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【第1部〜序章編〜】
第16章 白面の魔女狩り②
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私はあれから毎日あの場所に行き、あの3人組が女性達にイタズラをしないかパトロールしていた。だが中々、現れなかった。確かにこの通りは、夜の人通りが少ない。あまり深夜になってもいないだろう。真夏日である為、まだ19時台は明るい。20時過ぎるとようやく暗味を帯びて来る。21時から0時までの3時間くらいが1番可能性があるだろうとアタリを付けて張った。
すると、予想通り3人組が現れた。女性が通りかかるのを待っているみたいだ。私は彼らの前に姿を現した。
「性懲りも無く悪さをするつもりなの?」
「何言い掛かりを付けてやがるんだ?俺達はただ、この場所にいただけだぜ?」
「俺達が悪さって?何かしてましたかぁ?」
まだ何もしていない彼らの言い分は正論だ。言い返せず、黙っていた。
「まぁ、姉ちゃんが白面の魔女だって事は知ってるんだ」
懐から銃を取り出すと容赦なく引き金を引いた。
「うわあぁぁ、痛いぃぃ」
左太腿に当たり、激痛で傷口を押さえて地面を転がった。血が辺り一面に飛び散り染まっていく。実は既に傷は塞がっていた。
パーン!パーン!
2度引き金を引き、2発とも当たった。右肩の付け根付近と、左のふくらはぎに当たった。
「ぎゃあぁぁぁ。痛い、痛いよぉ」
実は銃は反動で銃身がブレるのだ。だから余程の近距離でもない限り、百発百中で命中なんてしない。こいつはあまりにも銃を撃ち慣れている。躊躇わず引き金を引いた。人を殺すかも知れないと思えば手が震えるし、躊躇ものだ。つまり、こいつは人を殺した事がある。
「おい、もう止めろよ。やり過ぎだ!こんな美女と1発もヤらずに殺すつもりか?勿体無い」
「まーたお前は女かよ?騙されるな。こいつは俺の目の前で、折れた手足が元通りに治ったんだぞ!」
「見てみろよ!もう傷が治ってるぞ?」
「なるほど、化け物だったか?」
引き金を3度引いたが、私が貼った障壁によって全て弾かれた。
「チッ。だが、化け物でも流石に頭は急所だろ?死ね!」
歩み寄り、弾を込め直して至近距離で引き金を引くと、障壁を突き破り、私の頭を貫通して脳髄を飛び散らせた。私を撃ち殺した男は、私を殺すのは惜しいと言った男の肩を叩いた。
「まぁ、確かに勿体無かったよな?1発200万を使っちまったよ。あははは」
「おい、その死体を担いでこい!お前、死姦しても良いぞ。たっぷり可愛がってやれ。あははは。こいつを組織に渡して大金を得るぞぉ。外国に高飛びだ。日本ともオサラバだぜ」
トランクに押し込まれた時には、私は生き返っていた。いや、不死だから最初から死んでないのか。私の死体を犯すって?気持ち悪い。どうしよう、今まで会った中で1番の悪党だよ、あいつ。躊躇いもなく撃ち殺したよ。くっそー、殺してやりたいけど、人殺しになりたくない。でも、私の攻撃呪文は強力過ぎて絶対に殺しちゃうからなぁ。本当、どうしよう?手加減しなくて良いなら楽なんだけどなぁ。で、私を何処に連れて行くつもりだろう?アジトかな?いや、そう言えば、誰かに私を引き渡すって言ってなかった?誰に?黒幕がいるのね?貫通する弾もそいつらから買ったのね?1発200万だって。凄いねぇ。そんな高価な弾は何発も持ってないでしょう?と言う事は、もう私にダメージを与えられないって事ね?一網打尽にしてやるわ。車に揺られながら、かなりの長距離を走っているようだ。私は不覚にも眠ってしまっていた。車が止まったのを感じて、目が覚めた。ヤバい。死んだフリ、そうだ死後硬直が始まってないと怪しまれる。
『光気遮断硬化膜』
包丁くらいなら刺さらなくなる防御膜だ。これで身体が固まってる様に見せかけられないかな?と思っていると、車のトランクが開けられた。
「可哀想にカチンコチンだ」
「それが死後硬直だぜ」
「死姦しようにも、ナニが挿入はいらないんじゃないのか?あははは」
仲間じゃないのかな?馬鹿にしたような笑い声を浴びせていた。
「よいしょっと。綺麗な死に顔だ。まるで眠っているみたいだ」
私を抱きかかえて歩き始めた。ガラガラガラとシャッターが開けられる音がする。どうやら何処かの倉庫の様だ。
「おい、姦るなら早くしろよ!もう来るぞ」
「姦らないよ!」
そう言うと、私を寝かせて身体を伸ばした。
「ごめんよ。殺すつもりなんて無かったんだ。こんな綺麗な人を殺すなんて…」
そう言うと私の額に軽くキスをして、涙を流した。
「おいおい、お前、白面の魔女のファンになったのか?アイツらに渡す前に裸くらい見てても良いんだぜ?」
「止めろよ、これ以上死者を冒涜するな!呪われるぞ!穢すなよ!」
「あははは。呪いだってよ?あははは、笑わせるぜ。俺が今まで何人殺したと思ってるんだ?そいついれて8人だぜ、8人。それで、俺がいつ、そいつらに呪われたよ?あははは、呪いたくば呪え!恐ろしくも何とも無いわ!あははは」
こいつは本当にクズ野郎だ。ボッコボコにしてやる。すると、シャッターが開く音がした。黒いスーツ姿の男達が6人が入って来た。
「白面は?」
「こちらです!」
「なるほど、新聞で見た顔だ。もうお前らに用は無い」
そう言うと、銃を連続で10発ほど、ぶっ放した。私を攫った3人の男達は、成なす術すべなく撃ち殺された。ゆっくりと私が起き上がると、スーツの男達は恐怖で凍り付いた様に動かなくなった。その隙を見逃さず『闇薔薇棘鞭』を唱えて、スーツの男達を文字通り鞭打った。攻撃力はとんでも無く、足を狙い、その足は弾け飛んだ。
「うぎゃあぁぁぁ」
痛みを堪えきれず、地面を転げ回った。
「この尼ぁー!」
銃をやたらめったらに、ぶっ放した。
転がっている男達をスルーして、鞭を躱した男に向かう。
「私を何処に連れて行くつもりだったの?」
「貴女は死体でも価値がありましてね?裸にして冷凍し、美を愛めでる。そんな酔狂なコレクターもいましてね?白面の魔女と言うプレミアもおまけして、買い手が付いておりましたものを。貴女には死んで頂かねばなりません」
「やってみろ!」
闇薔薇棘鞭を振り回して近づけない様に間合いを取ったが、リボルバーの6連射を受け、6発全てに貫通魔法が付与されていた。
確実に私の息の根を止めた。上半身がぐらつき、床に倒れ込みかけた時には、傷は治っていた。
「なんですの?貴女は?まさか、不死ですか?あはっ、そうなんですね?くっ、ははは。素晴らしい!人類の夢、不老不死。それが貴女なのですね?ならば、心の臓を抉り出し、その生き血を啜り、生肝を喰らうと永遠の命が得られると言う。貴女を喰らって、私は不老不死となりましょう」
ヨダレを垂らしながら、襲って来た。反射的に空を飛んで避けた。まるで予想していたかの様に空に向けて銃を乱射した。6発中5発命中し、いずれも私の防御結界を突き破ったので、貫通弾を使用している事が分かる。地面に着地し、鞭を振るうが避けられた。その間に女言葉を使う男は弾を装填して銃を構えた。
「不死者なら殺せないけど、身動き取れない様にすれば生捕りに出来るのじゃあなくて?うふふふ」
パーン!パーン!
撃った弾は明後日の方向に飛んだ。
「喰らえ!」
鞭を振り上げると、背後から弾が貫通しバランスを崩した。
「まだ仲間が?」
振り向いたが誰もいない。その隙を突かれて羽交締めにされた。
「跳弾ですよ、跳弾。私レベルになると角度を計算して命中出来ますのよ?ふふふ、貴女、全然力が無いわねぇ?こんなに弱いなら、接近戦に持ち込んだらダメだったんじゃあなくて?」
ゴキンと音が聞こえ、激痛が走った。
「あぁぁぁ!」
続けてボキンと音がした。
「うあぁぁぁ!」
右腕を折り、左腕も続けて折られると、押し倒して馬乗りになった。服に手を掛け引きちぎられると、胸が露わになった。
「安心なさい。私は女なんかに興味は無いから」
懐から取り出したサバイバルナイフを私の胸に振り下ろした。
「ギャァ!」
折れた手が回復し、ナイフを持つ手を受け止めたが、力が足りず支えられなくて、勢いそのままナイフが胸に刺さった。それでも渾身の力で、それ以上深く入らない様に抵抗する。
「ははは、無駄よ。無駄!観念して、私に食べられなさい!」
ナイフを持つ手に体重をかけると、更に深く突き刺さった。
「あぁぁぁ…。ごほっ、けふっ」
血の泡が喉を塞ぎかけ、呼吸が苦しい。手に力を込めるが、身体が麻痺しているみたいだ。意識も飛び掛け、この手を緩めたら楽になれるのかな?と思い始めた。どんっ。と音がして、馬乗りになっていた男は、前のめりになって転がっていった。
「誰だ!白面の…男?」
側に落ちていた角材を男に投げ付けたのは、白面の男だった。
(山下…?何でこの場所が?)
「白面は2人いたんですね?男と女」
立ち上がり、山下に向かって行こうとした隙を突いて、鞭を足に絡め取って引くと転んだ。
「こいつっ!」
怒りの矛先は私に向いて、振り返って撃った弾は、私の頭を撃ち抜いた。
「瑞稀!」
駆け寄ろうとする山下に向けて銃の引き金を引くが、カチン、カチンと音がするだけだった。
「チッ、弾切れですか。まぁ良いでしょう。私はこっちの方も得意でね?」
床に落ちていたサバイバルナイフを拾って構えた。山下もファイティングポーズを取って構えた。
「ふふふ、ボクシングか何かですかね?そんなものがナイフに勝てるとでも?」
『物理攻撃障壁』
山下に障壁を張ったが、ナイフは意に返さず肩を掠めると血が滲んだ。ナイフにまで貫通魔法が付与されている。山下は丹田に力を込めて踏み込み、男の腹に正拳突きを喰らわした。
「ぐはっ」
内臓を傷付け、口から血を吹いた。カッと力を込めてナイフを山下に繰り出すと、左手で受けてナイフが刺さったが、右手で男を持ち上げ身体を回転させると、そのまま地面に叩き付けた。一本背負いだ。叩き付けられた男はそのまま動かなくなった。傷がすっかり治った私は、山下に駆け寄って飛び付いた。
「格好良い~!助けてくれて、ありがとう。でもどうしてここへ?」
「怒るなよ?瑞稀にGPSを付けてる」
「はぁ?えぇーっ。何それ?」
「山奥の倉庫みたいな所からずっと動かないから、事件に巻き込まれたのか心配になって来てみたんだ。来て良かった」
「うん。ありがとう」
山下と口付けをして、離れると目線が胸にあるのが分かった。ハッとして、慌てて両手で胸を隠す。胸がはだけて丸見えだったのを忘れていた。
「あははは。もう遅いよ。目に焼き付けたからね」
「もうH~。殴って記憶を失くしてやる!」
「あははは」
追いかけて走っていると、血で滑って転びそうになり、山下が支え様としたが、一緒に転んだ。山下の上になり、目を見つめながら口付けをした。私の背に手を回して、反転すると今度は山下が私の上になった。口付けをしながら、左手で胸を触られた。服は破れ、ブラは剥ぎ取られているので、直接触られた。そのまま胸を揉まれながら吸われた。
「ヤダ。ダメ、もうダメ」
「Hしたいよ、瑞稀」
「こんな所じゃヤダ」
「じゃあ、ホテル行こう」
「何言ってるの?Hはしない約束でしょう?」
「やったら別れるからね。それとも思い出に抱いとく?」
「怒らないで、瑞稀。愛してるから瑞稀の全て欲しいんだよ」
「結婚するまでは我慢してね」
山下のナイフが貫通して怪我をしている左手に気付いて、回復呪文を唱えて治療した。
「全くもう、怪我してるじゃない。私にHな事する余裕がよくあったわね?」
「こんな痛みよりも、瑞稀を心配する方が上だったから忘れてたよ」
「嘘ばっかり。こんなの痛いに決まってるじゃない」
「惚れ直した?」
「馬鹿…」
瑞稀は顔を赤らめると、山下に口付けをした。
「もう我慢の限界。Hしよう?」
「もう、そればっかり。だから告られた時、付き合うか考えたのよ。付き合う条件がHしないって約束だったでしょう?」
「じゃあ結婚しよう?」
「じゃあって何なの?Hしたくて結婚するみたいじゃない!大っ嫌い!」
「ごめん。ごめんよぉ瑞稀。ごめん、許して!本当、ごめんなさい。瑞稀さん、許して下さい」
「男の人がHなのは理解してるけど、私はダメだって言ってるじゃない?分かってくれたと思ったから、付き合う事にしたのよ。別れたいの?」
「嫌だ、別れたくない」
大の男が、ポロポロと涙を流して泣き出した。
「関係が先に進み過ぎるから、どんどん欲が出て来るのよ。でも、絶対に手を出さないって約束してくれるなら、今度一緒にお風呂に入ろうか?」
「えっ?」
「嬉しい?」
「あ、はい。はい、嬉しいです!」
「だからもう男の、大人が泣いたりしないで。私もちゃんと山下くんの事が好きなんだから…ね?」
山下にハグを長めにされた。肩を震わせて、嬉し泣きしていた。
『衣装替』『死者蘇生』
服を着て、地面でのびている男を拘束すると、殺された男達も生き返らせてから拘束した。
警察に報せて、取り敢えず事件は解決した。しかし謎は残る。他にも黒幕はいる。
貫通魔法を付与した者がいるはずだ。
山下と私は事情聴取に協力すると、警察署をあとにした。
すると、予想通り3人組が現れた。女性が通りかかるのを待っているみたいだ。私は彼らの前に姿を現した。
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「何言い掛かりを付けてやがるんだ?俺達はただ、この場所にいただけだぜ?」
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まだ何もしていない彼らの言い分は正論だ。言い返せず、黙っていた。
「まぁ、姉ちゃんが白面の魔女だって事は知ってるんだ」
懐から銃を取り出すと容赦なく引き金を引いた。
「うわあぁぁ、痛いぃぃ」
左太腿に当たり、激痛で傷口を押さえて地面を転がった。血が辺り一面に飛び散り染まっていく。実は既に傷は塞がっていた。
パーン!パーン!
2度引き金を引き、2発とも当たった。右肩の付け根付近と、左のふくらはぎに当たった。
「ぎゃあぁぁぁ。痛い、痛いよぉ」
実は銃は反動で銃身がブレるのだ。だから余程の近距離でもない限り、百発百中で命中なんてしない。こいつはあまりにも銃を撃ち慣れている。躊躇わず引き金を引いた。人を殺すかも知れないと思えば手が震えるし、躊躇ものだ。つまり、こいつは人を殺した事がある。
「おい、もう止めろよ。やり過ぎだ!こんな美女と1発もヤらずに殺すつもりか?勿体無い」
「まーたお前は女かよ?騙されるな。こいつは俺の目の前で、折れた手足が元通りに治ったんだぞ!」
「見てみろよ!もう傷が治ってるぞ?」
「なるほど、化け物だったか?」
引き金を3度引いたが、私が貼った障壁によって全て弾かれた。
「チッ。だが、化け物でも流石に頭は急所だろ?死ね!」
歩み寄り、弾を込め直して至近距離で引き金を引くと、障壁を突き破り、私の頭を貫通して脳髄を飛び散らせた。私を撃ち殺した男は、私を殺すのは惜しいと言った男の肩を叩いた。
「まぁ、確かに勿体無かったよな?1発200万を使っちまったよ。あははは」
「おい、その死体を担いでこい!お前、死姦しても良いぞ。たっぷり可愛がってやれ。あははは。こいつを組織に渡して大金を得るぞぉ。外国に高飛びだ。日本ともオサラバだぜ」
トランクに押し込まれた時には、私は生き返っていた。いや、不死だから最初から死んでないのか。私の死体を犯すって?気持ち悪い。どうしよう、今まで会った中で1番の悪党だよ、あいつ。躊躇いもなく撃ち殺したよ。くっそー、殺してやりたいけど、人殺しになりたくない。でも、私の攻撃呪文は強力過ぎて絶対に殺しちゃうからなぁ。本当、どうしよう?手加減しなくて良いなら楽なんだけどなぁ。で、私を何処に連れて行くつもりだろう?アジトかな?いや、そう言えば、誰かに私を引き渡すって言ってなかった?誰に?黒幕がいるのね?貫通する弾もそいつらから買ったのね?1発200万だって。凄いねぇ。そんな高価な弾は何発も持ってないでしょう?と言う事は、もう私にダメージを与えられないって事ね?一網打尽にしてやるわ。車に揺られながら、かなりの長距離を走っているようだ。私は不覚にも眠ってしまっていた。車が止まったのを感じて、目が覚めた。ヤバい。死んだフリ、そうだ死後硬直が始まってないと怪しまれる。
『光気遮断硬化膜』
包丁くらいなら刺さらなくなる防御膜だ。これで身体が固まってる様に見せかけられないかな?と思っていると、車のトランクが開けられた。
「可哀想にカチンコチンだ」
「それが死後硬直だぜ」
「死姦しようにも、ナニが挿入はいらないんじゃないのか?あははは」
仲間じゃないのかな?馬鹿にしたような笑い声を浴びせていた。
「よいしょっと。綺麗な死に顔だ。まるで眠っているみたいだ」
私を抱きかかえて歩き始めた。ガラガラガラとシャッターが開けられる音がする。どうやら何処かの倉庫の様だ。
「おい、姦るなら早くしろよ!もう来るぞ」
「姦らないよ!」
そう言うと、私を寝かせて身体を伸ばした。
「ごめんよ。殺すつもりなんて無かったんだ。こんな綺麗な人を殺すなんて…」
そう言うと私の額に軽くキスをして、涙を流した。
「おいおい、お前、白面の魔女のファンになったのか?アイツらに渡す前に裸くらい見てても良いんだぜ?」
「止めろよ、これ以上死者を冒涜するな!呪われるぞ!穢すなよ!」
「あははは。呪いだってよ?あははは、笑わせるぜ。俺が今まで何人殺したと思ってるんだ?そいついれて8人だぜ、8人。それで、俺がいつ、そいつらに呪われたよ?あははは、呪いたくば呪え!恐ろしくも何とも無いわ!あははは」
こいつは本当にクズ野郎だ。ボッコボコにしてやる。すると、シャッターが開く音がした。黒いスーツ姿の男達が6人が入って来た。
「白面は?」
「こちらです!」
「なるほど、新聞で見た顔だ。もうお前らに用は無い」
そう言うと、銃を連続で10発ほど、ぶっ放した。私を攫った3人の男達は、成なす術すべなく撃ち殺された。ゆっくりと私が起き上がると、スーツの男達は恐怖で凍り付いた様に動かなくなった。その隙を見逃さず『闇薔薇棘鞭』を唱えて、スーツの男達を文字通り鞭打った。攻撃力はとんでも無く、足を狙い、その足は弾け飛んだ。
「うぎゃあぁぁぁ」
痛みを堪えきれず、地面を転げ回った。
「この尼ぁー!」
銃をやたらめったらに、ぶっ放した。
転がっている男達をスルーして、鞭を躱した男に向かう。
「私を何処に連れて行くつもりだったの?」
「貴女は死体でも価値がありましてね?裸にして冷凍し、美を愛めでる。そんな酔狂なコレクターもいましてね?白面の魔女と言うプレミアもおまけして、買い手が付いておりましたものを。貴女には死んで頂かねばなりません」
「やってみろ!」
闇薔薇棘鞭を振り回して近づけない様に間合いを取ったが、リボルバーの6連射を受け、6発全てに貫通魔法が付与されていた。
確実に私の息の根を止めた。上半身がぐらつき、床に倒れ込みかけた時には、傷は治っていた。
「なんですの?貴女は?まさか、不死ですか?あはっ、そうなんですね?くっ、ははは。素晴らしい!人類の夢、不老不死。それが貴女なのですね?ならば、心の臓を抉り出し、その生き血を啜り、生肝を喰らうと永遠の命が得られると言う。貴女を喰らって、私は不老不死となりましょう」
ヨダレを垂らしながら、襲って来た。反射的に空を飛んで避けた。まるで予想していたかの様に空に向けて銃を乱射した。6発中5発命中し、いずれも私の防御結界を突き破ったので、貫通弾を使用している事が分かる。地面に着地し、鞭を振るうが避けられた。その間に女言葉を使う男は弾を装填して銃を構えた。
「不死者なら殺せないけど、身動き取れない様にすれば生捕りに出来るのじゃあなくて?うふふふ」
パーン!パーン!
撃った弾は明後日の方向に飛んだ。
「喰らえ!」
鞭を振り上げると、背後から弾が貫通しバランスを崩した。
「まだ仲間が?」
振り向いたが誰もいない。その隙を突かれて羽交締めにされた。
「跳弾ですよ、跳弾。私レベルになると角度を計算して命中出来ますのよ?ふふふ、貴女、全然力が無いわねぇ?こんなに弱いなら、接近戦に持ち込んだらダメだったんじゃあなくて?」
ゴキンと音が聞こえ、激痛が走った。
「あぁぁぁ!」
続けてボキンと音がした。
「うあぁぁぁ!」
右腕を折り、左腕も続けて折られると、押し倒して馬乗りになった。服に手を掛け引きちぎられると、胸が露わになった。
「安心なさい。私は女なんかに興味は無いから」
懐から取り出したサバイバルナイフを私の胸に振り下ろした。
「ギャァ!」
折れた手が回復し、ナイフを持つ手を受け止めたが、力が足りず支えられなくて、勢いそのままナイフが胸に刺さった。それでも渾身の力で、それ以上深く入らない様に抵抗する。
「ははは、無駄よ。無駄!観念して、私に食べられなさい!」
ナイフを持つ手に体重をかけると、更に深く突き刺さった。
「あぁぁぁ…。ごほっ、けふっ」
血の泡が喉を塞ぎかけ、呼吸が苦しい。手に力を込めるが、身体が麻痺しているみたいだ。意識も飛び掛け、この手を緩めたら楽になれるのかな?と思い始めた。どんっ。と音がして、馬乗りになっていた男は、前のめりになって転がっていった。
「誰だ!白面の…男?」
側に落ちていた角材を男に投げ付けたのは、白面の男だった。
(山下…?何でこの場所が?)
「白面は2人いたんですね?男と女」
立ち上がり、山下に向かって行こうとした隙を突いて、鞭を足に絡め取って引くと転んだ。
「こいつっ!」
怒りの矛先は私に向いて、振り返って撃った弾は、私の頭を撃ち抜いた。
「瑞稀!」
駆け寄ろうとする山下に向けて銃の引き金を引くが、カチン、カチンと音がするだけだった。
「チッ、弾切れですか。まぁ良いでしょう。私はこっちの方も得意でね?」
床に落ちていたサバイバルナイフを拾って構えた。山下もファイティングポーズを取って構えた。
「ふふふ、ボクシングか何かですかね?そんなものがナイフに勝てるとでも?」
『物理攻撃障壁』
山下に障壁を張ったが、ナイフは意に返さず肩を掠めると血が滲んだ。ナイフにまで貫通魔法が付与されている。山下は丹田に力を込めて踏み込み、男の腹に正拳突きを喰らわした。
「ぐはっ」
内臓を傷付け、口から血を吹いた。カッと力を込めてナイフを山下に繰り出すと、左手で受けてナイフが刺さったが、右手で男を持ち上げ身体を回転させると、そのまま地面に叩き付けた。一本背負いだ。叩き付けられた男はそのまま動かなくなった。傷がすっかり治った私は、山下に駆け寄って飛び付いた。
「格好良い~!助けてくれて、ありがとう。でもどうしてここへ?」
「怒るなよ?瑞稀にGPSを付けてる」
「はぁ?えぇーっ。何それ?」
「山奥の倉庫みたいな所からずっと動かないから、事件に巻き込まれたのか心配になって来てみたんだ。来て良かった」
「うん。ありがとう」
山下と口付けをして、離れると目線が胸にあるのが分かった。ハッとして、慌てて両手で胸を隠す。胸がはだけて丸見えだったのを忘れていた。
「あははは。もう遅いよ。目に焼き付けたからね」
「もうH~。殴って記憶を失くしてやる!」
「あははは」
追いかけて走っていると、血で滑って転びそうになり、山下が支え様としたが、一緒に転んだ。山下の上になり、目を見つめながら口付けをした。私の背に手を回して、反転すると今度は山下が私の上になった。口付けをしながら、左手で胸を触られた。服は破れ、ブラは剥ぎ取られているので、直接触られた。そのまま胸を揉まれながら吸われた。
「ヤダ。ダメ、もうダメ」
「Hしたいよ、瑞稀」
「こんな所じゃヤダ」
「じゃあ、ホテル行こう」
「何言ってるの?Hはしない約束でしょう?」
「やったら別れるからね。それとも思い出に抱いとく?」
「怒らないで、瑞稀。愛してるから瑞稀の全て欲しいんだよ」
「結婚するまでは我慢してね」
山下のナイフが貫通して怪我をしている左手に気付いて、回復呪文を唱えて治療した。
「全くもう、怪我してるじゃない。私にHな事する余裕がよくあったわね?」
「こんな痛みよりも、瑞稀を心配する方が上だったから忘れてたよ」
「嘘ばっかり。こんなの痛いに決まってるじゃない」
「惚れ直した?」
「馬鹿…」
瑞稀は顔を赤らめると、山下に口付けをした。
「もう我慢の限界。Hしよう?」
「もう、そればっかり。だから告られた時、付き合うか考えたのよ。付き合う条件がHしないって約束だったでしょう?」
「じゃあ結婚しよう?」
「じゃあって何なの?Hしたくて結婚するみたいじゃない!大っ嫌い!」
「ごめん。ごめんよぉ瑞稀。ごめん、許して!本当、ごめんなさい。瑞稀さん、許して下さい」
「男の人がHなのは理解してるけど、私はダメだって言ってるじゃない?分かってくれたと思ったから、付き合う事にしたのよ。別れたいの?」
「嫌だ、別れたくない」
大の男が、ポロポロと涙を流して泣き出した。
「関係が先に進み過ぎるから、どんどん欲が出て来るのよ。でも、絶対に手を出さないって約束してくれるなら、今度一緒にお風呂に入ろうか?」
「えっ?」
「嬉しい?」
「あ、はい。はい、嬉しいです!」
「だからもう男の、大人が泣いたりしないで。私もちゃんと山下くんの事が好きなんだから…ね?」
山下にハグを長めにされた。肩を震わせて、嬉し泣きしていた。
『衣装替』『死者蘇生』
服を着て、地面でのびている男を拘束すると、殺された男達も生き返らせてから拘束した。
警察に報せて、取り敢えず事件は解決した。しかし謎は残る。他にも黒幕はいる。
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