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第4章 学園編(三年生)
27 魔獣討伐2
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先に魔獣の対処に当たっていた宮廷魔導士たちと合流し、状況を確認する。
人通りの多い道ではあったが、魔導士さんたちの指示により避難、道の封鎖は完了していた。
「怪我人は?」
「軽傷者が数名いましたが、すぐ治癒魔法をかけたので大事には至っていません。今は安全な場所に避難させています」
ディーン様の問いかけに、先行部隊の魔導士が応える。
聞いていた通り、確かに規模はそれほど大きくない。魔界の門も閉じている。この様子だと、まだ魔物も現れていないようだ。
しかし、まだ猪型の魔獣が数頭暴れているのが目に入る。
「殿下は後方に下がっていてください。ルナシアさんは、こちらの援護をお願いできますか?」
「分かりました」
先行部隊の援護に入るディーン様に倣って、私も残った魔獣と戦う態勢をとる。
グレース様は、護衛としてついてきていた宮廷魔導士さんたちと後方に下がり、その様子を見学する形だ。
「ああっ、感激です! こうしてルナシアさんと肩を並べて戦える日がくるなんて!」
獣人たちとの戦いの時も一緒ではなかっただろうかと思ったが、あの時は防壁を張ることに徹していたから状況は少し違うかも。あの後、魔獣が現れた時もディーン様は和解のための話し合いで不在だったし。
そういう意味では、初めての共闘になるのかもしれない。でも、今は集中してくださいね。
『光よ』
こちらに突進してくる猪型の魔獣に向けて、光の球をぶつける。
「ああっ、流石です! 詠唱もなしに光魔法を扱えるなんて!!」
振り向かなくても分かるけど、ディーン様が盛り上がってるね。
もともと魔法の詠唱は、魔法の構造を理解しやすくするために編み出されたものだ。必ずしも必要なものではない。
スピードの方が重視される場合は無詠唱、もしくは今みたいに一言だけ発することが多い。
きちんと詠唱した方が精度は上がるんだけどね。
「煩いぞ。さっさとお前も手伝え」
「む……分かってますよ」
淡々と魔獣を攻撃していたギャロッド様が、呆れたようにディーン様を注意する。子どものように口を尖らせながらも、ディーン様は魔獣たちに意識を集中し始めた。
この二人の関係性も相変わらずだけど、ギスギスした感じはなくなっている。仲がいいとも言い難いんだけど、お互いのことを理解しているという感じだろうか。
ディーン様の方は以前とさほど変わらない気がするので、ギャロッド様の変化が大きいんだろうな。
「これで全部か?」
ギャロッド様がとどめを刺した魔獣が最後だったようだ。辺りを見回しても、もう魔獣の姿はなかった。
しかし、まだ魔物は出てきていない。今回は、以前と同じようにはならないのだろうか。出てこないならそれに越したことはないが。
まぁ、そう上手くはいかないよね。
帰還しようと準備を進めていた矢先。
道端から飛び出してきたのは、白い野ウサギ。
その背中に、黒いうねうね動く物体が飛び移る。
あっ、と声を上げる前に、白かったウサギの体がみるみる黒く染まり、鋭い前歯を剥き出しにしながら、およそウサギらしからぬ凶暴な目つきで私たちの前に躍り出た。
「何ですか、これは!?」
急に様子の変わったウサギを前に、ディーン様が驚きの声をあげた。他の魔導士たちもざわついている。
そのウサギは、こちら目掛けて飛びついてくる。だが、ディーン様の放った氷の槍が命中し、ぱたりと地面に倒れた。
すると、黒くなっていた体が白に戻り、黒いうねうねした物体がウサギの体から離れる。
「まさか、こいつに操られていたのですか?」
その様子を見ていたディーン様が、素早く黒いうねうねを焼き尽くす。
しかし、黒く蠢く魔物たちは一匹ではなく、草むらから何匹も飛び出してくる。宿主となる生き物を探しているのか、私たちを狙っているようだった。
「ちっ、気持ち悪いやつだな。不用意に触るなよ!」
触るとまずいことを察知したギャロッド様が、炎で魔物たちを焼き払いながら注意を促す。
先程倒れたウサギの元に駆け寄ると、まだ息があった。急いで治癒魔法をかければ、ぴくぴくと耳を動かした後、ゆっくりと体を起こす。
あの黒いうねうねに操られていただけだったので、このウサギはもうただの野ウサギに戻っていた。
「操られていただけだったのですね。こんな事が起こるとは思いもしませんでしたが」
また寄生されてはいけないと私が抱えていたウサギを見て、ディーン様が眉間にしわを寄せる。
そうしている間にも、寄生されたと思しき野生動物たちが次々と姿を現し、私たち目掛けて襲いかかってきた。
せっかく魔獣をすべて倒したと思ったのに、規模が小さかったはずの討伐は思わぬ方向に発展してしまった。
「狩り残しがあれば、どんな被害が出るか分かりません。一匹たりとも逃してはいけませんよ! しかし、ただ寄生されているだけの生物を相手に戦うのは心苦しいですね」
ディーン様が顔を顰める。
「あの黒いのに操られているだけなら、それだけ引き剥がせば生物を傷つけることなく倒せないでしょうか?」
以前は宿主ごと倒してしまったが、今回は魔物だけを倒す方法を知っている。できることなら、その場にいただけで罪のない野生生物の命は救いたい。
「何か案が?」
「少し見ていていただけますか?」
宿主を傷つけないように魔物だけ引き剥がすためには、解呪の時のやり方が近い。どこに魔物が寄生しているか探知し、光魔法で刺激する。
その刺激で宿主と離れた魔物を一気に叩くというのが、手っ取り早い方法だ。
以前の世界でも行ったことがあるため、スムーズに探知・引き剥がすという手順を踏むことができた。
宿主の体から飛び出した魔物は、逃げられる前に焼き尽くす。
解放された野生動物は、何事もなかったように元の状態に戻った。
「おおっ、流石はホロウを戴いた天才魔導士! この短時間で解決策を編み出すとは……」
宮廷魔導士たちが盛り上がってるみたいだけど、私にとっては二度目の人生だからね。短時間で編み出したわけじゃないんだよ。
それに、この方法には欠点もある。
「光魔法以外では効果がありませんか」
刺激する時に他の属性の魔法だと効果が薄いようで、引き剥がすまでに至れない。
ディーン様も光属性以外の魔法で試していたが、やはり上手くいかないようだ。
「この場で光属性の魔法を扱えるのはお前たち二人しかいない。できるのか?」
できなければ、宿主に罪はないがやむを得ない。ギャロッド様をはじめとして、宮廷魔導士たちがディーン様と私の返事を待つ。
ディーン様が私の方に視線を向けた。うん、私の気持ちは決まっています。その視線に頷いて返した。
不敵に笑ってから、ディーン様が高らかに叫ぶ。
「ルナシアさんと私で引き剥がします。援護を!」
状況はかなり緊迫していると思うんだけど、未知のものへの好奇心の方が勝っているみたいだね。
緊急事態に萎縮してしまっていた魔導士たちも、ディーン様に触発されて戦闘態勢に入る。こういう時、彼の性質はとても頼もしい。
「大丈夫ですか、グレース様?」
「う、うん……こんなのと、いつも戦ってるの?」
「いえ、魔獣とは戦ったこともありますが、こんな事例は今回が初めてです」
やはり驚かせてしまったようだが、それでも逃げようとはしないグレース様の元へ行き、ウサギを預ける。
「また同じことになってはいけないので、預かっていていただけますか?」
「分かった、任せて。気をつけてね、ルナ!」
グレース様の激励を受け、気を引き締めてディーン様の隣に立った。
人通りの多い道ではあったが、魔導士さんたちの指示により避難、道の封鎖は完了していた。
「怪我人は?」
「軽傷者が数名いましたが、すぐ治癒魔法をかけたので大事には至っていません。今は安全な場所に避難させています」
ディーン様の問いかけに、先行部隊の魔導士が応える。
聞いていた通り、確かに規模はそれほど大きくない。魔界の門も閉じている。この様子だと、まだ魔物も現れていないようだ。
しかし、まだ猪型の魔獣が数頭暴れているのが目に入る。
「殿下は後方に下がっていてください。ルナシアさんは、こちらの援護をお願いできますか?」
「分かりました」
先行部隊の援護に入るディーン様に倣って、私も残った魔獣と戦う態勢をとる。
グレース様は、護衛としてついてきていた宮廷魔導士さんたちと後方に下がり、その様子を見学する形だ。
「ああっ、感激です! こうしてルナシアさんと肩を並べて戦える日がくるなんて!」
獣人たちとの戦いの時も一緒ではなかっただろうかと思ったが、あの時は防壁を張ることに徹していたから状況は少し違うかも。あの後、魔獣が現れた時もディーン様は和解のための話し合いで不在だったし。
そういう意味では、初めての共闘になるのかもしれない。でも、今は集中してくださいね。
『光よ』
こちらに突進してくる猪型の魔獣に向けて、光の球をぶつける。
「ああっ、流石です! 詠唱もなしに光魔法を扱えるなんて!!」
振り向かなくても分かるけど、ディーン様が盛り上がってるね。
もともと魔法の詠唱は、魔法の構造を理解しやすくするために編み出されたものだ。必ずしも必要なものではない。
スピードの方が重視される場合は無詠唱、もしくは今みたいに一言だけ発することが多い。
きちんと詠唱した方が精度は上がるんだけどね。
「煩いぞ。さっさとお前も手伝え」
「む……分かってますよ」
淡々と魔獣を攻撃していたギャロッド様が、呆れたようにディーン様を注意する。子どものように口を尖らせながらも、ディーン様は魔獣たちに意識を集中し始めた。
この二人の関係性も相変わらずだけど、ギスギスした感じはなくなっている。仲がいいとも言い難いんだけど、お互いのことを理解しているという感じだろうか。
ディーン様の方は以前とさほど変わらない気がするので、ギャロッド様の変化が大きいんだろうな。
「これで全部か?」
ギャロッド様がとどめを刺した魔獣が最後だったようだ。辺りを見回しても、もう魔獣の姿はなかった。
しかし、まだ魔物は出てきていない。今回は、以前と同じようにはならないのだろうか。出てこないならそれに越したことはないが。
まぁ、そう上手くはいかないよね。
帰還しようと準備を進めていた矢先。
道端から飛び出してきたのは、白い野ウサギ。
その背中に、黒いうねうね動く物体が飛び移る。
あっ、と声を上げる前に、白かったウサギの体がみるみる黒く染まり、鋭い前歯を剥き出しにしながら、およそウサギらしからぬ凶暴な目つきで私たちの前に躍り出た。
「何ですか、これは!?」
急に様子の変わったウサギを前に、ディーン様が驚きの声をあげた。他の魔導士たちもざわついている。
そのウサギは、こちら目掛けて飛びついてくる。だが、ディーン様の放った氷の槍が命中し、ぱたりと地面に倒れた。
すると、黒くなっていた体が白に戻り、黒いうねうねした物体がウサギの体から離れる。
「まさか、こいつに操られていたのですか?」
その様子を見ていたディーン様が、素早く黒いうねうねを焼き尽くす。
しかし、黒く蠢く魔物たちは一匹ではなく、草むらから何匹も飛び出してくる。宿主となる生き物を探しているのか、私たちを狙っているようだった。
「ちっ、気持ち悪いやつだな。不用意に触るなよ!」
触るとまずいことを察知したギャロッド様が、炎で魔物たちを焼き払いながら注意を促す。
先程倒れたウサギの元に駆け寄ると、まだ息があった。急いで治癒魔法をかければ、ぴくぴくと耳を動かした後、ゆっくりと体を起こす。
あの黒いうねうねに操られていただけだったので、このウサギはもうただの野ウサギに戻っていた。
「操られていただけだったのですね。こんな事が起こるとは思いもしませんでしたが」
また寄生されてはいけないと私が抱えていたウサギを見て、ディーン様が眉間にしわを寄せる。
そうしている間にも、寄生されたと思しき野生動物たちが次々と姿を現し、私たち目掛けて襲いかかってきた。
せっかく魔獣をすべて倒したと思ったのに、規模が小さかったはずの討伐は思わぬ方向に発展してしまった。
「狩り残しがあれば、どんな被害が出るか分かりません。一匹たりとも逃してはいけませんよ! しかし、ただ寄生されているだけの生物を相手に戦うのは心苦しいですね」
ディーン様が顔を顰める。
「あの黒いのに操られているだけなら、それだけ引き剥がせば生物を傷つけることなく倒せないでしょうか?」
以前は宿主ごと倒してしまったが、今回は魔物だけを倒す方法を知っている。できることなら、その場にいただけで罪のない野生生物の命は救いたい。
「何か案が?」
「少し見ていていただけますか?」
宿主を傷つけないように魔物だけ引き剥がすためには、解呪の時のやり方が近い。どこに魔物が寄生しているか探知し、光魔法で刺激する。
その刺激で宿主と離れた魔物を一気に叩くというのが、手っ取り早い方法だ。
以前の世界でも行ったことがあるため、スムーズに探知・引き剥がすという手順を踏むことができた。
宿主の体から飛び出した魔物は、逃げられる前に焼き尽くす。
解放された野生動物は、何事もなかったように元の状態に戻った。
「おおっ、流石はホロウを戴いた天才魔導士! この短時間で解決策を編み出すとは……」
宮廷魔導士たちが盛り上がってるみたいだけど、私にとっては二度目の人生だからね。短時間で編み出したわけじゃないんだよ。
それに、この方法には欠点もある。
「光魔法以外では効果がありませんか」
刺激する時に他の属性の魔法だと効果が薄いようで、引き剥がすまでに至れない。
ディーン様も光属性以外の魔法で試していたが、やはり上手くいかないようだ。
「この場で光属性の魔法を扱えるのはお前たち二人しかいない。できるのか?」
できなければ、宿主に罪はないがやむを得ない。ギャロッド様をはじめとして、宮廷魔導士たちがディーン様と私の返事を待つ。
ディーン様が私の方に視線を向けた。うん、私の気持ちは決まっています。その視線に頷いて返した。
不敵に笑ってから、ディーン様が高らかに叫ぶ。
「ルナシアさんと私で引き剥がします。援護を!」
状況はかなり緊迫していると思うんだけど、未知のものへの好奇心の方が勝っているみたいだね。
緊急事態に萎縮してしまっていた魔導士たちも、ディーン様に触発されて戦闘態勢に入る。こういう時、彼の性質はとても頼もしい。
「大丈夫ですか、グレース様?」
「う、うん……こんなのと、いつも戦ってるの?」
「いえ、魔獣とは戦ったこともありますが、こんな事例は今回が初めてです」
やはり驚かせてしまったようだが、それでも逃げようとはしないグレース様の元へ行き、ウサギを預ける。
「また同じことになってはいけないので、預かっていていただけますか?」
「分かった、任せて。気をつけてね、ルナ!」
グレース様の激励を受け、気を引き締めてディーン様の隣に立った。
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