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第二章

嫉妬と好奇

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家に帰ると遥翔はまず依舞稀を先にお風呂へと促した。

本当ならば旦那様である遥翔に一番風呂を……などと考えるのであろうが、依舞稀達夫婦はそうではない。

お互いにお互いの都合のいいタイミングとペースで進めて行く。

遥翔自身、夫だからと奉ってほしいわけではなかったからだ。

食事の支度をしながら、湯上り美人の依舞稀を待つ。

これはこれで最高に楽しいのだ。

長湯の依舞稀に合わせ、ワインのつまみになるチーズとクラッカー、トマトと生ハムのピンチョスまで作り、テーブルセッティングを始めた。

ちょうど用意が終わったころに、ほかほかの依舞稀がリビングにやってきた。

「うわぁ、おいしそう!」

飛び跳ねそうなほどに喜ぶ依舞稀の顔を見ていると、毎日でも自分がご飯を作ってやりたくなる。

これで餌付けでもできれば、心も身体も開いてくれないだろうか。

そんなことを考えるだけで、遥翔の口角は自然に上がってしまう。

「冷めないうちに食べよう」

「はいっ」

自分の髪は自分でしっかり乾かして来る依舞稀なので、遥翔が乾かしてやる、という甘いパターンは今のところ巡っては来ない。

いずれは二人でお風呂に入り、髪を乾かし合うという野望があるが、今はまだひた隠しにしておこう。

二人でたわいのない会話をしながら食事を楽しみ、今度は遥翔がお風呂に入っているうちに依舞稀が後片付けをする。

しっかりとした家事分担に、依舞稀は始め戸惑った。

こんなに主婦業を手伝ってもらっていいのだろうかと。


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