香りの鳥籠 Ωの香水

天埜鳩愛

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ぼく病気になっちゃった5

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「ぺたぺた…… わかったあ。だしてみるね! お兄ちゃん、やり方おしえて!」

 満面の笑みを浮かべてメテオを仰ぐ、ランから放たれる清らかな輝きに、ものすごい罪悪感を感じて目元を抑えつつ思わず天を仰ぐメテオだ。

(なんてことをいってしまったんだ! ひ、引っ込みつかないが、ここは何とか説明をして引いた方がいいのか。いやこのまま朝日眩い部屋で押し切った方が健全でエロくないのか。いやいや夜まで取っておいて…… とっておくとかもはや発想が罪! 駄目だろ駄目!)

 頭の中で色々な妄想やら倫理観やら、今まで育ててきた中でのランの可愛い名場面集やらが、溢れだし脳内をぐるぐる回って次第に興奮してきてなにがなんやら分からず頭がくらくらしてきた。

「お兄ちゃん~ ねえってば」

 伸びあがったランが、いつもはランを宥める時にメテオが行う顔中のキスをまねて、メテオの顎に啄むようにしてくるから、柔らかに啄まれてメテオはまた顔が熱くなる。
 胸元を細いランの腕でぐいぐいと押されるせいで頭が揺れてがくがくする。ランのこととなると冷静な判断力が付かなくなる。メルトに揶揄われ、アスターにお小言をいわれるいつものパターンに陥りかけている。

 メテオは覚悟を決めたきりっとした表情を見せて、足を大きく開いてどかっと寝台に座りなおした。ラン足の間に座りなおさせ、ランのか細い背中を自分の身体に持たれかけさせた。

「うふふ~っ」

 ばたばたと白く滑らかな脚が、楽しいことでも見つけたように振られるから、メテオは大きく息を吐いて、片方の指がくいっと沈み込むほど柔い太ももを掴み上げて幼い頃用を足させていた時のような姿勢にさせる。
 風呂には今でも一緒にはいっているが、大きくなってきてからランの身体をしげしげとみるのは流石に避けてきた。

 幼児の頃以降、久々に上から覗き込んだ陰茎があまりに稚くて、これからよく射精ができたものだと逆に感心した。

「ねえねえ、はやく」

 ランがまろい尻をメテオの股間のあたりに擦り付けてくるから、若いメテオは倒錯的な刺激にかあっと顔が熱くなってきた。

 指でそれに触れようとし、流石にできず引っ込め、ランが不満げに吐息を漏らす声に煽られ、また指を伸ばすも流石に凝視できず……

「お兄ちゃん!」
「わ、わかった」

 メテオはぎゅっと目を瞑って、小さなそれに手を伸ばそうとしたその時。

「ラン~ メテオ~ どうしたの~? そろそろ朝食取らないと遅れるわよ~」

 呑気で穏やかな母の声と、寝室のドアが開くのが同時だった。
 母は二人の姿に日頃穏やかににっこり笑った形で固定されているような切れ長の目を見開いて、母の声に気が付き同じく目を見開き凍り付いたようになっている兄と、ニコニコあどけなく嬉しそうにしている弟を凝視した。

「あ、母様~ ラン、ぺたぺた出たから大人に近づいたんだって~ 兄さんがこれからぺたぺただしてくれるの❤」

「メテオ…… ちょっとこっちにいらっしゃい」

 生まれてこのかた母の笑顔を、これほど恐ろしいと感じた事はなかった。しかし危なかった。母が来てくれたおかげで、手をかけたとはいえ、その後禁断の扉を何とか開けないですんだ。

 頭がのぼせたようになっていたメテオはほっとしたせいか急激に身体の力がぬけて、しかし頭はまだかっかとしたまま。
 鼻の奥にどろりと何かが溢れていく感覚に下を向くと……

「きゃああ。お兄ちゃん、鼻血!! ぽたぽたしてる!! 大変!!」
「きゃああ。メテオ! タオル! タオル!」

 ランにぺたぺたを先ほど拭いたタオルを押し付けられ、もはや何が何だかわからない状態で、騒ぎを聞きつけてやってきたメルトに呆れられ嗤われ……。

 騒がしい朝の一幕だった。
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