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【第2部〜魔界編〜】
第10章 開かれたゲート【第2部完】
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身体にのしかかる様な重さを感じて目を覚ますと、巧が私の上で腰を激しく突いていた。
「目が覚めたか?1日も何処に行ってたんだ?心配したよ」
私に口付けして、更に激しく腰を突いて来た。
「やだ、止めて!寝込みを襲うなんて酷い。最低!」
私はもう阿籍のものだ。巧とは別れる為に来たのに、これは完全に浮気だ。
「最低って、俺の事、嫌いなのか?瑞稀、愛してる」
巧の事が嫌いになって別れ様としている訳ではない。本当に最低なのは私だ。嫌だと拒みながらも、巧とはずっと愛し合っていたのだ。次第に込み上げてくる快楽を拒めずに絶頂に達した。流されて1度ヤッてしまうと、これで最後だから巧の好きな様にさせてあげようと思ってしまい、朝まで抱かれ続け、巧たくみが8回目の精を私の膣内なかに吐き出すと、私は気を失うほどの快楽に支配されていた。巧が1度イク間に私は少なくても5回はイッテいる。と言う事は最低でも40回以上、絶頂を迎えてしまった事になる。男性とは違って、女性は連続で何度もイク事が出来る。
「はぁ、はぁ、はぁ、良かったよ。瑞稀」
ようやく満足したのか、息を切らせながら横になった。
抱き合いながら何度もキスをした。
(はぁ~何やってるんだろう、私…。最低過ぎる。こんなの完全にビッチだわ…)
実はまだ正直悩んでいた。阿籍とは2270年も昔の夫婦だ。今世で出会ったからと言って、再び夫婦になるのかと。今世では巧と出会い、愛し合っていた。例えるなら、愛し合っていた2人が何らかの理由によって別れ別れとなってしまい、数年の間に他の人と愛し合うようになってしまったが、別れ別れになっていたかつての恋人と再会してしまった。どちらも愛している。一体どちらを選べば良いのか?本来なら何があっても別れ別れとなった恋人を思い続け、新しい恋人を作るべきではなかったのだ。どちらを選んでも、選ばなかった相手に対して不義理となる。しかし私は、自分が虞美人の生まれ変わりだとは知らなかった。阿籍に再会した時に、記憶が呼び覚まされたのだ。巧は、記憶喪失の間に出来た恋人と言う事になる。自分で決められず巧に全て正直に話した。私は卑怯者だ。結論を巧に求めたのだ。
「俺は独占欲が強くて愛を独り占めにしたい。だから別れてくれ!」
「そんな…」
「そんな?俺に抱かれてる時、止めてって言ったな?様子がおかしかったのは、別れを切り出す為だったんだろう?どのくらい昔の前世の夫婦か知らないが、一緒になりたいんだろう?だったら、さっさと出て行けよ!」
怒鳴られて、ポロポロと私は泣き出した。
「ひっく…」
「何だ?綺麗に別れたかったのか?それとも俺を選ぶのか?いない間、ずっとそいつとHしてたんだろう?浮気じゃないか!ぶん殴ってやりたいのを堪えてるんだ。もう俺はお前を愛してない。さっさと出て行け!」
「ひっく…、なぐ、殴られても…い、ごめ…ごめんなさい」
巧は私に背を向けて再び言った。
「さっさと出て行け!」
全裸だったので生活魔法で服だけ着て部屋を飛び出した。
何処をどう歩いたのか記憶にない。ようやく落ち着いて、公園のトイレで鏡を見ると目が泣き腫れて酷い顔になっていた。ボサボサの髪を整えると、思い起こせば、私は女性として生まれ変わってから巧のアパートに転がり込んだので、追い出された今、住む所がない事に気付いた。
私の居場所はこの世界には無いんだ、と思うと再び涙が込み上げて来た。男性だった時に妻だったと言う麻生佳澄さんの所に行こうかとも考えたが、迷惑をかけそうで行くに行けない。
そう言えば日本政府が、私を魔法省の大臣にすると言っていたな。寮か宿を借りられるかも知れない。でも政府の厄介になって借りを作ると、難題を持ち掛けられた時に断れなくなるな、と考えると二の足を踏んでしまう。私が地上に戻ったのはゲートを開く為だ。本来の目的を忘れるな。結果的に巧とも別れたんだ、これで良いんだと自分に言い聞かせた。
ゲートの場所はネパールの辺りだ。ネパールはエベレストのあるヒマラヤ登山の玄関口だ。高い山々が連なっている。国土の8割以上が山岳地帯である為、作物も限られた程度にしか実らず、国民は世界でも1、2を争う貧困な国である。標高が高く気温が低い為、身体を温める為に全ての料理に香辛料が使われており、辛い。
筆者の知り合いのネパール人は、日本の料理は何を食べても味がしなくて美味しくないと言っていた。料理をもてなされた事もあるが、ほぼ香辛料の味しかせず、辛くて食べられないのを無理して食べた覚えがある。あれだけ辛ければ、素材の味を活かした料理が多い日本の料理に対して、味がしないと言うのは頷ずける。離乳食を始めたばかりの頃から、この辛さに舌が慣れているのだ。日本食の主な味付けは、鰹節と昆布、お醤油に塩だ。彼らからすれば確かに薄味と言える。だがこれは食文化の違いなのだから、お互いを認め合う事が大切だ。
何はともあれ私は、ネパールに向かう事にした。高速で飛行すると、戦闘機が横に付いて「退避しなければ、密入国とみなして撃墜する!」と警告された。それを無視して、光魔法の光速移動呪文を唱えて引き離した。
ネパールに着いた時は既に夜だったので、闇魔法の『影の部屋』を唱えて宿代わりに、影の中に潜ひそんだ。明日は、いよいよゲートを見つけて開く。ゲートを開く為にネパールに来たが、正確にはネパールとチベットの間の辺りだ。
影の世界も地上世界の影である為、気温などは同じだ。6月のこの時期のネパールは、すでに真夏日である為に暑く、日中は30℃を超える。夜になってようやく涼しくなったが、それでも19℃は暑い。気温だけではなく、雨季でもあるから降水量も多くて蒸し暑い。生活魔法には気温を操作出来るものがあり、簡易結界を張って冷房24℃に設定すると、快適な空間で横になった。真夏日にエアコン無しでは、とても眠れない。すぐに欠伸が出て、一気に眠気に誘われた。瞼を閉じると、すぐに深い眠りに落ちた。
朝、起きて支度をすると、ゲートに向かった。朝食は生活魔法で和食を出して食べた。悟飯に味噌汁、納豆と海苔に目玉焼き。朝はこのくらいで十分だ。久しぶりに食べた和食は美味しかったなぁ、と思いながら影の世界を飛んで進む。空を飛ぶと、撃ち落とされるかも知れないからだ。
チベットの樟木(ヅァンムー)鎮にゲートがあるらしい。すぐに見つかれば良いけど、それにしても緑、緑、緑で何処も豊かな緑だ。想像していたアルプスそのものだ。酪農が多いのだろう、羊が放牧されているのも見える。牛に似た動物もいる。あれは、ヤクと言うらしい。
もう大丈夫だろうと、影の世界から地上に出た。見渡す限り、緑と山だけで誰もいない。ここなら、例え全裸になっても恥ずかしくはない。100キロ四方、何も無いのだから。
目を閉じて集中すると、脳裏に魔力を微かに感じた。その方向に向かう。目には何も見えないが、確かに何かありそうな気配を感じる。自分の勘を信じて、魔力を手に込めて探ると光輝き出して巨大なサークルを描いた後、門を形取った。魔界にあったゲートと似ているが、こっちの方が神々しい。鍵になる部分にありったけの魔力を注ぎ込むと、意識が昏倒して地面に倒れた。ゲートは?と見上げると、入口部分が鏡の様に空間が割れて、ゲートの門だけが残っていた。成功だ。ゲートを開いた。
〝あーあ、遂にやっちゃったね〟
朦朧とする意識の中で聞いたこの声は、『自動音声ガイド機能』の声だ。
気付いてしまった。顔が青ざめ、全身に鳥肌が立つ。何で今まで気付かなかったのだろうか?これまでも気付くヒントはあった。自動音声ガイドをONにしていないのに、勝手に話かけて来た事が。まさか、ずっと私の側にいたなんて…。
〝やぁ、主様。ようやく気付いたみたいだね?もっと早く気付いても良かったんだけど。そうとも、キミたち人間の頭の中に声を響かせてチート能力を授けた仲間の1人さ。そう、キミたちが神と呼ぶ存在だよ〟
「………」
〝キミはとんでもない罪を犯してしまった。ゲートを開けるなんて、どれほどの大罪を犯したか分かるかい?封じ込めてる悪魔達が出て来るって事だよ〟
「あいつらは、人間には何もしない」
〝あははは、おめでたいね?まさか悪魔の言う事を本気で信じてたのかい?騙されるなんて、お人好しのお馬鹿さんだね〟
「お前の方が信じられない。いい加減、姿を見せたらどうなの!」
〝いいけど、もう後戻り出来ないよ?〟
薄っすらと姿が見えて来たが、透明な少年の様だった。
〝キミ、『神々に愛されし者』の称号がどうなってるか確認してみたらどう?〟
まさか?慌ててステイタスを確認する。
『神々に愛されし者』の称号は『神々に捧げられし者』に変化していた。
青ざめて後退りをする。
〝キミに言ったよね?『神々に捧げられし者』になった時、永遠とも思える時をかけて犯され続けるって〟
私は全力で闇魔法の攻撃呪文を唱えた。しかし、自称神と名乗る自動音声ガイドに当たる直前で、かき消えた。魔力が全く感じられなくなって、両手を茫然と見た。
〝あははは、無駄だよ。だってキミにチート能力を授けたのはボクだよ?奪うのも簡単さ〟
私は恐怖で足が震え、腰が抜けてその場にしゃがみ込んだ。
〝もう少し泳がせてあげても良かったんだけど。ゲートを開けるなんて事するから…もうゲームオーバーだ!〟
突然、声色が変わって攻撃を受けた。まばゆい光に身体が包まれたと感じると、全身の力が抜けて行った。『体力吸収』の魔法か?遠のく意識の中でロード達に、私の仇を討ってと祈った。
〝あーあ、ゲート修復するの大変なんだよねー。まぁ、誰か直しに来るだろうから良いか、このままで〟
意識を失い倒れた私を抱きかかえて、自称神は天へと昇って行った。
ゲートが開いた数分後、瘴気が周囲に漏れたかと思うと、異形の軍隊が現れた。拝礼を受けながら現れたのはロードだった。開かれたゲートを見た後、久しぶりの陽射しを眩しそうにしながら空に視線を向けた。
「目が覚めたか?1日も何処に行ってたんだ?心配したよ」
私に口付けして、更に激しく腰を突いて来た。
「やだ、止めて!寝込みを襲うなんて酷い。最低!」
私はもう阿籍のものだ。巧とは別れる為に来たのに、これは完全に浮気だ。
「最低って、俺の事、嫌いなのか?瑞稀、愛してる」
巧の事が嫌いになって別れ様としている訳ではない。本当に最低なのは私だ。嫌だと拒みながらも、巧とはずっと愛し合っていたのだ。次第に込み上げてくる快楽を拒めずに絶頂に達した。流されて1度ヤッてしまうと、これで最後だから巧の好きな様にさせてあげようと思ってしまい、朝まで抱かれ続け、巧たくみが8回目の精を私の膣内なかに吐き出すと、私は気を失うほどの快楽に支配されていた。巧が1度イク間に私は少なくても5回はイッテいる。と言う事は最低でも40回以上、絶頂を迎えてしまった事になる。男性とは違って、女性は連続で何度もイク事が出来る。
「はぁ、はぁ、はぁ、良かったよ。瑞稀」
ようやく満足したのか、息を切らせながら横になった。
抱き合いながら何度もキスをした。
(はぁ~何やってるんだろう、私…。最低過ぎる。こんなの完全にビッチだわ…)
実はまだ正直悩んでいた。阿籍とは2270年も昔の夫婦だ。今世で出会ったからと言って、再び夫婦になるのかと。今世では巧と出会い、愛し合っていた。例えるなら、愛し合っていた2人が何らかの理由によって別れ別れとなってしまい、数年の間に他の人と愛し合うようになってしまったが、別れ別れになっていたかつての恋人と再会してしまった。どちらも愛している。一体どちらを選べば良いのか?本来なら何があっても別れ別れとなった恋人を思い続け、新しい恋人を作るべきではなかったのだ。どちらを選んでも、選ばなかった相手に対して不義理となる。しかし私は、自分が虞美人の生まれ変わりだとは知らなかった。阿籍に再会した時に、記憶が呼び覚まされたのだ。巧は、記憶喪失の間に出来た恋人と言う事になる。自分で決められず巧に全て正直に話した。私は卑怯者だ。結論を巧に求めたのだ。
「俺は独占欲が強くて愛を独り占めにしたい。だから別れてくれ!」
「そんな…」
「そんな?俺に抱かれてる時、止めてって言ったな?様子がおかしかったのは、別れを切り出す為だったんだろう?どのくらい昔の前世の夫婦か知らないが、一緒になりたいんだろう?だったら、さっさと出て行けよ!」
怒鳴られて、ポロポロと私は泣き出した。
「ひっく…」
「何だ?綺麗に別れたかったのか?それとも俺を選ぶのか?いない間、ずっとそいつとHしてたんだろう?浮気じゃないか!ぶん殴ってやりたいのを堪えてるんだ。もう俺はお前を愛してない。さっさと出て行け!」
「ひっく…、なぐ、殴られても…い、ごめ…ごめんなさい」
巧は私に背を向けて再び言った。
「さっさと出て行け!」
全裸だったので生活魔法で服だけ着て部屋を飛び出した。
何処をどう歩いたのか記憶にない。ようやく落ち着いて、公園のトイレで鏡を見ると目が泣き腫れて酷い顔になっていた。ボサボサの髪を整えると、思い起こせば、私は女性として生まれ変わってから巧のアパートに転がり込んだので、追い出された今、住む所がない事に気付いた。
私の居場所はこの世界には無いんだ、と思うと再び涙が込み上げて来た。男性だった時に妻だったと言う麻生佳澄さんの所に行こうかとも考えたが、迷惑をかけそうで行くに行けない。
そう言えば日本政府が、私を魔法省の大臣にすると言っていたな。寮か宿を借りられるかも知れない。でも政府の厄介になって借りを作ると、難題を持ち掛けられた時に断れなくなるな、と考えると二の足を踏んでしまう。私が地上に戻ったのはゲートを開く為だ。本来の目的を忘れるな。結果的に巧とも別れたんだ、これで良いんだと自分に言い聞かせた。
ゲートの場所はネパールの辺りだ。ネパールはエベレストのあるヒマラヤ登山の玄関口だ。高い山々が連なっている。国土の8割以上が山岳地帯である為、作物も限られた程度にしか実らず、国民は世界でも1、2を争う貧困な国である。標高が高く気温が低い為、身体を温める為に全ての料理に香辛料が使われており、辛い。
筆者の知り合いのネパール人は、日本の料理は何を食べても味がしなくて美味しくないと言っていた。料理をもてなされた事もあるが、ほぼ香辛料の味しかせず、辛くて食べられないのを無理して食べた覚えがある。あれだけ辛ければ、素材の味を活かした料理が多い日本の料理に対して、味がしないと言うのは頷ずける。離乳食を始めたばかりの頃から、この辛さに舌が慣れているのだ。日本食の主な味付けは、鰹節と昆布、お醤油に塩だ。彼らからすれば確かに薄味と言える。だがこれは食文化の違いなのだから、お互いを認め合う事が大切だ。
何はともあれ私は、ネパールに向かう事にした。高速で飛行すると、戦闘機が横に付いて「退避しなければ、密入国とみなして撃墜する!」と警告された。それを無視して、光魔法の光速移動呪文を唱えて引き離した。
ネパールに着いた時は既に夜だったので、闇魔法の『影の部屋』を唱えて宿代わりに、影の中に潜ひそんだ。明日は、いよいよゲートを見つけて開く。ゲートを開く為にネパールに来たが、正確にはネパールとチベットの間の辺りだ。
影の世界も地上世界の影である為、気温などは同じだ。6月のこの時期のネパールは、すでに真夏日である為に暑く、日中は30℃を超える。夜になってようやく涼しくなったが、それでも19℃は暑い。気温だけではなく、雨季でもあるから降水量も多くて蒸し暑い。生活魔法には気温を操作出来るものがあり、簡易結界を張って冷房24℃に設定すると、快適な空間で横になった。真夏日にエアコン無しでは、とても眠れない。すぐに欠伸が出て、一気に眠気に誘われた。瞼を閉じると、すぐに深い眠りに落ちた。
朝、起きて支度をすると、ゲートに向かった。朝食は生活魔法で和食を出して食べた。悟飯に味噌汁、納豆と海苔に目玉焼き。朝はこのくらいで十分だ。久しぶりに食べた和食は美味しかったなぁ、と思いながら影の世界を飛んで進む。空を飛ぶと、撃ち落とされるかも知れないからだ。
チベットの樟木(ヅァンムー)鎮にゲートがあるらしい。すぐに見つかれば良いけど、それにしても緑、緑、緑で何処も豊かな緑だ。想像していたアルプスそのものだ。酪農が多いのだろう、羊が放牧されているのも見える。牛に似た動物もいる。あれは、ヤクと言うらしい。
もう大丈夫だろうと、影の世界から地上に出た。見渡す限り、緑と山だけで誰もいない。ここなら、例え全裸になっても恥ずかしくはない。100キロ四方、何も無いのだから。
目を閉じて集中すると、脳裏に魔力を微かに感じた。その方向に向かう。目には何も見えないが、確かに何かありそうな気配を感じる。自分の勘を信じて、魔力を手に込めて探ると光輝き出して巨大なサークルを描いた後、門を形取った。魔界にあったゲートと似ているが、こっちの方が神々しい。鍵になる部分にありったけの魔力を注ぎ込むと、意識が昏倒して地面に倒れた。ゲートは?と見上げると、入口部分が鏡の様に空間が割れて、ゲートの門だけが残っていた。成功だ。ゲートを開いた。
〝あーあ、遂にやっちゃったね〟
朦朧とする意識の中で聞いたこの声は、『自動音声ガイド機能』の声だ。
気付いてしまった。顔が青ざめ、全身に鳥肌が立つ。何で今まで気付かなかったのだろうか?これまでも気付くヒントはあった。自動音声ガイドをONにしていないのに、勝手に話かけて来た事が。まさか、ずっと私の側にいたなんて…。
〝やぁ、主様。ようやく気付いたみたいだね?もっと早く気付いても良かったんだけど。そうとも、キミたち人間の頭の中に声を響かせてチート能力を授けた仲間の1人さ。そう、キミたちが神と呼ぶ存在だよ〟
「………」
〝キミはとんでもない罪を犯してしまった。ゲートを開けるなんて、どれほどの大罪を犯したか分かるかい?封じ込めてる悪魔達が出て来るって事だよ〟
「あいつらは、人間には何もしない」
〝あははは、おめでたいね?まさか悪魔の言う事を本気で信じてたのかい?騙されるなんて、お人好しのお馬鹿さんだね〟
「お前の方が信じられない。いい加減、姿を見せたらどうなの!」
〝いいけど、もう後戻り出来ないよ?〟
薄っすらと姿が見えて来たが、透明な少年の様だった。
〝キミ、『神々に愛されし者』の称号がどうなってるか確認してみたらどう?〟
まさか?慌ててステイタスを確認する。
『神々に愛されし者』の称号は『神々に捧げられし者』に変化していた。
青ざめて後退りをする。
〝キミに言ったよね?『神々に捧げられし者』になった時、永遠とも思える時をかけて犯され続けるって〟
私は全力で闇魔法の攻撃呪文を唱えた。しかし、自称神と名乗る自動音声ガイドに当たる直前で、かき消えた。魔力が全く感じられなくなって、両手を茫然と見た。
〝あははは、無駄だよ。だってキミにチート能力を授けたのはボクだよ?奪うのも簡単さ〟
私は恐怖で足が震え、腰が抜けてその場にしゃがみ込んだ。
〝もう少し泳がせてあげても良かったんだけど。ゲートを開けるなんて事するから…もうゲームオーバーだ!〟
突然、声色が変わって攻撃を受けた。まばゆい光に身体が包まれたと感じると、全身の力が抜けて行った。『体力吸収』の魔法か?遠のく意識の中でロード達に、私の仇を討ってと祈った。
〝あーあ、ゲート修復するの大変なんだよねー。まぁ、誰か直しに来るだろうから良いか、このままで〟
意識を失い倒れた私を抱きかかえて、自称神は天へと昇って行った。
ゲートが開いた数分後、瘴気が周囲に漏れたかと思うと、異形の軍隊が現れた。拝礼を受けながら現れたのはロードだった。開かれたゲートを見た後、久しぶりの陽射しを眩しそうにしながら空に視線を向けた。
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