契約結婚！一発逆転マニュアル♡

第二章

嫉妬と好奇

キュッと固まった遥翔の体で、彼の驚き具合がわかる。

今ならまだ、ぱっと離れてしまえばただの酔っ払いの行動だと誤魔化せるかもしれない。

しかしもう、腕に力を入れた時点で無理だろう。

「依舞稀……？どうした?」

遥翔はそっと依舞稀の背中に手を回し、まるで宥めるかのように、トントンと背を打った。

とても心地いいけれど、これでは酔っぱらいの気まぐれな行動のひとつで終わってしまう。

「遥翔さん……私」

これから一生この人と一緒にいるのであれば、私ももう少し素直になろう。

そう決めて、依舞稀は腕を緩めて遥翔の両肩に手を置いた。

真っ直ぐに見つめ合う二人の距離は、今までにないほどに近い。

互いの心臓がドクドクと早まっていることは、自分しか知らない。

「遥翔さん、私……ちゃんと妻らしいこともしたいって思ってます」

「今でも俺は満足してるから、依舞稀は無理なく……」

先ほどと変わらず繰り返す二人の会話を遮ったのは、遥翔の唇を塞いだ依舞稀の三本の指だった。

「んん？」

遥翔がモゴモゴと何かを発したが、依舞稀は敢えて塞いだまま聞いてやらなかった。

「遥翔さんは鈍い。それ、わざとですか？」

頬を染めた依舞稀の姿を見れば、それでもわからないと言えるほど子供ではない。

依舞稀の言わんとしていることがなんなのか、遥翔はやっと悟ることができた。