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2,異世界に行けた経緯

異世界に行ったら女性勇者が私に好意を見せていた

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 「ザーザーザーザーザーザー。」
 窓の外から大粒の雨が落ちる音が聞こえる。かなりうるさかったので私はパッと目を覚ます。
 私はいつのまにかベットで眠っていた。
 部屋を見渡すとピンクを基調とした私の部屋から白を基調としたシンプルな部屋に変わっていた。ということは…異世界に行くのに成功したのだ。
 突然だが私は異世界に行くことができる。
 何故異世界に行けるようになったのかその経緯を教えます。
高校1年生の春休み
 「はー異世界に行けたらなー。」
 私は自室のベットに横になりピンク色のスマホを使い異世界に行ける方法を知恵袋や先生を使いかたったぱしから調べていた。
 私は、異世界系の小説が大好きだ。私もいつか小説の主人公のように異世界で敵を倒したい、カッコいい勇者に出会いたいなどと思っていた。だから私は異世界に行ける方法を調べている。
 しかし、ネットででてくる「異世界」は私の思っている「異世界」とは180度違っていた。どれも一度異世界に行ったら二度と現実世界には戻ってこられない危険なものばかりだ。しかも魔王がいるような異世界ではない。
 しっかりと現実世界に戻れて小説のような異世界に行ける都合のいい方法がないかなと思いながら
 「ふっー。」
と浅いため息をついた。
 「ピンポーン」
 インターホンの音が聞こえる。
 今日はお父さんもお母さんも仕事でいないので私が出る。
 私は誰が来たのかということを気にすることなく玄関の扉を開く。
 「お届け物です。坂井様のお宅ですか?
 玄関の前には青色の仕事服を着た配達員の女性が小さな荷物を持っていた。
 「はい、そうです。」
 「ここにサインをお願いします。」
 慣れた手つきで「坂井」とサインを書く。
 そして荷物を受け取った。荷物はものすごく軽かった。
 自室に戻るとカッターを使い慎重にダンボールを開けていく。
 その中身は………………………………………………………………………抱き枕カバーだ。
 私は抱き枕は持っていたのだが抱き枕カバーは持っていなかった。しかし、今日入手した。
 そして今日私は結婚をする。(抱き枕と)
 抱き枕カバーを抱き枕につけていく。
 そして完成だ。私は夫を抱き枕を抱き目を閉じ。唇にチュとキスをする。
 (は~ホントyuuyaしか勝たん!フリマアプリは何でも手に入るな~ん?何でも?)
 私はあることに気づいた。
 某有名フリマアプリを開き検索画面で「異世界に行ける本」と検索する。
 自分が気づいたことは「異世界に行ける本」ってあるんじゃね?ということだ。
 これは偏差値49の高校にたまたま受かった偏差値43の思考回路だ。
 すると1件だけヒットするものがあった。
 写真を見ると辞書ぐらい分厚く、灰色でホコリだらけ、傷だらけの本の写真が載っていた。スマホ越しから危険な香りがした。
 しかし商品名は「絶対安心な異世界に行ける本」だった。説明欄を見るとあることをしない限り異世界と現実世界を自由に行き来できるということが書かれていた。
 値段は4000円、私のお小遣いは5000円だ。先程買った抱き枕カバーは1000円だった。つまりこの本を買うとお小遣いがなくなるということだ。
 私は、後先考えずに購入ボタンを押し購入手続きをした。
 「はやーもう届いたのかー。」
 異世界に行ける本を買って早2日異世界に行ける本が届いた。
 ダンボールを開けると例の本が入っていた。
 ダンボールを開け本を手にする。ホコリが舞った。ハウスダストアレルギーの私は
 「はっくしゅん!」
とくしゃみをした。
 異世界に行ける本の1ページには異世界に行ける呪文が書かれていた。いきなり異世界に行くのは少し怖いのでこの本を熟読することにした。
 2ページから先には異世界転移のルールが書かれていた。
 ルールその1「異世界に行っている間は現実世界世界の時は止まっている。」
 ルールその2「異世界で死んでも現実世界では死なない。」
ルールその3「異世界に転移するときこの本も一緒に転移する。」
 ルールその100「異世界でこの本を破ったり燃やしたら二度と現実世界には戻れない。」
などのルールが書かれていた。最後のルールだけ赤字で書かれていた。
 「あることをしな限り異世界と現実世界を自由に行き来できる。」ということの「あること」はこのことだったのだ。
 つまり異世界で本を破ったり燃やしたりしない限り安心安全な異世界転移ライフが送れるということだ。
 (さーて今から異世界に行ってみよう…てか今気づいたんだけどこの本本当に異世界に行けるのかな?)
 私は重要なことを忘れていた。もしかしてこれは詐欺商品かもしれない。(気づくの遅くね?by作者)
 私はどんどん呪文を唱えていく。やった後悔よりやらなかった後悔の方が大きいという豆知識により異世界転移計画を実行することにした。
 呪文を唱え終えた。
 そしたら急に睡眠薬を盛られたかのように睡魔が襲ってくる。そして私は倒れた。
 「もしもしお嬢さん?こんな所で寝てどうしたの?起きて!」
 右肩を何かでつつかれている気がする。そして男性の声が聞こえる。
 私は目を覚ます。
 「っ!」
 目を開けると太陽の光が私の目に入る。眩しい。
 起きあがり辺りを見渡すとサヘルのような砂漠が広がっていた。
 「君大丈夫?さっきそこで倒れてたから心配して声をかけたんだけど…。」
 the異世界の一般人の服装で青髪の小柄の男性が私に声をかけてくる。
 「はい、大丈夫です。ここはどこですか?」
 「え?ここはヴィクトリー王国だけど…。君この王国の人じゃないの?」
 青髪の男性は不思議そうに首を傾げる。
 (え?ここは人間界じゃない?ということは…本当に異世界に来れたんだ! )
 私はG1で勝ったジョッキーのようにガッポーズをして喜ぶ。
 男性は私が急にこのような行動をしたからかギョと驚いていた。
 「あ、あの実は私人間界から来たんです。」
 私は事実を話す。
 「えっ?そんなことないでしょ?人間界からここに来るなんてほぼ無理だよ?本当に人間界から来たんだったらお嬢さんさん何か証拠でもあるんですか?」
 男性は私をからかっているのかフッと笑う。
 「証拠ならあります!これを見てください!」
  スマホのアルバムを開き自分の住んでいる県のテーマパークで撮った写真を見せる。
 「っっっ!」
 男性は固まる。
 「そ、それは人間界でかの有名なディズ…」
 「あーダメです!著作権です!著作権を言ってはいけない契約じゃないですか!」 
 「あ、やべもう少しでこの小説の登場人物から降ろされる所だった。」
 (メタ発言しないで~by作者)
 「な、なるほどこれは動かぬ証拠だ。疑ってごめん!僕はパシフィックよろしくね!君名前は?

パシフィックさんは手を差し出す。
 「私は坂井望来です。よろしくお願いします。」
 パシフィックさんの手をギュッと握る。
 パシフィックさんは私の手をしばらく離さず私の顔と体をジロジロと見ていた。さてはDTだな…。
 「~~~ってことがあったんです。」
 「へーそうなんだ。」
 私とパシフィックさんは雑談をしながら市街地に向かう。
 市街地に着くとヨーロッパ風の建物が立ち並んでいた。
 「いらっしゃいませ!バロン(化け物の名前)の串焼きはいかがですか?」
 「今日海で獲れた魚はいらんかね?350ヴィクトリーだよ!」
 大通りにはたくさんの出店が立ち並び商売人が大声を出し客を呼びこんでいた。
 勇者、魔法使い、剣士などのたくさんの異世界人がゾロゾロといた。
 これこそ自分が思い描いていた。異世界だ。感無量だ。
 パシフィックさんは私をどこかに誘導する。しばらく歩くと市街地の外れにある小さなボロアパートの前に私を連れていった。
 「望来?君は今衣食住の食住を失っているよね?だから僕が無料でこのアパートの1室を貸してあげよう!僕はこのアパートの大家をしているんだ!これで住は解決だ!そして食はこれをあげよう!」
 パシフィックさんが手をかざすと大量のカップ麺や冷凍食品のような物が出てきた。パシフィックさんはそれを手に持ち私に差し出す。
 「あ、ありがとうございます。」
 私はそれを受け取りペコリとお辞儀をする。
 私は1つ疑問に思った…何故パシフィックさんは見ず知らずの自分に優しくしてくれるのだろう。
 「あ、あのパシフィックさん、何でこんなに私に優しくしてくれんですか?」
 私は興味津々に質問をする。
 「実は僕旅行で人間界に行ったことがあるんだ。その時僕は人間界に行ける本(異世界に行ける本の逆)をなくしてしまったんだ。それがないとここにヴィクトリー王国に戻れない、その時はワンワンと泣いたよ…でもねその時人間界にいた人間の女性が僕に声を掛けてくれて一緒に本を探してくれたんだ。その本はしっかりと見つかったよ。僕はその人にただお礼を言うことしかできず恩返しができなかった…だから僕は今度人間に会った時はとびっきり優しくして人間事態に恩返しをしようと思ったんだ。」
 なるほど…そういうことだったのか。道理でにこんなにも優しくしてくれたわけだ。
 私は少し感動した。
「はい、これ部屋の鍵!」
 部屋の前でパシフィックさんは鍵をポイと投げ私は鍵を受け取る。
 「それではまた…。」
 部屋の鍵を開け部屋に入ろうとした、その時、
 「望来、本当に愛し合っている人同士じゃないとキスしちゃダメだよ。」
 とパシフィックさんは口を挟む。
 「わかりました。」
 突然の忠告に少し驚きながら返答をする。
 お部屋は白を基調としたしたシンプルなワンルームだ。歩くたびにギシギシという音が鳴る。
 「さーてお腹すいたしご飯食べよう。」
 私はカップ麺と冷凍食品を作るべくポットと電子レンジがないかなキョロキョロと台所を見渡した。
 「ポットも電子レンジもヤカンもないじゃん。」
 これが私の異世界転移1日目の出来事だ。
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