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第二章 HOW To ヒート!
18 こうくん
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☆青葉視点です。
何度目かの呼び出し音で青葉は再び目を覚ました。
呑気な着信音と共に震えるスマホを取り上げると、恐ろしい程の「こうくん」からの着信履歴が画面を埋め尽くしていた。そのせいで尊から『何かあったらすぐに呼んでね』と書かれたメッセージは目には入らなかった。
「もしもし?」
「青葉! やっと出た。大丈夫なのか?」
こうくんのスマホ越しの声からは焦りと必死さが滲んでいたから、青葉は申し訳なく思った。
即ほだされそうになりながらもぐっと堪えた。今朝までの甘い情事にまだ頭がぼーっとしているが、なんとか普段と同じような声を出そうと腹にふんっと力を籠める。
「帰らない」
「なんでそう、頑ななんだよ。まさか監禁とかされてないよな?」
「大丈夫だって言ってるだろ。俺、帰んないから」
「はあーっ。いいからベランダまで出て来いよ。出てこれないなら、無事じゃないって判断して、マンション中のインターフォン押しまくって、オメガがここに監禁されてるから探させろって騒ぐからな」
「だめ!」
ぎょっとした青葉はあらぬところが色々痛む身体に鞭を打って、今までのベットに寝転がった姿勢から顔を顰めながら起き上がった。
「お前何言ってるんだよ。やめろよ! 尊に迷惑かかるだろ?」
「……尊っていうんだ。相手の男。そいつ電話に出せよ」
威圧的な言葉にぞくっと来てしまうのは、情けないけれど自分がオメガで、相手が年下でもアルファだからだろう。
手探りで探した尊の匂いが付いたタオルケットをくんか、くんかと胸いっぱいに吸い込むと、青葉は頬を上気させてひと心地つく。
尊帰るまでに、どうにかしてこの場を納めなければいけない。その勇気がわいてきた。青葉は囁くような小声で返す。
「今、買い物行っているから……」
「ふうん? そっか。わかった。とにかく顔見せて。あおくんのことが心配なんだよ。な? お願い」
ずっと面倒を見てきた年下の者に殊勝な声で懇願される。そういうのに弱い青葉だ。それにこの年下の少年が生来頑固者で、梃でも聞かぬところがあることを良くわかっている。
「窓? ベランダにでろってこと?」
「電話、切るなよ。俺、ベランダが見える位置にいるから」
寝台の隣の窓もベランダで隣の部屋の窓とも繋がっていそうだ。
カーテンを開いてみると履物が置いていなさそうなので、普段は反対側の窓からベランダに出入りしているのではと思った。
床に足を下ろして立ち上がるだけでも気だるい。青葉は寝室を出てダイニングスペースを回り、隣のリビング的に使っているのであろう部屋を通り抜ける。そして青空が見える大きな窓を引き開けた。
何度目かの呼び出し音で青葉は再び目を覚ました。
呑気な着信音と共に震えるスマホを取り上げると、恐ろしい程の「こうくん」からの着信履歴が画面を埋め尽くしていた。そのせいで尊から『何かあったらすぐに呼んでね』と書かれたメッセージは目には入らなかった。
「もしもし?」
「青葉! やっと出た。大丈夫なのか?」
こうくんのスマホ越しの声からは焦りと必死さが滲んでいたから、青葉は申し訳なく思った。
即ほだされそうになりながらもぐっと堪えた。今朝までの甘い情事にまだ頭がぼーっとしているが、なんとか普段と同じような声を出そうと腹にふんっと力を籠める。
「帰らない」
「なんでそう、頑ななんだよ。まさか監禁とかされてないよな?」
「大丈夫だって言ってるだろ。俺、帰んないから」
「はあーっ。いいからベランダまで出て来いよ。出てこれないなら、無事じゃないって判断して、マンション中のインターフォン押しまくって、オメガがここに監禁されてるから探させろって騒ぐからな」
「だめ!」
ぎょっとした青葉はあらぬところが色々痛む身体に鞭を打って、今までのベットに寝転がった姿勢から顔を顰めながら起き上がった。
「お前何言ってるんだよ。やめろよ! 尊に迷惑かかるだろ?」
「……尊っていうんだ。相手の男。そいつ電話に出せよ」
威圧的な言葉にぞくっと来てしまうのは、情けないけれど自分がオメガで、相手が年下でもアルファだからだろう。
手探りで探した尊の匂いが付いたタオルケットをくんか、くんかと胸いっぱいに吸い込むと、青葉は頬を上気させてひと心地つく。
尊帰るまでに、どうにかしてこの場を納めなければいけない。その勇気がわいてきた。青葉は囁くような小声で返す。
「今、買い物行っているから……」
「ふうん? そっか。わかった。とにかく顔見せて。あおくんのことが心配なんだよ。な? お願い」
ずっと面倒を見てきた年下の者に殊勝な声で懇願される。そういうのに弱い青葉だ。それにこの年下の少年が生来頑固者で、梃でも聞かぬところがあることを良くわかっている。
「窓? ベランダにでろってこと?」
「電話、切るなよ。俺、ベランダが見える位置にいるから」
寝台の隣の窓もベランダで隣の部屋の窓とも繋がっていそうだ。
カーテンを開いてみると履物が置いていなさそうなので、普段は反対側の窓からベランダに出入りしているのではと思った。
床に足を下ろして立ち上がるだけでも気だるい。青葉は寝室を出てダイニングスペースを回り、隣のリビング的に使っているのであろう部屋を通り抜ける。そして青空が見える大きな窓を引き開けた。
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