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ぼく病気になっちゃった 2-1
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メテオはその朝工房まで父が必要だというものを取りにいって手間取り、大分時間が経って戻ってきた。しかし溺愛する弟、ランは食堂にまだいなかったのだ。
「母さん、ランまだ寝てるの?」
すでに朝食を済ませた両親はゆったりとハーブティーをを飲んでいるところだったが、母のアスターはおっとりと動じない様子だ。
「そうねえ。昨日ランにしては遅くまで起きていたからじゃない? メテオがもしかしたら戻るかもしれないからって、ソファーで目をこすりながら粘っていたわよ」
「昨日、俺の帰りが遅かったからか」
ランが愛らしく目をこすりながら眠そうにソファーに埋もれていく。そんな様子が目に浮かんでメテオは自然と微笑んだ。
昨日は父と工房に籠っていて、思いのほか遅くまでかかって色々な作業をしてしまっていた。
父はなにか頭の中で発想が湧き上がるとそれが花火が弾けるように、ぽんぽんと色々なアイディアが次々に浮かんで、それを試さずにはいられなく性分だ。
それに付き合うのは弟子として当然の勤めとはいえ、そのせいでランを夜更かしさせてしまったとしたら可哀そうなことをした。
今週は離れている時間が多そうで今日も隣町に行くため昼食も別になりそうだ。朝食ぐらいはゆっくりランと取りたかったのだが、まだ起きてきていないとは。
昨日も今朝布団の中でも変わった様子はみられなかったのだが、体調が良くないのだろうか?
「昨日ラン体調崩しそうだった? 寝てる時も今朝も気が付かなかったけど」
「そんなこともないと思うけど…… でも最近どんどん背も伸びてきたから身体が疲れがちなのかもしれないわよ。メテオだって背が急に伸びた時はだるそうな時期があったでしょ。心も落ち着かなくなったり、そういう時期なのよ」
「成長……、まあ、確かに俺もやたら親父に対抗心が出てきて話も聞かなくなったりしてた時期あったな」
「最近やっとちゃんとメルトと話をするようになったじゃない。ふふっ」
今となっては少し気恥しい、成人直前の自分の態度。父は知らん顔で新聞を見てすましている。
アルファとオメガの夫婦であるのに母が番でないということはメテオにとっては許しがたいことで、今でももちろん心に引っかかっている。当時それがどうしても許せなくて、キリキリしていた時期があった。
そんな時期もメテオを癒してくれたのはもちろん幼いころから傍らで面倒を見てきた可愛いランの存在だったが。
「ランだってもしかしたらお兄ちゃん離れする時期に来ているのかもしれないわよ」
「えっ」
思わず色々声に出しかけて頑張って飲み込んだ。それは内心穏やかでいられない。
しかし母の言葉にみっともなく動揺するのは嫌で努めて平静を装ったが、眉毛がぴくっとなったのをもちろん母は見逃さなかった。
「母さん、ランまだ寝てるの?」
すでに朝食を済ませた両親はゆったりとハーブティーをを飲んでいるところだったが、母のアスターはおっとりと動じない様子だ。
「そうねえ。昨日ランにしては遅くまで起きていたからじゃない? メテオがもしかしたら戻るかもしれないからって、ソファーで目をこすりながら粘っていたわよ」
「昨日、俺の帰りが遅かったからか」
ランが愛らしく目をこすりながら眠そうにソファーに埋もれていく。そんな様子が目に浮かんでメテオは自然と微笑んだ。
昨日は父と工房に籠っていて、思いのほか遅くまでかかって色々な作業をしてしまっていた。
父はなにか頭の中で発想が湧き上がるとそれが花火が弾けるように、ぽんぽんと色々なアイディアが次々に浮かんで、それを試さずにはいられなく性分だ。
それに付き合うのは弟子として当然の勤めとはいえ、そのせいでランを夜更かしさせてしまったとしたら可哀そうなことをした。
今週は離れている時間が多そうで今日も隣町に行くため昼食も別になりそうだ。朝食ぐらいはゆっくりランと取りたかったのだが、まだ起きてきていないとは。
昨日も今朝布団の中でも変わった様子はみられなかったのだが、体調が良くないのだろうか?
「昨日ラン体調崩しそうだった? 寝てる時も今朝も気が付かなかったけど」
「そんなこともないと思うけど…… でも最近どんどん背も伸びてきたから身体が疲れがちなのかもしれないわよ。メテオだって背が急に伸びた時はだるそうな時期があったでしょ。心も落ち着かなくなったり、そういう時期なのよ」
「成長……、まあ、確かに俺もやたら親父に対抗心が出てきて話も聞かなくなったりしてた時期あったな」
「最近やっとちゃんとメルトと話をするようになったじゃない。ふふっ」
今となっては少し気恥しい、成人直前の自分の態度。父は知らん顔で新聞を見てすましている。
アルファとオメガの夫婦であるのに母が番でないということはメテオにとっては許しがたいことで、今でももちろん心に引っかかっている。当時それがどうしても許せなくて、キリキリしていた時期があった。
そんな時期もメテオを癒してくれたのはもちろん幼いころから傍らで面倒を見てきた可愛いランの存在だったが。
「ランだってもしかしたらお兄ちゃん離れする時期に来ているのかもしれないわよ」
「えっ」
思わず色々声に出しかけて頑張って飲み込んだ。それは内心穏やかでいられない。
しかし母の言葉にみっともなく動揺するのは嫌で努めて平静を装ったが、眉毛がぴくっとなったのをもちろん母は見逃さなかった。
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