仄暗い灯が迷子の二人を包むまで

霞花怜

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第Ⅱ章

第52話 【R18】悪い夢①

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※反魂儀呪単独潜入編:清人目線※



 沈んでいた意識が不意に浮上する。
 体の中に流れ続ける快楽が波を大きくして清人の脳を刺激した。

「んっ、ぁ、ぁあっ」

 腹の奥の壁をゴリゴリと抉られる感覚と、前立腺を擦られる快楽に同時に襲われる。強すぎる快感に思わず背中が仰け反った。

「やっと起きた。意識飛ばすの、何度目? そんなに気持ち悦い?」

 槐の顔が近付いて、唇を吸われる。
 槐の口から零れる吐息も、自分の口から流れる荒い吐息も熱くて、どっちのものかも、わからない。
 首筋を強く噛まれて、ビリっと鋭い痛みが走る。
 少しだけ、意識がはっきりした。

「ぁっ、は、ぁぁ……、きもち、ぃ、槐……、もっと……」

 言葉が勝手に口から出ていく。
 腕が槐の首に絡まって、勝手に快楽を催促する。

「こんなに出したのに、まだ足りない? 欲しがりだね、清人」

 槐が清人の腹を指でなぞる。
 汚れた腹の上から、堪りを作った精液が流れ落ちる。

(これ、全部、俺が出したのか……)

 何度も執拗に突っ込まれて、何度も絶頂したのを、ぼんやり思い出す。

「っぅ、あ、ああ!」

 奥を激しく突かれて、また絶頂した。
 既に汚れた腹の上に、また精液が流れ落ちる。

「俺ので簡単にイク体になっちゃったね。可愛いなぁ」

 耳に口付けて、槐が囁いた。

「言霊術が解けても体が快楽を忘れないように、覚え込ませてあげるよ。清人が自分から俺を求めるように、躾けてあげるからね」

 何を言われても嬉しくて、心が満たされる。
 槐にされることは総てが気持ち良くて、幸せに感じる。

「好き、もっと、愛して、槐……」

 槐の唇を食んで舌を押し込む。
 清人の舌を吸い上げて、槐が腰を弱く動かす。
 手前の悦いところをしつこく擦られて、また達してしまった。

「あーぁ、また出しちゃった。そのうち、俺が触れるだけでイクようになっちゃいそうだね」

 清人の体を抱き締めて起こすと、自分の上に座らせて、槐がそのまま腰を緩く振った。
 座位で突き上げてくる快楽に、必死に耐える。
 腹から流れ零れた精液が足に纏わりついて、槐が腰を動かす度にぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てた。

「槐、きもちぃ? 俺、役に立ってる?」

 清人の顔をじっと見詰めた槐が、表情を止めた。
 感触を確かめるように指を滑らせると、槐が笑んだ。

「あぁ、気持ちいいよ。手放したくないくらい」

 槐の腕が清人を強く抱き締めた。

「……本気で、欲しいな」

 小さく呟くと、槐が腰の動きを激しくした。

「あ! ダメ、つよぃ! きもちくて、ムリぃ!」

 逃げようとする体を強い腕で押さえつけられる。
 仰け反る胸に、槐が歯をたて噛み付いた。
 痛みさえも快感で、また意識が遠くなる。

「言霊が解けても、俺を好きなままだったら、いいのにな」

 声の色がいつもと違う。愉悦や揶揄がない、驚くほど寂しそうな声に聞こえた。
 ぼんやりと遠くなる意識の中で見えた槐の目は、捨てられた子犬のようだった。
 手を伸ばして、槐の頬を撫でる。

(抱き締めてやりてぇのに、力、入らねぇ……。そんな不安そうな顔、すんな。俺が傍に、いてやる、から……)

 伸ばした手が槐に届くより早く、清人の意識はまた沈んだ。


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