285 / 296
夏祭りの思い出
34
しおりを挟む
「あんっ」
(変な声だしちゃった……)
胸先に走る甘い疼きをと自分でも思いがけぬほど悩まし気な声を上げてしまう。
「ふふっ」
「なにすんだよ」
嬉しそうに笑われたので睨みつけたら、悪戯を咎められたワンコのような甘い目線が柚希を覗きこんできた。その表情はもしも和哉が柚希になぞ興味がなく女と浮名を流しならばとんでもない色事師になったであろうという艶めいたもので、その、端正な美貌の中で琥珀色に光る瞳が柚希を捉えて離さない。
「柚希は綺麗だよ。綺麗というか……。いやらしい身体すぎて、もう誰にも見せたくない。今年も子どもたちのプールは僕が連れていくからね? 柚希はお留守番」
「なに、それ、んっ……」
再び寄せられた唇は、軽い音を立てて離れていくから物足りなくて、逞しく太い腕を掴むと再び柔やわと口づけられて、再び抵抗する気持ちがゆっくりと薄れていく。離された唇が耳に付くほどの距離で当てられ、ここ数年より深みと低さが増した声で囁かれる。
「柚希はどこもかしこも、触れるとすごく滑らかで気持ちいいよ」
いいしな、後ろに回された背中から腰、臀部まで大きな掌でいやらしく撫で上げられて、柚希は細い腰をびくんっとしならせた。そのまま片腕で抱き寄せられ、先ほど髪をかき上げ露わになった、額にちゅっと口づけられる。
「くすぐったい!」
「子どもの頃から誰にも咎められずにこんなふうに柚希に触れたかったから、今こうしているのが、夢みたいだよ」
「お前、あの頃はワンちゃんみたいに可愛かったのに……。そんなこと、ああっ、……考えてたの?」
和哉の硬い指先で胸への刺激を断続的に柔らかく、繰り返されるがもっとも愉悦を生み出す乳首の先へはわざと反らされ、柚希の欲を煽ろうとしてくる。それはそれで辛くて、涙が目の端に溜まって喘いだ。
「それに子どもたちが生まれてから……。ここがさ」
「んっ! やめ……」
(変な声だしちゃった……)
胸先に走る甘い疼きをと自分でも思いがけぬほど悩まし気な声を上げてしまう。
「ふふっ」
「なにすんだよ」
嬉しそうに笑われたので睨みつけたら、悪戯を咎められたワンコのような甘い目線が柚希を覗きこんできた。その表情はもしも和哉が柚希になぞ興味がなく女と浮名を流しならばとんでもない色事師になったであろうという艶めいたもので、その、端正な美貌の中で琥珀色に光る瞳が柚希を捉えて離さない。
「柚希は綺麗だよ。綺麗というか……。いやらしい身体すぎて、もう誰にも見せたくない。今年も子どもたちのプールは僕が連れていくからね? 柚希はお留守番」
「なに、それ、んっ……」
再び寄せられた唇は、軽い音を立てて離れていくから物足りなくて、逞しく太い腕を掴むと再び柔やわと口づけられて、再び抵抗する気持ちがゆっくりと薄れていく。離された唇が耳に付くほどの距離で当てられ、ここ数年より深みと低さが増した声で囁かれる。
「柚希はどこもかしこも、触れるとすごく滑らかで気持ちいいよ」
いいしな、後ろに回された背中から腰、臀部まで大きな掌でいやらしく撫で上げられて、柚希は細い腰をびくんっとしならせた。そのまま片腕で抱き寄せられ、先ほど髪をかき上げ露わになった、額にちゅっと口づけられる。
「くすぐったい!」
「子どもの頃から誰にも咎められずにこんなふうに柚希に触れたかったから、今こうしているのが、夢みたいだよ」
「お前、あの頃はワンちゃんみたいに可愛かったのに……。そんなこと、ああっ、……考えてたの?」
和哉の硬い指先で胸への刺激を断続的に柔らかく、繰り返されるがもっとも愉悦を生み出す乳首の先へはわざと反らされ、柚希の欲を煽ろうとしてくる。それはそれで辛くて、涙が目の端に溜まって喘いだ。
「それに子どもたちが生まれてから……。ここがさ」
「んっ! やめ……」
0
お気に入りに追加
301
あなたにおすすめの小説

孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。

獣人王と番の寵妃
沖田弥子
BL
オメガの天は舞手として、獣人王の後宮に参内する。だがそれは妃になるためではなく、幼い頃に翡翠の欠片を授けてくれた獣人を捜すためだった。宴で粗相をした天を、エドと名乗るアルファの獣人が庇ってくれた。彼に不埒な真似をされて戸惑うが、後日川辺でふたりは再会を果たす。以来、王以外の獣人と会うことは罪と知りながらも逢瀬を重ねる。エドに灯籠流しの夜に会おうと告げられ、それを最後にしようと決めるが、逢引きが告発されてしまう。天は懲罰として刑務庭送りになり――
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。
事故つがいの夫は僕を愛さない ~15歳で番になった、オメガとアルファのすれちがい婚~【本編完結】
カミヤルイ
BL
2023.9.19~完結一日目までBL1位、全ジャンル内でも20位以内継続、ありがとうございました!
美形アルファと平凡オメガのすれ違い結婚生活
(登場人物)
高梨天音:オメガ性の20歳。15歳の時、電車内で初めてのヒートを起こした。
高梨理人:アルファ性の20歳。天音の憧れの同級生だったが、天音のヒートに抗えずに番となってしまい、罪悪感と責任感から結婚を申し出た。
(あらすじ)*自己設定ありオメガバース
「事故番を対象とした番解消の投与薬がいよいよ完成しました」
ある朝流れたニュースに、オメガの天音の番で、夫でもあるアルファの理人は釘付けになった。
天音は理人が薬を欲しいのではと不安になる。二人は五年前、天音の突発的なヒートにより番となった事故番だからだ。
理人は夫として誠実で優しいが、番になってからの五年間、一度も愛を囁いてくれたこともなければ、発情期以外の性交は無く寝室も別。さらにはキスも、顔を見ながらの性交もしてくれたことがない。
天音は理人が罪悪感だけで結婚してくれたと思っており、嫌われたくないと苦手な家事も頑張ってきた。どうか理人が薬のことを考えないでいてくれるようにと願う。最近は理人の帰りが遅く、ますます距離ができているからなおさらだった。
しかしその夜、別のオメガの匂いを纏わりつけて帰宅した理人に乱暴に抱かれ、翌日には理人が他のオメガと抱き合ってキスする場面を見てしまう。天音ははっきりと感じた、彼は理人の「運命の番」だと。
ショックを受けた天音だが、理人の為には別れるしかないと考え、番解消薬について調べることにするが……。
表紙は天宮叶さん@amamiyakyo0217
さよならの向こう側
よんど
BL
''Ωのまま死ぬくらいなら自由に生きようと思った''
僕の人生が変わったのは高校生の時。
たまたまαと密室で二人きりになり、自分の予期せぬ発情に当てられた相手がうなじを噛んだのが事の始まりだった。相手はクラスメイトで特に話した事もない顔の整った寡黙な青年だった。
時は流れて大学生になったが、僕達は相も変わらず一緒にいた。番になった際に特に解消する理由がなかった為放置していたが、ある日自身が病に掛かってしまい事は一変する。
死のカウントダウンを知らされ、どうせ死ぬならΩである事に縛られず自由に生きたいと思うようになり、ようやくこのタイミングで番の解消を提案するが...
運命で結ばれた訳じゃない二人が、不器用ながらに関係を重ねて少しずつ寄り添っていく溺愛ラブストーリー。
(※) 過激表現のある章に付けています。
*** 攻め視点
※当作品がフィクションである事を理解して頂いた上で何でもOKな方のみ拝読お願いします。
※2026年春庭にて本編の書き下ろし番外編を無配で配る予定です。BOOTHで販売(予定)の際にも付けます。
扉絵
YOHJI@yohji_fanart様
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる