香りの献身 Ωの香水

天埜鳩愛

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邂逅編

邂逅3

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後ろの男がぎゅっと腕を掴み、痛みでヴィオは呻いて俯く。

「どうせ、物乞いかなにかの類だろ? この浅黒い肌の色、この街の人間でもなさそうだしな?」

 顔を蹴られた男が鼻から流れる血を拭いながら立ち上がと、ヴィオのフードの付いたマントをむしり取る。うつむいた顔を無理やりに上向かせると、目を剥いて威嚇するように顔を覗き込んできた。

「くそっ、可愛い顔をしてとんだアバズレじゃねえか。大人しくしてれば薬でも何でも恵んでやったのになあ? 」

 酷い侮辱にヴィオは男をねめつけると唇を震わせて精いっぱいの大声できっぱりといった。

「僕は物乞いじゃない」

「はあ? 僕だあ?」

 胸元に手をかけ、シャツが音を立て思い切り切り裂かれる。あらわになった褐色の肌には乳房はなく、細いが滑らかに筋肉が適度についた美しい身体つきをしていた。

「こいつ、男だ。畜生だましやがって」

「僕は薬が欲しかっただけだ。病院の場所を知りたかっただけ、お前たちが勝手に勘違いした。離せ! 僕は、急いでる。薬を探してるんだ! 離せ」

 ぎりっと睨みつけるが美しい顔つきに羽交い絞めにしていた男の方がはあ、熱い息を少年の首に吹きかけてきた。

「やだ、離せ!」

 ヴィオは鳥肌を立てて震えるが、逆にその反応に男はそそられたように下半身を擦り付けてきた。

「……いや、いいぜ。俺は。こんな田舎じゃろくな女がいないし、これだけ色っぽけりゃ男でもいける。薬やるからさ、いいだろ? 俺中央じゃ男とも経験あるぜ、痛くしないからさ」
「正気かよ」

 もう一人の男が呆れたような声を上げたが、背後の男は構わないでヴィオを抱きすくめてくる。

「なに? なにを……」

 腰から尻を撫でまわされ、首筋に舌を這わされると、ぞぞぞっと怖気が這い上る。涙がぽろぽろ零れてしまう。

「何をってきまってんだろ? お前のここに、嵌めんだよ。悪いようにはしないって。可愛がってやるし、薬もちゃんとやるから」
「ううっ…… やだ! やだやだ!」

 硬くなった股間を押し付けられて、朧気ながら意味が分かったヴィオは大暴れするが、前からもう一人のとこもやってきて手で口をふさがれてしまう。

「ここで何してる?」

 良く通る凛とした滑らかに低い声がして、倉庫の扉が開かれる。
 雨とともに冷気が倉庫の中に吹き込み、倉庫前の小さな明かりの下、扉の前に立つ男性のシルエットが見えた。


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