232 / 269
第Ⅲ章
第64話 一滴の不安
しおりを挟む
紗月に追い詰められた流離が槐の方に逃げた。
流離が乗っている坊主は恐らく九十九だろう。他の九十九と同じ、呪術の匂いがする。
「久し振りに会ったと思ったら、ウチの不良息子、引き取ってくれるんだって?」
清人は槐に声を掛けた。
槐は気持ちが悪いほど機嫌がよさそうな顔で頷いた。
「流離は13課が扱える人間じゃないよ。本人もウチが良いって言うし、俺としては欲しい人材なんだよね。だから、貰っていくよ」
槐が流離の頭を撫でる。
流離が嬉しそうに笑った。たったの一日で随分と懐いたものだと思う。
「別に構わねぇよ。本人が居たい場所にいるのが一番だろ。それより、気軽に直桜を呼び出すのやめろ。アイツ、ホイホイ出てくから回収すんのが大変だ」
「それは直桜に伝えてよ。呼び出されてもホイホイ出ていくなってね」
尤もな意見過ぎて、何も言えない。
直桜もせめて、誰かに相談してくれたらいいと思う。しっかり説教しようと思った。
「俺らは直桜が返ってくればそれでいい。流離、直桜の命に関わるような悪さ、してねぇだろうな」
清人の問いかけに、流離はあからさまに不機嫌な顔で無視した。
クソガキめと思った。
「多分してないよ。流離は直桜に自分の好きな直桜様になってほしいんだから、殺しはしないさ。あ、でも、壊した? 壊すのは、まだダメって言ったよね」
面白くなさそうな顔ながら、流離が仕方なくといった体で口を開いた。
「……ちょっと強めに毒を盛っただけですよ。大袈裟だな。ちゃんと槐兄様に言われた通りにしましたよ。あの程度で壊れちゃったら、詰まらないです。思ったより直桜様が弱って僕もちょっとは驚いたけど。清浄な方って繊細なんですね」
ふんと流離が顔を背ける。
槐が困った顔で笑った。
「仕方ないよ。流離が来る前に直桜一人で九十九を二人殺してるから。慣れないことして疲れたんだよ、きっと」
槐の言葉に清人の方が驚いた。
呪人の術で作った人形とはいえ、直桜がそういう手段に出るとは思わなかった。
(らしくねぇし、焦ったな。槐を捕えて流離を取り戻そうとでも思ったか)
清人は、ちらりと流離を窺った。
昨日も思ったが、流離の呪力量は半端じゃない。加えてあの久我山あやめの魂と惟神を殺す毒を併せ持つ、最凶の呪物だ。
神力を使いまくった後とはいえ、あの直桜が瀕死で倒れている。敵に回せば面倒なのは間違いない。
(だが、13課で扱いきれる人間でもない。特に直桜に執着したあの性格は槐が言う通り反魂儀呪側だ)
このまま反魂儀呪で引き取ってもらった方が、13課としては助かる。
(槐はきっと流離を悪いようにはしない。だったら、預けるのも一つの賭けだ)
清人は槐に背を向けた。
「じゃ、俺はもうお前らに用はねぇから、直桜を回収して帰るよ。今日は見逃してやるから有難く思えよ」
後ろで槐が笑った気配がした。
「見逃してくれるんだ、ありがとう。このまま俺を帰さないと、流離を引き取ってもらえないもんね。やっぱり13課に流離ほどの逸材は手に余るか」
呟くように指摘された言葉が、ぐさりと刺さる。
「直桜様は回収するのに、僕は放置なんですね。僕を回収するのは怖いですか? 僕のような呪物は仲間にしておけませんか?」
流離が挑発するように清人に言葉を投げた。
清人は流離を振り返った。
「大好きな相手を瀕死に追い込むような奴は、始めから仲間じゃねぇよ。お前は自分から反魂儀呪を選んだんだろ? 俺は直桜みてぇに戻って来いとは言わねぇよ」
流離の顔があからさまに引き攣る。
悲しいのか悔しいのか、両方か。感情が顔に出まくるあたり、やはり十三歳の子供なんだなと思う。
「けど、直桜はお前を諦めねぇだろうな。たとえお前がどんなでも、榊黒流離である以上、取り戻しに行くんだろ。俺は止めるけどな。反魂儀呪にいる以上、お前は13課の敵、つまりは直桜の敵だ」
流離が目を見開いた。ピクリと肩が小さく震える。
「敵、かぁ。じゃぁ僕がどんなに直桜様を嬲っても壊しても、問題ないですね。僕のためにいっぱい傷付いてくれる直桜様も、僕にいっぱい痛めつけられて喘ぐ直桜様も、想像しただけで興奮します」
流離が悦に浸った顔でうっとりと顔を蕩けさせた。
清人は呆れを通り越して吐き気がした。
(コイツ、本当にあの修吾さんの息子か? 何でこうなった? いつからこうなんだ?)
隣の紗月が微妙な顔をしているのは、きっと清人と同じ心境だからだろう。
榊黒修吾と一緒に仕事をして、その為人を知ってるからこそ浮かぶ疑問だ。
何にせよ、直桜への執着が尋常でない事実だけは、はっきりした。
「僕は直桜様以外、どうでもいいから、他の奴らは殺していいですよね、槐兄様」
流離の問いかけに、槐は小首を傾げた。
「殺していいのとダメなのがいるから、後でじっくり教えてあげるよ。流離はもう反魂儀呪の一員だから、ちゃんと覚えようね」
「はい、しっかりお勉強します」
そう返事した流離は歳相応の素直な少年だった。
「他人を殺める術を行使するなら自分の行動に責任を持てよ。ガキだからって許されると思うな。その辺、しっかり教育しとけよ、リーダー」
呆れながらも清人は槐に釘を刺す。
槐が楽しそうにニンマリした。
「愛する清人の頼みじゃぁ、断れないね。流離は俺のお気に入りだから、言われなくても大事に育てるよ」
紗月が槐の顔を心底嫌そうに眺めている。
槐は、それさえも楽しそうだ。
今日の槐は終始、笑顔で機嫌がいいから、気持ちが悪い。
「藤埜清人を殺したいけど、槐兄様が愛しているなら、ダメかな。死なない程度に毒で苦しめてあげたいなぁ」
流離が仄暗い笑みを清人に向ける。
大変分かりやすい敵愾心だ。その辺りは子供なんだろうと思う。
「おぅ、楽しみにしてるよ」
さらりと流して清人は背を向けた。
流離が舌打ちをした気配がした。
どうやら、清人に対して憎しみを抱いたようだ。
(直桜が狙われるよりは、マシだろ。あの毒が俺にどこまで効果あるのかも知っときてぇしな)
惟神を殺す毒は枉津日神の穢れを含む神力には効果がない。だが、流離の毒は最早、惟神だけをターゲットにしていると思い込むには危険な代物だ。
(俺に向かって投げつけてくれたら、持って帰れんのにな)
要や円に預けて毒の解析が出切れば御の字と考えたが。槐が流離を止めるだろう。13課に解析させるのは、今はまだ勿体ないと考えるはずだ。
「今はダメだよ、流離。清人に毒を盛るのは、今度ね」
槐の言葉に、清人は心の中で舌打ちした。
「流離の毒はあげられないけど、代わりに情報をあげるよ、清人」
清人は足を止め、槐を振り返った。
「槐兄様、またですか? さっき直桜様にも情報を与えていたじゃないですか。楓兄様が、がっかりしますよ」
流離が槐を諫めている。
どうやら流離は楓にもうまく懐いたらしい。
「問題ないさ。有益か無益か判断するのは清人だからね」
槐が意味深に笑んだ目を清人に向けた。
「話すなら早くしてくんない? 焦らすなら情報自体、要らねぇよ。早く直桜の治療してぇし帰りたい」
「理研のmasterpieceが二人、行方をくらました。逃げたのか何かを企んでいるのかは、知らないけどね」
清人は表情を止めた。
「あっそ。それは13課の案件じゃねぇな。人探しなら警視庁に捜索願でも出せ」
「保輔は仲が良かったらしいから、気を付けてね。あの子、ああ見えて仲間思いだからさ。仲間のために、簡単に仲間を裏切れる子だ」
清人は横目に槐を睨んだ。
「情報が欲しくなったら直桜を通して楓に連絡してよ。楓も、久し振りに直桜に会いたがっていたから」
「もう直桜は使わせねぇよ。そっちに毒がいる以上、危なくて出せねぇ」
ちらりと流離に目を向ける。
冷めた表情を気取っているが、その目には明らかに殺意が浮いていた。
「なら、清人が俺に連絡してよ。またエッチしようね」
「それなら別に……」
「良いわけないだろ、馬鹿ちんぽ」
紗月に軽く小突かれた。
直桜を行かせるよりは安全だと思ったのだが、ダメらしい。
「保輔はお前が思っているような奴じゃねぇよ。とりあえず今の話、頭の隅っこにでも入れておく」
手を振って、今度こそ清人は歩き出した。
「もうしばらくすれば、事態は大きく動き出すよ。そうなったら俺にも止められない。精々、頑張ってね」
振り返らずに歩いたまま、槐の言葉を背中に聞いた。
不穏な言葉は思わせ振りではなく、何かがある。惟神の神力だけでなく、そう感じた。何より槐が無意味な言葉を吐いた例など、一度もない。
「何か、あるんだろうな」
ぽつりと呟いて、清人は先にこの場を去った直桜たちを追った。
胸の中に落ちた一滴の不安が滲んで広がっていくのを感じていた。
流離が乗っている坊主は恐らく九十九だろう。他の九十九と同じ、呪術の匂いがする。
「久し振りに会ったと思ったら、ウチの不良息子、引き取ってくれるんだって?」
清人は槐に声を掛けた。
槐は気持ちが悪いほど機嫌がよさそうな顔で頷いた。
「流離は13課が扱える人間じゃないよ。本人もウチが良いって言うし、俺としては欲しい人材なんだよね。だから、貰っていくよ」
槐が流離の頭を撫でる。
流離が嬉しそうに笑った。たったの一日で随分と懐いたものだと思う。
「別に構わねぇよ。本人が居たい場所にいるのが一番だろ。それより、気軽に直桜を呼び出すのやめろ。アイツ、ホイホイ出てくから回収すんのが大変だ」
「それは直桜に伝えてよ。呼び出されてもホイホイ出ていくなってね」
尤もな意見過ぎて、何も言えない。
直桜もせめて、誰かに相談してくれたらいいと思う。しっかり説教しようと思った。
「俺らは直桜が返ってくればそれでいい。流離、直桜の命に関わるような悪さ、してねぇだろうな」
清人の問いかけに、流離はあからさまに不機嫌な顔で無視した。
クソガキめと思った。
「多分してないよ。流離は直桜に自分の好きな直桜様になってほしいんだから、殺しはしないさ。あ、でも、壊した? 壊すのは、まだダメって言ったよね」
面白くなさそうな顔ながら、流離が仕方なくといった体で口を開いた。
「……ちょっと強めに毒を盛っただけですよ。大袈裟だな。ちゃんと槐兄様に言われた通りにしましたよ。あの程度で壊れちゃったら、詰まらないです。思ったより直桜様が弱って僕もちょっとは驚いたけど。清浄な方って繊細なんですね」
ふんと流離が顔を背ける。
槐が困った顔で笑った。
「仕方ないよ。流離が来る前に直桜一人で九十九を二人殺してるから。慣れないことして疲れたんだよ、きっと」
槐の言葉に清人の方が驚いた。
呪人の術で作った人形とはいえ、直桜がそういう手段に出るとは思わなかった。
(らしくねぇし、焦ったな。槐を捕えて流離を取り戻そうとでも思ったか)
清人は、ちらりと流離を窺った。
昨日も思ったが、流離の呪力量は半端じゃない。加えてあの久我山あやめの魂と惟神を殺す毒を併せ持つ、最凶の呪物だ。
神力を使いまくった後とはいえ、あの直桜が瀕死で倒れている。敵に回せば面倒なのは間違いない。
(だが、13課で扱いきれる人間でもない。特に直桜に執着したあの性格は槐が言う通り反魂儀呪側だ)
このまま反魂儀呪で引き取ってもらった方が、13課としては助かる。
(槐はきっと流離を悪いようにはしない。だったら、預けるのも一つの賭けだ)
清人は槐に背を向けた。
「じゃ、俺はもうお前らに用はねぇから、直桜を回収して帰るよ。今日は見逃してやるから有難く思えよ」
後ろで槐が笑った気配がした。
「見逃してくれるんだ、ありがとう。このまま俺を帰さないと、流離を引き取ってもらえないもんね。やっぱり13課に流離ほどの逸材は手に余るか」
呟くように指摘された言葉が、ぐさりと刺さる。
「直桜様は回収するのに、僕は放置なんですね。僕を回収するのは怖いですか? 僕のような呪物は仲間にしておけませんか?」
流離が挑発するように清人に言葉を投げた。
清人は流離を振り返った。
「大好きな相手を瀕死に追い込むような奴は、始めから仲間じゃねぇよ。お前は自分から反魂儀呪を選んだんだろ? 俺は直桜みてぇに戻って来いとは言わねぇよ」
流離の顔があからさまに引き攣る。
悲しいのか悔しいのか、両方か。感情が顔に出まくるあたり、やはり十三歳の子供なんだなと思う。
「けど、直桜はお前を諦めねぇだろうな。たとえお前がどんなでも、榊黒流離である以上、取り戻しに行くんだろ。俺は止めるけどな。反魂儀呪にいる以上、お前は13課の敵、つまりは直桜の敵だ」
流離が目を見開いた。ピクリと肩が小さく震える。
「敵、かぁ。じゃぁ僕がどんなに直桜様を嬲っても壊しても、問題ないですね。僕のためにいっぱい傷付いてくれる直桜様も、僕にいっぱい痛めつけられて喘ぐ直桜様も、想像しただけで興奮します」
流離が悦に浸った顔でうっとりと顔を蕩けさせた。
清人は呆れを通り越して吐き気がした。
(コイツ、本当にあの修吾さんの息子か? 何でこうなった? いつからこうなんだ?)
隣の紗月が微妙な顔をしているのは、きっと清人と同じ心境だからだろう。
榊黒修吾と一緒に仕事をして、その為人を知ってるからこそ浮かぶ疑問だ。
何にせよ、直桜への執着が尋常でない事実だけは、はっきりした。
「僕は直桜様以外、どうでもいいから、他の奴らは殺していいですよね、槐兄様」
流離の問いかけに、槐は小首を傾げた。
「殺していいのとダメなのがいるから、後でじっくり教えてあげるよ。流離はもう反魂儀呪の一員だから、ちゃんと覚えようね」
「はい、しっかりお勉強します」
そう返事した流離は歳相応の素直な少年だった。
「他人を殺める術を行使するなら自分の行動に責任を持てよ。ガキだからって許されると思うな。その辺、しっかり教育しとけよ、リーダー」
呆れながらも清人は槐に釘を刺す。
槐が楽しそうにニンマリした。
「愛する清人の頼みじゃぁ、断れないね。流離は俺のお気に入りだから、言われなくても大事に育てるよ」
紗月が槐の顔を心底嫌そうに眺めている。
槐は、それさえも楽しそうだ。
今日の槐は終始、笑顔で機嫌がいいから、気持ちが悪い。
「藤埜清人を殺したいけど、槐兄様が愛しているなら、ダメかな。死なない程度に毒で苦しめてあげたいなぁ」
流離が仄暗い笑みを清人に向ける。
大変分かりやすい敵愾心だ。その辺りは子供なんだろうと思う。
「おぅ、楽しみにしてるよ」
さらりと流して清人は背を向けた。
流離が舌打ちをした気配がした。
どうやら、清人に対して憎しみを抱いたようだ。
(直桜が狙われるよりは、マシだろ。あの毒が俺にどこまで効果あるのかも知っときてぇしな)
惟神を殺す毒は枉津日神の穢れを含む神力には効果がない。だが、流離の毒は最早、惟神だけをターゲットにしていると思い込むには危険な代物だ。
(俺に向かって投げつけてくれたら、持って帰れんのにな)
要や円に預けて毒の解析が出切れば御の字と考えたが。槐が流離を止めるだろう。13課に解析させるのは、今はまだ勿体ないと考えるはずだ。
「今はダメだよ、流離。清人に毒を盛るのは、今度ね」
槐の言葉に、清人は心の中で舌打ちした。
「流離の毒はあげられないけど、代わりに情報をあげるよ、清人」
清人は足を止め、槐を振り返った。
「槐兄様、またですか? さっき直桜様にも情報を与えていたじゃないですか。楓兄様が、がっかりしますよ」
流離が槐を諫めている。
どうやら流離は楓にもうまく懐いたらしい。
「問題ないさ。有益か無益か判断するのは清人だからね」
槐が意味深に笑んだ目を清人に向けた。
「話すなら早くしてくんない? 焦らすなら情報自体、要らねぇよ。早く直桜の治療してぇし帰りたい」
「理研のmasterpieceが二人、行方をくらました。逃げたのか何かを企んでいるのかは、知らないけどね」
清人は表情を止めた。
「あっそ。それは13課の案件じゃねぇな。人探しなら警視庁に捜索願でも出せ」
「保輔は仲が良かったらしいから、気を付けてね。あの子、ああ見えて仲間思いだからさ。仲間のために、簡単に仲間を裏切れる子だ」
清人は横目に槐を睨んだ。
「情報が欲しくなったら直桜を通して楓に連絡してよ。楓も、久し振りに直桜に会いたがっていたから」
「もう直桜は使わせねぇよ。そっちに毒がいる以上、危なくて出せねぇ」
ちらりと流離に目を向ける。
冷めた表情を気取っているが、その目には明らかに殺意が浮いていた。
「なら、清人が俺に連絡してよ。またエッチしようね」
「それなら別に……」
「良いわけないだろ、馬鹿ちんぽ」
紗月に軽く小突かれた。
直桜を行かせるよりは安全だと思ったのだが、ダメらしい。
「保輔はお前が思っているような奴じゃねぇよ。とりあえず今の話、頭の隅っこにでも入れておく」
手を振って、今度こそ清人は歩き出した。
「もうしばらくすれば、事態は大きく動き出すよ。そうなったら俺にも止められない。精々、頑張ってね」
振り返らずに歩いたまま、槐の言葉を背中に聞いた。
不穏な言葉は思わせ振りではなく、何かがある。惟神の神力だけでなく、そう感じた。何より槐が無意味な言葉を吐いた例など、一度もない。
「何か、あるんだろうな」
ぽつりと呟いて、清人は先にこの場を去った直桜たちを追った。
胸の中に落ちた一滴の不安が滲んで広がっていくのを感じていた。
4
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
婚約者は愛を見つけたらしいので、不要になった僕は君にあげる
カシナシ
BL
「アシリス、すまない。婚約を解消してくれ」
そう告げられて、僕は固まった。5歳から13年もの間、婚約者であるキール殿下に尽くしてきた努力は一体何だったのか?
殿下の隣には、可愛らしいオメガの男爵令息がいて……。
サクッとエロ&軽めざまぁ。
全10話+番外編(別視点)数話
本編約二万文字、完結しました。
※HOTランキング最高位6位、頂きました。たくさんの閲覧、ありがとうございます!
※本作の数年後のココルとキールを描いた、
『訳ありオメガは罪の証を愛している』
も公開始めました。読む際は注意書きを良く読んで下さると幸いです!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
随時更新です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる