香りの献身 Ωの香水

天埜鳩愛

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溺愛編

誘惑2

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「あっ……。ああ」

 思わず声をこらえきれずに腰を揺らめかせてその甘い痺れを逃そうとするが、セラフィンが日に日に怪我から回復して可動域が上がった硬い腕を巧みに使って細い腰を固定してしまった。
 そうなってくるとヴィオもセラフィンの身体を気遣って暴れることすら憚られる。鼻にかかったような声を立てるほかなく、心地よさが逆につらい責め苦にも感じてくる。

「せん……、せらぁ。胸だけいやあ。こっちも触って」
「こっちって?」

 息をやや弾ませて、赤い印をつけることに没頭している風を装い、セラフィンはヴィオの懇願をおうむ返しに聞き返された。

(意地悪っ)

 ぐっと詰まってヴィオが応えないことをいいことに、さらに今度は両方の乳首をぐりっと摘まれたまま、首筋をとどめを刺された獲物の如く強く噛みつかれる。ヴィオは痛みと何故か同時に浮かんだずくんと腰に来た痺れにがくがくと震えると、胸への刺激だけ軽くイッてしまった。

(さ、触ってないのに……)

 その自分の身体の節操のなさを想い恥ずかしさからヴィオはぽろっと大粒の涙を一つ落としたのちは、決壊したように次々と涙を零し、すすり泣く。果ては寝台に顔を擦り付けて嗚咽を漏らした。そんなヴィオに、セラフィンが目元やこめかみを艶めかしく啄み、口づけながらさらに甚振るように揶揄った。

「ヴィオの前。触ってもいないのに、ずっととろとろ漏れっぱなし。痛いのも良かった?」

 そんな風に低く艶めいた色気ある声で秘め事を囁かれ、ついでに耳たぶも飴玉でも舐めるかのように遠慮なく齧りしゃぶられる。

(ほんとに、沢山、齧ってるぅ)

 涙をいっぱいに浮かべた目元に力を込めて何とか振り向くと、セラフィンの欲望にまみれた青い瞳と目があった。その瞳に見つめられるのが気恥しくて目をすぐに反らすと、唇を吊り上げるような笑みを浮かべて唇を優しく吸われたから、これでもうやめてくれると思ったが、甘かった。

 そのまま裾の長い夜具の下、下半身にそれだけ身に着けていた絹の下着の紐に手をかけ引き下げられ、つるりと丸い尻の上にも熱い息がかかる。あらぬ部分に柔らかな舌先が触れ、ヴィオの全身ぞくぞくと悪寒とも快感ともつかぬざわつきが駆け上がる。

「え、ああ!! だめ! だめなの、セラ! 汚いからやめて!」

 淡い翳りを舌先で解すようにちろちろと優しく、しかし執拗に舐められて、ヴィオは手首にわだかまるシャツを握りしめた。
 嫌だ、やめてといっても今日は聞いてはくれないらしい。煽った自分が悪いのだが、流石にヴィオも気が付いていた。

(これ、お仕置みたい……)

 憧れ続けた大人の男性であるセラフィンが、まだ年若いヴィオに夢中になって、身体を貪り執着している。そんな風に考えたら余計に下腹がずくんと重くなるほどに感じてしまって、ヴィオがゆらりと頭をかしげて身体の力を抜いた時、ついにセラフィンの長い舌がヴィオの狭い蜜壺をぐりっと割りいって入ってきた。

「あんっ!」

 女神の如く美しいセラフィンにそんなことをさせている背徳感で胸が切なく苦しくなったが、ヴィオは暴れることもできず身悶え、喘ぎ声と涙をぽろぽろと零し続けた。

「あっ。あうぅ。だめ、だめなの」

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