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1 プロローグ

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   「……ここは……どこだ?……」

  俺こと、剣崎 白(17)は戸惑っていた。
  目が覚めたら見知らぬ白い空間にいたのだから仕方がないと思う。
  俺は確か、父と剣道をして、終わってからシャワーを浴び、母さんに頼まれておつかいに商店街に行く途中で、車に引かれそうになっていた男の子を助けようと飛び出し轢かれた……はずだよな?
  体には傷ひとつないし、それよりもここは一体なんなんだろう。どれだけ見回しても真っ白。
  すると突然

   「お主、目覚めたのか」

   「!!」

 先ほど周りを見回したときにはいなかった老人がいきなり後ろに現れたのである。

  「ふぉっふぉっふぉっ…いきなり現れて驚かしてしまったかの」

   「……あなたは一体…?」

  「儂は、神導神リーデストじゃ。俗に言う神様じゃな」

  神様……にわかには信じられないがこの白い空間といい、車に轢かれたのに無傷なことといい、明らかにおかしい。この人は本当に神様なのか。

   「本当に神様じゃよ」

   「!!」

  心を読まれたのか?

   「そうじゃよ。神様じゃからな。人の心を読むなど簡単にできるのじゃ」

  「……なぜ、神様が………」

  「そうじゃった、そうじゃった、すっかり本題を忘れるとこだったわい。まず、お主はな、死んだんじゃよ」

  やっぱりここは死後の世界なのか。

  「それはちょっと違うの。死後の世界と現実世界との境界の世界といった感じじゃの」

   「…どうして、僕がこの様なところに?」

   「別に神様じゃからと堅苦しい言葉使いはせんでもよいぞ……まぁそれはさておき本題じゃ。お主は見ず知らずの子供のために命を張ることができた清き心の持ち主じゃ。じゃからの、お主には異世界に渡り2度目の人生を送るか、記憶を引き継がずに転生するかの2択を選べるのじゃ。前者の方は選べる者は少ないの。お主は特別じゃ」

   「……異世界?」

  異世界って言うと巷で話題のゲームの世界のような別の世界ってことか?

   「ふむ、だいたいそんな感じじゃ。お主の世界にはなかった魔法や魔獣などがおる世界じゃ。お主の世界で言う中世ぐらいの文明力しかないがの」

  「なぜ俺を異世界へ?」

  堅苦しい言葉使いをしなくていいと言われたので普段の話し方に変えてみた。

   「ふぉっふぉっふぉっやはりその話し方の方がよく似合っておるな。お主を異世界へ送る理由はの、さっきもいった通り清き心を持っておるからじゃの。清き心を持つものを記憶を消して転生させてしまうよりは、別の世界へ送った方が何かとよいからの」

   確かに、記憶を消して転生させて極悪人になられたりするよりは、清い心を持たせたままの方が問題が少ないってことか。

   「やはりお主は頭がよいの。普通いきなりこんなところに来たらパニックになってしまっても不思議ではないのにの」

  「父にどんな状況でも冷静になれと言われ続けて来ましたからね」

  「普通言われても実践できるものはほとんどいないと思うんじゃがな」

   「ところで、神様。なぜ神様が俺のような一人の人間に対してここまで気にかけるのですか?」

  これは俺が普通に感じた疑問だ。清い心を持っていたとしても一人の人間に対して神様が出てくるなんて不思議でならなかった。しかも今、目の前にいるのは[神導神]である。神を導く神である。明らかに高位っぽい神様であるのにこんなことをしているなんてとても不思議だった。

   「やはり、お主は頭がよいの。確かに普段なら天使か低位の神がこの仕事をやっていたのぉ。確かに儂は、お主の予想通りの高位の神じゃ」
 
  やっぱり…そうだったのか

   「じゃがの、神の一人がやらかしての、神界は今てんやわんやなのじゃ。そこで様々な仕事を儂がやっとると言うわけじゃ」 

   なるほどそういうことだったのか。神様にも大変なことがあるんだな。

   「で、どうじゃ異世界にいってはくれんか。すごいスキルや、聖剣などちょっとした制限はあるが持っていくことができるぞ」

   「どうせもとの世界で死んでいるのなら、異世界に渡るのはいいんだが……」

   何を貰おう?すごいスキルや、聖剣などそれもほしいがなんか違う。何が違うのだろうか?
……………………………そうか!!

   「神様、俺に武術に関して稽古してくれ!!」

   「稽古じゃと! なぜ稽古なんじゃ?簡単に強くなれるスキルなども手に入ると言うのに……」

   「俺は、努力が好きだ。努力によって結果に結びつくのがもっと好きだ。簡単にスキルを手にいれるのもいい……だけど俺は努力で力をつけたい…」

  おれは思っていることをいった。さらに…

   「……あと、神様めちゃくちゃ強いんでしょ?」

   「………ふぉっふぉっふぉっこんな爺さんを強いと見抜くとはの。儂は神導神じゃからな。神を導くためには武神よりも強く魔法神よりも魔法を極め、叡智神よりも叡智を持たねばならぬ」

  ぉぉお  思っていたよりも信じられないぐらい凄かった。オーバースペック過ぎない?

   「儂は、お主を気に入ったからの、特別に儂の知る武の全てを叩き込んでやろう」

  駄目元でいってみたが意外とすんなりオーケーもらえた。何事もいってみるもんだな。

   「儂の予想ではお主が儂の修行を終えるのは1000年後位かの。なに、安心せい、ここでは死ぬことも眠たくなることも腹が減ることもない。時も止まっておるから修行しほうだいじゃのふぉっふぉっふぉっ」

  この時、俺は悟った。ヤバい人に稽古を頼んでしまったと。

  
  

 
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