骨になるまで肉を千切って、嬲り殺しにしてやろう。ベルゼ、連れて来い!」
「もう連れて来ているわよ」
ミーレの服を背後から引き裂き、白い胸を露わにして鷲掴みにした。
「女には興味ないのよねぇ、私。でも陛下の命令なら仕方なく抱くわよ、どうする?」
「止めてくれ!いや、止めて下さい。封印は解きますから…」
ソロモンが何やらブツブツと聞き取れない呪文を唱えると、封印が解け、悪魔達が次々と目の前に現れた。
「ははははは、ようやく封印が解けたわ!」
「ルシファー陛下に感謝を!」
大悪魔達がルシファーに平伏した。ルシファーが指を鳴らすと、ソロモンが柱に括り付けられていた戒めが解けて自由になったが、背中や太腿などの肉は焼け、グッタリして地面に転がると、大悪魔達に取り囲まれた。
「待って、待って!」
私は両手を広げて、ソロモンを庇う格好を取った。
「何だ、こいつは?」
「その娘は、現魔界の女帝なのよ」
「こいつが?」
「あははは、何の冗談だ?」
「おい、おい、本気で言っているのか?」
「ふふふ、可笑しいけど、本当の事よ。でも勘違いしないでね?私達が女帝にしたんじゃ無くてよ」
「全く、今の魔界はどうなってんだ?世も末だな、おぃ!」
「違いない。俺たちが封印されている間に、魔界も落ちぶれたものだ。嘆かわしい」
大悪魔達は、口々に不満をぶつけた。
「おい、女帝さんよ。あんたの顔を立ててやりたいが、そいつはダメだ。俺たちを封印した野郎だけは、生かしちゃおけない」
「生皮を剥いで塩水に漬け、両目を抉り、耳、鼻を削ぐ。その後は身体中に針を刺す。何本で死ぬかな?ヒヒヒヒヒ」
口々に言いたい放題だ。
「そんな事はさせないわ!」
頭に来て、怒鳴り口調で言った。
「何だぁ、こいつ?女帝とか持て囃されて、勘違いしちゃった奴かぁ?あははは、たかがSSSランク如きが、この俺様に指図するつもりかぁ?殺すぞ!」
「やって見ろよ、小僧!」
「こ、小僧だとぉ!8千年も生きてる、この俺様を小僧だとぉ!許さん、殺すぅぅぅ」
「止せ、グラシャラボス!その女を傷付ける事は許さん」
「ゆ、許さんですと?何故です、陛下!魔界は貴方様のモノです。貴方様が不在の魔界を我が物顔で牛耳っているのですぞ!」
「その女はな、ただの人間の小娘にしか見えんが、唯一神の娘だ。1つ封印を解けばファイブスターに、2つ封印を解けばセブンスターに、3つ封印を解けばテンダラース(S10)になる」
「何と!こ、この娘が唯一神の…?しかも、テンダラース(S10)だと?信じられん。ルシファー陛下より上ではないか…」
私はテンダラースの意味が分からずに、キョトンとしていたが、それを聞いた大悪魔達は大人しくなった。
「なるほど、今の魔界には阿呆しかいないのかと思いきや、それならば納得だ…」
「もしソロモンを殺しても私が生き返らせるから。ソロモン、指輪を渡して」
ソロモンから指輪を受け取った。
「これでもう封印される事は無いでしょう?取り敢えず、一緒に戻りましょう」
「何処へだ?」
「東洋天界へ」
「何故だ?」
「東洋天界と西洋天界は戦争中で、私を含めた魔軍は東洋天界にいるのよ」
「あははは、笑わせてくれるぜ。何故、俺らがお前らに従って戦ってやらねばならんのだ?」
「えー、だって魔界の仲間でしょう?」
「あははは」
「ひゃーひゃ、ひゃひゃ」
「ひー、こりゃ良い。久しぶりに笑わせてもらったわ」
大悪魔達は、お腹を抱えて大笑いしていた。
「仲間だとよ?」
「仲間と来たか、そりゃ良いわぃ。ははは」
「?」
何がツボで笑っているのか理解出来ないが、馬鹿にされた事だけは分かる。ムッとして、笑ってる悪魔達を睨んでやった。
「何で皆んな笑っているのか理解出来ていない様ね?私たち悪魔は、利害関係で成り立っているから、仲間なんて意識は無いのよ?ただし、神は敵。敵側に対して私達の側がある。と言うくらいには自分が属している立ち位置は把握しているわね。私は魔界の宰相だったけど、こんな奴らが言う事を聞くと思う?力づくで従わせる他ないのよ。貴女もね、彼らに言う事を聞かせられるくらい力を付けなきゃね」
「もう話は終わったか?第1の封印を解くぞ」
ルシファーが言うと、大悪魔達は静まり返った。皆んなルシファーを陛下と呼び、大人しく従っている。やはり、とんでもなく強いのだろう。確かに、ゲームなんかじゃ、ラスボスだよね?
「ソロモンの指輪を出せ!」
ルシファーに言われるがままに、私は指輪を差し出すと、何やら呪文を唱え始めた。宙に浮き上がったソロモンの指輪が、青白い光を放つと、私の胸の中に吸い込まれる様に消えた。瞬間、身体中が燃える様に熱く感じ、肩と胸の間を手で押さえてうずくまった。
「熱い、熱い、熱い、熱い、熱い…」
そのまま意識を失った後、うっすらと目を開けると、私の全身が光に包まれていた。「何コレ?凄い力を感じる」
私の髪の毛は、銀色に染まっていた。
「自慢の黒髪だったのに…」
変わった所は髪だけか?と疑って自分の身体を見回した。
「第1の封印は解けた様だな?」
ルシファーに言われたけど、ファイブスターになった気はしない。でもこれで阿籍やゼウスと同じランクね、もう負けないわ。と思った。
「さて、封印も解けたし。行こうか?」
「何処へ?」
「お前が言ったのだろう。東洋天界へ」
「ありがとう。仲間が待っているよ」
「仲間ねぇ…」
ベルゼブブは、ヤレヤレと言った表情で私を見ていた。
「陛下が貴女の第1の封印を解くそうよ。ついて来なさい」
そう言うと、大量の蝿が集まって来た。
「ひぇぇぇっ。わ、私、その…ちょっと虫が苦手で…」
ベルゼブブにイラっとされて、無理矢理に蝿が模(かたど)った空飛ぶ絨毯の様な乗り物に乗せられた。
「待って、私も!」
そう言って手を伸ばしたミーレの手を取って、蝿の絨毯に乗せた。
ベルゼブブの超高速飛行に、蝿の絨毯はついて行く。私の『光速飛翔(ライトニングレイヴン)』よりも速い。風圧で2人とも髪がボサボサになるのを片手で押さえ、片手で何処を掴んで良いか分からないけど、その辺りを掴んでいると、蝿の羽ばたきが掌(てのひら)に伝わり、気持ち悪い。何処に行くか知らないけど、早く着いてと祈った。
1時間くらいだろうか?いや、体感的にそう感じただけで、実際は30分も経っていないかも知れない。しかし、振り落とされまいと、しがみついていた手の握力の感覚は既に無く、地上に降り立った時にはフラフラだった。
「はぁぁ、やっと着いた。死んじゃいそう」
ミーレは無言で蝿の絨毯が降りると、足もフラフラで、立ち上がる事すら出来ずに匍匐前進をしていた。そんな状態でもソロモンの事が気掛かりなのね?愛の力は偉大だわ。と思い、感動して涙が出た。
「何よ?せっかくあの子達が乗せてあげたのに、そんなに嫌だったの?」
「あ、いえ、別にそう言う訳では…」
私が泣いたのが、蝿に乗っていたからだと思ったのだろう。吹き飛ばされないか怖くて、蝿に乗ってた概念なんて頭になかったよ。私の全身が蝿にくっついてたと思ったら、今更に気持ち悪くなって来た。せっかく忘れていたのに…。
ルシファーはソロモンを鉄の柱に括り付けて、鉄の柱に炎を纏わせると、肉の焼けた匂いが辺りに充満した。
「封印を解け、ソロモン。我が同胞を返せ」
「うがあぁぁ」
「強情を張るなら構わん。お前の女も連れて来ている。目の前で弄(もてあそ)んだ後、骨になるまで肉を千切って、嬲り殺しにしてやろう。ベルゼ、連れて来い!」
「もう連れて来ているわよ」
ミーレの服を背後から引き裂き、白い胸を露わにして鷲掴みにした。
「女には興味ないのよねぇ、私。でも陛下の命令なら仕方なく抱くわよ、どうする?」
「止めてくれ!いや、止めて下さい。封印は解きますから…」
ソロモンが何やらブツブツと聞き取れない呪文を唱えると、封印が解け、悪魔達が次々と目の前に現れた。
「ははははは、ようやく封印が解けたわ!」
「ルシファー陛下に感謝を!」
大悪魔達がルシファーに平伏した。ルシファーが指を鳴らすと、ソロモンが柱に括り付けられていた戒めが解けて自由になったが、背中や太腿などの肉は焼け、グッタリして地面に転がると、大悪魔達に取り囲まれた。
「待って、待って!」
私は両手を広げて、ソロモンを庇う格好を取った。
「何だ、こいつは?」
「その娘は、現魔界の女帝なのよ」
「こいつが?」
「あははは、何の冗談だ?」
「おい、おい、本気で言っているのか?」
「ふふふ、可笑しいけど、本当の事よ。でも勘違いしないでね?私達が女帝にしたんじゃ無くてよ」
「全く、今の魔界はどうなってんだ?世も末だな、おぃ!」
「違いない。俺たちが封印されている間に、魔界も落ちぶれたものだ。嘆かわしい」
大悪魔達は、口々に不満をぶつけた。
「おい、女帝さんよ。あんたの顔を立ててやりたいが、そいつはダメだ。俺たちを封印した野郎だけは、生かしちゃおけない」
「生皮を剥いで塩水に漬け、両目を抉り、耳、鼻を削ぐ。その後は身体中に針を刺す。何本で死ぬかな?ヒヒヒヒヒ」
口々に言いたい放題だ。
「そんな事はさせないわ!」
頭に来て、怒鳴り口調で言った。
「何だぁ、こいつ?女帝とか持て囃されて、勘違いしちゃった奴かぁ?あははは、たかがSSSランク如きが、この俺様に指図するつもりかぁ?殺すぞ!」
「やって見ろよ、小僧!」
「こ、小僧だとぉ!8千年も生きてる、この俺様を小僧だとぉ!許さん、殺すぅぅぅ」
「止せ、グラシャラボス!その女を傷付ける事は許さん」
「ゆ、許さんですと?何故です、陛下!魔界は貴方様のモノです。貴方様が不在の魔界を我が物顔で牛耳っているのですぞ!」
「その女はな、ただの人間の小娘にしか見えんが、唯一神の娘だ。1つ封印を解けばファイブスターに、2つ封印を解けばセブンスターに、3つ封印を解けばテンダラース(S10)になる」
「何と!こ、この娘が唯一神の…?しかも、テンダラース(S10)だと?信じられん。ルシファー陛下より上ではないか…」
私はテンダラースの意味が分からずに、キョトンとしていたが、それを聞いた大悪魔達は大人しくなった。
「なるほど、今の魔界には阿呆しかいないのかと思いきや、それならば納得だ…」
「もしソロモンを殺しても私が生き返らせるから。ソロモン、指輪を渡して」
ソロモンから指輪を受け取った。
「これでもう封印される事は無いでしょう?取り敢えず、一緒に戻りましょう」
「何処へだ?」
「東洋天界へ」
「何故だ?」
「東洋天界と西洋天界は戦争中で、私を含めた魔軍は東洋天界にいるのよ」
「あははは、笑わせてくれるぜ。何故、俺らがお前らに従って戦ってやらねばならんのだ?」
「えー、だって魔界の仲間でしょう?」
「あははは」
「ひゃーひゃ、ひゃひゃ」
「ひー、こりゃ良い。久しぶりに笑わせてもらったわ」
大悪魔達は、お腹を抱えて大笑いしていた。
「仲間だとよ?」
「仲間と来たか、そりゃ良いわぃ。ははは」
「?」
何がツボで笑っているのか理解出来ないが、馬鹿にされた事だけは分かる。ムッとして、笑ってる悪魔達を睨んでやった。
「何で皆んな笑っているのか理解出来ていない様ね?私たち悪魔は、利害関係で成り立っているから、仲間なんて意識は無いのよ?ただし、神は敵。敵側に対して私達の側がある。と言うくらいには自分が属している立ち位置は把握しているわね。私は魔界の宰相だったけど、こんな奴らが言う事を聞くと思う?力づくで従わせる他ないのよ。貴女もね、彼らに言う事を聞かせられるくらい力を付けなきゃね」
「もう話は終わったか?第1の封印を解くぞ」
ルシファーが言うと、大悪魔達は静まり返った。皆んなルシファーを陛下と呼び、大人しく従っている。やはり、とんでもなく強いのだろう。確かに、ゲームなんかじゃ、ラスボスだよね?
「ソロモンの指輪を出せ!」
ルシファーに言われるがままに、私は指輪を差し出すと、何やら呪文を唱え始めた。宙に浮き上がったソロモンの指輪が、青白い光を放つと、私の胸の中に吸い込まれる様に消えた。瞬間、身体中が燃える様に熱く感じ、肩と胸の間を手で押さえてうずくまった。
「熱い、熱い、熱い、熱い、熱い…」
そのまま意識を失った後、うっすらと目を開けると、私の全身が光に包まれていた。「何コレ?凄い力を感じる」
私の髪の毛は、銀色に染まっていた。
「自慢の黒髪だったのに…」
変わった所は髪だけか?と疑って自分の身体を見回した。
「第1の封印は解けた様だな?」
ルシファーに言われたけど、ファイブスターになった気はしない。でもこれで阿籍やゼウスと同じランクね、もう負けないわ。と思った。
「さて、封印も解けたし。行こうか?」
「何処へ?」
「お前が言ったのだろう。東洋天界へ」
「ありがとう。仲間が待っているよ」
「仲間ねぇ…」
ベルゼブブは、ヤレヤレと言った表情で私を見ていた。
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