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【第4部〜西洋の神々編〜】

第9章 西洋の神々③

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 善法堂での会議は纏まらず、解散になるところへ訪問客が現れた。
 ゾクッ。思わず身震いした。目が合うと、冷ややかな目線を逸らされた。いかにも倭人って言う格好をしている。誰だろう?かなり強い。阿籍と同等くらいか?見た目で想像すると、倭建命(ヤマトタケルノミコト)か?
 ヤマトタケルノミコトは、「古事記」では倭建命と表記され、「日本書紀」においては日本武尊と表記される。ここでは「古事記」に則って表記する。
「違いますよ。あれは建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)ですよ」とルシエラが教えてくれた。
「あれがスサノオ…」
 この世界に来て初めて、日本の神様に出会った。ちょっと嬉しいが、なんだか近寄り難くて、とても怖い雰囲気だ。
「倭国より、東洋天界の危機と聞き及んで、馳せ参じた次第」
 帝釈天(インドラ)は喜んで玉座から降りると、須佐男の手を取って喜んだ。
「貴殿が加わって頂けるのなら、勝利は間違いない」
 スサノオも宴に加わって、皆んなから酒をすすめられてご機嫌の様子だ。
「あの、スサノオさん。初めまして」
「魔界の女帝…ん?お前、日本人か?」
「そうです。分かりますか?」
「分かるとも。同族はな」
「人間のお前がどうして女帝になっているのだ?」
「話せば長くなります」
そう言って私の身の上話を始めた。他の神々も気になっていたのだろう。私の話に耳を傾けていた。
「…なるほど、苦労したんだな。お前からは全く邪悪さを感じないので、不思議だったのだ。それにしても、神の子とはな…」
皆んな押し黙っていた。
「どうして黙ったんですか?」
「教えてやろう。西洋の神々が攻めて来る理由はお前なんだよ。お前を手に入れる為に攻めて来るんだ。今、理由が分かったんだ。そして黙っているのは、お前を渡せば戦を回避出来ると考えているからだ」
「えっ!?」
私は青ざめて後退りした。
「大丈夫、貴女を渡したりはしませんよ」
釈迦が来て私を庇う様に前に立った。恐らく釈迦に勝てる者は東洋天界にはいない。釈迦が守ってくれるなら安心だ。私の配下の魔王達も身構えたので、不穏な空気が流れた。
「皆さん、今日は晩餐会ですぞ。せっかく西王母殿がご馳走を用意して頂いたので。今日の所は忘れて飲みましょう。これからどうするかは、明日の会議で話し合いましょう」
阿弥陀如来が仲裁に入ってくれたので、私は桃のお酒を一口飲むと席を離れ、他の魔王達とスサノオも一緒に退出した。スサノオも破壊神の位置付けだから、私達寄りなのかも知れない。
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