契約結婚！一発逆転マニュアル♡

第二章

嫉妬と好奇

定時を３０分以上過ぎ、依舞稀は急いで着替えて遥翔の待つ駐車場へと向かった。

いくら順調に仕事がこなせたといっても、今までの彩葉一派の妨害により押している仕事もあった。

何より今日、笹田様を確実に見落とさないために準備していたし、その後も何かと忙しく、結局はあっという間に時間が来てしまった。

地下駐車場に着くと、探さずとも遥翔のランボルギーニは目に留まる。

遥翔は既に車の中で依舞稀を待っていた。

「すみません。遅くなりました」

依舞稀は助手席のドアを開けてシートに座りながら遥翔に謝ったが、遥翔はニコリと微笑んで「お疲れ様」と言葉をくれた。

「待たせてごめんなさい」

「大丈夫だ。ホテルのために必死に仕事をしてくれている社員には感謝しないとな」

「副社長直々にそう言っていただけるとは、社員冥利に尽きます」

わざとらしく頭を下げて笑うと、遥翔も「いえいえ」と笑ってくれる。

最近ではこういった自然な会話もできるようになり、以前より距離も近くなってきたのではないかとお互い感じていた。

車を走らせながらに会話も、訪れる沈黙も、気を張らずにいられるようになってきた。

「晩御飯はどうする？外で済ますか？」

「まだ冷蔵庫の中は充実してます。お家で何か作りましょう」

一緒に帰るとどうしても外食が多くなりがちだが、依舞稀は妻として、手料理も堪能してほしかった。