その日、女の子になった私。

【第4部〜西洋の神々編〜】

第8章 須弥山の攻防④

　須弥山に登り始めた。ここに来るまで、随分と長くかかった。夢の中で見た前ループは、ここまでかからなかった気がする。ただ前回は、哪吒三太子に首を落とされて中々復活せず、それが原因で阿蜜哩多（アムリタ）を飲まされ、生き返ったのは良いが身体が動かなくなり、500年も煮湯を飲まされた。それを考えると今回はスムーズに進めている方だ。
　釈迦は終始無言だった。気を遣って、私は色々と話しかけたが、時々相打ちするだけで自分からは話しては来ない。でも質問には答えてくれる。
「人間にも救世主（メシア）信仰ってあるんですが、弥勒菩薩は本当に現れるんですか？」
「現れます。彼は今、修行中の身で、まだ私達の前に現れる事が出来ないのです。それに、私がその姿を見る事は無いでしょう」
「どうしてですか？」
「彼は、弥勒は私の次の世代の菩薩である為、私が亡くならないと現れる事は無いのです」
「なるほど」
「弥勒は、人間世界だけでなく天界をも救うとされています」
　須弥山を登りながら釈迦と会話して、少しでも情報を得ようとした。それにしても、チラリと釈迦の姿を見た。
（華奢な身体つきで、全く強そうには見えない。能ある鷹は爪を隠すと言うけど、これは隠し過ぎでしょ？阿弥陀如来に頼まれたと言ってたけど、もっと強かったりするのかな？そう言えば、斉天大聖孫悟空を五行山に封印したのは阿弥陀如来だったよね？あれも小説の中のお話だけども）
「お釈迦様、阿弥陀如来様もお強いのですか？」
「阿弥陀如来様は…」
と、釈迦は口を開きかけたが、こちらに向かって来る一団に出会した。