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第二章
嫉妬と好奇
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遥翔の依舞稀を守りたいと思う気持ちは本当に有難く嬉しい。
その気持ちは遥翔に伝えなくては。
「遥翔さんの私を思っての提案は、本当に嬉しいです」
「そうか。じゃあ早速八神に手続きをさせよう」
「いえ、それはお断りさせてください」
「なんだって?」
「遥翔さんの気持ちは有難いんですけど、私は移動できません」
真っ直ぐ遥翔を見つめて、依舞稀はそう言った。
「私、ホテルで働ければどの部署でもいいと思ってます。けれどそれはホテルマンとして働ければどこでも、という意味なんです」
医者になることをやめ、ホテルマンの道を選んだ依舞稀にとって、どの部署であっても遣り甲斐はあるし夢が潰えることはない。
依舞稀の元の夢はコンシェルジュなのだから。
様々なホテル部署に関わることは、プラスにこそなれマイナスになることは決してない。
しかしそれが秘書となると話が変わってくる。
「私はホテルマンとして働いていたいんです。遥翔さんの秘書になれば立場的にも守られるのかもしれないけど、私はそれを望んでいません」
依舞稀の話を黙って聞いていた遥翔は、深い溜め息をついた。
せっかくの提案を断るなんて、なんて奴だと思われただろうか。
二人を包み込む沈黙の闇が、依舞稀をどんどん不安にした。
「遥翔さん……ごめんなさい」
おずおずと顔色を伺った依舞稀に、遥翔は苦笑いを浮かべる。
「依舞稀が謝ることなんて何一つない。俺が浅はかだった」
「そんな……」
「依舞稀の両親が亡くなってフロント業務から営業企画になってからは、生活と借金のために働く比重が大きいと勝手に思い込んでいた。依舞稀がそこまで思って働いてくれてるなんて思ってなかったんだから最低だよな」
そんなことないというように、依舞稀は首を振りながら、遥翔の握り拳を両手で包み込んだ。
その気持ちは遥翔に伝えなくては。
「遥翔さんの私を思っての提案は、本当に嬉しいです」
「そうか。じゃあ早速八神に手続きをさせよう」
「いえ、それはお断りさせてください」
「なんだって?」
「遥翔さんの気持ちは有難いんですけど、私は移動できません」
真っ直ぐ遥翔を見つめて、依舞稀はそう言った。
「私、ホテルで働ければどの部署でもいいと思ってます。けれどそれはホテルマンとして働ければどこでも、という意味なんです」
医者になることをやめ、ホテルマンの道を選んだ依舞稀にとって、どの部署であっても遣り甲斐はあるし夢が潰えることはない。
依舞稀の元の夢はコンシェルジュなのだから。
様々なホテル部署に関わることは、プラスにこそなれマイナスになることは決してない。
しかしそれが秘書となると話が変わってくる。
「私はホテルマンとして働いていたいんです。遥翔さんの秘書になれば立場的にも守られるのかもしれないけど、私はそれを望んでいません」
依舞稀の話を黙って聞いていた遥翔は、深い溜め息をついた。
せっかくの提案を断るなんて、なんて奴だと思われただろうか。
二人を包み込む沈黙の闇が、依舞稀をどんどん不安にした。
「遥翔さん……ごめんなさい」
おずおずと顔色を伺った依舞稀に、遥翔は苦笑いを浮かべる。
「依舞稀が謝ることなんて何一つない。俺が浅はかだった」
「そんな……」
「依舞稀の両親が亡くなってフロント業務から営業企画になってからは、生活と借金のために働く比重が大きいと勝手に思い込んでいた。依舞稀がそこまで思って働いてくれてるなんて思ってなかったんだから最低だよな」
そんなことないというように、依舞稀は首を振りながら、遥翔の握り拳を両手で包み込んだ。
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