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第六章
契約夫婦は円満に
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振り向いた遥翔は、依舞稀の尋常ではない緊張と不安に気が付くと、ふわりと優しい笑顔を向けた。
「どうした?」
「確かに遥翔さんの実家ですけど、お返事もないのに勝手に私が入ってしまってよかったんでしょうか……」
反応がない。
出迎えてもらえない。
イコール遥翔の両親は、自分との結婚を認めてはいない。
依舞稀の頭の中では、完全にこの図がありありと浮かんでいる。
最初の興奮はどこへやら、依舞稀はすっかり怯えてしまっていた。
「大丈夫だ。心配するな。親父はリビングで待ってるから、勝手に入って来いって言われてるんだよ。飛行機移動が長くて、持病の腰痛が悪化したから出迎えられないって」
「そうなんですね……」
遥翔の父親はそうだとしても、母親まで腰痛ということではないだろう。
依舞稀の立場からすると、父親よりもまずは母親に気に入ってもらうことのほうが大切なのだ。
理想の結婚の定義は、嫁姑が半分を占めるといっても過言ではない。
「ちなみに母親は……」
遥翔は依舞稀から視線を逸らすと、申し訳なさそうに溜め息をついた。
やっぱり自分は桐ケ谷の嫁として、遥翔の妻として、認めてもらえていないのだろう。
打算的に結婚を決め、入籍の報告も遥翔が電話一本で済ませてしまった。
そのあとすぐに海外に行くので挨拶は後でいいと言われたことを、そのまま鵜吞みにせずに強引にでも顔を出すべきだった。
後悔しても遅いけれど、初めが肝心であったと頭を抱えたくなった。
「どうした?」
「確かに遥翔さんの実家ですけど、お返事もないのに勝手に私が入ってしまってよかったんでしょうか……」
反応がない。
出迎えてもらえない。
イコール遥翔の両親は、自分との結婚を認めてはいない。
依舞稀の頭の中では、完全にこの図がありありと浮かんでいる。
最初の興奮はどこへやら、依舞稀はすっかり怯えてしまっていた。
「大丈夫だ。心配するな。親父はリビングで待ってるから、勝手に入って来いって言われてるんだよ。飛行機移動が長くて、持病の腰痛が悪化したから出迎えられないって」
「そうなんですね……」
遥翔の父親はそうだとしても、母親まで腰痛ということではないだろう。
依舞稀の立場からすると、父親よりもまずは母親に気に入ってもらうことのほうが大切なのだ。
理想の結婚の定義は、嫁姑が半分を占めるといっても過言ではない。
「ちなみに母親は……」
遥翔は依舞稀から視線を逸らすと、申し訳なさそうに溜め息をついた。
やっぱり自分は桐ケ谷の嫁として、遥翔の妻として、認めてもらえていないのだろう。
打算的に結婚を決め、入籍の報告も遥翔が電話一本で済ませてしまった。
そのあとすぐに海外に行くので挨拶は後でいいと言われたことを、そのまま鵜吞みにせずに強引にでも顔を出すべきだった。
後悔しても遅いけれど、初めが肝心であったと頭を抱えたくなった。
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