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【第1部〜序章編〜】
第8章 白面の魔女
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その日、全人類の頭に直接、神の声が鳴り響いた。
「望んだ力を与えよう」と。永遠に頭の中で鳴り響くそれは、人々のストレスとなり、社会問題になった。耐え切れなくなった者が、「俺の願いは、この声を止めろだ!」と叫ぶと止んだ。それに倣った者もいたが、信じて違う願いを望んだ者もいた。それが実現するのを見て、自分はなんてくだらない願い事をしたのだろうと、嘆いた。私は慎重にじっくりと考えるタイプだったが、犯罪に巻き込まれ、やむを得ず願った。
「チート能力をくれ!」と。
その日から今日で、3ヶ月が経とうとしている。
もう一度改めて自己紹介しておこう。私の名前は青山瑞稀、32歳のおっさんサラリーマンだ。その日を境に私は、20歳の女性に変身出来る様になった。別に女性になりたくて望んだ力では無い。何をどう間違えたのか分からないが、女性にならなければチート能力を使う事が出来ないのだ。男の時の私が使える能力は2つ、「女性変化」と「隠しスキル」だけだ。このうち「隠しスキル」は鑑定の上位版で、鑑定で他人から見られるステイタスを偽装出来るし、相手のステイタスを見る事が出来る。そして、「女性変化」で女性に変身した私のランクは、世界でたった3人しかいないSSSランクの1人なのだ。他のSSSランクは、アメリカに1人、中国に1人いると聞いた。私は存在を秘密にしている為、日本にSSSランクがいる事は誰も知らない。何故秘密にしているかって?それは、アメリカと中国のSSSランクは、軍人となったからだ。SSSランクは、1人で全世界を滅ぼせる程のチート能力を有している。
アメリカ人の方は、地水火風の4大元素を基礎とした魔法を使え、巨大ハリケーン、大津波、大地震を起こす事が可能だそうで、天変地異を意図的に発生出来る。また、中国人の方は、時空間魔法が使え、時間魔法は対象の時間を巻き戻したり、早送りが可能だ。どう言う事かと言うと、赤ちゃんまで巻き戻されたり、寿命が尽きる寸前の老人まで時を進められると、簡単に殺せると言う事だ。更に空間魔法では、結界で身を守ったり、対象を異次元空間に飛ばせるそうだ。こんな奴らとまともに戦えば死ぬ。
女性化している時の私は、人類で唯一の不老不死で、光魔法の中には「死者蘇生」呪文があるので、死んだ人間をも生き返らせる事が可能だ。こんな能力者は軍事利用されるに決まっている。不死で死なないのだから、最前線に送られ、死んだ戦友を生き返らせれば、日本は不死の軍隊で無敵だ。でも軍人なんて、真っ平ごめんだ。だから私は、SSSランクである事を秘密にしているのだ。攻撃呪文は無いのかだって?闇魔法にとんでもない呪文を持っているのだが、それは使う機会は無いだろう。人を殺す為だけの呪文だからだ。闇耐性の無い相手を、レベル・ランクを問わず即死させる呪文だ。
私はせっかく得たこの能力を、社会の為に役立てたいと思い、影ながら社会を支える事にした。それは、突然この様な能力を授かった者の中には、嘆かわしい事だが、悪用する人も少なからずいるからだ。神に願って与えられた力は何も魔法だけでは無い。剣や銃、武術の達人、いや、そんな次元を超越した能力者が大勢いる。そんな人達を取り締まる法はまだ整備されておらず、野放しになっているのが現状だ。警察が捕えようにも、能力者の方が強ければ捕まえる事が出来ない。
私は、そのお手伝いが出来れば良いと思い、ヒーローの真似事を始めたのだ。正体を隠す為に仮面を付けて、顔を隠している。仮面とは言え、目と鼻が隠れているだけで、口元は出ているが、まぁバレないと思う。世間では私は、「白面の魔女」と渾名されている様だ。チート能力で転生と言えば異世界じゃないのか?何で性別が転生しただけなんだよ、そっちじゃねーよとツッコミたくなるが、こうなってしまったものは仕方がない。
このチート能力にはデメリットがある。女性変化100%に達すると女性永続化となり、2度と男の姿に戻れないのだ。しかも女性化している間は、心も女性になるので、本当は男なのに男に恋してしまうのだ。実はこの姿の時に好きな男がいる。
会社の後輩で26歳なのだが、この姿で偶然出会ってしまい好意を寄せられ、女の私も満更ではない様子だ。全く他人事の様に言っているが、女性変化を解とくと我に返ったみたいに、後悔し気持ち悪い。しかも女性として行動すると、女性変化進行率が増えてしまう。女性として行動するとは、女性の姿でいる事ではなく、女性として男と接触すると、と言う意味だ。私は既に女性変化進行率21%だ。つまり言いたくはないが、その男と女性として接触してしまっている。口付けをしてしまったのだ。それも2度も。1度目は向こうから強引に、2度目も強引にされたが、雰囲気に流されて受け入れてしまい、背中に手を回して抱きしめた。OKのサインだと思われてホテルに連れ込まれそうになったので、逃げたけど。女性変化進行率100%になってしまっては大変だ。女性の時になるべく出会わない様に心掛けている。
さて、今日もパトロールに出掛けるとしよう。公園の多目的トイレで『女性変化』と唱えて女性に変身する。服装は生活魔法の『衣装替』で思い描いた衣装を自由に着る事が出来るので便利だ。
Sランク以上の能力者は、飛行能力スキルが使える。空が飛べるのは助かる。このスキルにもランクがあり、勿論私は飛行能力もSSSランクなので、私より速く飛べる者はいない。見つかってもまず私が悪人に、捕まる事はないだろう。しかし空は飛べるのだが、小心者の私は闇魔法の『影の部屋』を唱えて、影の世界を飛んで移動する。闇魔法の他にも、光魔法と回復魔法、防御魔法が使える。更に特殊スキルで、身体状態異常無効と精神状態異常無効を持ち、極め付けは唯一の不老不死者である事だ。更に称号に「絶世の美女」と「聖女」がある。これはまた、おいおい説明しよう。闇魔法『黒獣眷属化』でカラスや黒猫を使役し、彼らの目を通して情報が得られる魔法がある。犯罪に巻き込まれている人がいないか、確認する為に使用している呪文だ。
女性が2人の男に囲まれて、路地裏に連れ込まれるのをカラスの目を通して察知した。攫われた路地裏に急ぐと、女性の身ぐるみが剥がされていた。
「おら、下着も取っちまえよ!金を隠してるんじゃないだろうな?」
「そんな訳ないじゃ無い!お断りよ!」
「手伝ってやる!」
「キャー!誰か!誰か助けてー!」
「そんな姿にされる前に、助けを求めるべきだったんじゃないかなぁ?」
「誰だ!」
「んー、誰かしら?でも白面の魔女と呼ばれているらしいわね?」
路地裏のお店の庇に立って、男達を見下ろした。
「お前が?何パンツ見せて格好付けてるんだ?」
「えっ?」
スカートがミニ過ぎたかと思い、慌ててスカートの前を押さえた。
「馬鹿が、古い手に引っ掛かってんじゃねーよ!」
男の1人が落ちていた木の棒を私に向かって投げた。
『物理障壁』
木の棒は見えない壁に阻まれて跳ね返り、私の足下に落ちた。
『闇の拘束』
私に木の棒を投げつけた男を、闇のロープで縛って拘束した。
「こいつ!」
殴りかかって来た。不意打ちで完全に躱せずに仮面に当たって地面に落ちた。手で顔を隠すと、2発目を受けそうになり、再び『物理障壁』を唱えたので、逆に障壁によって拳を痛めていた。
「大丈夫?痛いでしょう?」
その男も拘束した。
「もう大丈夫よ。悪いけど、貴女から警察に通報してくれる?」
そう言い残して立ち去った。私の携帯から電話すると、誰だかバレちゃう為だ。『闇の拘束』は1時間もすれば拘束が解とける。
「やったね、今日も未然に事件を防げたよ」
私はいつもの多目的トイレに入って、男に戻った。はぁ、疲れた。明日も会社だしなぁ。お風呂から上がり、ベッドで横になると深い眠りに落ちた。
「望んだ力を与えよう」と。永遠に頭の中で鳴り響くそれは、人々のストレスとなり、社会問題になった。耐え切れなくなった者が、「俺の願いは、この声を止めろだ!」と叫ぶと止んだ。それに倣った者もいたが、信じて違う願いを望んだ者もいた。それが実現するのを見て、自分はなんてくだらない願い事をしたのだろうと、嘆いた。私は慎重にじっくりと考えるタイプだったが、犯罪に巻き込まれ、やむを得ず願った。
「チート能力をくれ!」と。
その日から今日で、3ヶ月が経とうとしている。
もう一度改めて自己紹介しておこう。私の名前は青山瑞稀、32歳のおっさんサラリーマンだ。その日を境に私は、20歳の女性に変身出来る様になった。別に女性になりたくて望んだ力では無い。何をどう間違えたのか分からないが、女性にならなければチート能力を使う事が出来ないのだ。男の時の私が使える能力は2つ、「女性変化」と「隠しスキル」だけだ。このうち「隠しスキル」は鑑定の上位版で、鑑定で他人から見られるステイタスを偽装出来るし、相手のステイタスを見る事が出来る。そして、「女性変化」で女性に変身した私のランクは、世界でたった3人しかいないSSSランクの1人なのだ。他のSSSランクは、アメリカに1人、中国に1人いると聞いた。私は存在を秘密にしている為、日本にSSSランクがいる事は誰も知らない。何故秘密にしているかって?それは、アメリカと中国のSSSランクは、軍人となったからだ。SSSランクは、1人で全世界を滅ぼせる程のチート能力を有している。
アメリカ人の方は、地水火風の4大元素を基礎とした魔法を使え、巨大ハリケーン、大津波、大地震を起こす事が可能だそうで、天変地異を意図的に発生出来る。また、中国人の方は、時空間魔法が使え、時間魔法は対象の時間を巻き戻したり、早送りが可能だ。どう言う事かと言うと、赤ちゃんまで巻き戻されたり、寿命が尽きる寸前の老人まで時を進められると、簡単に殺せると言う事だ。更に空間魔法では、結界で身を守ったり、対象を異次元空間に飛ばせるそうだ。こんな奴らとまともに戦えば死ぬ。
女性化している時の私は、人類で唯一の不老不死で、光魔法の中には「死者蘇生」呪文があるので、死んだ人間をも生き返らせる事が可能だ。こんな能力者は軍事利用されるに決まっている。不死で死なないのだから、最前線に送られ、死んだ戦友を生き返らせれば、日本は不死の軍隊で無敵だ。でも軍人なんて、真っ平ごめんだ。だから私は、SSSランクである事を秘密にしているのだ。攻撃呪文は無いのかだって?闇魔法にとんでもない呪文を持っているのだが、それは使う機会は無いだろう。人を殺す為だけの呪文だからだ。闇耐性の無い相手を、レベル・ランクを問わず即死させる呪文だ。
私はせっかく得たこの能力を、社会の為に役立てたいと思い、影ながら社会を支える事にした。それは、突然この様な能力を授かった者の中には、嘆かわしい事だが、悪用する人も少なからずいるからだ。神に願って与えられた力は何も魔法だけでは無い。剣や銃、武術の達人、いや、そんな次元を超越した能力者が大勢いる。そんな人達を取り締まる法はまだ整備されておらず、野放しになっているのが現状だ。警察が捕えようにも、能力者の方が強ければ捕まえる事が出来ない。
私は、そのお手伝いが出来れば良いと思い、ヒーローの真似事を始めたのだ。正体を隠す為に仮面を付けて、顔を隠している。仮面とは言え、目と鼻が隠れているだけで、口元は出ているが、まぁバレないと思う。世間では私は、「白面の魔女」と渾名されている様だ。チート能力で転生と言えば異世界じゃないのか?何で性別が転生しただけなんだよ、そっちじゃねーよとツッコミたくなるが、こうなってしまったものは仕方がない。
このチート能力にはデメリットがある。女性変化100%に達すると女性永続化となり、2度と男の姿に戻れないのだ。しかも女性化している間は、心も女性になるので、本当は男なのに男に恋してしまうのだ。実はこの姿の時に好きな男がいる。
会社の後輩で26歳なのだが、この姿で偶然出会ってしまい好意を寄せられ、女の私も満更ではない様子だ。全く他人事の様に言っているが、女性変化を解とくと我に返ったみたいに、後悔し気持ち悪い。しかも女性として行動すると、女性変化進行率が増えてしまう。女性として行動するとは、女性の姿でいる事ではなく、女性として男と接触すると、と言う意味だ。私は既に女性変化進行率21%だ。つまり言いたくはないが、その男と女性として接触してしまっている。口付けをしてしまったのだ。それも2度も。1度目は向こうから強引に、2度目も強引にされたが、雰囲気に流されて受け入れてしまい、背中に手を回して抱きしめた。OKのサインだと思われてホテルに連れ込まれそうになったので、逃げたけど。女性変化進行率100%になってしまっては大変だ。女性の時になるべく出会わない様に心掛けている。
さて、今日もパトロールに出掛けるとしよう。公園の多目的トイレで『女性変化』と唱えて女性に変身する。服装は生活魔法の『衣装替』で思い描いた衣装を自由に着る事が出来るので便利だ。
Sランク以上の能力者は、飛行能力スキルが使える。空が飛べるのは助かる。このスキルにもランクがあり、勿論私は飛行能力もSSSランクなので、私より速く飛べる者はいない。見つかってもまず私が悪人に、捕まる事はないだろう。しかし空は飛べるのだが、小心者の私は闇魔法の『影の部屋』を唱えて、影の世界を飛んで移動する。闇魔法の他にも、光魔法と回復魔法、防御魔法が使える。更に特殊スキルで、身体状態異常無効と精神状態異常無効を持ち、極め付けは唯一の不老不死者である事だ。更に称号に「絶世の美女」と「聖女」がある。これはまた、おいおい説明しよう。闇魔法『黒獣眷属化』でカラスや黒猫を使役し、彼らの目を通して情報が得られる魔法がある。犯罪に巻き込まれている人がいないか、確認する為に使用している呪文だ。
女性が2人の男に囲まれて、路地裏に連れ込まれるのをカラスの目を通して察知した。攫われた路地裏に急ぐと、女性の身ぐるみが剥がされていた。
「おら、下着も取っちまえよ!金を隠してるんじゃないだろうな?」
「そんな訳ないじゃ無い!お断りよ!」
「手伝ってやる!」
「キャー!誰か!誰か助けてー!」
「そんな姿にされる前に、助けを求めるべきだったんじゃないかなぁ?」
「誰だ!」
「んー、誰かしら?でも白面の魔女と呼ばれているらしいわね?」
路地裏のお店の庇に立って、男達を見下ろした。
「お前が?何パンツ見せて格好付けてるんだ?」
「えっ?」
スカートがミニ過ぎたかと思い、慌ててスカートの前を押さえた。
「馬鹿が、古い手に引っ掛かってんじゃねーよ!」
男の1人が落ちていた木の棒を私に向かって投げた。
『物理障壁』
木の棒は見えない壁に阻まれて跳ね返り、私の足下に落ちた。
『闇の拘束』
私に木の棒を投げつけた男を、闇のロープで縛って拘束した。
「こいつ!」
殴りかかって来た。不意打ちで完全に躱せずに仮面に当たって地面に落ちた。手で顔を隠すと、2発目を受けそうになり、再び『物理障壁』を唱えたので、逆に障壁によって拳を痛めていた。
「大丈夫?痛いでしょう?」
その男も拘束した。
「もう大丈夫よ。悪いけど、貴女から警察に通報してくれる?」
そう言い残して立ち去った。私の携帯から電話すると、誰だかバレちゃう為だ。『闇の拘束』は1時間もすれば拘束が解とける。
「やったね、今日も未然に事件を防げたよ」
私はいつもの多目的トイレに入って、男に戻った。はぁ、疲れた。明日も会社だしなぁ。お風呂から上がり、ベッドで横になると深い眠りに落ちた。
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