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第二章 HOW To ヒート!
4 独り占めの六日間
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また目があえばお互い照れて笑いあう。
なんと素晴らしい朝だろう。
床に足を下ろしたら夜中のうちに拾い切れていなかったネイビーブルーのジャージがあった。
それを手繰り、すぐに羽織ってふと部屋の隅をみると、そこにはこんもりとランドリーバスケットに衣服が積みあがっている。
見慣れた自分の服はおしゃれな青葉のそれとは違ってシンプルな形、モノトーンが多くて決して見て心躍るようなものではない。だが尊は流し目でそれを見みやると、微笑みを浮かべてキッチンへと移動した。
青葉がせっかく作ってくれた渾身の『オメガの巣』は残念ながら昨日のうちに解体してしまった。というよりもベッドの下に散らかって落ちてしまったので泣く泣く片づけたといってもいいだろう。
(夢だったのかと思うほど、昨日の夜、最高だったな。しかもまだまだ続くなんて……)
オメガはここぞというときにしか巣作りをしないらしいから、その事実だけでも尊は彼のお眼鏡にかなっていたことになる。そう思うたびに馬鹿みたいに浮かれて誰彼ともなくこの喜びを伝えたくなった。
SNSで自慢ともとれるような幸せを惚気るカップルを目にしては、よくやるよ、とただただあきれることが多かった。自分は色恋にはどちらかといえば冷めている方だとも思っていた。
しかし『初めてのヒートで、巣作りしてもらっちゃいました』なんて猫のように身体を丸め、尊の服にうずもれまどろむ愛らしい青葉の写真を乗っけて、世界中に『俺の青葉は最高に可愛いです』と発信したい気分だ。さすがにやらないけれど。
(青葉はいつから俺のことを気にかけていてくれたんだろう。早く聞いてみたい。でも今じゃなくていい。時間はたっぷりあるんだ。俺が六日間、青葉を独占できるんだ。誰にも見せない、誰にも触れさせない。俺だけが青葉の傍にいられる)
オメガの巣を青葉ごと写真に撮ってずっと保存しておきたいぐらいだったが流石にやめて、頭の中に深く刻み込むことにした。幸い尊は記憶力はかなりいい方なのだ。目をつぶらずとも克明に思い出せるから良しとした。この記憶だけで当分ご機嫌に暮らせそうだ。
青葉が眠ってからランドリーバスケットにいったん山盛りに持って部屋の隅まで移動させておいた。もはや使用済み使用前は関係なく、二人の艶めかしい汚れが飛び散っている可能性があるので、しっかり確認してからでないとクリーニングにも持ってはいけないだろう。
昨晩青葉が最後まで離さなかったのはあの黒パーカーだった。それはもうご執心で脱がせようとしたら涙目でいやいやする姿もそそられて、仕方なかった。途中からは黒パーカーに嫉妬しそうになったが、万歳させて裸にしつつ、腕を尊の首に腕を回させたら「すんすん」と胸元に鼻を擦り付けて眠ったのが子猫みたいで可愛くて堪らなかった。
昨日の晩を思い出しながら意気揚々と、スマホをスピーカーに接続して、音楽を流しだす。しかし冷蔵庫を開けつつ食品棚にしてあるあたりを見て呆然とした。
「買い置き、すかすかだな……」
なんと素晴らしい朝だろう。
床に足を下ろしたら夜中のうちに拾い切れていなかったネイビーブルーのジャージがあった。
それを手繰り、すぐに羽織ってふと部屋の隅をみると、そこにはこんもりとランドリーバスケットに衣服が積みあがっている。
見慣れた自分の服はおしゃれな青葉のそれとは違ってシンプルな形、モノトーンが多くて決して見て心躍るようなものではない。だが尊は流し目でそれを見みやると、微笑みを浮かべてキッチンへと移動した。
青葉がせっかく作ってくれた渾身の『オメガの巣』は残念ながら昨日のうちに解体してしまった。というよりもベッドの下に散らかって落ちてしまったので泣く泣く片づけたといってもいいだろう。
(夢だったのかと思うほど、昨日の夜、最高だったな。しかもまだまだ続くなんて……)
オメガはここぞというときにしか巣作りをしないらしいから、その事実だけでも尊は彼のお眼鏡にかなっていたことになる。そう思うたびに馬鹿みたいに浮かれて誰彼ともなくこの喜びを伝えたくなった。
SNSで自慢ともとれるような幸せを惚気るカップルを目にしては、よくやるよ、とただただあきれることが多かった。自分は色恋にはどちらかといえば冷めている方だとも思っていた。
しかし『初めてのヒートで、巣作りしてもらっちゃいました』なんて猫のように身体を丸め、尊の服にうずもれまどろむ愛らしい青葉の写真を乗っけて、世界中に『俺の青葉は最高に可愛いです』と発信したい気分だ。さすがにやらないけれど。
(青葉はいつから俺のことを気にかけていてくれたんだろう。早く聞いてみたい。でも今じゃなくていい。時間はたっぷりあるんだ。俺が六日間、青葉を独占できるんだ。誰にも見せない、誰にも触れさせない。俺だけが青葉の傍にいられる)
オメガの巣を青葉ごと写真に撮ってずっと保存しておきたいぐらいだったが流石にやめて、頭の中に深く刻み込むことにした。幸い尊は記憶力はかなりいい方なのだ。目をつぶらずとも克明に思い出せるから良しとした。この記憶だけで当分ご機嫌に暮らせそうだ。
青葉が眠ってからランドリーバスケットにいったん山盛りに持って部屋の隅まで移動させておいた。もはや使用済み使用前は関係なく、二人の艶めかしい汚れが飛び散っている可能性があるので、しっかり確認してからでないとクリーニングにも持ってはいけないだろう。
昨晩青葉が最後まで離さなかったのはあの黒パーカーだった。それはもうご執心で脱がせようとしたら涙目でいやいやする姿もそそられて、仕方なかった。途中からは黒パーカーに嫉妬しそうになったが、万歳させて裸にしつつ、腕を尊の首に腕を回させたら「すんすん」と胸元に鼻を擦り付けて眠ったのが子猫みたいで可愛くて堪らなかった。
昨日の晩を思い出しながら意気揚々と、スマホをスピーカーに接続して、音楽を流しだす。しかし冷蔵庫を開けつつ食品棚にしてあるあたりを見て呆然とした。
「買い置き、すかすかだな……」
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