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通常編

3,友だち作らねば(後編)

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 「君と話したかったから。」
 え~とこの子は…かわ…川田舞桜(まお)さんは高い声を出す。


 「ん?どういうこと?」 
 「さっきから君に話し掛けたかったけど他の人と話していたから話せなかった。ここに座っていれば自動的に話せると思ったんだ。


 そう言葉を放出した川田さんは立ち上がって僕の方を向き僕をじっと見つめる。ん?待って。自分は彼女の胸を見て驚愕する。この子…胸が大きい!自己紹介の時は顔しか見ていなかったが、これはすげえ…。彼女のπは3.14ではなく15.7だ。(×5倍)そういえば、真保はもっと胸が大きければなー完璧なんだよな。真保の胸は申し訳ないが小さい。何故だろう前のクラスから殺気を感じるのだが…。


(A、B、C、D、E。A、B、C、D、E。)
 心の中で世界一デリカシーのないEまでのABCの歌を歌っていた。
  

 「そんなに僕と話したかったの?嬉しいなー。」
 この発言はウソではない。僕と話したいと思っている人がいることは嬉しい限りだ。


「ホント?じゃあ早速話そう。何部入ろうとしているの?あたしは茶道部に入ろうとしているんだ。」
 「僕は………まだ決めてないんだよね。」
という特に変哲のない入学してすぐによく話す会話を僕らはしていた。


時計を見ると2時間目の授業が始まる1分前になっていた。楽しい時に限って時間は過ぎ去っていくものだ。


「話しかけてくれてありがとね!」
 僕は席に座った。けど川田さんは席に戻ろうとしない。
 「ねえ、コレあげるよ。手出して。」
 言われるがままに右手を出す。川田さんは四つ折にしてある白い紙を僕の右手に落としていった。
 

「プレゼントだよ。安藤君。」
そう呟くと彼女はささっと自らの席に戻っていった。僕はその紙を胸ポッケに入れた。
 

……………お家に帰ってきた。今はリビングにある青色の2人掛けのソファに座っている。学校でもらった紙切れを家に帰ってから初めて見た。そこには…電話番号が書かれていた。さっきの「プレゼントだよ」という発言から考えると…彼女は連絡先を僕にプレゼントしてくれたのだろう。………まだ自分はこの事実を受け止めることができていない。何故出会って少ししかたっていない異性の連絡先が欲しいのだろうか?謎で謎でしょうがない。


 もしかしたら…これはイタズラなのかもしれない、からかっているのかもしれない。勝手な想像だか川田さんは僕にデタラメな電話番号を教え、「わーい女子のラインゲット!」→「って!電話番号検索してもアカウント出てこないじゃん!」として僕を絶望に落とし入れようとしているのかもしれない。はは、川田さん小悪魔な所あるんだな…。まあ想像&予想&妄想に過ぎないが…。僕には少し疑心暗鬼な所がある。
 

 しかし、行動をしなければ何も起こらないし、進行しない。半信半疑の状態で書かれていた電話番号を検索した。すると「川田舞桜」という名前のアカウントが見つかった。アイコンはピンク色のテディベアだ。


僕は合格発表で第一志望の高校に合格した時並みにガッツポーズをした。これには理由がある。僕の初体験だったからだ。初体験といっても「異性とラインを繋げた」という初体験だ。僕には中学時代友だちと言える女友だちが1人もいなかった。しかし今日できた。まさか第一の目標である「男子9人と友だちになる」よりも第二の目標である「女子1人と友だちになる」の方が先に達成するとは…夢にも思っていなかった。


「連絡先交換してくれてありがとう!これからよろしくね!」
とラインを送った。川田さんはスマホを使っていたのかすぐに
 「よろしくね。」
という返信がきた。高校に入ってから初めて「青春」という名の階段を登った感じがした。
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