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溺愛編
愛撫
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「はらむ? あかちゃん?」
「そうだよ。俺たちの子。きっとヴィオに似て愛らしい子だろうね」
どこか惚けた表情を僅かに歪めたヴィオを置いてけぼりにし、セラフィンは左手でヴィオの寝間着の前ボタンをするすると外し、そのまま下履きまで手をかけると一気に取り去ってしまう。滑らかな身体を堪能するように、胸から引き絞られた腰、柔らかな美しい筋肉の付いた腹のあたりまでを羽で触れるような優しさで軽く一撫ぜする。
「え……」
そこまでの行為が驚きの素早さで、ヴィオの赤く色づいた唇は咎めるような形で止まったままになった。今度はその官能的な唇に、形良く長いセラフィンの指を含ませられて口内や天鵞絨のような舌をくちゅくちゅと音を立てて愛撫される。訳が分からず従順にその指を夢中で舐め返したら、セラフィンが吐息だけで、しかし大層色っぽく嗤った。
「触れるよ、いいね?」
どこを? と問い返したかったけれど、形ばかりの確認は否という間も与えられずに流され、柔やわと尻撫ぜ揉まれた後に、おもむろに尻の間のあわいに湿らせた長い指を這わされた。
(男のオメガはここに精を受け入れるって……)
もちろん話には聞いていたが我がことに起こるとは想定して生きてきたわけではない。まだオメガとして生きて2週間のヴィオは軽く混乱し、思わず太ももに力を入れて逃げを打つように腰を浮かせてしまった。
そんながちがちに緊張感が増してきているところに、彼はヴィオの裸の胸元に耳や頬を預けるように押し当ててきた。
「あたたかいね」
セラフィンの冷たい頬、髪、熱い吐息。それらが与える刺激に淡い色の乳首が立ちあがってくるのが恥ずかしく、しかし巧みに足を絡められていて身じろぎもできず泣き出してしまいそうになる。
「ヴィオ……。緊張してるね? 心臓の音がトクトクすごく強い」
「せんせい……」
泣きべそをかくような声を出して、セラフィンの背に両腕を回して抱き返したヴィオは、そんな幼げな様子でセラフィンの同情を誘おうとした。再会してから常にヴィオを気遣って、彼が嫌がることなどなに一つしなかったセラフィンだ。今だって口に出さずともこうして哀れな声を立てればきっとこの行為をやめるかもしくは待ってくれる。そう思っていたのに……。
「小さいのに一生懸命ぷっくり立ちあがって、こんなところまでお前に似て健気だね」
「んうぅ」
綺麗な顔でそんな卑猥なことを口にしながら、舌先で潰すように乳首の先を舐められる。ヴィオがこらえてもこらえても漏らす喘ぎ声に煽られ、執拗に弾き舐めしゃぶる攻めを続けられた。その言いようのないぞくぞくする快感は確実にヴィオの若い茎へ快楽の梯子をかけ、その切っ先からだらだらと透明の雫が伝わってきた。セラフィンは目ざとく見つけると、先端の丸みをくるくると輪をかくようにしつこくこすり、敏感なそこをヴィオが悲鳴を上げて善がるのをいいことに、快感と苦しさの狭間の際まで追い詰めて撫ぜ続けると、ヴィオはあっけなく「いやだあ」と涙声を上げて達した。
ヴィオは嗜虐的なほどの責め苦にひっきりなしに、「はあはあ」と息をつき、呼吸のたびに一度弛緩した身を震わせる。大粒の熱い涙が宝石のように明かりを反射して光る金色の環から零れ、涙の雫があとからあとから頬を伝って寝台にシミを作っていった。セラフィンはその憐れなさまに柳眉をひそめることもなく儀礼的にヴィオの腹に散ったぬめりを指先に絡めて赤い舌を這わすと淫猥にうっそりと嗤う。その魔性の如き美貌にヴィオは日頃セラフィンに感じている憧憬や甘やかな思慕を忘れ、ただただこの自分を喰らおうとする男が恐ろしくてたまらなくなった。そして指先がついに未踏の蕾に押し当てられる。
「ヴィオ? そんな哀しそうな顔をして同情を引こうとしても駄目だよ。余計にそそる。やめてあげられない。」
「あ、ああ」
「発情期じゃないと、うまく濡れないだろうな。でも、ゆっくりゆっくり時間をかけて解して、蕩けさせてあげる。二人で気持ちよくなって、俺のフェロモンで誘発してあげるからヴィオが発情したら、今宵のうち、月が天頂に登るまでには番になれるね? ヴィオのぺったんこのお腹が膨らむほど沢山胎内に注いで、朝までずっと離さず愛してあげるから。俺の子を孕んで? ヴィオ」
いいしな緊張と恐怖で思うようには力を抜けないでいた蕾にぬめりに助けさせつぷっと指先を差し入れられた。
「きゃああ」
針で穿たれた蝶のような気分になり、喉の奥がひくりっと音を立ててどんどんと呼吸が苦しくなっていく。セラフィンはそんなヴィオの悲鳴をも飲み込もうとヴィオの唇を荒々しく奪おうと顔を傾け強引に寄せてきたが、ヴィオはついにセラフィンの肩を手で押し返すと、たまらず声を上げて泣き出してしまった。
「だ、駄目!! こ、怖いぃ!! だめぇ。赤ちゃんできちゃうぅ」
「そうだよ。俺たちの子。きっとヴィオに似て愛らしい子だろうね」
どこか惚けた表情を僅かに歪めたヴィオを置いてけぼりにし、セラフィンは左手でヴィオの寝間着の前ボタンをするすると外し、そのまま下履きまで手をかけると一気に取り去ってしまう。滑らかな身体を堪能するように、胸から引き絞られた腰、柔らかな美しい筋肉の付いた腹のあたりまでを羽で触れるような優しさで軽く一撫ぜする。
「え……」
そこまでの行為が驚きの素早さで、ヴィオの赤く色づいた唇は咎めるような形で止まったままになった。今度はその官能的な唇に、形良く長いセラフィンの指を含ませられて口内や天鵞絨のような舌をくちゅくちゅと音を立てて愛撫される。訳が分からず従順にその指を夢中で舐め返したら、セラフィンが吐息だけで、しかし大層色っぽく嗤った。
「触れるよ、いいね?」
どこを? と問い返したかったけれど、形ばかりの確認は否という間も与えられずに流され、柔やわと尻撫ぜ揉まれた後に、おもむろに尻の間のあわいに湿らせた長い指を這わされた。
(男のオメガはここに精を受け入れるって……)
もちろん話には聞いていたが我がことに起こるとは想定して生きてきたわけではない。まだオメガとして生きて2週間のヴィオは軽く混乱し、思わず太ももに力を入れて逃げを打つように腰を浮かせてしまった。
そんながちがちに緊張感が増してきているところに、彼はヴィオの裸の胸元に耳や頬を預けるように押し当ててきた。
「あたたかいね」
セラフィンの冷たい頬、髪、熱い吐息。それらが与える刺激に淡い色の乳首が立ちあがってくるのが恥ずかしく、しかし巧みに足を絡められていて身じろぎもできず泣き出してしまいそうになる。
「ヴィオ……。緊張してるね? 心臓の音がトクトクすごく強い」
「せんせい……」
泣きべそをかくような声を出して、セラフィンの背に両腕を回して抱き返したヴィオは、そんな幼げな様子でセラフィンの同情を誘おうとした。再会してから常にヴィオを気遣って、彼が嫌がることなどなに一つしなかったセラフィンだ。今だって口に出さずともこうして哀れな声を立てればきっとこの行為をやめるかもしくは待ってくれる。そう思っていたのに……。
「小さいのに一生懸命ぷっくり立ちあがって、こんなところまでお前に似て健気だね」
「んうぅ」
綺麗な顔でそんな卑猥なことを口にしながら、舌先で潰すように乳首の先を舐められる。ヴィオがこらえてもこらえても漏らす喘ぎ声に煽られ、執拗に弾き舐めしゃぶる攻めを続けられた。その言いようのないぞくぞくする快感は確実にヴィオの若い茎へ快楽の梯子をかけ、その切っ先からだらだらと透明の雫が伝わってきた。セラフィンは目ざとく見つけると、先端の丸みをくるくると輪をかくようにしつこくこすり、敏感なそこをヴィオが悲鳴を上げて善がるのをいいことに、快感と苦しさの狭間の際まで追い詰めて撫ぜ続けると、ヴィオはあっけなく「いやだあ」と涙声を上げて達した。
ヴィオは嗜虐的なほどの責め苦にひっきりなしに、「はあはあ」と息をつき、呼吸のたびに一度弛緩した身を震わせる。大粒の熱い涙が宝石のように明かりを反射して光る金色の環から零れ、涙の雫があとからあとから頬を伝って寝台にシミを作っていった。セラフィンはその憐れなさまに柳眉をひそめることもなく儀礼的にヴィオの腹に散ったぬめりを指先に絡めて赤い舌を這わすと淫猥にうっそりと嗤う。その魔性の如き美貌にヴィオは日頃セラフィンに感じている憧憬や甘やかな思慕を忘れ、ただただこの自分を喰らおうとする男が恐ろしくてたまらなくなった。そして指先がついに未踏の蕾に押し当てられる。
「ヴィオ? そんな哀しそうな顔をして同情を引こうとしても駄目だよ。余計にそそる。やめてあげられない。」
「あ、ああ」
「発情期じゃないと、うまく濡れないだろうな。でも、ゆっくりゆっくり時間をかけて解して、蕩けさせてあげる。二人で気持ちよくなって、俺のフェロモンで誘発してあげるからヴィオが発情したら、今宵のうち、月が天頂に登るまでには番になれるね? ヴィオのぺったんこのお腹が膨らむほど沢山胎内に注いで、朝までずっと離さず愛してあげるから。俺の子を孕んで? ヴィオ」
いいしな緊張と恐怖で思うようには力を抜けないでいた蕾にぬめりに助けさせつぷっと指先を差し入れられた。
「きゃああ」
針で穿たれた蝶のような気分になり、喉の奥がひくりっと音を立ててどんどんと呼吸が苦しくなっていく。セラフィンはそんなヴィオの悲鳴をも飲み込もうとヴィオの唇を荒々しく奪おうと顔を傾け強引に寄せてきたが、ヴィオはついにセラフィンの肩を手で押し返すと、たまらず声を上げて泣き出してしまった。
「だ、駄目!! こ、怖いぃ!! だめぇ。赤ちゃんできちゃうぅ」
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