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【第4部〜西洋の神々編〜】
第9章 西洋の神々15
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「本当に、こんな所にいるの?」
「はい、此方です」
私は侍女を先頭に、後を追っていた。ソロモンに会える段取りをつけてもらい、ようやく実現した。ソロモンを狙っている者が多い為か、町外れの簡素な古民家が立ち並ぶ集落に来た。ここは空き家も多いと聞く。身を隠すのには、却って好都合なのかも知れないな?と納得した。
侍女は、そのうちの、とある古民家に入った。家の中だが地面が剥き出しになっている広間が続く。昔の日本家屋もこんな感じだったと聞いた事がある。お風呂は薪を焚べる五右衛門風呂なので、家の中でも靴を履いたままの場所があると。
侍女について行くと、奥の部屋に井戸があった。部屋の中に井戸?と不思議な感じがしながらも、侍女が井戸の中を降りて行くので、後を追った。井戸の底は薄暗く、目を凝らしてもよく見えない。侍女は慣れた感じで、井戸の横穴を抜けて行く。すると、普通の家の部屋に出た。部屋の壁はレンガで出来ていて、触ると少しヒンヤリとしていた。部屋の中には蝋燭が灯っていたので、意外なほど明るかった。そこを更に迷路の様に抜けると、大広間に出た。
「俺に用があるらしいな?闇の女帝…」
「キャッ」
急に背後から声がしたので、驚いて思わず悲鳴を上げてしまった。
「闇の帝王でありながら、これしきの事で悲鳴を上げるのか?」
「急に声かけられたら誰でも驚くじゃない?だって私、ただの人間だし…」
「ただの人間が、こんな所まで来れるはずが無いだろう?」
「ソロモン…」
侍女がそんな事を話す為に、ここまで来たんじゃない、と割り込んだ。
「すまない。早速だが、本題に入ろうか。その前に聞きたい事がある」
「どんな事でしょうか?」
「貴女は人間なのか?それとも悪魔なのか?」
「何言っているのよ、私は人間だって言ったじゃない」
「ふふふ、貴女の口から人間側なのか悪魔側なのか、ハッキリ聞いておきたかったのだ。人間だと言った貴女の言葉を信じよう」
「はい」
「俺は人間で、イスラエル王国の国王だった。ヤハウェの神殿や宮殿を建てた功績により、ヤハウェから指輪を授けられた。悪魔を封印し、使役出来る指輪だ」
そう言うと右の中指に、はめられた黄金に輝く指輪を見せられた。
「ソロモンの指輪として有名ですよ」
「そうか?」
「どうして私に会ってくれたのでしょう?」
「それは…」
ソロモンが私に指輪を向けると、私の身体は指輪の中に吸い込まれた。
「ふふふ、それは、お前を封印する為だ。お前を使役すれば、俺の身の安全は確保される。あははは」
ソロモンの笑い声が井戸の中の部屋に反射して大きくなり、侍女も合わせて笑った。
「はい、此方です」
私は侍女を先頭に、後を追っていた。ソロモンに会える段取りをつけてもらい、ようやく実現した。ソロモンを狙っている者が多い為か、町外れの簡素な古民家が立ち並ぶ集落に来た。ここは空き家も多いと聞く。身を隠すのには、却って好都合なのかも知れないな?と納得した。
侍女は、そのうちの、とある古民家に入った。家の中だが地面が剥き出しになっている広間が続く。昔の日本家屋もこんな感じだったと聞いた事がある。お風呂は薪を焚べる五右衛門風呂なので、家の中でも靴を履いたままの場所があると。
侍女について行くと、奥の部屋に井戸があった。部屋の中に井戸?と不思議な感じがしながらも、侍女が井戸の中を降りて行くので、後を追った。井戸の底は薄暗く、目を凝らしてもよく見えない。侍女は慣れた感じで、井戸の横穴を抜けて行く。すると、普通の家の部屋に出た。部屋の壁はレンガで出来ていて、触ると少しヒンヤリとしていた。部屋の中には蝋燭が灯っていたので、意外なほど明るかった。そこを更に迷路の様に抜けると、大広間に出た。
「俺に用があるらしいな?闇の女帝…」
「キャッ」
急に背後から声がしたので、驚いて思わず悲鳴を上げてしまった。
「闇の帝王でありながら、これしきの事で悲鳴を上げるのか?」
「急に声かけられたら誰でも驚くじゃない?だって私、ただの人間だし…」
「ただの人間が、こんな所まで来れるはずが無いだろう?」
「ソロモン…」
侍女がそんな事を話す為に、ここまで来たんじゃない、と割り込んだ。
「すまない。早速だが、本題に入ろうか。その前に聞きたい事がある」
「どんな事でしょうか?」
「貴女は人間なのか?それとも悪魔なのか?」
「何言っているのよ、私は人間だって言ったじゃない」
「ふふふ、貴女の口から人間側なのか悪魔側なのか、ハッキリ聞いておきたかったのだ。人間だと言った貴女の言葉を信じよう」
「はい」
「俺は人間で、イスラエル王国の国王だった。ヤハウェの神殿や宮殿を建てた功績により、ヤハウェから指輪を授けられた。悪魔を封印し、使役出来る指輪だ」
そう言うと右の中指に、はめられた黄金に輝く指輪を見せられた。
「ソロモンの指輪として有名ですよ」
「そうか?」
「どうして私に会ってくれたのでしょう?」
「それは…」
ソロモンが私に指輪を向けると、私の身体は指輪の中に吸い込まれた。
「ふふふ、それは、お前を封印する為だ。お前を使役すれば、俺の身の安全は確保される。あははは」
ソロモンの笑い声が井戸の中の部屋に反射して大きくなり、侍女も合わせて笑った。
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