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3魔法薬の秘密
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それなりに忙しく過ごしている間に瞬く間に日が傾く。店の看板を『閉店中』に裏返しながら、イリゼは凝り固まった身体をほぐすように背を伸ばすと、少しずつ暮れてきた空を見上げた。
紗がかかったように薄ぼんやりした橙色と濃い桃色とくすんだ縹色とがまぜこぜの夕景をイリゼは美しいな、とぼんやりと眺めた。
恋しい相手から多くの愛情を抱き、注いでもらえるという、皆が欲しがる魔法薬を作る時、こんな色ならいいなあと夢想した。
その色によく似ている。
直感的にまるで初恋を表すような色合いだと感じた。ずっと見ているとそのすぐに映ろう儚さがどこかもの寂しく、切なくなるところまでよく似ている気がしたのだ。
一度だけ、その薬を自分の為に使おうとしたことがある。初めて焦がれた人の心がどうしても欲しくてそっと手を伸ばした、相手から自分が輝いて見えるようになる悪戯な薬。
むしろさらに効果絶大である淫靡な風情の濃い薔薇色をした惚れ薬すら使ってしまえ、どうせ相手はいつかイリゼのことを忘れてしまうのだからと、悪心が顔を覗かせ甘い誘惑を囁いてきたが、幸いそれを使う間もなく恋しい相手の方からイリゼに近づいてきてくれた。
嬉しくて嬉しくて。毎日会ってもまだ会い足りぬほど。
恋仲になった相手は、燃える夕暮れの空よりなお、美しい赤毛を持つ逞しい青年だった。
それなりに忙しく過ごしている間に瞬く間に日が傾く。店の看板を『閉店中』に裏返しながら、イリゼは凝り固まった身体をほぐすように背を伸ばすと、少しずつ暮れてきた空を見上げた。
紗がかかったように薄ぼんやりした橙色と濃い桃色とくすんだ縹色とがまぜこぜの夕景をイリゼは美しいな、とぼんやりと眺めた。
恋しい相手から多くの愛情を抱き、注いでもらえるという、皆が欲しがる魔法薬を作る時、こんな色ならいいなあと夢想した。
その色によく似ている。
直感的にまるで初恋を表すような色合いだと感じた。ずっと見ているとそのすぐに映ろう儚さがどこかもの寂しく、切なくなるところまでよく似ている気がしたのだ。
一度だけ、その薬を自分の為に使おうとしたことがある。初めて焦がれた人の心がどうしても欲しくてそっと手を伸ばした、相手から自分が輝いて見えるようになる悪戯な薬。
むしろさらに効果絶大である淫靡な風情の濃い薔薇色をした惚れ薬すら使ってしまえ、どうせ相手はいつかイリゼのことを忘れてしまうのだからと、悪心が顔を覗かせ甘い誘惑を囁いてきたが、幸いそれを使う間もなく恋しい相手の方からイリゼに近づいてきてくれた。
嬉しくて嬉しくて。毎日会ってもまだ会い足りぬほど。
恋仲になった相手は、燃える夕暮れの空よりなお、美しい赤毛を持つ逞しい青年だった。
空は一面赤々と焔を帯びたような夕焼けに変化し、イリゼはすっと美しい形の眉を顰めた憂い顔のまま店内に戻ると店の硝子窓に薄紫色のカーテンを下ろし、店の奥、居住スペースの手前に作られた作業部屋に入っていった。
「……魔法薬、補充しないと。使用済みの瓶、予想より返却されなかったから目減りしてる……。瓶も買ってこないとなあ」
気持ちを切り替えようと仕事のことを考える。用意していた魔法薬は当初の想定よりずっと売れて補充せねばならなくなった。他の店より割高に設定しているが「綺麗な色!! 効き目は強いのにすごく美味しい」等と評判になったようで日に日に売れ行きが良くなった。大分暖かな日が続いていて人々の心も明るい色合いのものに惹かれているのかもしれない。
特によく売れたのは、鼻の通りが良くなる親指ほどの小さな瓶に入った魔法薬だった。この地方特有の乾燥した冷たい風が吹き荒れる春先に、夜と昼との寒暖差からぐずぐずと鼻風邪を引いたままになる人が多い。この魔法薬には嗅げばすっきりとする薄荷の香りが付けてあって、色合いは薄めた緑色で清涼感がある。飲めばたちまちすーっと鼻が通るとあって老若男女問わず人気の商品だ。
(ダイ……。もう都からもうこっちに戻ってきたころだな。今の時期になるとこの小瓶を使ってたっけ。今年は大丈夫かな……)
かといって一方的に距離を置いた恋人の前に、どの面下げて再び現れ、おもむろに薬だけを届けてあげればいいのか分からない。今のイリゼと護衛兵団の副団長であるダイの間にはほんのわずかな接点もないのだから。
(ふふ……。あの時も今みたいな季節だった……。小さなあいつはやっぱり鼻水を啜ってたっけ)
幼い頃のダイと言ったら街中の悪がきを従えた、小生意気な赤毛の少年だった。領主の一族に名を連ねているはずだが由緒正しき護衛兵団の団長をしている父も母も威光を笠に着ることはなく、市井に根付いた生活をしている好人物だともっぱらの街の噂だった。
ダイは街の中を探検と称して仲間と共に悪戯をして走り回っては、すぐ怪我をするような子だったから、あえて親しい友人はつくらずひっそりと暮らしてきたイリゼも、縦横無尽に街中で躍動する彼の姿を眩しく見かけることが多かった。
しかし時に危なっかしいことも多く、一度などは河原で大怪我をしていた彼を家に連れ帰って介抱したこともあったほどだ。
(まだ寒い時期なのにあいつったら小川で遊んで足滑らせて頭打って、そのまま溺れかけてたっけ。あの時はまだ小さかったなあ。俺でもひょいっと背負えたほどだった)
真っ黒に日焼けした泥だらけの少年が逞しくも気品あふれる美丈夫に成長を遂げるまで。その時々のダイの鮮やかな存在感を次から次に思い出しては、もの寂しさを心の中に抱えながらもイリゼは唇に笑みを這わせた。
「イリゼ……。朝になるのが惜しい。このままずっとお前と一緒にいたい」
初めて共に朝を迎えた日。先ほど見た空と同じぐらいに美しい朝焼けを二人で眺めながら、後ろから腰に逞しい腕を回されて耳元で愛を囁かれた素晴らしい思い出。それがまるで昨日のことのように感じられる。
嫌いで離れたわけではない。むしろ今だってまだ愛している。
だからこそ幸せな記憶ばかりが思い起こされ、恋しさと切なさがせめぎあう心地にいまだ心を占められたまま。
それでもイリゼは手際よく洗浄済みの小瓶を並べて、慣れた様子でまだ薄い黄金色でしかないチンキ薬を瓶底に落としていく。
(ダイのやつ。王都で遠縁の御令嬢との顔合わせも終わって、無事に婚約できたのかなあ。田舎の城下町出身って言っても一応元王都の近衛兵だし、故郷のこの街でだってやれ赤毛が深い群青色の制服に映えて極上の色彩美とか、やっぱり領主一族は遠い祖先に王族にも繋がるから顔立ちが高貴だとか、やたらちやほやされていたもの)
恋人になってからは人々が口々に彼を褒めることが誇らしく、唯一の取り得である魔法の力で彼をずっと守ってあげたいと愛おしさが増す心地だった。
そんな彼を思い、街の外れ者のイリゼとではなく、人々の間で祝福を受け誰よりも幸せになって欲しいと思い自ら身を引いた。
だが誰にも知られぬ、このもやもやした気持ちがいつまでも拭えない。
小瓶の中に水瓶に貯めていた山から湧く沢の水を注ぎ、そこにまた別の小瓶からスポイトで移した香料を落としていく。いくつもの香料とチンキ薬で様々な組み合わせを作ってから数を数えた。
「よし、このくらいでいいか」
そしておもむろに洗いざらしたシャツを脱いで伸びをする。
昼間より気温が下がり、素肌が空気に晒されると真っ白な身体でそこだけ目立つぷくっと赤い胸飾りが艶めかしく立ちあがり、同時にざわざわっと上半身に鳥肌が広がる。
薄暗い部屋の中急いで作業を済ませようと肩を上げ下げし、繊細な見た目のわりに豪快に首をごきごきっと回してからすうっと大きく息を吸うと意識を背中に集中させた。すると細かな光の粒子が背中から零れ落ち、さあっと部屋の中を照らしていく。
その光はそのまま大きな揚羽蝶の羽のような形になって、イリゼの意思を受けてぴらぴらと小さく上げ下げをしていく。
イリゼは振り返りながら羽根の光が小瓶に注ぎ、羽根の端から光の粉が零れるように虹色に変化しながら小瓶に降り注いでいるのを確認しながら、ぴろぴろと小さく何度か羽をそよがせていった。
すると、瓶から反射した光が壁に反射して薄荷色や向日葵色、赤や桃色に染め上がっていく。
「ふーっ。できたかな?」
自分で言うのもなんだが、毎回この光景は不思議だなあと思う。
様々な色に染まった瓶が内側から光を発してきらきらと輝いている。最初は薬らしからぬあまりに鮮やかな色に、口にするのを恐れていた人も、飲み干せば甘く良い香りのするこの魔法の薬に夢中になる。
母直伝の方法で魔力を通すと光り輝く魔法薬はさながら虹で染め上げたように色とりどりになった。
紗がかかったように薄ぼんやりした橙色と濃い桃色とくすんだ縹色とがまぜこぜの夕景をイリゼは美しいな、とぼんやりと眺めた。
恋しい相手から多くの愛情を抱き、注いでもらえるという、皆が欲しがる魔法薬を作る時、こんな色ならいいなあと夢想した。
その色によく似ている。
直感的にまるで初恋を表すような色合いだと感じた。ずっと見ているとそのすぐに映ろう儚さがどこかもの寂しく、切なくなるところまでよく似ている気がしたのだ。
一度だけ、その薬を自分の為に使おうとしたことがある。初めて焦がれた人の心がどうしても欲しくてそっと手を伸ばした、相手から自分が輝いて見えるようになる悪戯な薬。
むしろさらに効果絶大である淫靡な風情の濃い薔薇色をした惚れ薬すら使ってしまえ、どうせ相手はいつかイリゼのことを忘れてしまうのだからと、悪心が顔を覗かせ甘い誘惑を囁いてきたが、幸いそれを使う間もなく恋しい相手の方からイリゼに近づいてきてくれた。
嬉しくて嬉しくて。毎日会ってもまだ会い足りぬほど。
恋仲になった相手は、燃える夕暮れの空よりなお、美しい赤毛を持つ逞しい青年だった。
それなりに忙しく過ごしている間に瞬く間に日が傾く。店の看板を『閉店中』に裏返しながら、イリゼは凝り固まった身体をほぐすように背を伸ばすと、少しずつ暮れてきた空を見上げた。
紗がかかったように薄ぼんやりした橙色と濃い桃色とくすんだ縹色とがまぜこぜの夕景をイリゼは美しいな、とぼんやりと眺めた。
恋しい相手から多くの愛情を抱き、注いでもらえるという、皆が欲しがる魔法薬を作る時、こんな色ならいいなあと夢想した。
その色によく似ている。
直感的にまるで初恋を表すような色合いだと感じた。ずっと見ているとそのすぐに映ろう儚さがどこかもの寂しく、切なくなるところまでよく似ている気がしたのだ。
一度だけ、その薬を自分の為に使おうとしたことがある。初めて焦がれた人の心がどうしても欲しくてそっと手を伸ばした、相手から自分が輝いて見えるようになる悪戯な薬。
むしろさらに効果絶大である淫靡な風情の濃い薔薇色をした惚れ薬すら使ってしまえ、どうせ相手はいつかイリゼのことを忘れてしまうのだからと、悪心が顔を覗かせ甘い誘惑を囁いてきたが、幸いそれを使う間もなく恋しい相手の方からイリゼに近づいてきてくれた。
嬉しくて嬉しくて。毎日会ってもまだ会い足りぬほど。
恋仲になった相手は、燃える夕暮れの空よりなお、美しい赤毛を持つ逞しい青年だった。
空は一面赤々と焔を帯びたような夕焼けに変化し、イリゼはすっと美しい形の眉を顰めた憂い顔のまま店内に戻ると店の硝子窓に薄紫色のカーテンを下ろし、店の奥、居住スペースの手前に作られた作業部屋に入っていった。
「……魔法薬、補充しないと。使用済みの瓶、予想より返却されなかったから目減りしてる……。瓶も買ってこないとなあ」
気持ちを切り替えようと仕事のことを考える。用意していた魔法薬は当初の想定よりずっと売れて補充せねばならなくなった。他の店より割高に設定しているが「綺麗な色!! 効き目は強いのにすごく美味しい」等と評判になったようで日に日に売れ行きが良くなった。大分暖かな日が続いていて人々の心も明るい色合いのものに惹かれているのかもしれない。
特によく売れたのは、鼻の通りが良くなる親指ほどの小さな瓶に入った魔法薬だった。この地方特有の乾燥した冷たい風が吹き荒れる春先に、夜と昼との寒暖差からぐずぐずと鼻風邪を引いたままになる人が多い。この魔法薬には嗅げばすっきりとする薄荷の香りが付けてあって、色合いは薄めた緑色で清涼感がある。飲めばたちまちすーっと鼻が通るとあって老若男女問わず人気の商品だ。
(ダイ……。もう都からもうこっちに戻ってきたころだな。今の時期になるとこの小瓶を使ってたっけ。今年は大丈夫かな……)
かといって一方的に距離を置いた恋人の前に、どの面下げて再び現れ、おもむろに薬だけを届けてあげればいいのか分からない。今のイリゼと護衛兵団の副団長であるダイの間にはほんのわずかな接点もないのだから。
(ふふ……。あの時も今みたいな季節だった……。小さなあいつはやっぱり鼻水を啜ってたっけ)
幼い頃のダイと言ったら街中の悪がきを従えた、小生意気な赤毛の少年だった。領主の一族に名を連ねているはずだが由緒正しき護衛兵団の団長をしている父も母も威光を笠に着ることはなく、市井に根付いた生活をしている好人物だともっぱらの街の噂だった。
ダイは街の中を探検と称して仲間と共に悪戯をして走り回っては、すぐ怪我をするような子だったから、あえて親しい友人はつくらずひっそりと暮らしてきたイリゼも、縦横無尽に街中で躍動する彼の姿を眩しく見かけることが多かった。
しかし時に危なっかしいことも多く、一度などは河原で大怪我をしていた彼を家に連れ帰って介抱したこともあったほどだ。
(まだ寒い時期なのにあいつったら小川で遊んで足滑らせて頭打って、そのまま溺れかけてたっけ。あの時はまだ小さかったなあ。俺でもひょいっと背負えたほどだった)
真っ黒に日焼けした泥だらけの少年が逞しくも気品あふれる美丈夫に成長を遂げるまで。その時々のダイの鮮やかな存在感を次から次に思い出しては、もの寂しさを心の中に抱えながらもイリゼは唇に笑みを這わせた。
「イリゼ……。朝になるのが惜しい。このままずっとお前と一緒にいたい」
初めて共に朝を迎えた日。先ほど見た空と同じぐらいに美しい朝焼けを二人で眺めながら、後ろから腰に逞しい腕を回されて耳元で愛を囁かれた素晴らしい思い出。それがまるで昨日のことのように感じられる。
嫌いで離れたわけではない。むしろ今だってまだ愛している。
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それでもイリゼは手際よく洗浄済みの小瓶を並べて、慣れた様子でまだ薄い黄金色でしかないチンキ薬を瓶底に落としていく。
(ダイのやつ。王都で遠縁の御令嬢との顔合わせも終わって、無事に婚約できたのかなあ。田舎の城下町出身って言っても一応元王都の近衛兵だし、故郷のこの街でだってやれ赤毛が深い群青色の制服に映えて極上の色彩美とか、やっぱり領主一族は遠い祖先に王族にも繋がるから顔立ちが高貴だとか、やたらちやほやされていたもの)
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そんな彼を思い、街の外れ者のイリゼとではなく、人々の間で祝福を受け誰よりも幸せになって欲しいと思い自ら身を引いた。
だが誰にも知られぬ、このもやもやした気持ちがいつまでも拭えない。
小瓶の中に水瓶に貯めていた山から湧く沢の水を注ぎ、そこにまた別の小瓶からスポイトで移した香料を落としていく。いくつもの香料とチンキ薬で様々な組み合わせを作ってから数を数えた。
「よし、このくらいでいいか」
そしておもむろに洗いざらしたシャツを脱いで伸びをする。
昼間より気温が下がり、素肌が空気に晒されると真っ白な身体でそこだけ目立つぷくっと赤い胸飾りが艶めかしく立ちあがり、同時にざわざわっと上半身に鳥肌が広がる。
薄暗い部屋の中急いで作業を済ませようと肩を上げ下げし、繊細な見た目のわりに豪快に首をごきごきっと回してからすうっと大きく息を吸うと意識を背中に集中させた。すると細かな光の粒子が背中から零れ落ち、さあっと部屋の中を照らしていく。
その光はそのまま大きな揚羽蝶の羽のような形になって、イリゼの意思を受けてぴらぴらと小さく上げ下げをしていく。
イリゼは振り返りながら羽根の光が小瓶に注ぎ、羽根の端から光の粉が零れるように虹色に変化しながら小瓶に降り注いでいるのを確認しながら、ぴろぴろと小さく何度か羽をそよがせていった。
すると、瓶から反射した光が壁に反射して薄荷色や向日葵色、赤や桃色に染め上がっていく。
「ふーっ。できたかな?」
自分で言うのもなんだが、毎回この光景は不思議だなあと思う。
様々な色に染まった瓶が内側から光を発してきらきらと輝いている。最初は薬らしからぬあまりに鮮やかな色に、口にするのを恐れていた人も、飲み干せば甘く良い香りのするこの魔法の薬に夢中になる。
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