ようこそ、一条家へ

如月はづき

文字の大きさ
上 下
23 / 61
4

21.暇つぶし

しおりを挟む




「おねえちゃぁぁん」



 育と門番さんから、屋敷の建物から出てはいけないと聞かされた私は、半泣きでキッチンへと飛び込んだ。



「柚子どうしたの?……あらあら、泣かないの。何かあったの?」



 昼食の用意をしていたお姉ちゃん、私の表情を見ると手を止めて頭を撫でてくれる。



「……うぅ……柚子がっ、柚子が何をしたって言うんだっ……」



「何があったの?お茶でも飲む?」



「……オレンジジュース飲む」



 お姉ちゃんが用意してくれたジュースを飲みながら、私は先ほど起きた出来事を話した。昼食の用意をしながら、丁寧に相槌をして話を聞いてくれている。



「柚子は悪くないわ。……けど、事件の捜査中に関係者が自宅待機を命じられることはよくあることなの」



 やっぱり!私は悪くない!お姉ちゃんがそう言うなら、捜査中というのはそう言うものなんだろう。とりあえず、私が悪いわけではないことに安心した。



「何日くらい待機すればいいのかなー?」



「捜査の状況によると思うけど……。大きな事件だったし、少し長いかもしれないわね。つまらないと思うけど、なるべく柚子や光くんの好きな物を作るようにするから」



 そう言って卵を割り始めたお姉ちゃん。ーーふむ、本日の昼食は私の好物オムライスとみた。少し長いって何日くらいの話なんだろう。2日くらいかな。






 昼食後部屋に戻った私は、暇だからお手紙でも書くか!とペンを取った。宛先は修行先だった、五十嵐家のお嬢様とその執事、そしてメイド学校の親友へ。







 五十嵐家

 五十嵐 莉子 様

 彩月 綴 様



 2人とも元気?柚子は元気!

 王都の誘拐事件に巻き込まれたおかげで、お屋敷に謹慎になったの。

 柚子なーんにも悪いことしてないのに!おかしい!

 もうすぐ夏だねぇ。海辺のそちらでは海開きですか?柚子は今年は入れないから、写真送ってね!



 りこちゃま!かんじよめる?

 つづによんでもらってね。



 一条家 白川 柚子







 二階堂家 結木 真実 様



 元気?柚子は元気!

 聞いてよ!王都で騒ぎになってた誘拐事件に巻き込まれたの!解決したんだけど、柚子謹慎することになったんだよ。なーんにも悪くないのにっ!

 真実は二階堂家での仕事慣れた?柚子は一条家で頑張ってる!近々会えたらいいね。

 こっち来る時は連絡して!

 柚子のお気に入りのクロワッサン食べさせてあげる!あー、クロワッサン食べたいぃぃ。



 一条家 白川柚子
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

今、夫と私の浮気相手の二人に侵されている

ヘロディア
恋愛
浮気がバレた主人公。 夫の提案で、主人公、夫、浮気相手の三人で面会することとなる。 そこで主人公は男同士の自分の取り合いを目の当たりにし、最後に男たちが選んだのは、先に主人公を絶頂に導いたものの勝ち、という道だった。 主人公は絶望的な状況で喘ぎ始め…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

サディストの飼主さんに飼われてるマゾの日記。

恋愛
サディストの飼主さんに飼われてるマゾヒストのペット日記。 飼主さんが大好きです。 グロ表現、 性的表現もあります。 行為は「鬼畜系」なので苦手な人は見ないでください。 基本的に苦痛系のみですが 飼主さんとペットの関係は甘々です。 マゾ目線Only。 フィクションです。 ※ノンフィクションの方にアップしてたけど、混乱させそうなので別にしました。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

処理中です...