香りの献身 Ωの香水

天埜鳩愛

文字の大きさ
上 下
176 / 222
溺愛編

愛してる2

しおりを挟む
 蜜壺はさらに入り口がきゅっとすぼまり、セラフィンが逃げるのを阻止しようとせんばかりだ。

 まだ半分も入っていなかったが、発情期でない身体はみっしりと充溢した心地になる。セラフィンの重みを受け入れながら、ヴィオは眉を寄せ息を詰める。

「ヴィオ、息をつめないで。ゆっくり吸ったり吐いたりして」

 最愛のオメガの内襞に甘く絡みつかれ気が狂わんばかりにセラフィンも感じ入っていたが、ヴィオを気遣う優しさだけは失っていなかった。

 優しく穏やかにセラフィンに励まさされ、素直なヴィオは菫色の瞳に再び涙を沢山ためながらも唇をわななかせて、大きく息を吐く。

「これで、せら、ぼくだけのものでしょ?」

 はぁはぁと小さいが荒い吐息の合間にそんな風に呟いてヴィオはまたぽろぽろと涙を零しながら下手くそに微笑んだ。
 欲深くて……。とても言えそうもなかった台詞だが、こんな時思わず本音が飛び出してしまった。

(ずっとすきだった。せんせいがぼくだけのものだったらいいのにってずっとおもってた)

 願いが叶い、セラフィンは確かにヴィオだけのセラフィンになったと繋がった身体を少しも離したくなくて腕を回してセラフィンもっと強く抱き着く。

 ヴィオの中がきゅんっとうねり、セラフィンは両方から甘美な抱擁をさせている心地になってその健気さと愛おしさに不覚にも涙が滲みそうになった。
 日に日に増すヴィオへの愛情だが、それは際限がないように思えた。今この瞬間も熱い気持ちと温かな想いが交感しあい、高まりあう。

「俺はずっと。お前のものだったよ」

 セラフィンは気持ちを切り替えるかのように目元に力を入れると妖艶に瞳を耀かせ、ゆっくりとヴィオの良いところを探り始める。

「んあっ! あぁ」

 すでに数回の触れ合いで指では探し当てていたそれに尖端を擦付けるような動きを見せると、絹をさくように高く細い声が上げながら身を捩った。

 喘ぎ赤い舌が見え隠れするぽってりと肉感的な唇を味わうように、セラフィンはねっとりと口づけながら口内を奥深くまで蹂躙すると、悲鳴すら奪われたヴィオは身を震わせて感じ入る。身体の力が抜けたのを見過ごさず、細腰を両手で掴み上げると、オメガの分泌液で濡れた狭い肉襞をみちみちとヴィオのいいところを潰すようにして進んでいく。そして頃合いを見計らったように抜ける寸前まで引き抜くと一気に貫きなおした。

「やああああ!」

 全身が粟立つほどの快感が這い上り、ヴィオは声にならないような吐息をはくはくとつきながら白濁をまき散らし達してしまった。
 その衝撃に思わず腕を離してしまったヴィオは、柔らかな寝具にくたりと弛緩した上半身が埋まり、蕩け切った表情で目を瞑る。
 ぽってりとした唇が半ば開かれ、赤い舌が覗くのがぼんやりとした明かりに浮かぶのがあまりにも煽情的で、セラフィンは身をかがめるとその舌を長く伸ばした自分のそれで舐めとり、ぴちゃぴちゃとわざと水音を立てながら深い口づけにもつれ込んでいった。








しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

龍神様の神使

石動なつめ
BL
顔にある花の痣のせいで、忌み子として疎まれて育った雪花は、ある日父から龍神の生贄となるように命じられる。 しかし当の龍神は雪花を喰らおうとせず「うちで働け」と連れ帰ってくれる事となった。 そこで雪花は彼の神使である蛇の妖・立待と出会う。彼から優しく接される内に雪花の心の傷は癒えて行き、お互いにだんだんと惹かれ合うのだが――。 ※少々際どいかな、という内容・描写のある話につきましては、タイトルに「*」をつけております。

あなたの隣で初めての恋を知る

ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

成り行き番の溺愛生活

アオ
BL
タイトルそのままです 成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です 始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください オメガバースで独自の設定があるかもです 27歳×16歳のカップルです この小説の世界では法律上大丈夫です  オメガバの世界だからね それでもよければ読んでくださるとうれしいです

ふしだらオメガ王子の嫁入り

金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか? お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。

処理中です...