契約結婚!一発逆転マニュアル♡

伊吹美香

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第六章

契約夫婦は円満に

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依舞稀の父は生前によく言っていた。

『どんな病気の患者さんでも不安を持ってるんだ。医師に診てほしい、治してほしい、助けてほしい。いろんな望みを持って受診しにきてる。そんな患者さんの不安を取り除いてあげたい。最高の治療を受けてほしい。その一心でお父さんは医師という仕事をしてるんだよ』と。

そんな父らしい反応だ、と依舞稀は笑みを漏らした。

「緒方先生は手術内容や術後合併症の可能性、術後ケアなんかを本当に事細かに説明してくださった。危険性についても包み隠さず話してくれてね。それについての対策も詳しく語ってくれた上で選択権をくれた」

医師が一方的に語り決めるのではなく、緒方医師はもう満足だというまで質問を受け付け真摯に答えてくれた。

「緒方医師は『自分を全面的に信用してくれれば、絶対に信用に応えてみせる』と言ったんだ。私の答えはもちろん、命を預ける、だったよ」

自分の命を任せられるのは緒方医師しかいないと誠之助は確信したのだ。

「結果はもちろん大成功。回復も早くて、本当にお任せしてよかったと心から思ったよ。術後の診察も検診も、もちろん他の軽い病気の時も、私は緒方医師に診てもらった。私の主治医は緒方先生以外に考えられなかったからね」

療養後、誠之助は何よりも自分の体を大切にすることにした。

救われた命に感謝し、自分の本当に大切な人達のために生きていこうと心に決めたからだ。


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