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番外編 未明の深森 昼下がりの卯乃

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「やあ……」
 
 びくびくっと震える身体を片腕でぎゅっと抱きしめ、肩口に顔を埋める。 
 そのまま自らのものをジャージを押し上げて痛いほどに育った自らのものを取り出すと、掌に包み込んで摺り上げ始めた。

「卯乃、好きだ」
「んっつ、んんっ……」
 
 苦し気に身じろぎする彼を逃さない。片腕でがっしりホールドしたまま胸に押し付ける。がくっと仰のいた顔を顔で追いかけ、小さな口を長い舌でこじ開けた。猫の名残で舌に残る棘で昨日卯乃が善がった場所をざりざりと舐めながら、自らを慰める。

「あっ、あっ……ああ」

 か細く甘い声に興奮が増した。先走りが掌にだらだらと垂れ、ぐちゃ、じゅっと掌の中は派手な音が立ち始めた。荒い息を漏らす唇が、卯乃の耳の被毛を湿らす。もはや卯乃の心地よさより、自らの快感を追いかける我儘な雄猫と化した。

「くっ……」

 あっという間に駆け上がり、放埓は思いのほかあっけなく訪れた。しぶきが掌だけに収まらずに卯乃の白い腹をも汚す。数時間前にどろどろになったシーツをはがし、浴室に置いてあったバスタオル借りて敷き、卯乃の汚れも綺麗にしてあげたというのに。
 だがそれだけで終わりにはしなかった。卯乃のゆるく括れた腰の下では、そのままはかせたショートパンツが持ち上がっている。
 手荒く前からぐっと下げると、まだ稚い形のそれが持ち上がって赤く震えていた。
 自分の出したもので濡れた手を添わす。指先で雫を擦り付けるようになぞったら、びくびくっと震えてさらに持ち上がった。

「はあっ、んん」
 
 一瞬涙で潤む瞳をうっすら開けた卯乃に心臓を貫かれた気持ちになったが、再び瞑目した彼の唇から覗いた舌のいやらしさに、あっけなく前が持ち上がってしまった。
 二つを大きな掌で共に握りこむ。清らかな唇を奪いながら、今度は共に掴んで手を一心不乱に動かした。

「んっ、ん」
 
 苦し気に吐息を弾ませる卯乃の唇を乱して、歯の裏をじょりじょりと舐める。卯乃は腰を突き上げるような仕草を見せると深森よりもさらにあっけなく果てた。それを見届けながら、ぐにゃぐにゃの卯乃ごと、また自分を慰める。この欲には底が見えず、到底終わる気がしなかった。

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