香りの献身 Ωの香水

天埜鳩愛

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溺愛編

愛してる2

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 蜜壺はさらに入り口がきゅっとすぼまり、セラフィンが逃げるのを阻止しようとせんばかりだ。

 まだ半分も入っていなかったが、発情期でない身体はみっしりと充溢した心地になる。セラフィンの重みを受け入れながら、ヴィオは眉を寄せ息を詰める。

「ヴィオ、息をつめないで。ゆっくり吸ったり吐いたりして」

 最愛のオメガの内襞に甘く絡みつかれ気が狂わんばかりにセラフィンも感じ入っていたが、ヴィオを気遣う優しさだけは失っていなかった。

 優しく穏やかにセラフィンに励まさされ、素直なヴィオは菫色の瞳に再び涙を沢山ためながらも唇をわななかせて、大きく息を吐く。

「これで、せら、ぼくだけのものでしょ?」

 はぁはぁと小さいが荒い吐息の合間にそんな風に呟いてヴィオはまたぽろぽろと涙を零しながら下手くそに微笑んだ。
 欲深くて……。とても言えそうもなかった台詞だが、こんな時思わず本音が飛び出してしまった。

(ずっとすきだった。せんせいがぼくだけのものだったらいいのにってずっとおもってた)

 願いが叶い、セラフィンは確かにヴィオだけのセラフィンになったと繋がった身体を少しも離したくなくて腕を回してセラフィンもっと強く抱き着く。

 ヴィオの中がきゅんっとうねり、セラフィンは両方から甘美な抱擁をさせている心地になってその健気さと愛おしさに不覚にも涙が滲みそうになった。
 日に日に増すヴィオへの愛情だが、それは際限がないように思えた。今この瞬間も熱い気持ちと温かな想いが交感しあい、高まりあう。

「俺はずっと。お前のものだったよ」

 セラフィンは気持ちを切り替えるかのように目元に力を入れると妖艶に瞳を耀かせ、ゆっくりとヴィオの良いところを探り始める。

「んあっ! あぁ」

 すでに数回の触れ合いで指では探し当てていたそれに尖端を擦付けるような動きを見せると、絹をさくように高く細い声が上げながら身を捩った。

 喘ぎ赤い舌が見え隠れするぽってりと肉感的な唇を味わうように、セラフィンはねっとりと口づけながら口内を奥深くまで蹂躙すると、悲鳴すら奪われたヴィオは身を震わせて感じ入る。身体の力が抜けたのを見過ごさず、細腰を両手で掴み上げると、オメガの分泌液で濡れた狭い肉襞をみちみちとヴィオのいいところを潰すようにして進んでいく。そして頃合いを見計らったように抜ける寸前まで引き抜くと一気に貫きなおした。

「やああああ!」

 全身が粟立つほどの快感が這い上り、ヴィオは声にならないような吐息をはくはくとつきながら白濁をまき散らし達してしまった。
 その衝撃に思わず腕を離してしまったヴィオは、柔らかな寝具にくたりと弛緩した上半身が埋まり、蕩け切った表情で目を瞑る。
 ぽってりとした唇が半ば開かれ、赤い舌が覗くのがぼんやりとした明かりに浮かぶのがあまりにも煽情的で、セラフィンは身をかがめるとその舌を長く伸ばした自分のそれで舐めとり、ぴちゃぴちゃとわざと水音を立てながら深い口づけにもつれ込んでいった。








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