フリージアを嫌わないで

天埜鳩愛

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フリージアを嫌わないで

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 角度が変わってさらに尻が彼の腰に引き寄せらる。穿たれた深さに悲鳴を上げた形に開いた唇を奪われ、舌で敏感な部分を余すところなく舐められた。
 荒々しい仕草は日ごろの穏やかな彼からは想像もつかない強引さで、透も彼に引きずられるようにその悦楽に没頭していく。

「透さんっ、綺麗だ」

 身体を一度起こすと、伏見は炯々と光を湛えた目つきで透を見下ろしていた。

(きれい……)

 透は揺さぶられながら、君こそ目が眩むほど麗しいと思った。瑞々しい素肌、厚い胸板を伝う汗の雫すら綺麗だと思う。彼の挑みかかるような表情は凛々しく、唇からのぞく牙は美しい獣めいている。伏見は日ごろ隠していた支配者としての顔を余すところなく覗かせていた。

「透さん、全部、欲しいっ」

(ほしいよ、この子が……)

 透は息も絶え絶えのまま、もうなんの遠慮もない彼に、何度も内襞を摺り上げられていった。
 彼が筋肉質な臀部を蠢かせて突き上げてくるたび、透はすすり泣き、後孔からはすでに放たれた夥しい精液が掻き混ぜられ泡だって零れて漏れる。

「ああ、喰いつくしたい。可愛い。透さん、可愛い」

 正面から首筋を強く噛みつかれ、ひゅっと喉笛が鳴る。まるで獣に喰いつかれているような苛烈な性交だ。
 体格差もあり、こうなってしまうともう、何の抵抗もできないし、何も考えられなくなる。ただシーツを握りしめたまま揺さぶられ、繋がっている場所と奥から絶え間なく続く並々ならぬ感覚に翻弄されてしまう。
 アルファとのセックスには慣れているとはいえ、これほど激しく愛されたのはずいぶん前の事だ。透は次第に若い伏見の勢いに翻弄されてシーツの波に火照った身体を埋め、いい様に啼き続けた。

「くるし……」 

 涙を零し潤んだ瞳を薄っすら開けてでも縋る相手は彼しかいない。涙目で訴えれば、中のものはむしろ大きくなったが、彼自身は僅かに残る理性を取り戻したようにみえた。
 一度ずるり、と猛々しい幹を抜かれる。その過ぎる刺激に悲鳴を上げた透を、伏見は正面から抱き締めた。

「ごめん、透さん。止められない。透さんの中、温かくて。ぎゅって。気持ちいい。また奥に出させて」

 裏返されて寝台にうつ伏せに押し付けられると、返事を待たずに後ろから貫かれる。ぐっと奥壁に押し付けられると、それだけで気をやりそうに心地よい。そのまま勢いよく放たれた。

「ぴ、ぴしゃぴしゃってえ、沢山。またやああ。いっちゃう」 

 何度も何度も感じ過ぎて辛い奥壁を攻められ、髪を振り乱し息も絶え絶えの透のうなじに、伏見の尖った犬歯が何度か試すようにあてられる。

「噛みたい」

 繰り返される甘噛みの痛みすら快感に感じ、身悶えた透はぎゅっと伏見自身を喰い締める。ビックビクっと中でイキながら、透は肉付きの薄い真っ白な背中を濃い桃色に染めた。

「も、むりぃ」
「透さん、きつっ!  気持ちいい。腰溶けそっ。まだ頑張って。もう少しだから。もう少しで……」

 かつての恋人とのそれよりもさらに執拗に何度も中に放たれ、ベッドの上がつがつと穿たれ続けた。ところどころ記憶が飛び、意識が朦朧としてきたところに、むしろ何度目かの放埓で余裕さえ生まれた伏見が透の項に熱い息を吹きかけてきた。

「透さん……。ああっ、蕾が、開いた」
「ひぃ」

 再び揺さぶられている間にまたあのフリージアの花の香りが漂ってくるのを感じて、透はその鮮烈な甘さに目眩がした。

「ふりーじあ」

  香りが濃く感じられるほどに、より身体の力が抜ける。腹の奥が熱く疼き、何かがとろり、じゅんっと湧くような感覚が得られた。

「甘い……」
「透さん、わかる?   俺のフェロモン」

(ふぇろもん?  なんで?)
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