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第五章
反撃の刃
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「プライベートはさておき、ここでは緒方は副社長夫人ではなく一社員として扱ってます」
部長の言葉はいつもよりも大きく聞こえる。
「大事な仕事もたくさん抱えてますし、緒方でなければ対応できないことも山積みなんですから」
当然のようにそう言う部長ではあるが、結婚当初から何事もなく受け入れられていたわけではなかったように記憶しているのだが……。
それでも周りのサポートがあり、自然に日常は戻ってきた。
しかし今回のことに関しては、なにかあるかと思って覚悟していたのだが。
「いくら自分の妻だからといって、甘やかしてばかりでは困りますよ?」
怒ったような、それでいて呆れたような部長の表情に、「……すまん」と遥翔は呟くしかできなかった。
依舞稀もハッと我に返り、急いでデスクの引き出しからファイルを取り出すと、璃世たちの冷やかしの視線から逃れるように遥翔に目配せすると、会議室へと消えていった。
あとに残された自分はいったいこの場で何をすればいいのだろうか。
「今日も一日よろしく頼む」
如何にも副社長らしく社員達に言葉を掛けると、彼等はとても嬉しそうに返事を返してくれた。
依舞稀と関わる前までは、この部署に来たことすらなかった。
前回来た時も、社員達には一言も言葉を掛けることなどなかった。
社員達かどの部署でどんな仕事をし、どのように貢献してくれているのか。
経営者として当たり前のことすら把握していなかったのだ。
全ては社員の一人一人が真摯に仕事に向き合ってくれている結果だというのに。
依舞稀と結婚するまでの自分は、こんなにもお粗末だったのかと身につまされる思いで遥翔は副社長室へと戻っていった。
部長の言葉はいつもよりも大きく聞こえる。
「大事な仕事もたくさん抱えてますし、緒方でなければ対応できないことも山積みなんですから」
当然のようにそう言う部長ではあるが、結婚当初から何事もなく受け入れられていたわけではなかったように記憶しているのだが……。
それでも周りのサポートがあり、自然に日常は戻ってきた。
しかし今回のことに関しては、なにかあるかと思って覚悟していたのだが。
「いくら自分の妻だからといって、甘やかしてばかりでは困りますよ?」
怒ったような、それでいて呆れたような部長の表情に、「……すまん」と遥翔は呟くしかできなかった。
依舞稀もハッと我に返り、急いでデスクの引き出しからファイルを取り出すと、璃世たちの冷やかしの視線から逃れるように遥翔に目配せすると、会議室へと消えていった。
あとに残された自分はいったいこの場で何をすればいいのだろうか。
「今日も一日よろしく頼む」
如何にも副社長らしく社員達に言葉を掛けると、彼等はとても嬉しそうに返事を返してくれた。
依舞稀と関わる前までは、この部署に来たことすらなかった。
前回来た時も、社員達には一言も言葉を掛けることなどなかった。
社員達かどの部署でどんな仕事をし、どのように貢献してくれているのか。
経営者として当たり前のことすら把握していなかったのだ。
全ては社員の一人一人が真摯に仕事に向き合ってくれている結果だというのに。
依舞稀と結婚するまでの自分は、こんなにもお粗末だったのかと身につまされる思いで遥翔は副社長室へと戻っていった。
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