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第二章 HOW To ヒート!
11 こうくんコール
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「あーっ!! もう、優しすぎる、紳士すぎる、我慢強すぎる! 俺がねだってんだから、がぶっと来いよ、がぶっと!」
青葉は布団を被って、それですんすんっとまた尊の香りを吸い込んで目をぎゅっと瞑った。
(寝よう……。とりあえず寝てしまおう)
目を瞑っていたら慣れぬ行為に疲れ切った意識はすぐに遠のいて、青葉はそのまま眠ってしまった。しかし大した時間が経ってはいないうちに、再びスマホが律動を始めた。
「……うるさい」
手元に手繰り寄せて仕方なく布団の中に引き入れる。相手を確認してからあとでいいやと、切っても切っても、すぐまたぶるぶると震えて青葉の眠りを妨げるのだ。
ついには根負けして青葉が通話ボタンを押したら、スピーカーにするや否やものすごい勢いで通話の相手ががなり立ててきた。
「ああ、もう。こうくん、しつこいんだけど」
「あおくん! やっと出た! 俺がどんだけ心配したと思ってるんだよ!」
「大丈夫だって、恋人のとこ泊まるって、紅葉姉に言っただろ?」
気だるい身体に大声は辛い。青葉はスマホをベッドの端に遠ざけたが、相手はそれをものともしない大声だ。
「はあ? 意味わかんない。あおくん、今、付き合ってる奴いないっていっていたじゃんか。嘘ついて、俺にも黙っていたのかよ!」
「……嘘ついてないし」
確かに昨日までは恋人はいなかった。嘘ではない。嘘ではないし姉にはちゃんと居場所も報告をしておいたので、自分は悪くないと青葉は開き直った。
「ヒート終わるまでここに居させてもらう予定だから」
「そんなこと、許されるわけないだろ! とにかく、もう近くまで迎えに来ているから。すぐ支度して!」
「はあ? ちょっと! 何勝手なこと言っているんだよ!」
「すぐ支度して外に出られるように待っていて。いいね? 絶対だよ」
「あ、こら。こうくん!」
通話は切られ、今度は青葉が何度鳴らしても相手は出ることがなかった。来ると言ったら来そうな相手だと、青葉はごくりと生唾を飲み込む。だが身体が怠くて仕方がない。
(ここの部屋番号まで教えたわけじゃないし……。どうせすぐには来られない。尊が帰ってきたら……。一緒に……。どうにかして……)
睡魔が再び襲ってきた。青葉は布団にくるまると猫のように丸くなってうとうと眠りについた。
青葉は布団を被って、それですんすんっとまた尊の香りを吸い込んで目をぎゅっと瞑った。
(寝よう……。とりあえず寝てしまおう)
目を瞑っていたら慣れぬ行為に疲れ切った意識はすぐに遠のいて、青葉はそのまま眠ってしまった。しかし大した時間が経ってはいないうちに、再びスマホが律動を始めた。
「……うるさい」
手元に手繰り寄せて仕方なく布団の中に引き入れる。相手を確認してからあとでいいやと、切っても切っても、すぐまたぶるぶると震えて青葉の眠りを妨げるのだ。
ついには根負けして青葉が通話ボタンを押したら、スピーカーにするや否やものすごい勢いで通話の相手ががなり立ててきた。
「ああ、もう。こうくん、しつこいんだけど」
「あおくん! やっと出た! 俺がどんだけ心配したと思ってるんだよ!」
「大丈夫だって、恋人のとこ泊まるって、紅葉姉に言っただろ?」
気だるい身体に大声は辛い。青葉はスマホをベッドの端に遠ざけたが、相手はそれをものともしない大声だ。
「はあ? 意味わかんない。あおくん、今、付き合ってる奴いないっていっていたじゃんか。嘘ついて、俺にも黙っていたのかよ!」
「……嘘ついてないし」
確かに昨日までは恋人はいなかった。嘘ではない。嘘ではないし姉にはちゃんと居場所も報告をしておいたので、自分は悪くないと青葉は開き直った。
「ヒート終わるまでここに居させてもらう予定だから」
「そんなこと、許されるわけないだろ! とにかく、もう近くまで迎えに来ているから。すぐ支度して!」
「はあ? ちょっと! 何勝手なこと言っているんだよ!」
「すぐ支度して外に出られるように待っていて。いいね? 絶対だよ」
「あ、こら。こうくん!」
通話は切られ、今度は青葉が何度鳴らしても相手は出ることがなかった。来ると言ったら来そうな相手だと、青葉はごくりと生唾を飲み込む。だが身体が怠くて仕方がない。
(ここの部屋番号まで教えたわけじゃないし……。どうせすぐには来られない。尊が帰ってきたら……。一緒に……。どうにかして……)
睡魔が再び襲ってきた。青葉は布団にくるまると猫のように丸くなってうとうと眠りについた。
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